Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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ガン=カタ

「櫻、ガン=カタと言う武術を知ってるか?」

 

 ラウラがそんなことを言い出したのは放課後のティータイムを過ごしている時のこと。耳慣れない言葉に櫻も首をかしげるとラウラは「クラリッサに聞いた武術だ」と言っていた。彼女は日本のサブカルチャーに造詣が深いらしいから、その影響も考えられる。だが、曲がりなりにも軍人だ。本当にスゴイ武術なのかもしれない。

 

 

「聞いたこと無いなぁ。箒ちゃんに聞いてみたら? 武術のことなら私よりずっと詳しいと思うよ」

 

「ああ。そう思って昼に聞いたんだが、知らないと言われてしまってな。櫻なら、と思ったんだが」

 

「ごめんね、期待に添えなくて」

 

「いや、いいさ。織斑先生なら知ってるだろうか?」

 

「さぁ? 行ってみたら?」

 

 善は急げと言わんばかりに「そうしてみよう」と言って食堂から姿を消したラウラを見送ってから櫻も整備室に向かった。簪がいつも使っている第7整備室に入ると同じことを聞いてみた。

 

 

「ガン=カタ? 武術、なのかな? アレは」

 

「知ってるの?」

 

「うん。映画で出て来た近接格闘術だよ。2丁拳銃で近接格闘するんだよ。動きもカンフーとか、そういう拳法っぽいところもあるし」

 

「へぇ。映画で出て来た格闘術ねぇ。使えるの?」

 

「どうだろう? 映画では無双してたけど、お話の世界だから」

 

 そこにエアドアの音より早くラウラがやってきた。その手にはDVDのケースが握られ、顔は満面の笑みだ。

 タイトルは……リベ○オン?

 

 

「山田先生が貸してくれたぞ! なんでもガン=カタというのは銃を使う格闘術らしいな!」

 

「まさか、ボーデヴィッヒさんが?」

 

「うん、そのまさか……」

 

「どうした? この格闘術ならたとえ獲物が飛び道具であっても効果的に場を制圧出来るとのことだ」

 

「う、うん。でも、それは映画の……」

 

「使えるか使えないかは実際に見てから決めよう。クラリッサが勧めるほどだ、有用性のあるものに違いない」

 

 そしてなぜか夕食後に櫻の部屋で上映会と相成った。メンバーはラウラ、櫻、簪、本音。そしてなぜか山田先生がやってきた。

 壁にスクリーンを広げて吊り下げると部屋の反対にプロジェクターを置く。そして適当にプレーヤーをつなげてディスクを入れれば準備完了だ。

 

 

「どうして山田先生が?」

 

「私こういう映画大好きなんですよ! まさかボーデヴィッヒさんが「ガン=カタって何ですか?」って聞いてくるなんて思ってもなくて!」

 

「は、はぁ……」

 

 各々に好きな場所で好きな姿勢を取ると映画が始まった。内容は感情を持つことを禁じられた社会で一人の検閲官が反逆を起こすというベタなストーリーだったが、山田先生曰く「とても低予算なのにアクションがとってもかっこいい」だそうで、見てみると敵の被るヘルメットがバイク用だったり、近未来な世界観なのにパトカーがやたらボロかったり突っ込みどころもあったが確かにアクションは最高にカッコ良かった。

 袖口から飛び出す拳銃。踊るように敵をなぎ倒すさまはとても美しく、櫻も簪も、ラウラも口をぽかんと開けてしまった。

 

 

「こ、これは……」

 

「カッコいい……!」

 

「でしょう!? クールな表情で踊るように敵を倒していく。最近のヒーローには無いかっこよさがありますよね!」

 

「確かに。ボーデヴィッヒさん、やってみるの?」

 

「ああ。ISでの再現は出来るだろうな。実際に使うかどうかは練習してから決めよう」

 

「私も付き合う」

 

 ラウラと簪がガシッ、と握手をしたところで山田先生が完成したら演舞を見せてくださいね。と頼み込んで2時間ほどの上映会は終わった。本音? 開始5分で夢の世界だ。

 

 かくして放課後に武道場でエアガンを振り回す2人の姿が目撃されるようになる。

 

 

 

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「学年別トーナメントでは存分に力を振るえそうだ。特に織斑の間合いでは優位に立てるだろうな」

 

「彼の零落白夜さえ対策すれば敵じゃない」

 

「これは楽しみだな。簪」

 

「ええ、ラウラ」

 

 

 

 




ふと浮かんだネタを1時間ちょっとで書いてみました。

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