魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜!

では、よろしくお願いします。


第9話《隠し事》

〜なのはサイド〜

 

早朝、今日私はフォワードの皆にいつもより早い集合時間をお願いした、それは皆の体力を測ろうと思ったからで。まぁ〜早いっと言ってもいつもより1時間ぐらいなんだけど。

 

「なのはさ〜ん!」

 

「お、来たね?皆おはよう!」

 

いつも通りスバルの元気な私を呼ぶ声で全員の到着を知らせてくれる。

 

「「「「はい、おはようございます!」」」」

 

うん、元気のいい返事で皆調子は良さそうだね。さて、早速始めようと思うのだけど、今日の集合場所は訓練所じゃなくて六課の周りだから皆まだ何をするのか気づいてる人はいないか。

 

「それじゃ今日は皆の基礎体力を見させてもらうから取り敢えず……六課の周りを各自走れるだけ走ってくれるかな?ギブアップなら申告すること。それと無茶はあまりしないこと。分かったかな?」

 

「「「「はい!」」」」

 

うん、いい返事だ。

 

皆の元気な返事が聞けた所で私は測定を始めようと思ったんだけど……

 

「あれ……何?」

 

走り始めのコース上を空き缶がざっと見ただけでも100本以上一直線に横切っていた。その缶は台の上に載せられ同じ高さに置かれているこんな沢山の空き缶をどっから持って来たのだろうか?誰かのイタズラかと思ったけど、ここで体力測定する事を知ってるのははやてちゃんだけの筈だし……誰かが捨てたにしても……この捨て方はおかしい。私は少しため息をつき、体力測定を始める前に皆で片付けかなぁ〜と思った時だった。皆に手伝いをお願いしようと視線を後ろに向けようとした、でもその途中で私は視線を止める。何故なら缶の並びが終わっている六課の建物の反対側に鈴木君がいたからである。私はこんな早朝に何をしているんだと思った。しかも、言ってないとはいえまたこんな下らないおふざけで私の予定が狂わされたと思うと腹が立つ。

 

「皆……少し待っててくれるかな?」

 

私はそう言い鈴木君にこれを片付けるように言おうとした。

 

「鈴木君、私達これからここで訓練始めるからこのふざけた缶の列片付け「ペン技……」え……」

 

私が話している途中で聞こえなかったのか私がいることにも気づかずに彼は動き出す。左手と左足を前にだし、右手を肩の位置まで上げ後ろに下げる。そして、その右手には何故かボールペンが握られていた。今の鈴木君の格好は何かの構えに見える、まるで左手で狙いを定めこれから右手で何かを放つような……そんな構えに。私はそれを見て思わず見惚れてしまった。普段とのギャップ、それがより鈴木君をカッコ良く見せている。

 

「《貫》!!!」

 

鈴木君がそう言った瞬間、六課の建物がある方で大きな音がした。鈴木君はいつの間にか打ち終えた形になっていて、私が音のした方へ目を向けると一番後ろの空き缶が粉々になっていた。ボールペンは六課の壁に突き刺さったまま止まっている。それを見たフォワードの皆は口を開けたまま固まっていて、私だってそうだ。私は最初ふざけた行為だと思っていた、でもそれは間違っていた。これは立派な訓練だ。それもこんな特殊な技の……普通に考えたらあり得ない、ボールペンを投げて缶を粉々にしたばかりかそれを壁に突き刺すなんて。どうやってるのか分からないけど仮に魔力を込めたとして、ボールペンの強度を高めたんだとしても壁に突き刺すなんて事できるわけない。その前にボールペンが粉々になる。

 

「およ?高町っち?どったのこんな所で?おはよん?」

 

彼は今頃私に気づきそんな事を言う。いつもなら怒って終わりだが流石に見過ごす訳にはいかなかった。

 

「鈴木君?今のは何?何をしたの?」

 

「ん?ただ空き缶並べて的当てしてただけだよん?」

 

私は大声で怒鳴る気持ちを何とか抑えて正気を保つ。皆の手前そんな事出来ない、許されるならふざけるなと言いたい。ただ的当てしていただけ?そんな訳ない、ただの的当てで100本以上も缶がいる訳……ん?100本……以上?ちょっと待って……どうして一番後ろの缶を狙うのに間に缶を並べる必要があるの?私は疑問に思い急いで缶の並んでる所へ走る、そこで私が見たのは想像を超えた物だった。

 

「嘘……でしょ……な、何でこんな事が…………」

 

私は驚愕で上手く言葉が出なかった、何故ならそこで見たのは並べられてる空き缶全てに穴が空いていたからだ。ただ貫通して缶がその辺に散乱しているならまだ分からなくもない。しかし、缶は1mmたりとも動いていない。どうやったらこんな事が可能なのか……謎だった事が更に深まる。

 

「鈴木君これは一体!?……あ、あれ?鈴木君は?」

 

「なのはさん、鈴木三等陸士ならもうどっか行っちゃいましたよ?」

 

そうスバルに言われ私は地面にうなだれる。

 

「これ……結局私達が片付けるの?くっ……せめて片付けてからいなくなれぇぇぇぇぇぇえええ!!あのちゃらんぽらんめぇぇぇぇええええええ!!!」

 

私はせっかく我慢した怒りを解き大声で叫んだ。

 

 

 

 

〜リインサイド〜

 

今は昼休み、私は鈴木三等陸士の机をあさっている、決して泥棒をする為じゃない。鈴木三等陸士がスパイであると言う証拠を掴むためです。

 

「にしても机の上は書類以外何もないですねぇ〜。あ!この引き出しは何か入ってるかもです!」

 

私は机のすぐ下にある広い引き出しを開けた、でもそこには見てはいけない物が入っていました。それがあまりに衝撃的だったので私は思わず引き出しを閉めてしまったです。鈴木三等陸士は何かのマニアなのでしょうか……それとも変人なのでしょうか……

 

「な、何でこんなにボールペンが入ってるですか…………」

 

私が開けた引き出しには端から端までびっしりと隙間のないくらい綺麗に並んだボールペンが入っていました。しかも……全部別の種類のボールペンです。

 

「ま、まさか……とは思いますが……」

 

こうなると右側の三段式の引き出しが気にならないわけありません。私は震える手を一生懸命動かし、まず一段目を開けました。

 

「はぁ……よかったです……ここは普通の引き出しですねぇ〜……ん?なんかここの引き出し……見た目より浅い気がしますです……」

 

一段目の引き出しが見た目より中が浅い気がした私はもう少し探ってみました。

 

「あ!ここが外れます」

 

私はまるで引き出しの中を隠すように覆い被しているダミーの引き出しを外しそこにある中身を確認した。

 

「な、何ですかこれは!?」

 

そこにあったのは立派なケースに入れられている1本のボールペンだったです。なんなんですか鈴木三等陸士は……ボールペンをこんな隠し方して……裏のエージェント気取りですか!!!それも何か銃とか入ってる雰囲気をかもし出してるケースがまたなんかムカつきます!?

 

「くっ……何か凄く小馬鹿にされている気がするです……。なら、次です。」

 

私は更にニ段目の引き出しを開け中身を確認した、しかし今度は何もありませんでした。

 

「でも……何も入って無いのに重過ぎませんか……この引き出し……」

 

気になったのでさっきみたいに調べるが今度は何も出てこない。隅々まで調べてやると思い、私はその引き出しを外した。

 

「な、ななな何がしたいんですか!!!」

 

私は叫びます、誰もいないのをいい事に。それも仕方ないです、だって外した引き出しの後ろにボールペンの束がガムテープで止められていたんですから。こ、こんな衝撃的な机は管理局を探し回ってもここだけに違いありません、まるでボールペンの倉庫です。そして……これが最後です……私は三段目の引き出しを開けた。

 

「…………」

 

そこには無造作に突っ込まれたボールペンが山のように入っていました。

 

「隠せよ!?何ですかこの手抜きは!?途中で面倒臭くなったですか!!次はどんな隠し方をしてるか期待したんですよ!!!はぁ……はぁ……は!?私は何を言ってるですか……これじゃいいようにのせられてるです……本人いないのに……」

 

その後、結局何も見つけられなかった私は渋々事務所をでた。

 

 

 

 

〜キャロサイド〜

 

私は今日の訓練が終わった後自分の部屋に向かっていた、でもそこで休憩所のベンチに座っている陸飛さんを見つけました。幸い私に背を向けて座っているので私には気づいてません。なので私はつい出来心でゆっくり陸飛さんに近づき後ろから両手で陸飛さんの両目を塞いだ。

 

「!?」

 

「だぁ〜れだ♪」

 

突然仕掛けた私のイタズラに一瞬陸飛さんも驚いていました。

 

「さぁ〜誰だろうな?ヒントは無いのか?」

 

いかにもワザとらしい言い方をする陸飛さんだったけど、私の遊びに付き合ってくれて嬉しかった。

 

「ダメです♪自分で考えてください?それとも分からないんですか?」

 

気づかれてるとは思うけど敢えて意地悪をする。

 

「フフ、そんなわけないだろ?訓練お疲れ様キャロ。」

 

「はい♪陸飛さんもお仕事お疲れ様です!」

 

それにしても陸飛さん今日も……夜中仕事するのかな?私の考えてる通りなら陸飛さん……毎日のように遅くまで仕事してる、全然休んでないし家に帰ってない。身体は大丈夫なのかな?

 

「さて、俺はこれからもうひと頑張りするから。」

 

「はい……でもあまり無理したら……え……陸飛さん!?」

 

私があまり無理をしないように言いかけた直後だった、急に陸飛さんが私の方に倒れて来た。突然の事だったので慌てて支えるが支え切れずそのまま陸飛さんに押し倒される形で倒れてしまった。

 

「ううっ……あ!陸飛さん、大丈夫ですか!?」

 

「あ、ああ……大丈夫、大丈夫。ごめんなキャロ、ちょっとフラついただけだから。」

 

そう言い自分の身体を起こして立ち上がる陸飛さん、でも私はこの時不安に感じた。陸飛さんは何でも無いように振舞ってるが私にはやせ我慢をしているようにしか見えないからだ。顔色も何だか悪いし、少し歩き方も何だかぎこちない。

 

「陸飛さん、今日はもう休んでください!お願いします!そんな状態で仕事なんて!?」

 

「大丈夫だって、少し休めば何でもないからさ。ほら、もう部屋に戻りな。」

 

陸飛さんはその状態でどうしても仕事をするつもりらしい。私が何を言っても聞いてはくれない。私は凄く心配だったが陸飛さんが大丈夫と言うので部屋に戻った。

 

 

 

 

〜フェイトサイド〜

 

仕事の帰り私はキャロと話す鈴木君を見つけた。話しかけようと思ったが私は思わず通路の曲がり角に隠れた。何故なら鈴木君がいきなりキャロを押し倒したからだ。

 

「た、ただの友達だって言ってたよね……それに声は聞こえないけど、キャロが必死なような……。」

 

まさか、強引に迫ってる!?キャ、キャロが危ない、キャロが危ない。いや……待って……一度これで失敗してるから、最初から疑ってかかるのはやめよう。落ち着いて、まず確かめなきゃいけないのはあのロリコンが正気なのかどうかって事……って全然学習してないじゃん私!?

 

《サー、少し落ち着いてください。あれは転んだだけですきっと。》

 

え?転んだだけ?私が頭を悩ませているとバルディッシュが私を落ち着かせようとしてくれた。

 

「そっか、そうだね。そうだよねぇ〜そうだそうだ。」

 

《サー、大丈夫ですか?》

 

う、うん大丈夫、私は至って冷静だよ?そうそう、落ち着いて。落ち着いてあのロリコンをあの世に「フェイトちゃん何してるの?」

 

「へ!?な、なのは!?い、いや何でもない!何でもないから「な、何!?どこ連れて行くの!?」わ、私達の部屋に戻ろ?なのはももう戻るでしょう?」

 

「え?う、うん……」

 

こうして私はなのはのおかげで間違いを犯さずに済んだ。

 

 

 

 

〜はやてサイド〜

 

「なぁ〜自分……何か言う事無いんか?」

 

私は今鈴木君のいる事務所に来ている。理由はこの馬鹿が六課の壁に穴を開けたってなのはちゃんから聞いたからや。なのにこいつは謝りもしない。

 

「およ?はやてっちに言う事?う〜ん、太った「オラぁぁぁぁ!!!」ごふっ!?」

 

私は思いっきり鈴木君を蹴り飛ばす。女の子に向かって何言うとんねん。

 

「己にはデリカシーと言う物は無いんか?大体私の何処が太った言うんや?言うてみん?怒らないから。」

 

「え?全「黙れやぁぁぁぁ!!!」ヘブシっ!?」

 

くっ……最近食べ過ぎたやろうか……は!?ちゃう、ちゃう、私は壁の件で来たんや。

 

「鈴木君?六課の壁に穴開けたの自分やろ?それに対して言うこと無いんか?」

 

「あやや……ごめんちゃい……」

 

せめてちゃんと謝れんのか己は……はぁ……もうええ。

 

「今度同じ事してみ?六課内引き回しにした上、縛り首にしてやるで?」

 

「およよ…………」

 

私がそう言うと鈴木君は肩を小さくして怖がってるように見せる。鈴木君、自分が何を隠しているか知らんけどな?私は鈴木君を移動させたりせぇ〜へんで?私の目は節穴じゃあらへんよ?鈴木君は……何か目的があってこの部隊に配属されたんや、恐らく……リンディさんの差し金で。だからそのふざけたキャラいつかぶっ壊してやるで、覚悟し?

 

 




次回もよろしくお願いします。

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