魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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どうも〜。

少し遅くなってしまいました。

ではよろしくお願いします。


第5話《新人》

六課事務室にて

 

それは昼前の時間の事だ。

 

「おい、鈴木!久しぶりだな、元気だったか?」

 

「…………」

 

今、事務室で陸飛に話かけてるのはヴィータである。はやてからやる気のない事務員が入ったと聞いて詳しく尋ねた所その事務員が陸飛だとわかり、急いで陸飛の所に向かったのだ。しかし、来て話しかけてみれば当の本人は返事もせずに黙って机に向かっている。

 

「ん?おい、どうして黙ってんだ?」

 

再度話しかけるがまるで返事がない。流石に二回話しかけて聞こえてない事はない為、ヴィータも少し難しい顔をし始めた。

 

「もしかして昔の部隊での事怒ってんのか?……それはまぁ……私もあの時は悪かったよ。あん時お前が落していったスプレーで最後に殴ったのは私が悪かったってわかったからな。その……殴って悪かった!」

 

「…………」

 

頭を下げるヴィータだが陸飛は相変わらず何も言わない。それどころか振り向きもしないのだ。

 

「ん?……まさか!?」

 

あまりにも動かない陸飛に何かを察したのか陸飛の後ろから顔が見える反対側へと移動する。

 

「…………zzz」

 

ヴィータがそこで見たのは目を瞑り、寝息を立てている陸飛であった。そしてそれを確認したヴィータはそのまま陸飛の後ろに戻ると頭を思いっきりぶっ叩いた。

 

「へぶしっ!?」

 

頭を叩かれた陸飛は右手で支えていた頭を叩かれた衝撃で机へと打ち付ける。結構な音が事務室に響いたため他の事務員も陸飛の方を見た。

 

「痛い…………」

 

「目は覚めたか、このサボリ魔!」

 

聞き覚えのある声に驚き、陸飛は振り返る。しかしそこには明らかに怒っているヴィータが腕を組んで立っていた。最初陸飛は目を丸くしていたがすぐにいつものテンションに戻る。

 

「ヴィっち痛いよ……何すんの?」

 

「だからヴィっちをやめろ!!!」

 

ヴィータの叫びは室内にいきわたり他の事務員はポカーンとしている。それも当然と言えば当然だ。六課の副隊長に対し砕けた言葉どころかあだ名のような呼び方をしているのだから。

 

「お前は何も変わってないのな」

 

ヴィータはため息をつき呆れた顔で陸飛を見ていた。しかし、そんなヴィータに対し陸飛は……

 

「え?そんな事ないよん?」

 

そんな事を言い出し、陸飛は人差し指を突き出し左右に振る。まるで甘いな!っと言ってるように陸飛はどや顔だ。ヴィータは少しイラッとしながら黙って陸飛の話に耳を傾ける。すると陸飛は胸ポケットから一つのボールペンを取り出すとそれを普通に握る。そしてそれを見せながらいい放った!

 

「ボールペンが新しくなりました!!!……ぼくしっ!?」

 

陸飛は殴られた。しかし殴ったのはヴィータではない。ヴィータは陸飛が言った事があまりにもくだらない事だった為、口を開けて固まっていた。では誰が殴ったのか、それは陸飛の様子を見に来たはやてである。

 

「期待させといて何下らない事かましてくれんのや!!」

 

殴られた陸飛は床に寝ていたがはやてが下らないと言った事でそれに反抗するように立ち上がる。

 

「はやてっち何言ってんの!!このボールペンはただのボールペンじゃない、壊れない事に重点を置き、ついに実現した最強のボールペン!!!その強度は大型艦船に搭載されているアルカンシェルすら破壊する事は出来ないって説明が!!」

 

「アホか!?そんな馬鹿な事あり得る訳ないやろ!?アレで破壊できないボールペンってなんや!一体何処で実証実験したんや、そんな実験してたらそれこそ犯罪や!?一体何処のメーカー?!!」

 

はやてはこれ以上ないくらい大きな声を出して陸飛に反論する。それを作れるという事はアルカンシェルに対して防御可能な防具や武器が作れるという事だ。管理局でもない強度の物を他の名前もしれない会社が作っているとなればそれはただ事じゃない。

 

「いやや?通販だからわかんないよん?」

 

それを聞いたはやてはもう放心状態だった。通販……そうなるとあまりにも嘘くさい話である。

 

「鈴木……それ絶対騙されてるって…………」

 

いつの間にか我に返っていたヴィータが話に加わる。しかし、ヴィータからそれを言われ、そこにいた全員がうんうんっと頷いた事で陸飛は手をプルプルと振るわせ手に持っていたボールペンを落とした。その顔は蒼白に染まっている。

 

「お、おい……どうしたんだよ。」

 

ヴィータが心配して尋ねるがそれはとんでもない理由だった。

 

「そんな……これ……20万相当なのに…………」

 

「「え…………」」

 

それを聞いたはやてとヴィータはハモった。二人して目が点になっている。たかだかボールペンに20万の値段をつける通販会社も通販会社だが、ただのボールペンに20万もかける陸飛も陸飛な訳で……そしてはやてとヴィータが固まっている中、陸飛はテンションがダダ下がりになりながら机で仕事を始めた。

 

「はぁ~世の中うまくいかない事ばかりだ…………」

 

もはや開き直りキャラがブレている。

 

「もう付き合いきれんわ……で?自分、仕事ちゃんとしてるんやろうな?」

 

はやては陸飛の仕事を見ながらそう尋ねる。

 

「およ?勿論ですぞ~。」

 

はやてはそれを疑わしい目で聞いていたが、そこにヴィータがトドメを入れる。

 

「お前さっき寝てただろ……」

 

「なんやて?」

 

寝ていたと言う情報を聞いたはやてはギロッと陸飛を睨み、陸飛は思わず目を逸らす。しかし、そんな陸飛の顔を無理矢理自分の方へ向け真っ直ぐ陸飛の目を見た。陸飛は、はやての両手によって完全に固定されている為、顔を動かす事はできない。

 

「な、なんでひょうか…………」

 

冷や汗が止まらず蛇に睨まれたカエルのようになってしまっている陸飛。

 

「はぁ~……もうええ……今回は聞かなかった事にするわ。けど次はないで?そんでなぁ〜その代り今日は新人の面倒見てな?」

 

はやては陸飛の顔から手を離すと突然そんな事を言うが、それを言われた陸飛は訳のわからない顔をしていた。

 

「鈍いな自分……今日は新人に書類業務を教えてやってくれって言ってるんよ。ちなみになのは隊長とフェイト隊長の分隊で4人なんやけどな?みっちり訓練はいいんやけど、事務作業も疎かになるんは良くないと思ってな!それに自分どうせまたサボるやろ?だったら新人に仕事教えてや。」

 

次はないと言っておきながら陸飛がこの後サボることを視野に入れてるはやては監視の意味も込めて新人に仕事を教えるよう指示を出す。

 

「ぶぅ〜、ぶぅ〜……「なんか文句あるんか?」.っ!?い、いや……ないよん…………」

 

最初は不満タラタラな陸飛だったがその不満を吹き飛ばす勢いのはやての睨みに渋々了承し、逃げるように部屋の端っこに置いてあるコーヒーセットを取りに向かった。そんな時だった、事務所のドアが開きその新人達が入ってきたのは……

 

 

 

 

〜はやてサイド〜

 

まったくこの男は……どうしようもないな?ああ言えばこう言うし、リンディさん……大丈夫なんか本当に…………。ん?私はこの時ある事に気づいた。鈴木君が席を立ったのでそこに置いてある書類を軽く見させて貰ったんやけど……鈴木君の机にある書類が全部終わっとった。私は驚いた。何故驚いたかと言えば、この書類は私が昨日鈴木君が1日にどれ位サボってるのか見る為に今日やるように言って渡した物や。勿論本人にそれは言ってへん。完全に抜き打ちのつもりやった。どうやったって1日の勤務時間では終わらない量を渡した筈や…………

なのにもう終わっとる。今何時だと思ってんのや……まだ、昼前やで?この短時間でこの量の書類捌けるんか?いや無理や……この六課の誰にやらせても不可能や…………。例え二人でやったとしても終わるかわからん。ならどうして終わってるんや?あれ?でもさっきヴィータが鈴木君は寝ていたって言ってた。サボってて終わってるってどう言うことや?ダメや、わからん。何でこんなに食い違いが起こるんや?

 

リンディさんは鈴木君は真面目だって言うし、なのはちゃん達や鈴木君を知ってる人はやる気がなくて不真面目だって言うてる……それに私自身、鈴木君が六課に来てからの態度を見て私もそう思った。でもやる気がない……サボっている、鈴木君が本当にそう言う人間ならこれは説明がつかへん。何や……何か引っかかる。私は何か思い違いをしてるんじゃ…………。そうやって考えてるがこれと言って頭の霧が晴れる事は無かった。そうこうしてる内に新人達が事務所に来たので書類の件は鈴木君がこの書類を出しに来た時にでも聞くことにし、取り敢えず鈴木君に新人を紹介する事にした。私の予定ではもっと早く顔合わせする予定だったのだが、バタバタしていたのでうっかり鈴木君と他の数名の紹介を新人達にするのを忘れていた。

 

「それじゃ鈴木君この子達が新人達や。」

 

私は鈴木君が戻って来た所で新人の紹介に入る。ただここで問題なのは鈴木君やな……少しは真っ直ぐ立てんのか己は…………

 

「まずなのは隊長のスターズ分隊から。」

 

「初めましてティアナ・ランスター二等陸士です!」

 

今元気良く敬礼したのはオレンジっぽい色の髪をした子や。真面目やし、射撃の腕も中々や。

 

「お、同じくスバル・ナカジマ二等陸士です!」

 

次に青っぽい髪の子は、この中で一番元気と体力がある。少し危なっかしい所もあるけど期待の新人や。

 

「そんでフェイト隊長のライトニング分隊や。」

 

「エリオ・モンディアル三等陸士です!」

 

この赤髪の子はまだ小さいけど子供の吸収力でグングン成長してくれると嬉しい。それにこの子ともう一人の子はフェイトちゃんが保護者やしな。それで最後が……あれ?もう一人の子がピンク髮の子なんやけど……鈴木君見たまま固まってるな。

 

「キャロ?キャロ〜どないしたぁ〜。」

 

ダメや反応がない。他の子達も話しかけてるけど反応がないな?

 

「り……」

 

「り?」

 

思わず復唱してもうた、やっと反応があったと思ったら訳がわからん、何や?りって……それにしてもキャロと鈴木君は面識が「陸飛さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」な、名前で呼ぶ仲やと!?

しかも突然抱きついたで!?これには私を含め皆驚いとる。

 

「ややや?キャロっち久しぶりん?」

 

やっぱり知り合いなんか。

 

「陸飛さん……どうして何も言わずにいなくなったんですか……私……あの日の朝いくら待っても陸飛さん来なくて……そしたら……異動になったって……うっ……ううぅぅ…………」

 

会えたことがかなり嬉しいのかキャロは今にも泣きそうや。どんな関係や?今のを聞く限り昔の部隊の知り合いみたいや……ん?そう言えば鈴木君の前の部隊自然保護隊だったような……

 

「キ、キャロ?鈴木三等陸士とはどんな関係なんや?二人は知り合い?」

 

そろそろ聞いとかんと話が進まんので二人の関係を尋ねる事にした、まぁ〜同僚の関係だとは思うんやけど。

 

「え、えっと、前の部隊の同僚で……」

 

やっぱりそうやろうな。

 

「私の初めての人です……。」

 

キャロは少し顔を赤らめてそう答えた。て言うか…………ちょっと待てぇぇぇぇぇい!?は?なんやそれ?どう言うことや?

 

「キャ、キャロっち……その言い方はマズイ…………」

 

あからさまにマズそうな顔しよってからに……まさか本当にそうなんか?もう皆固まって動いてないやんか。その時だった、その空気が突然壊れたのは。

 

「このぉぉぉぉぉぉおおおお……」

 

一人の親バカによって……

 

「ロリコンがぁぁぁぁぁああああああ!!!」

 

「へ!?テスっち!?ゴフッ!?」

 

フェイトちゃんが鈴木君のお腹に重い一撃を入れて鈴木君は床で悶えている。てかいつからいたんや……そしたらフェイトちゃんが鈴木君の胸ぐらを掴んで持ち上げた。これ……止めた方がいいんやろな?

 

「こんな小さい子に手を出すなんて何を考えてるの!?しかもよりによって私の家族にぃぃぃ!!」

 

フェイトちゃんはそのまま鈴木君の襟を掴むと引きずりながら何処かへ行こうとする。

 

「フェ、フェイト隊長何処行くんや!?」

 

私がそう尋ねるとフェイトちゃんは止まって口を開く。

 

「はやて、訓練所借りるね?」

 

そう言ってまた歩き出す。ああ〜こりゃ〜たっぷりしごかれるな。かなり怒ってるもん……フェイトちゃん。

 

「はぁ〜予定が台無しや……それよりキャロ?ほんまに鈴木君とそんな関係なんか?

 

「はい♪陸飛さんは私の初めてのお友達です!」

 

「へ?」

 

斜め上の勘違いと言う真実に私達は皆同じようにハモった。お、お友達?

 

「な、なぁ〜はやて?フェイトの奴……止めに行った方が良くないか?」

 

そ、そうやな…………こうして私達は急いでフェイトちゃんを止めに訓練所に向かうことにした。

 

 




次回もよろしくお願いします。

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