魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」 作:ヘルカイザー
サイドアウトは萎えるとの意見が出ていましたのでこのようにしました。
まぁ〜間開けて抜いただけなんですが。
ではよろしくお願いします。
六課事務所にて
深夜皆が寝静まった後の事。まだ六課の事務所は明かりがついていた、勿論仕事をしているのは陸飛である。陸飛はコーヒーを飲みながら書類を片付けていた。
管理局では数多くの世界を管理しているが、数があまりにも多い為に各部隊で行われる書類業務は人手が足りなくなると残り、溜まる一方になってしまう。それはこの六課でも同じ事で人手が足りない為に毎日書類が溜まる。しかし、今六課は無理をする程書類仕事が溜まっている訳ではない。それは当たり前の事で、その溜まっている筈の書類は全て溜まった日のうちに陸飛が片付けているからだ。そうすれば次の日に入ってくる書類以外は無いことになり事務局員や他の局員は無理なく仕事のやりくりが出来る。しかし、それでは何故書類が終わっているのかと言う疑問が書類業務をやっている局員から浮かぶものだ。でもそれはない。何故なら管理局の事務局員が扱う書類業務は担当が決められていない書類が存在する。その書類こそ溜まる書類であるのだが。それは各世界からの要望やクレーム等の個人で担当をつけて扱うには優先度の低い書類だ。しかし、だからと言ってやらないわけには行かない。よって管理局ではこのような書類を手の空いた人間がやるシステムになっているのだ。だが、その書類の量が尋常な量ではない。各々が片手間にやって終わる量を遥かに超えている、しかも管理局は人手不足、これで書類が溜まらない訳は無いのだ。
つまり陸飛がやっている仕事がバレない理由はその日に書類を片付けても次の日に新たに大量の書類が入って来る為減っている事に他の局員が気づかないからだ。しかも、終わった書類は全て一つの場所に纏められる為誰が書類を片付けたか知る術はない。では誰がそれをチェックするのか、それはそれをチェックする専門の部隊がありそこでチェックされ間違えがあれば直される。そしてその部隊はリンディなどの上層部が管理している部隊でそこから何処の部隊が書類の出が悪いかリンディ達に知らせられる。その部隊は通称チェッカーズと呼ばれている。
「もう2:00か……もう少ししたら小休しようかな。」
陸飛がそう決めた時デスクにコトッ!っとお皿が置かれた。そこにはおにぎりが二つ置かれている。陸飛は少し驚いたがそれを運んで来た人物を見て思わず手を頭に添える。
「キャロこんな時間に何してるんだ?明日も朝から訓練だろ?」
「頑張ってる陸飛さんに差し入れに来たんですよ。大丈夫です、すぐ寝ますから。」
キャロはそう言い陸飛の隣に座る、その行動に陸飛は目を丸くしていたがキャロは終始笑顔だ。
「キ、キャロ?すぐ寝るんじゃないのか?」
そう言われたキャロは目を閉じ陸飛の肩に頭を預けるようにしてもたれかかる。
「寝ますよ。でもその前に少しお話ししませんか?」
陸飛は、はぁ〜とため息を着くとペンを置きキャロの頭を撫でる撫でられてるキャロはとても気分が良さそうだ。
「少しだけだぞ?」
「はい♪」
二人はこの後少しの間話していたが気がつくとキャロは陸飛の肩に頭を預けたまま眠ってしまった。
「まったく……だから早く寝ろと言ったのに……フフ。差し入れありがとうなキャロ、美味しかったよご馳走様。」
陸飛はそう言うとキャロを抱えキャロを部屋に運ぶ為に事務所を出た。
〜なのはサイド〜
「ティアナ達の訓練メニューを考えてたら遅くなっちゃった……ん?あれって…………」
私はこの時自室に戻ろうと通路を歩いていた。でもそこでどう言う訳か鈴木君がキャロを抱えてこちら側に歩いていて来ていた。もう2:30だ、こんな時間に何故キャロが部屋から出ているのだろう?それ以前に鈴木君が何故まだ六課に残っているのだろうか……鈴木君は六課常駐じゃないのに。
「鈴木三等陸士、こんな時間に何をしているのですか?それにどうしてキャロを抱えて……」
「…………」
私がそう言うと鈴木君はこちらに気づいたが鈴木君は何も言わないでこちらを見ている。でもこの時私は少し不思議に感じた、鈴木君の雰囲気がいつもと違う。いつもの適当な感じの顔つきじゃない。
「申し訳ありません、少しキャロに手伝いをお願いしていたのですが時間が、遅くなってしまいました。それでこの通り、途中で寝てしまったので部屋に運ぼうと。」
私は今誰と話しているのだろう……目に前にいるのは本当に鈴木君なんだろうか?いつもの鈴木君なら絶対にこんな事言わない、それどころか適当にとぼけて……まして敬語なんて使わない。
「手伝いって……こんな時間まで何をさせていたの?キャロは明日も朝から訓練なんだよ?」
「はい、それは承知しています。しかしながら資料庫の片付けが想像以上にかかってしまったもので、申し訳ありません。」
そんな事こんな時間まで残ってやらなきゃいけないことなの?それにキャロまで巻き込んで……それでキャロが体調を崩したらどうする気なの?しかも今日はそんな誰かが残ってやるなんてはやてちゃんから聞いて無いんだけど。突然敬語を使った事には驚いたけど、ならなんで出来るのにいつもはやらないの?どうして鈴木君は私をここまで不愉快にさせるの?
「鈴木三等陸士、キャロは私が運びます。それとこれから貴方は訓練所を走って来なさい!」
「……高町隊長、俺の聞き間違えならすいません。今からですか?」
鈴木君は驚いた様子はなかったが内心冗談か何かだと思っているのだろう。
「当たり前です!!こんな時間まで無断で六課に残っているばかりか、オフタイムのキャロまでこんな時間まで付き合わせて、何を考えているの!!!私が貴方の処遇を決める立場なら迷わずクビにしてるよ、だけどそんな事出来ないから……分かりましたか?これから出勤時間まで走りなさい!!それでこれに懲りたらもう二度とこんな事しないで!!!貴方の態度と行動は凄く周りに迷惑をかけてるの、少し自覚してください!!!」
私は感情的になり怒鳴り散らした、本来こんな事はしてはいけないと私も思う。でも私はこうでもして懲りてくれないと、これからも直してくれないと思ったから。だからあえて無理な事を言っている、でも彼はどうせやらないだろう。いや、こんな馬鹿な処罰誰がやるのだろう……誰かが見ているわけじゃないんだからやるわけない。ただ明日やりましたって言えばそれで済んでしまうんだから。
「わかりました。」
鈴木君はそう言って私にキャロを預けると訓練所の方へ歩いて行った。この時私は鈴木君はどうせこんな事やる訳無いから言うだけ厳しい罰を与えようと思った、でも翌朝私が訓練所に行くとそこには彼がいたのだ。しかもまだ走り続けている。私は一気に眠気が覚め身体から冷や汗が出た。
「何で……本当にやってるの…………」
私は持っていた資料を落としその場で固まった。こんな事絶対にやるわけないって思ったのに。こんな事したらそれこそ体調を崩すだけなのに……馬鹿だよ。ううん。馬鹿なのは私だ、鈴木君はやるわけないって勝手に決めつけてちゃんと考えなかった私だ。私は急いでバリアジャケットを展開し飛んで走ってる彼の真上に張り付く。
「鈴木君、貴方が反省してるのは伝わったからそこでやめて!」
でも彼は止まらない、そのまま走り続ける。
「え……なんでやめないの!?鈴木君それ以上はもういいからやめて!こんな馬鹿な事やらなくていいから!」
何を言っても彼は止まらない、しかし私に気づいていないわけじゃない。明らかに私には気づいている。何を言っても聞いてくれない鈴木君を私は無理矢理止める事にした。彼にバインドをかけ、動きを止める。流石にその状態だと走り続けるのは無理なようで彼はその場で立ち止まった。
「はぁ、はぁ、はぁ……どうして……はぁ……止めたんですか?まだ、出勤時間までは少しある筈です。」
「うん……その……そうなんだけど……ごめんなさい!これは流石に馬鹿な処罰だった。本当にやるとは思って無かったの。どうせやらないだろうなぁ〜って……軽率だったよ…………」
私が頭を下げた時、バキッと言う音が聞こえ私が頭を上げると彼がバインドを砕いていた。それも魔法で砕いたとかじゃない……完全に腕力で砕いている。信じられなかった、魔力を使わないで力のみでバインドを砕くなんて…………
「頭を下げないでください!」
私は突然彼にそう言われた、その言葉の意味を私はすぐ理解できなかった。
「処罰とは、その人が犯した問題に対して反省させる為の物ですが、それとは別に周りの者に対しての示しをつける為の物です。隊長である貴方が自分が与えた処罰を撤回するなどあってはならない事だ!例えそれが間違っていたとしても……では。」
そう言って彼はまた走り始める。それ以上私は何も言えなかった。間違っていた事を謝る事は私は間違えじゃないと思う。でもそれが普通の会社ならまだしも戦闘が起こる部隊の上官なら話は別。ましてや私は分隊の隊長だ。処罰を後から撤回などしていれば周りからはよく思われない。勿論この顔見知りばかりの部隊である六課ではないだろうが、それで上官が舐められてしまっては現場での指揮に関わる。鈴木君の言ってる事は間違っていない。でも……納得も……したくない。
私は今鈴木君に対しての印象がメチャメチャになっていた。今迄の最悪なイメージとこの正反対の性格。それはどんなに照らし合わせても噛み合うことはない。完全に別の人間。一体どっちが本当の彼なのか。どんなに考えてもわからない気持ちを抱えながら私は鈴木君が走り終わるまでその場を動かなかった。
◇
〜はやてサイド〜
昼前、私は事務所に顔を出した、鈴木君の様子を見る為や。しかし、案の定鈴木君は寝とった。私は鈴木君の後ろに周り後頭部にチョップを繰り出す!ガンッと音がし鈴木君は頭を机に打ち付けた。
「い……たい。」
目が覚めた彼は後頭部をさすりこっちを向く、しかしまだ眠そうだ。
「サボるな、言うてるやろ?大体、昨日サボった時にやれって言った書類はどうしたんや?まだ終わってないやろ?なのに何サボってるんや?」
私がそう言うと鈴木君は机に置いてある書類を纏め私に差し出した。
私は今きっと目を丸くしている。
「何や……これ?」
「およ?何って……はやてっちがやれって言ってた書類よん?」
え……もう終わったんか?
「これれで文句ないよんね?じゃ〜おやすみぃ〜zzz」
確かに文句ないよ?うん、書類を終わらせたことには何の文句もない。
「うん、おやすみ……って何寝てんねん!!!」
私は思いっきり鈴木君を蹴り飛ばした。
「ぎゃ!?」
蹴られた鈴木君は床に転がる、
「段々サボりが堂々になって来たな自分!!!この書類が終わったからって仕事が終わった訳じゃないんよ?だから早く「おおん?お昼ご飯だぁ〜ね?」って待たんかコラぁぁぁぁ!?」
丁度よく昼の鐘が鳴り鈴木君は私から逃げるように事務所から逃げ出す。私は追いかけるが早くて追いつけへん。
「くぅぅ……タダの事務局員なのになんでこんなに早いんや!?」
けど私は諦めずに追いかける、もう見えへんけど……向かった場所は分かっているんやで?
◇
〜キャロサイド〜
「陸飛さ〜ん!」
訓練が終わりお昼ご飯を食べに来た私は食堂で陸飛さんに会った。勿論一人じゃない、エリオ君やティアナさん達と一緒だ。
「んよ?あれれ?キャロっち達もお昼?」
「はい、そうです♪陸飛さん、一緒に食べませんか?」
私がそう言うと陸飛さんは頷いてくれた。私達は食事を注文し受け取ると陸飛さんのいる机に座る。
「鈴木さんはキャロと随分仲がいいんですね?」
「はい♪陸飛さんはお友達ですので!あ……いや……その…………」
私は恥かしくなり顔が熱くなる。スバルさんがそう言ったので私がつい先に答えてしまったからだ。普段そんなにテンションが高い方じゃないから少し恥ずかしい。
「あ、あの、鈴木さんは戦闘経験とかないんですか?」
エリオ君が突然そんな事を聞いてきた、陸飛さんは事務局員だから無い筈……あれ、でも陸飛さん普通に戦えるような。
「むむ?エリっち、どってそう思うんのかなん?」
「い、いや……そんなに深い意味は無いんですけど。なんとなく…………」
陸飛さんの戦闘経験については私も少し気になった。以前助けて貰った時の戦闘は明らかに素人ができる動きじゃない。
「むっふっふ!実は……」
「「「「「実は?」」」」」
皆で思わず息を飲む。
「タダの事務局員でした!「アホかぁぁぁ!?」グボッ!?」
陸飛さんがそう言った瞬間ティアナさんが拳を叩き込む。でも私もそれを聞いていた皆もまだ固まっていた。
「何なのよ今の間は!?変な期待させんじゃないわよ!!!」
「んゆゆ〜?痛いよティっち「ティっち言うなや!?」ティっち、ティっち、ティっち、ティっち「オラぁぁぁ!!!」ゴボッ!?」
ティアナさんをおちょくって遊んでる陸飛さんは殴られていた、うん……今のは陸飛さんが悪いかな。でもやっぱり陸飛さんは陸飛さんだ。何も教えてくれない、タダの事務局員なんて嘘だもん。
「ティ、ティア!?もうその辺で!?」
スバルさんが陸飛さんに跨ってるティアナさんを引き離す。うん……怒らせ過ぎだよ陸飛さん…………。私は陸飛さんに視線を戻す、すると私は思わず後退りする光景を見てしまった。でもそれは私だけじゃない、皆も同じだ。
「楽しそうやなぁ〜鈴木君?」
「げっ!?はやてっち!?」
八神部隊長が鬼の形相で陸飛さんを見ていたからだ。見た感じかなり怒っている。陸飛さんはすぐに逃げ出そうとしたが部隊長のバインドでグルグル巻きにされてしまった。
「逃がすと思ってんのか?これからタップリと説教したるで?覚悟し!!!」
そう言われ観念した陸飛さんは部隊長に引きずられ何処かへ連行されたのだった。
次回もよろしくお願いします。