Who reached Infinite-Stratos ? 作:卯月ゆう
「爆弾解除ゲーム、ですか?」
「そこの美術室でやってるからぜひ来てよ!」
「面白そうだね、クロエ、行こうか?」
「ええ」
一夏や専用機持ちたちが楯無に拐われて客足も落ち着いたところで櫻には休憩時間があてがわれた。
そこでクロエと校内をぶらぶらとしているわけだ。ただ、一応腕には「生徒会」の腕章を付けて仕事の体にしている。
そして校内でもある程度名の通る櫻故に「ちょっと寄って行かない?」の類が多いのだ
「これ結構本格的ですね。最後はわざと2本だけ残るように配線してますか?」
「お、見ただけでそこまでわかるとはさすがだねぇ。最初は本物っぽく見せてるけど、最後は運だね。映画でよくあるアレだよ、アレ」
「ゲーム感を残しつつ雰囲気出すには最高ですからね。『赤と青、どっちを選んだらいいのっ!?』『君との赤い糸は切りたくない、だから、青を選ぶよ』的なアレですよね!」
「そそ。櫻ちゃんは留学生なのに日本人臭いよね。悪い意味じゃないよ?」
「まぁ、小学校低学年までは日本にいましたからねぇ。家に帰ると『この紋所が目に入らぬかぁ!』ってやってましたよ」
「あぁ、懐かしいね。って言ってる間にラウラちゃんはラスト2本だね?」
「失礼ですがラウラではありません。姉のクロエです」
「あっ、すみません。背格好が似ていたもので……」
美術部員と櫻のおしゃべりの間にクロエはラストステージ。実力ではなく運が試される場面にたどり着いていた。タイマーはまだ余裕の1分。
周囲の目はクロエに注がれる。
「さぁ、クロエさん。どちらを選びますか?」
「どちらも選びません、両方です」
2本をまとめてニッパーで切った。
ピッ、ピッ、ピッ……
タイマーが止まり、爆発SEも出ない。カウントを示していた小さなモニターには「Congratulations!」の文字。続けてチャチなファンファーレが鳴り響いた
「おめでとうございます! 初めての成功者ですよ! 成功した方にはこちらの1/5打鉄スケールフィギュアをプレゼントしま~す!」
櫻さんには参加賞のうみゃー棒を、と言われてスナック菓子を手渡された。
クロエはガラスケースに入った打鉄をじっと見つめて少し、笑った
「いい出来です。これは売れますよ」
「でしょ? ウチの部の整備科の子が本気出してくれたんだよ。でも全部手作りだからラファールあと合わせて6個しか用意してないんだよね」
「それでもスゴイですよ。この出来は。うちの会社のデザイン科に欲しいくらいです」
「マジでっ? 今度本人に就職決まった。って伝えとくよ」
「採用試験でお待ちしていますね」
「ですよねー……」
「これはどうやって持って帰りましょう……」
「私が後で送るよ。ひとまず寮に置いてくるから」
「私は生徒会の出し物を見ていますね」
「あいよ~」
「櫻ちゃんもクロエさんもありがとね!」
美術室を後にしたクロエがアリーナに入った頃には、にはすでにアリーナは人であふれていた。
それもそのはず、生徒会主催の観客参加型演劇『灰かぶり姫』の人気は(景品によって)測りしれず、開場1時間前から多くの生徒が行列をなす有り様だったという。
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寮で国際宅配便の手続きを済ませ、アリーナに向かう途中でヘッドセットから楯無の声が入った
『櫻ちゃん、入場者の中に名簿にない人間が紛れ込んでるわ。オレンジ色の髪のスーツの女性だそうよ。注意してね』
「了解です、いまアリーナに向かってます」
櫻がアリーナに裏から入り数分。開演のブザーが鳴った
「昔々、あるところに――」
定番の出だしから始まるアナウンス。そしてアリーナのスクリーンには地面に這いつくばり、床をふく少女のシルエットが映し出される。だが、暗転。その次に映しだされた少女の両手には機関銃と思しき影。背後には死体の山
「否、それは名前ですらない。幾多の武闘会をくぐり抜け――」
――おいおいマジかよ、と思いつつも影からステージの真ん中に立つ一夏を見守る
「今宵も血に飢えた少女たちの宴が始まる。王子の冠に隠された軍事機密を狙って……」
パッ、とスポットライトで一夏が照らされた次の瞬間には「もらったぁぁぁ!!」と威勢のいい声とともに鈴が飛びかかった。
カンカン、ガン! ガツッ! と金属同士がぶつかったり何かをぶっ壊したりする音を響かせながらステージを舞う2人。だが、バシッと何かが弾ける音で一夏は飛びのいた。恐らくはセシリアの狙撃だろう。彼も災難だ
シャルロットに守られたり、ラウラと箒が刃物で戦ったりとしている間に一般参加タイムだ。100人はくだらないであろう数が一夏めがけて襲いかかる
『仕掛けてくるならこのタイミングよ、警戒して』
「了解」
近くに居るだろうクロエにも周辺警戒とISの展開許可を与える。シャルロットとラウラはお預けだ
『白式の展開を確認、更衣室よ。私が先行する、櫻ちゃんは近接戦闘向けパッケージでついてきて』
「了解。先輩だけで片付けちゃってくださいよ。更衣室に4機は狭すぎる」
『退路を塞ぐだけでいいわ。お友達も居るんでしょ?』
「ええ。では、ご無事で」
『私は学園最強よ? 見くびらないでほしいわね』
「はいはい。クロエ、聞いてたね。黒鍵を展開。私とに空中の警戒を」
「わかりました。空中を警戒します」
学園祭の影で亡き者が表舞台に姿を表した
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インド洋と南極海の間の海域に浮かぶメガフロート、そこに設置された『
一つ解ることは打ち上げられる物体には、本を読むうさぎのロゴがあしらわれていること。その物体の行く先もわからなければ中身もわからない。
そして、計画の進捗状況を聞いてほくそ笑むのはそう多い人数では無かった。