魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜遅くなりました。

今GOD復習中ですので次も遅れる可能性があります、すいません。

ではよろしくお願いします。


第46話《悪夢と絶望の未来》

「ヴィヴィオ? そろそろ離れてくれないか? 」

「いやぁ〜」

 

「はぁ…………」

 

突然泣き出したヴィヴィオは泣き止んだ途端、陸飛にべったりくっついて離れなくなってしまった。いくら陸飛が言っても離れる気配がない。しかし陸飛も自分にここぞと甘えてくるヴィヴィオを可愛いと思っているのか離れろと言う割に彼女の頭を撫でている。だがこれでは身動きが取れないと言うのもあり、陸飛は困っていた。

 

「お兄さ〜ん……大好きだよ……私ずっとこのままがい……い…… ……」

 

「そ、それは……ちょっと困るかな……ん? ヴィヴィオ? お〜い……参ったな、寝ちゃったか」

「えへへ……お兄さ〜ん…………」

 

「まったく……フフ、お前は本当に可愛いなヴィヴィオ。俺はお前の笑顔をいつまでも守ってやりたいよ…………。はぁ……俺も少し……寝るかな……今日は……つか……れ…………」

 

ヴィヴィオが泣き疲れて寝てしまい、陸飛も一晩中逃げ回っていた為もう限界だった。寝ようと思えばこうしてすぐに堕ちてしまう程に…………

 

 

◇◆◇◆

 

 

「陸飛さん、陸飛さん! 起きて下さいよぉ〜? 」

 

「うっ……ん? え、え!? キャ、キャロ!? 」

「え? 何当たり前の事言ってるんですか? ほら、起きて早くご飯食べて下さい? 」

 

「ご飯? え……何がどうなって…………」

 

俺は突然誰かに起こされた。眼を開け、その主を確認する。しかし俺は驚き……軽いパニックになっていた。何故なら目の前には管理局の制服にエプロンをつけたキャロが俺を起こしていたからだ。

こんな事あるはずがなかった。俺はヴィヴィオと一緒に森林の中に隠れていた筈だ。にも関わらず俺はダブルのベッドで寝ている。隣には枕がもう一つ、誰かが寝ていたのだろうと思ったが今のキャロの言動からある仮説が浮かんだ。ここに寝ていたのはキャロ、俺はキャロと一緒に住んでる、そんなあり得ない事を考えてしまった。

あのタイムスリップの出来事は全て夢でこれが現実なのではないのだろうか…………そう思った。

 

「な、なぁ〜キャロ? 俺達一緒に住んでるのか? 」

「え? んぷっ……ふふふ……陸飛さんまだ寝惚けてるんですか? 私達夫婦ですよ? 当たり前じゃないですか、ほら? 」

 

そう言うとキャロは左手を俺に見せた。キャロの左手の薬指には指輪がはめられている。俺は驚いて自分の手も確認した。でも無かった……俺は不思議に思った。もし結婚しているなら俺は指輪を手につけずに一体どこに身につけているのだろうと……いくら考えても分からない。軽く自分の周りや身体中を探すが見当たらない。だから俺はキャロに俺がどこに指輪を持っているのか聞いた。するとその答えは俺の疑問を増大させる物だった。

 

「ふふふ、何言ってるんですか陸飛さん? 指輪ならずっと陸飛さんの手についてるじゃないでですか? 」

 

「え……い、いや……ついてないぞ? 」

「え? あるじゃないですか? どうしたんですか陸飛さん? 変ですよ? もしかしてどこか具合でも悪いんですか? 」

 

「いっ!? ちょ、キャロんっ!? ………… 」

 

「……んっ……どうですか? 元気出ました? 」

 

それは突然だった。キャロの方から俺にキスをして来たのだ。これで元気が出ないなら俺はこの子に惚れていない。だから俺は二、三度頷く。鼓動が高鳴り、顔も少し熱い……もう駄目だと思った。

 

「なら、良かったです! さて、そろそろ出勤の時間ですよ? 」

「出勤? どこにだ? 」

 

「もう、いい加減眼を覚ましてください? 管理局に決まってるじゃないですか! 私は後から行きますので先に行ってて下さい」

 

そう言って食器を片付け始めるキャロ。俺はそんな彼女を後ろから少し眺めていたが、出勤と言えわれては仕方ないので素直に出勤する事にした。

ここがどこなのかと思えばミッドの住宅街にあるマンションの一室。場所も見た事あるところだった。だから迷わずに本局に着くことができたのだ。しかし着いてからが問題だ。どこに所属しているのかが分からない。俺はどうすればいいのか分からず、少し歩く事にした。

そして歩き始めてすぐの事だ。俺は曲がり角で誰かとぶつかった。

相手は俺とぶつかった反動で後ろに転んでしまい、俺は慌てて声をかける。

 

「すいません、大丈……ギ、ギギギ、ギンガ!? 」

 

「てててて……あれ、陸さんじゃないですか? もう気をつけて下さい? で、どうしたんですか? 」

 

「い、いや……なんでもない」

 

「そうですか? 分かりました、それじゃ私は仕事がありますので失礼します! 」

 

「ん……え? ん? ……いやいやいやいや!? ギンガが普通なんだけど…………」

 

俺はてっきり殴られると思っていた。しかしギンガは何もせず普通の反応をして行ってしまったのだ。俺は逆に怖くなったが、よく考えてみれば俺は結婚しているのだ。ならギンガがいつまでも俺にかまってるわけがない。ならこれで正しいのだと俺は自分に言い聞かせた。もしかしたら自分を誤魔化してるだけかもしれない。だがここで俺はある事を思い出した。

朝キャロが俺の指に指輪があると言っていたがいくら見直しても指輪なんてない。俺はこれが納得いなかった。さらにはゆりかごの事件から今日の朝までの記憶が俺にはない。いくら思い出そうとしても思い出せないのだ。

 

「あれ? リッ君? どうしたのこんな所で? 」

 

「なのは隊長…………」

 

「にゃはは、何言ってるのリッ君。私はもう隊長じゃないよ? 」

 

次に俺が出会ったのはなのは隊長だった。しかし機動六課は解散しているのだからなのは隊長は隊長ではない。俺はそこを失念していた。だがどうもしっくりこない。

一度も隊長をつけずに呼んだことがないからだろうか…………

 

「そうでしたね。じゃ……なのはさん? 」

「ぷふふ……なにそれ……り、リッ君今更かしこまり過ぎ……ふふふ………」

 

彼女は大笑いを始めた。どうやらツボってしまったらしい。確かに俺もおかしい事を言ったと思った。だが俺は朝起きてから何か違和感を感じている。一人時代に取り残されてしまったようなそんな感覚。

これは夢なんじゃないのか……考えなかったわけじゃない。でもおかしい、夢にしては五感や俺の思考がはっきりしている。それにこの嫌な予感は何なのか。俺は冷や汗をかきはじめていた。ここは何かがおかしい。

 

「それじゃねリッ君? ヴィヴィオが遊びたがってるから近いうちリッ君のお家お邪魔するから! 」

 

そう言って彼女はどこかへと行ってしまう。だから俺もまた歩き出した。一回りし、軽く聞いてみたが俺の所属は皆目見当がつかない。もしかしてと思いリンディさんにも連絡したが繋がらなかった、キャロにかけても繋がらない。

少し疲れた俺は中庭のベンチに腰掛け、頭を整理しようとした。しかしここでまた俺の知ってる人物がその思考を阻む。

 

「何サボってるですですか? 」

 

「……リンか……久しぶりだな? 」

「はて? 昨日も会ってるですですじゃないですか? どうしたんです? 」

 

それはリンだった。何年か経ってるはずなのにこいつは全くと言っていいほど変わらない。背も昔のまま…………

俺はリンに今感じてる事を話す事にした。こいつなら笑わずに信じてくれるだろうと思ったからだ。

 

「それでさ……なんか変なんだよ……周りと感じてる時間が合わないというか……そんな感じでさ…………」

「それは……陸ちゃんが見てはいけない夢を見ているからですですよ? 」

 

「ん? それって……っ!? ここは!? リン!? リン何処行ったんだ!? なんだ!? なんで真っ暗なんだ!? ここは何処だ!? 」

 

気がつくと俺は景色のない闇の中にいた。さっきまでいたリンの姿はどこにもなく声も聞こえない。しかししばらくその中を走っていると遠くの方が明るくなってきた。俺は速度を上げそこを真っ直ぐ目指す。すると暗闇は晴れ、そこはどこかの公園…………

場所は分からない。しかしそこで起こっている事態が俺の背筋を凍らせる。

そこには俺の知ってる六課のメンバーやリンそれからヴィヴィオを含め見た事のない数人の子達が血だらけで倒れている。そしてその中心に立つ一人の女性……彼女の手に待たれてる何かをこの目で確認した時俺は自分の目を疑った。

何故ならそいつが手で持ち上げているのはキャロだったのだ。首を締め上げられ呼吸もまともに出来なくなっている。

俺はその瞬間何かがキレた。そいつに向かい得物を放つ。しかし、俺の攻撃はそいつを通り過ぎすり抜ける。だから俺は得物がダメなら素手ででもと殴りかかるがどういう訳かそいつにもキャロにも触れることができない。

 

「あっ……がっ……あ、う……かっ…………」

「お前のお陰でまたやり直しよ? 本当に邪魔だわ貴方……一体、何回こうやって殺せばいいのかしら? 」

 

俺はこいつを知っている……だが名前を思い出せない。こいつが誰なのか思い出せないのだ。するとそいつはキャロをさらに高く上げると宙に浮いてる薄い何かでキャロに狙いを定めた。まるでトドメを刺すかのように…………

 

「やめろ!? やめてくれ!? なんでこんな……こんな……お前は誰なんだ!? っ!? お、おい……何を……するつもりだ……やめろ……頼む……や゛ぁぁぁめ゛ぇぇぇろ゛ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! 」

 

その瞬間キャロの首が飛んだ。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!! 」

「ちょ、お兄さん!? どうしたの!? しっかり!? お兄さん!!! 」

 

「あ゛あ゛っ!? う゛わ゛っ!? や゛め゛ろ゛!!! あ゛あ゛っ!? キャロぉぉぉぉおおおおおおお!!! 」

 

「お兄……さん? 」

 

私は起きてからいつの間にか私と一緒に寝てしまっていたお兄さんの寝顔を眺めながらつついたりして遊んでいた。でも急に叫び始めたと思ったらこの状態だ。

私が見たことないくらいお兄さんは荒れ、その辺の木を殴り飛ばしながら暴れ回っている。止めようにも今のお兄さんには近づけない。

 

「やめろ!? 誰だ!? お゛ま゛え゛は誰だ!!! キャロ、キャロ!? うっ、うわぁぁぁああああああああああ!!! うっ、お゛え゛っ!? 」

「お兄さん!? ちょっと……本当に大丈夫? いったいどうしたの!? 」

 

やっと止まったと思えば今度は嘔吐し始め、私はお兄さんの背中をさする。しかしお兄さんは涙を流し精神的にもかなり磨り減ってる感じだった。嫌な夢でも見たのかと思ったが、たかが夢でここまでになるだろうか…………

すると少し落ち着いたお兄さんの口から私に質問が投げられた。だから私は深く考えずに喋ってしまった。少し言いづらかったのは確かだ、だけど私は嘘はつきたくなかったのだ。

 

「ヴィヴィオ……キャロは……キャロは元気だよな? お前の知る未来で、キャロは元気にしてるんだよな? 」

 

「……キャロさんは……その……お兄さんが消えたあの日から4年後に突然現れたリンさんの刺客に首をはねられて……殺されちゃったの」

「……何を……言ってるんだ? それって……どういう…………」

 

「キャロさんは……亡くなったんだよ…………」

 

私がそう言った瞬間、お兄さんは泣き崩れた。

 

 




次回もよろしくお願いします。

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