Who reached Infinite-Stratos ?   作:卯月ゆう

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「先輩、だるいんでカットでいいッスか?」

「そうだな。作者も私等のこといまいちわかってないみたいだし、いいんじゃねぇの?」

「じゃ、カットで」


代表候補生2名の会話。


ごめんなさい。戦闘描写の出来なさに悲しくなってきたから避けたいんだ。うん、すまない。


ボスバトル

 講習会参加者20人をすべて捌き終え、ダリル、フォルテ組との戦闘をピットで見守る3人。

 スケジュールではあと2時間後には試合開始ということもあり、昼休みを過ぎた頃からスイッチを切り替え始めていた

 

 

「流石だな。アメリカの2人」

 

「だね。隙がない。でもやっぱり2人きっちり揃わないと何も出来ない感はあるね。実際そこを攻められてるし」

 

「もっぴーは代表候補生の相手は厳しいみたいだね~」

 

「そうだな。アイツはまだ温い」

 

「箒ちゃんはまだ機体に乗られてる感じが拭えないよね。事実戦闘経験値もそこまでたまってないからリミッターもまだ6割解除ってとこだし」

 

「ここ数日での伸びはある。だから鍛えれば鋭くなるのだろうが、環境がな」

 

 一夏とその周辺で起こるあれこれを思い浮かべて苦笑した

 

 

「そういえば、一夏は今日の夜にディナーに誘ったって言ってたね」

 

「ホント!? 大ニュースだよ!」

 

「なんでも新聞部の黛先輩だっけ? あの人のお姉さんが雑誌社の人らしくて。2人にインタビューのお礼だってさ」

 

「へぇ~、おりむーも隅に置けないなぁ~」

 

「まぁ、ちらっと聞いた限りはドレスコードが掛かるようなホテルのレストランらしいけど。本人は知らぬ間に普段着で行きそうだね」

 

「それで恥を晒せばいいんだ」

 

「相変わらずまどまどはおりむーに当たり強いね」

 

「ま、喧嘩するほどなんとやらだよ。千冬さんも姉弟喧嘩オッケーって言ってたのに直接手を出さないし」

 

「まどまどってツンデ――」

 

「黙れ」

 

「ハイっ!」

 

「アハハ……」

 

 千冬顔負けの気を放ってドスの効いた声で言われれば黙るしかなかろう。

 モニターに映る試合は楯無が2年のフォルテ・サファイアを撃墜。画面端に映るエネルギー残量ゲージがブラックアウトする。

 楯無は余裕のエネルギー残量で箒と対峙するダリル・ケイシーの元に向かった

 

 

「お、一機落ちたな」

 

「2年の方かぁ。ってことは箒ちゃんは3年生相手にあの立ち振舞いなの?」

 

「ってことだね~。もっぴーかっこいー」

 

「本音、思いっきり棒読みになってるぞ」

 

「もっぴーはつきあいかたが未だにわからないっていうか~」

 

「まぁ、箒ちゃんは硬い娘だからねぇ」

 

 見れば楯無は特に手出しするでもなく、2人の周囲を飛び回っているだけのようだ。これは彼女なりのハンデか、それとも箒を鍛えるための優しさか。おそらくは後者だろうが、箒はだんだんと押されてきている

 

 

「楯無先輩厳しいことするなぁ」

 

「おじょうさまはISに関してはシビアだからね~」

 

「仕事に対してもシビアになってくれればなぁ」

 

「あ、箒はまた墜ちるぞ」

 

「え? さすがにそれは……。ほら、楯無先輩が横槍入れた」

 

「こうしてみているとただのお荷物じゃ……」

 

「そう思うなら次は瞬殺して心へし折っちゃいなよ」

 

「それもそうか。今日はリミッター無しでかっとばせるからな」

 

「2人共鬼だね」

 

 本音のつぶやきが聞こえたか聞こえなかったか、2人は少し影のある笑みを浮かべると画面に映った箒を射抜くような目で睨みつけた

 

 

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 時は流れてタッグトーナメントもボスバトル。大歓声に包まれたアリーナの真ん中には約束通りにここまで勝ち上がった楯無と箒。そしてラスボスこと櫻とマドカが立っている

 

 射殺すような目を箒に向けるマドカはさておき、櫻は楯無とミステリアス・レイディを舐めるように見ると一つ頷いてセイレーンの涙を自身の周囲に展開した

 

 

『あら、おねーさんの体に見惚れちゃった?』

 

「確かにうらや……、いえ、先輩の機体って稼働時間どれくらいかなぁ、と」

 

『本音が出てるわよ……。そうね。1000は超えてると思うけど。正確な数字は覚えてないわ』

 

「なるほど。で、今回先輩に見てもらいたくてこんなものを用意したんですけど、どうですかね?」

 

 そう言って水のヴェールを纏い、手には大槍を展開すると楯無は呆れた顔をして言った

 

 

『櫻ちゃん、喧嘩売ってる?』

 

「いや、物理攻撃が効かないならこっちも似たもので対抗したいなぁ。という当然の思考ですよ」

 

『ホント、時々腹が立つほど素敵な技術でトンデモ兵器を持ってくるわねぇ』

 

「コレは私じゃなくてウチの技術部で作ったものですよ」

 

『本音は後で折檻ね』

 

「あら、だれも本音に作ってもらったなんて言ってませんが」

 

『技術部って束博士と櫻ちゃんと本音でしょう? その中で暇だったのって本音だけじゃない』

 

「あら。許せ、本音。骨は拾ってやる」

 

 ピットでモニタリングする本音が櫻に『デラックスパフェ1週間分』という注文をつきつけるのと同時に10秒前のカウントダウンが始まった

 

『おしゃべりはここまで。本気で来なさい』

 

「言われなくても」

 

 あの箒が若干の恐怖を見せているが、あの嫌な笑みを浮かべたマドカに先日フルボッコされたばかりだ。それも今日はコアリミッターは無し。おそらく言葉通り一瞬でケリが付くのを武士の本能で悟ったのかもしれない

 箒の無念を心の中で謝罪しつつも意識は目の前の楯無に向ける

 

 早くも水のヴェールで身を包み、蒼流旋をこちらに向けている。開幕の一瞬でどちらも決まりそうだ

 1秒経つごとに集中力が上がっていく。ハイパーセンサーを通じてみる世界がより一層クリアになる

 

 そして、最後の1秒が終わる直前に楯無が笑ったのも見逃さなかった

 

 

 カウントを刻む数字がゼロになった瞬間、桜と騎士は数十mの間を物ともせずに一瞬で眼前の敵に衝突。箒はあっさりと墜ちたようだが、問題は楯無だ

 

 

 ――うご、かない……?

 

 右手に握った大槍は重ねられた水の壁をあっさりと突き破り、身体に当たるかと思いきや、手前数cmのところで止まっている

 見ればマドカの白騎士も同じように空中で停止直後に『どうなってる!?』とプライベートで呼びかけられるも『分からない』と答えるのが精一杯だった

 

 楯無の笑みの意味。おそらくはコレだろう。AICと似た何か。範囲拘束型のイナーシャルキャンセラーが働いていることは明らかだが、そんな装備がミステリアス・レイディに装備されたなど聞いていない。ということは答えはひとつ。

 

「ワンオフアビリティー……」

 

『んなっ!? ロシアのアレがセカンドシフトしてるなんて聞いてないぞ!』

 

「たった1000時間でセカンドシフトするなんて私だって信じられない。暮桜だって3000時間はかけてるはずだもん」

 

『あら、おねーさんがミステリアス・レイディをセカンドシフトさせてることがそんなに驚きかしら?』

 

『と言うよりこの状況がな。AICじゃないし、何がなんだか』

 

「原理はAICと同じはず。マドカ、アレを」

 

『了解!』

 

 オープンにもかかわらず堂々と奥の手があると宣言。言葉通りに櫻とマドカは奥の手をつかった

 

 ISの解除。再展開

 

 空中でISを解除し、拘束から逃れると落ちる寸前で再展開、そしてマドカがエネルギー弾を扇状に放った。

 楯無は難なく避けるがそれが失策だと悟ったらしい、目を見開いて自身の両側から迫り来る刃を受けた

 

 一撃(正しくは一人一撃なので二太刀か)を受けただけでミステリアス・レイディはシールドエネルギーを全損させるだけでなく、デッドゾーンまで突入させた。そのままなすすべなく落ちていく楯無を空中でキャッチすると櫻はそのまま飛び上がり、スタンドの前を手を振りながらゆっくりと回り始める。

 

 

「さすがねぇ。でもどうしてAICと同じ、と悟ってISを解除したのかしら? 慣性をなくすんだからIS以外にも効果はあるはずよ?」

 

 空中で楯無は櫻に聞いた。当然の疑問だ、という顔で櫻は答える

 

 

「その通りなんですけど、AICもPICも基本は同じ、慣性をコントロールすることにあるんです。だからISを解除するときに自身に働く慣性をPICを使って弄ってやれば一瞬ですけど慣性から生身で逃れることができます。でもISが完全に量子化されたらPICもなにもないのでフリーフォール、というわけです。レーゲン型に搭載されるAICは線や点で対象を捉えるので、その線から外れさえすれば後は元通り、ってわけです」

 

「でも、私のがそうとは限らないじゃない」

 

「だから賭けだったんですよねぇ。それも、AICは線って言いましたけど、縦に捉えられると逃げられないっていう弱点もあります。まぁ、そうすると両手が動くので普通はやりませんけど」

 

「なるほどねぇ。改めて開発者様の考えることは私達の上を行っているってことがわかったわ」

 

「そんな言い方するとここから突き落としますよ?」

 

「それだけはかんべんして欲しいかな……」

 

『櫻、早く戻ってこい。放送委員がキレそうだ。それと姉さんも』

 

「ヤバっ」

 

「戻ってこいって催促?」

 

「ええ。まだ何かあるなら生徒会室でいいですよね」

 

「もう何もないわ。負けは負け。今日だけで2回も落とされちゃうなんてなぁ」

 

「生徒のレベル向上は喜ぶべきことですよ、生徒会長殿」

 

「そうなんだけどねぇ……」

 

 シャルロットも櫻と深いつながりを持つ一人だ。つくづくこの娘は周囲を変えていくなぁ、と思いつつもため息一つでごまかし、櫻とともに歓声に迎えられたアリーナに降り立った


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