魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜

遅くなりやした。

もっとこっちに力を入れたいですが何分こっちは難しいものでして……ご勘弁を…………

ではよろしくお願いします。


最終話《過去と未来の真実と結末》

「本当……なのか? 」

 

「うん……本当の事だよ」

「俺は何をしていたんだ!? キャロを守らなかったのか!? 」

 

「お兄さんは……お兄さんは私の知る未来では記憶喪失。キャロさんの事はおろか自分の事すら覚えてないんだよ。だから……お兄さんはキャロさんを守れなかった。大事な存在として認識してないから……でもね……でも゛……キャロざん゛は……必死だったんだよ゛? お兄さんがいつお゛も゛い゛だじても゛……い゛い゛よ゛う゛に゛って……必死で……お兄さんが……守りたい人達を……守った゛んだよ? 一番……死んじゃいげな゛い゛の゛は……キャロさん……な゛の゛に゛!? い゛な゛ぐな゛っで……お兄ざん゛が一番悲じむ゛の゛……キャロさんなのにぃぃぃ…………」

 

「そんな……俺は……どうして…………」

 

私は泣き叫び、お兄さんへと抱きつく。もう乗りきった筈だった。あの時の感覚は……でもあの時の悲しみを思い出して私は我慢できなかったのだ。誰もが絶望して自分の弱さを恨んだあの忌まわしい出来事。なのはママもフェイトママも、みんないたのにも関わらず……そいつにはまるで歯が立たなかった。唯一キャロさん以外は……キャロさんが悪あがきで放った攻撃があったからこそ敵は逃げ出した。私達は生きている。

 

「どうして俺は忘れた……どうしてキャロの事をみんなの事を忘れてしまったんだ……その所為でキャロが死んだだと? そんな、そんな事を信じられるわけが……ないだろぉ…………ぐっ!? ヴィヴィオ? そいつはどんな奴だ……キャロを殺したのは誰だ! 」

 

「分からないよ……ただ……リンさんに自分の顔の復讐とか何とか言ってた……なんかよく分からない薄っぺらい紙みたいなの武器に使って……っ!? 何!? お兄さん!? 」

 

「海の方だな……なんか嫌な予感がする。行ってみるか! 」

「あ!? 待ってよお兄さん!? 」

 

突然私達の話は中断した。理由は海がある方で大きな音と爆発的な魔力の放出が感じられたからだ。

飛び出すように出て行ったお兄さんを私はすぐに追いかける。でもお兄さんは速くて私がいくら速く走っても追いつかない。これでも運動神経には自信があるのだがどうやらお兄さんは本当に規格外のようだ。

そしてしばらく走り海が見える所まで来た私達は海上で異様な光景を見た。そこには何人かいるがその中の四人の人の集まり、そこの中心に感じる魔力の流れがあまりにも大きい。よく見ると三人の真ん中にいる金髪ぽい髪で少しウェーブがかかった髪の長い女の子がいる。さらにその子を囲うようになのはママやフェイトママ達に似たバリアジャケットを着ている子達がそれを囲んでいるのだ。

すると私達がそれを眺めている時だったその金髪の子が何やら動きを見せたのだ。凄い速さで何かを尖らせ三人に向かいそれを突き刺した。しかしそれがその子達を貫く事はなかったのだ。何故なら私の横にいたはずのお兄さんがいつの間にか消えており、その三人を抱えて今の攻撃を回避したからだ。私は思う……この距離を一体どんな速度で移動すればあの位置まで行けるのだろうか……いや、それ以前に何故あれがこうげきだと分かった瞬間に動き出せるのだろう……お兄さんには反射神経と言うよりは脳が筋肉そのものな気がしてきたのだ。人の動きの外……もはやあの動きは人じゃない…………

 

「……お兄さん……もう少し人間らしい動きしようよ…………」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「う……ん? ……え……貴方は…………」

 

「ん? よぉ〜。またあったな? お前達に借りたもんを……返しに来た! 」

 

「貴方は……何者ですか? 私に近づかない方が身の為ですよ? 」

「フフ、そうはいかない。どうやらお前を助けたいと思っている奴らが三人はいるらしいからな? そうだろう? 」

 

「お主……と、当然だ! 我は王であるぞ? ならば……必ず救わねばならない! 」

 

私は王とレヴィと一緒にとうとう砕け得ぬ闇までたどり着いた。しかし砕け得ぬ闇とは道具や力じゃなかった。私は思い出したのだ、それは私達と同じ存在……そして本来私達を従える紫天の盟主、名をユーリ・エーベルヴァイン。今は自らに内包されているシステム「U-D」……アンブレイカブル・ダーク。それが暴走を始めてしまえば、彼女自身すらそれを制御する事などできない。

 

「愚かな……貴様に……っ!? うがっ!? ぐっ……うあぁぁぁああああああああああああああ!? 」

 

「やっとこの時が来たわね? 待ちくたびれたわ? 」

 

「貴様、ユーリに何をする!? やめぬか!!! 」

 

「お……前……は……夢の……いや、俺は知ってるぞ? お前は、お前は…………」

 

突然ユーリの背後から見た事のない女性が彼女の頭を鷲掴みにしその瞬間紫の閃光がユーリを悲鳴と共に包み込む。一体何をしているのかは分からない、しかし見た感じ何かを吸収しているのは明白だ。

するとその時後ろからナノハや他の管理局面々がそれを眺めるように集結した。

 

「はい、ごちそうさま。 フフ、ほら! 欲しければ返してやるわ? こんな抜け殻」

「あ……あ゛あ………」

 

「おおっと!? ふぅ〜、良かった」

 

「ん? 貴方……ちっ! またいるのね? いい加減邪魔なのだけど? 剛殺のボールペン! 」

 

「何故お前がここにいる? いや、いるだけなら不思議じゃない。だが何故子供じゃない? 何故俺と同じ大人の姿なんだ? クラン・ペーパー? いや……デス・ペーパー!!! 」

 

乱入してきた女はユーリから何かを吸い尽くした後、私達に向かってユーリをぶん投げた。しかしユーリは私の横にいた陸飛によりキャッチされ私達へと預けられた。どうやら陸飛とあの女は知り合いのようで互いが互いを認識し始める。

 

「お兄さん……あいつだよ……キャロさん……キャロさんを殺したのは…………」

「な!? 貴様が……キャロを殺すのか…………」

 

「キャロ? ああ〜あの何度も邪魔をするピンク髪の竜召喚師の事? 全くとんだ迷惑な小娘よ? 何度殺しても……殺しても……殺しても同じように邪魔をする! 一体私は何回やり直せばいいのかしらね? 」

 

「一体……何を言ってるんだ……まるで何度も殺してきたような言い方は…………」

 

「フフフ、当たり前でしょ? 私が今ここにいて砕け得ぬ闇から魔力をを吸い出すだけ吸い出すのもこれが17回目だもの? そして……そのキャロとか言う小娘を殺すのもね? っ!? とっ……いきなり何かしら? 」

「貴様…………」

 

陸飛は突然あの女に突っ込んで行った。ボールペンを持ち、女へと頭の上から振り下ろす。しかしその攻撃は宙を浮く薄っぺらい紙によって防がれた。そしてその瞬間陸飛はとんでもない手数の紙にボコボコに叩かれ一瞬で意識を持っていかれた、その証拠に眼が前を向いてない。さらにその女は落ちてゆく陸飛の頭を掴むと自分の顔に近づけた。

 

「う……あ…………」

「どお? 凄いでしょう? 貴方今の捉えきれて? フフフ……あっははははは!!! 」

 

「何故……過去と……未来を何度も……行き来……できるんだ……一体何の目的が……あって…………」

 

「目的? フフフ、そんな事決まっているでしょ? リン・ストーン……彼女につけられたこの傷……この痛み、決して忘れないわ…………だから彼女を殺すのよ? でもね? その為には彼女はあまりにも強くなり過ぎていたの。私がそのまま行っても殺されるだけよ? だから手に入れたのよ、第1級捜索提出物……時超えの砂時計をね? これは一度決めた時間を何度も何度も行き来できるロストロギア。これを使えば力を手に入れるのは簡単だったわ? そこの抜け殻から何度も何度も魔力を奪えばいいのだから? ……だが!!! そうして……何度もリン・ストーンを殺す寸前まで追い詰めても!!! 決まってあの小娘は邪魔に入る!!! 本当に邪魔なのよ!!! あの小娘のおかげで私はこうして何度繰り返せばリン・ストーンを殺せるのかしら!!! その時殺せるのは決まってあの小娘だけ!!! もう腹しかたたないわ!!! だからね〜最近、ここ5回ぐらいかしらね? あの子が泣いて許しを請うまで指や足、皮や肉……それを順番に削ぎ落としてやっているのよ? けど……忌々しい事に一度も許しを請うたことはないわ。 決まってそうしてやってる間は呟くのよ? ごめんなさい陸飛さん、ごめん陸飛さんってね? フフフ……あへへへ……あっははははははは!!! 」

 

「あ……あ゛あ゛っ……あ゛っ……きぃぃぃさぁぁぁまぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! 」

 

雄叫び……まるで全ての怒りを収束させたかのような雄叫びはその怒声と共に陸飛の身体を青い魔力が包み込む。身体の中から爆発させるかのように、魔力が跳ね上がる。

そして自分を掴んでいる女の手を弾くと狂ったようにボールペンを投げ始め自分に迫る攻撃を全てはたき落とし見たことないくらいの激しい攻防を繰り広げる。

紙を操り防御と攻撃を一度に行う女も今の状態の陸飛には驚いており、何度も経験していると言っておきながらもこれには対応しきれていない。単純に陸飛の動きが人間のそれを超えているのだ。女が捉えたと思ったその陸飛は気がつけば真後ろにいる。かと思えば真上にいるなどと動きが高速すぎて女はついていけていない。

 

「馬鹿な!? こんな事……今まで一度も!? ぐっ……死ねぇぇぇェエエエエエエエエエ!!! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!! 」

 

「フッ!? ぐっ……パワーブースター……250%解放!!! はぁぁぁあああああああああああ!!! 」

 

さらに陸飛の魔力跳ね上がる。これ以上は身体が壊れてしまうんじゃないかと思うくらいここにいる私には陸飛の筋肉がきしんでいるように聞こえた。

私の隣にいる金髪の子も勿論私も、後ろのナノハ達だって……誰一人としてこの戦いに参加する事はできない。入って行ったところで何もできないのが分かっているからだ。あの二人は私達とは遥かに強さの次元が違う。どちらが敵なのかは明白、しかし手は出せない。

 

「何だこのイレギュラーは!? こんな事あってたまるか!? 私はあの女を……リン・ストーンを殺すのだ!!! 邪魔をするぅぅぅなぁぁぁぁああああああ!!! 」

 

「っ!? ぐっ!? はっ!! な!? しまっ!? ぐふっ……あ……ぐっあああああああああああぁぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁ…………」

「お兄さん!? 」

 

陸飛は自分で展開していた強化ブーストに耐えきれなかったのか、限界を迎えたのかそれは分からない……でも陸飛はそれによってバランスを崩しあの女の紙にグルグル巻きに捕らえられ一気に締め上げられた。しかもここにいる私達にも聞こえる……骨が砕かれる鈍い音が、絶えず鳴り響く……それは身体中の骨が全て砕かれたんじゃないかと言うまで続けられ……陸飛はぐったりしたまま動かなくなった。そしてまた……女の元へと引き寄せられる。

 

「はぁ……はぁ……ふざけんじゃないわ……あんたのおかげでかかなくていい汗をかいたじゃない……フフ。あんたがこうして私と戦うのは毎度の事だけどね? ここまで危なかったのは初めてよ? 後〜毎回やるんだけど? こうして邪魔をしてくれたお礼に貴方には、罰を与えてるの。何だと思う? 」

 

「ごほっ!? ごほっ!? ……何を……する気だ…………」

 

「ひひひ……あはは! その記憶……消させて貰うわ? 」

「っ!? 何!? ……まさか……俺が未来で記憶喪失……なのは……貴様が……………」

 

「そうよ? それで何の邪魔もできずに……大事な人が死んでく様を、何も知らずに見ているのよ? どお? 素敵でしょ? そして記憶が戻る頃には……貴方の大切な人は誰一人残ってないわ? それじゃ…………」

「よせ!? ぐっ……やめろ!? くっ……クソっ!? やめろ!? ぐっ…………」

 

「さようなら? 剛殺のボールペン? フフフ〜あっははははははっ!! ひ〜っひひひひひひひひ!!! 」

「やぁぁぁめぇぇぇぇぇろぉぉぉぉおおおおおおお!!! うぐっ!? あがっ!? うわぁぁぁぁあああああああああああぁぁぁぁ…………」

 

陸飛は女に頭を掴まれると少し悶えてからピクリとも動かなくなった。私はもう我慢できなかった。例え勝てないだろうが関係ない。私やレヴィ、王だって陸飛とはもう関わってしまった。だから放って置くわけにはいかない。しかしそう思い飛び出そうと思った時だった。あの女が私達の方へ陸飛を放り投げたのだ。私と隣にいた金髪の子は急いで陸飛をキャッチした。でも完全に意識がない。

 

「お兄さん!? お兄さん!? ……ぐっ……よくも……よくもお兄さんを!!! よくもキャロさんを!!! うっ……うわぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!! 」

 

「あら? 可愛い攻撃だこと? それ! 」

「っ!? きゃぁぁぁああああああ!? 」

 

「あ! ヴィヴィオさん!? ……大丈夫ですかヴィヴィオさん!? ヴィヴィオさん!? 」

「ダメだ……やっぱり勝てないよ……アインハルトさん…………」

 

「ヴィヴィオさん!? 」

 

突然憤慨したように殴りかかった金髪の子は女の攻撃で簡単に弾き飛ばされた。しかしそれを若葉ぽい髪の子がキャッチしその子を心配する。

そして終わりはやって来た。あの女を中心として光は私達を包み込んだのだ。あまりにも光が強すぎて何も見えない私。でもそれも最初だけ、だんだん光は晴れて来た。だが私が晴れたそこで見たのは別の場所、海はなく地面の……森の中。

近くにはレヴィと王、それからユーリが気絶している。

 

「よかった……みんな無事で……陸飛は……どこに……っ!? 」

 

私はさっきまで抱えていた陸飛を探した、すると少し離れたところに倒れていたのだ。改めて見ると酷い有様だった。身体中傷だらけで……確実に骨は折られている。

そして少し呼びかけると陸飛は意識を取り戻した。しかし、それは…………

 

「う……ここは…………」

「大丈夫ですか? あ、動かないでください!? 酷い怪我です、今手当てしますから」

 

「君は……誰? 」

 

「……え…………」

 

「僕は……誰だ? 」

 

それは新たな物語の始まりなのかもしれない…………

 

 

第2章《筆箱の絆》……完

 

 




次回もよろしくお願いします。

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