Who reached Infinite-Stratos ? 作:卯月ゆう
アレは束さんのせいだから、束さんが手を出さない限り何も起こらないし起こさせない。
それにスコールとオータムも揺りかごで寝てるから何も出来ないね
ということは、戦闘描写が無茶苦茶多いってことだ。
専用機持ちは原作に登場した1年生と、2年から楯無、フォルテ、3年からダリルに出てもらいます。
ちょうど偶数キリもいい! はず
昨日は"お仕事"で帰ってきたのは日付が変わる手前だったというのに目の前で全校生徒に堂々とした態度で演説をする楯無には疲労の様子は見えない。
その反対に、生徒会メンバーの中に加わる白髪は隣のダボダボ制服の娘とともに船を漕いでいた。
「本音、櫻さん。教頭先生が……」
「っ!」
「ふぇぇ~」
反射的にビクッ、と直立する櫻と、そのままふにゃふにゃと体を揺らす本音。あぁ、また教頭先生の眼光が……
「今日は学年、学校、世界を代表する様々な代表候補生達がその国の威信をかけた専用機で争ってくれます。しっかりと技術を見て盗み、みなさんの糧にしてください」
まるでお手本のような言葉で〆られた開会演説だったが、その後の言葉に櫻は色んな意味で驚かされた
「と、堅苦しいのはここらへんにして。皆さんお待ちかねの『優勝ペア予想! 応援・食券争奪戦!』のオッズを発表します!」
背後にある大型スクリーンにペア名と倍率、得票率が表示された。
あぁ、織斑先生が頭を抑えてる……
No.1 T.Sarashiki & H.Shinonono ×1.5 33%
No.2 D.Casey & F.Sapphire ×1.9 25%
No.3 C.Walcott & L.Bodewig ×3.0 16%
No.4 R.Fang & C.Alcott ×3.0 16%
No.5 I.Orimura & K.Sarashiki ×5.0 10%
「1番人気は私、更識楯無、篠ノ之箒ペア。1.5倍で33%の票みたいね。次いでアメリカの候補生、ダリル・ケイシーとフォルテ・サファイアのイージスコンビ。安牌よね。3番、4番は同率で1年コンビが付いたみたいね。そして最後の5番人気は……織斑一夏と更識簪ペア。あれれ? 一夏君にみんな期待してないのかしら、意外だわ。ってわけで、オッズはこの通り! 優勝ペアを当てるのは誰かしら? 続いてトーナメント表の発表ね! ここからは生徒会会計、布仏虚に譲るわ」
そう言って段から下りる楯無の顔が少し残念に見えたのは気のせいでは無いだろう。
「では、トーナメント表の発表をさせていただきます」
するとオッズが表示されていたところがトーナメント表に変わる。
奇数ペアの参加なので……ってあれ、この前櫻とマドカは強制参加させられたはず……
「第1回戦、第1試合、更識楯無、篠ノ之箒ペア対、織斑一夏、更識簪ペア。第1アリーナにて行います。第2試合、シャルロット・ウォルコット、ラウラ・ボーデヴィッヒペア対、凰鈴音、セシリア・オルコットペア、第4アリーナにて行います。そして、勝者が2回戦へと進み、そこで勝ったペアに決勝戦、ダリル・ケイシー、フォルテ・サファイアペアと戦ってもらい。優勝を決めま……」
そこで、いきなり、ドドン! と和太鼓を叩く音がなる。
パァン! と何かを叩きつけるSEとともに優勝トロフィーの上に「BOSS ATTACK!」とデカデカと貼り付けられる
「おっと、ここでトーナメント表の修正です。決勝戦での勝者はキルシュ・テルミドール、織斑マドカペアと戦ってもらいます。そこで勝ったペアが最終的な優勝となります。お詫びして、訂正いたします。なお、これに伴う食券争奪戦のペア修正はありません。テルミドール、織斑ペアが優勝した場合、1.1倍とし、決勝戦進出ペアにビットした方に返還します。以上、トーナメント表の発表でした」
突然の発表、と言うより仕組まれていた発表、といったほうがいいだろう。それに生徒がざわめくも、また壇上に上がった楯無に「まぁ、1年生だしそこまで勝ち進んだペアが負けることなんて、ねぇ?」と意味深な事を言うとひとまずの収束を得た
「では、今日一日張り切って行きましょう! トーナメントの裏ではラスボスの2人のIS操縦講座もやるわよ! そっちは先着20名まで、第6アリーナに急ぎなさい!」
これまた聞いてないことをさらっと口にする楯無。1年の列を見やればマドカが肩を落としているのが目に見えてわかった
「以上で開会式を終わります。第1回戦参加ペアは指定されたアリーナに向かってください」
と事務的な事を一夏が言って開会式の終了を宣言すると、生徒会役員共はそのまま裏に戻った。
「楯無先輩! どういうことですか? IS講座なんて聞いてませんよ!」
「当たり前じゃない、言ってないもの。それに、あなた達暇でしょ?」
「暇って! そういう問題じゃないですよ! ラスボスが敵に手札晒してどうするんですか!」
「まぁ、その差を埋めるのもあるわ。そんな第4世代が2機、それも片方は神経とリンクしてるなんてチートもいいところじゃない」
「お嬢様。櫻さんも昨日は遅かったようですし……」
虚がフォローしてくれるも虚しく。決定事項のように、「じゃ、よろしく~」と逃げるようにその場を去ってしまった。
「まぁ、櫻もがんばれよ。俺らもお前らと戦えるのを目指していくからさ」
「でも、一夏くんは初っ端から楯無先輩とでしょ? 勝てる見込みはあるの?」
「正直無いな。まぁ、なるようになるだろ。お互い本気でぶつかり合えばそれでいいさ」
「なんというか、一夏らしいねぇ……」
「おりむーは真っ直ぐすぎるんだよ~。まぁ~それがいいところでもあり、悪いところでもあるんだけどね~」
「そうだよ。たまには正攻法以外で攻めないと。少し、気を抜くと新しい視点でものが見えるかもよ?」
「と言われてもなぁ」
「ま、一夏くんには難しいかもね。じゃ、第1回戦頑張って。本音は私と一緒に」
「おう! じゃ、決勝後に会えるのを期待してるぜ!」
「できるかな~?」
軽口を叩き合ってから別れると、アリーナの出口でマドカが待っていた
「どういうことだよ、アレ」
「ま、楯無先輩だしねぇ……」
「まどまどは人に物を教えるの嫌なの?」
「そういう訳じゃないんだけど、ねぇ……?」
「こっち見ないでよ。自分でどうにかしなさい。それか千冬さんに言って矯正プログラムでも受けたら?」
「頑張るよ……」
「さくさくも相変わらずドSだね~」
ポラリスの構成員3人が高くそびえるタワーに向かって歩くなか、第6アリーナではすでに大行列ができていたとか。それも、主に1年生が過半数で、先日の楯無との一見を見聞きした上級生がちらほら見える程度に。専用機を持たない代表候補生の姿も見えたが気にしてはいけないだろう。
大波乱の予感しかしない専用機持ちタッグトーナメントは、まだ始まってすらいない