Who reached Infinite-Stratos ? 作:卯月ゆう
ドイツの湖畔で新年を迎え、2日にはシュトゥットガルトをゆっくり見て回り、3日目には同じくシュトゥットガルトからTGVで4時間かけてパリに立った6人。
そこからチャーターした車に乗るとパリ東駅から20分ほどでチュイルリー庭園の川を挟んだ反対、オルセー美術館にやってきた。
「やっぱりパリは芸術の町。ひとつくらいは美術館に行っておかないとね。ルーヴルは古美術未鯛のから古典までなんでも置いてるから小難しいけど、オルセーは比較的近代の印象派の作品がほとんどだから飽きないと思うんだ」
とはシャルロットの弁で、19世紀頃のゴッホやミレー、ルノワールなどの1度は見聞きしたことのある作品が多く収蔵されていることから比較的見やすいのではないか、と言うチョイスだ
その読みは見事に的中し、芸術に造詣の深いセシリアはもちろん、全く興味を示さなそうなラウラまでその個性的な色彩に引き込まれていた
大人二人は館内をぶらつきながらどちらかと言えばその雰囲気を楽しんでいるようで、時折見知った作品を見ると立ち止まってゆっくりと眺めていた
「どうやら当たりみたいだね」
シャルロットにそっと近づいた櫻が言うと嬉しそうに「みたいだね。ルーヴルは年明けからスゴイ混んでるみたいだし、こっちでよかったよ」と返した
「オルセーはルーヴルみたいにべらぼうに広い訳じゃないから手早く見て回れていいね。お昼はどうするの?」
「お昼はここで少し小腹を満たすくらいでいいかな、って思ってるんだけど、ダメかな?」
「いいんじゃない? これから行く先でふらっと気になったものを食べればいいしね。それに夜は本場のフレンチが待ってるんでしょ?」
「うん。だから程々にね? ブリストルが待ってる」
「ってことはこれからシャンゼリゼ?」
「その通り、端から端までゆっくりすれば夕方にはなるでしょ? そしたらチェックインだね」
「いいね。そろそろみんな来るかな?」
左腕の小さな腕時計をちらっと見ると12時半ごろを指している。人がそこそこいるが、よく見ると4人が固まってこっちに向かってくるのが見えた。
「来た来た。じゃ、そこのレストランでお茶にしましょう。この後はシャンゼリゼ通りに行くのでしっかりランチと言うより、そこまでのエネルギーな感じで」
「こんなカジュアルだと場違いな感じがしてきますね」
「ここは来館者向けなのでそんな堅苦しくありませんよ。堅っ苦しいのがお望みなら今夜のレストランを変えますけど」
「いやいや、私には不相応なのでいいですよ!」
「冗談です。今夜もそんなに形式張った所は取ってません。何はともあれ、休憩にしましょう」
そう言って6人はレストランに消えていった
----------------------------------------
「さて、ちょっと遠回りして、ルーヴル美術館の前を通ってシャンゼリゼまで行こうと思うんですけどいいですか? メトロで直接行ってもいいんですけど」
芸術にどっぷり浸った6人がいるのはセーヌがちらりと見えるオルセー前の広場。開けているだけあって風が冷たい
「ルーブル美術館と言うと、あのガラスのピラミッドですか? 見たいです!」
「山田先生がそうおっしゃるのでしたら、反対するわけには行きませんわね」
「あくまでもこの旅行の主役は真耶だからな。それに、少し身体を動かしたほうが暖かいだろ」
シャルロットが両隣の櫻とラウラを見れば2人は黙って頷いた
「じゃ、決まりですね。ルーヴル美術館までは大体15分もあれば着くと思います」
セーヌ川沿いに歩いて、橋を渡り、門をくぐれば右にルーヴル美術館、左にはチュイルリー庭園が広がる。
さらにもう少し歩いてラウンドアバウトまでくればプラミッド・ド・ルーヴルが右にある
「わぁ、コレがルーブル美術館ですか……。テレビで見るよりずっと大きいんですね」
「そうですね。ルーヴル美術館の建物はもともと宮殿だったんですけど、それに増改築を繰り返して今の形になったんです。今では世界で一番来館者の多い美術館ですね」
「じゃ、写真とって行きましょうか。せっかくですし」
「あぁ、じゃ、私がシャッター切りますね」
そう言って真耶からカメラを受け取ろうとした櫻だったが、「全員入っていたほうがいいです。誰かにお願いしましょう」と言う真耶に押し切られ、通りかかった観光客に一枚撮ってもらったのだった
その後はラウンドアバウトの反対、カルーゼル凱旋門をくぐってチュイルリー庭園を抜ける。
さすがに冬だけあって少しさみしい感じが否めないが、木々が立ち並ぶ街道をまた10分歩けばルクソールオベリスクが見えてくる
「あれがルクソールオベリスク、クレオパトラの針、とも呼ぶのかな? それと、コンコルド広場。フランス革命の時にはマリー・アントワネットが処刑された場所だね」
「コレが教科書に出てきた斬首の場所か。心なしか教科書の挿絵と似ている気がするな」
「あははっ、そうかもね。じゃ、いざ、シャンゼリゼへ!」
車通りが多いラウンドアバウトをタイミングを見計らって渡っていく6人。信号は赤である
シャルロットが渡っていったものだからついていかざるを得ない5人が内心ビビりつつも渡ると意外なことに止まった車の運転手は特に嫌な顔をしているわけではなかった。他の場所でも似た光景を見たが、そこでも『なに、いつものことさ』と言った顔だったのだ
「シャルロットさん。フランスでは信号を守りませんの?」
「あぁ、それね。別に自己責任で渡ればいいんじゃないかな? 確かに危ないかもしれないけど、止まってくれるしね。初めて日本に行った時は危うくはねられるところだったよ」
笑いながら彼女は言うが、それがどれだけ恐ろしいかを想像したセシリアは少し鳥肌が立った
「これがシャンゼリゼ通り。
ぞろぞろとシャルロットについて歩くともう見慣れてきた古い建物が並んでいるのが見える。
シャンゼリゼ通りの西側、6差路を超えた先だ
「そしたらここ自由行動にしようと思います。5時にまたここに集合で。そしたらまたホテルまで歩きます」
「ふむ、3時間ほどか。まぁ、ゆっくり往復すればちょうどいいな」
「そのつもりで時間設定してますから。服を買ったり、カフェでまったりしたりですね」
「そうだな。一夏とマドカへのおみやげ探しにもちょうどいいだろう」
「それは明日でもいいかもしれませんね。ギャラリー・ラファイエットに行く予定なので」
「そうか。なら明日にしよう。真耶、どうする?」
「えーと……」
そう言いながら真耶はバッグから取り出したガイドブックとにらめっこ、そして何かひらめいたようにページに指をさして千冬に見せた
「ここがいいです! 絶対美味しいですよ、これ」
「そうだな。何処だ? あぁ、だいぶ先じゃないか」
「でも、時間はたっぷりありますし。」
「だな。それじゃ、私達は行く。気をつけてな」
「千冬さん達のほうが明らかに観光客なんですから……」
「それもそうだな。じゃ、5時にここだな」
「はい。山田先生とかあっさりスられそうなので貴重品はチャックのついたポケットに入れておくといいですよ」
「そうですね。……コレでよし、っと。じゃ、先輩、行きましょうか」
「ああ」
そう言って歩き出した2人を見送った4人はお互いの顔を見合わせると打ち合わせていたかのように同時に口を開いた
「「「「これからどうする(しますの)?」」」」
シャルロットがガイドのフランス回。翌日とか普通に予定を言いましたけど、書く気無いです。ハイ。
地名とか道順とかはグーグルマップをフル活用してるので大体あってると思います。
ストリートビュー様様