魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜

いつも読んでいただき、感想を頂いて感謝です。

感想にはいつものやる気を貰っていますので感想書いてくれている方々には感謝アラレです!

ではよろしくお願いします。


第42話《誤解と刺客》

〜カナルサイド〜

 

あの任務以来、リンは元気がない。いつもあの新人に話しかけていたがもう目も合わせなくなった。しかしどう話したものか……私はリンがキレた時、裏の掃除をし終わり丁度リン達のいる所に駆けつけた所だった。あの新人……自分を冷酷に見せていて仲間の命を第一に考えている。新人があの二人を殺した時、その内の一人が影からリンに対して魔法を放つ直前だった。リンは油断していた為それに気づいていない。リンの危ない所はお人好しだという事、まぁ〜それがいい事でもあるのだけど。

 

「あ! 」

 

「…………」

 

私が隊舎にもどると丁度みんなはおらず新人だけが机に座って本を読んでいた。私もそんなに仲良くないと言うか、初日に喧嘩をふっかけた手前かなり気まずい。しかし私はこの新人と話をしようと思った。あの夜の任務でこいつがどう言う人間なのかはっきりしたからだ。なら私達の仲間になるには十分な資格がある。もう親友を助けて貰ったし。

 

「ねぇ〜あんたさぁ〜? なんでリンに本当の事言わないの? 」

 

「…………」

 

沈黙、何も答えない。この距離で聞こえてない事はない、という事はシカトだ。私は苛立ちながらも話を続ける。

 

「あの子さぁ〜仲間と喧嘩するの初めてなんだよねぇ〜。それで自分が嫌いになった相手にすら申し訳ないと思ってる様などうしようもない甘ちゃんなのよ。でもね……いい子なんだ。あんたが嫌いじゃないなら仲直りしてくれないかな? 」

 

「…………」

 

「はぁ……私がこんなに穏やかに話す事ないよ? 自分の話シカトされて……さ!!! 」

 

私は我慢の限界に達し自分の得物を出し軽くでも脅そうかと思った、しかし甘かった。突然手に持っていた鉛筆削りが弾けた。私は驚いて新人を見る、しかし彼は動いていない。でも代わりに私の後ろの壁にボールペンが刺さっていた。

 

「あんた……今…………」

 

私が捉えきれなかった……あのクソ少尉の弟子……認めたくないけど腕は確かだ。

 

「俺に構わないでくれるか? 確かにあの二人を殺したのはストーンさんを助ける為だ。でもそれだけだ。俺が救える命を殺した事に何の変わりもない。」

 

「ぷっ、ふふ……ふふふ、あっはははは!? いいわ〜。あ、あんた最高だわ、その性格何? ぷ、ふふふ……いい、いいよその無表情で中身そんなんな性格……や、やばいツボだわ……ひひひひ……」

 

「自分の性格で笑われたのは初めてだ……失礼な」

 

確かに失礼だ、けど笑わずにいられようか? いや、無理だ。みんな私程笑わないにしてもちょっとは笑う筈、しかし私は完全にツボった。

 

「ふふふふふふ!? ……はぁ……はぁ……あ〜お腹痛いわぁ〜。何よ、そんな顔しなくていいでしょう? スキンシップよスキンシップ。 でもまぁ〜気に入ったわあんた。これからよろしくね? え〜と……あ! そう言えばリンが陸飛君って言ってたわねぇ〜? ならこう呼ぶわ陸! 私の事は名前で呼ぶ事、仲間に気を使われるのは嫌いだからね。そんじゃ」

 

私はそう言い捨てて私は隊舎を出た。にしても不思議だ、最初はあんなにもイラついたのに今は面白いとすら思う。なんか彼には不思議な魅力を感じた。まぁ〜恋愛感情は湧かないけど。タイプじゃないし。

 

 

 

〜リンサイド〜

 

カナルが隊舎から出た後僕は隊舎に入るか迷った。聞いてしまったのだ。今の会話を……話から大体の事は推測できた。陸飛君は僕を助けてくれたのだ。何に僕は怒鳴り散らしながら何度も陸飛君を殴った。ぼくは陸飛君になんて事をしてしまったんだろう。もう僕は後悔でいっぱいだった。そんな時、隊舎のドアが開いた。ドアの前で入るか迷っていた僕は陸飛君に見つかり物凄く驚いた。そしてかなり気まずい。

 

「いつまでもそんな所にいないで入りなよ。君の隊舎でもあるんだから」

 

「は、はいですですよ…………」

 

僕は隊舎に入り、自分の机に腰掛ける。そしてチラチラと陸飛君を見ながらなんて言おうか考えていた。すると先に陸飛君が話かけてくれた。普段全然喋らないのに。

 

「この間の事なら気にしないくていい。当然の怒りだ」

「ダメですです!? 僕は陸飛君に酷い事したですですよ? 僕は……僕は仲間として陸飛君を信用しきれなかった……全部僕が悪いです……ごめんなさいですですよ…………」

 

僕はもう陸飛君を見れなかった。後悔、申し訳なさ、それらで心が染まっていたからだ。しかし陸飛君はそんな僕のそばに来て座っている僕と同じ目線まで腰を下ろし、今まで聞いたことないくらい優しい声で話し始める。

 

「俺があの時ちゃんと説明していれば良かった、だから俺の方こそごめん。そこまで気にするとは思ってなかったんだ」

 

優しい声、こんな喋り方もできるんだなぁ〜と感じた。これが陸飛君の真、本当の姿。僕は言葉を紡がれる度に暖かい気持ちになれた。心を溶かされ救われていく。僕の暗い心は段々と照らされ、明るくなっていく。

 

「僕は……どんな理由であれ、人が人を傷つける事は間違っていると思ってますですですよ。だからあの時陸飛君が必要もない殺しをしたと思い込んで……あんなにも感情的になったです。ぼ、僕は……人が人を傷つける世の中じゃなくて……人が人を想える世の中が来ればいいなぁ〜と夢見てますですです。その為に……僕は頑張りたい、自分の力を……辛くてもみんなの為に使いたいですです。こんな考えは……甘いですですよね? 」

 

「……いや、素敵な考えで、素晴らしい夢だ」

「!?」

 

僕は思わず顔を上げた。自分の考えを目指してる事を他人に話したのは初めてだった。だから僕はあまりにも理想の高すぎる夢に馬鹿にされる物だと思っていた。けど陸飛君は褒めてくれた、共感してくれた。

 

「ストーン、その夢……俺に出来る事があれば手伝わせてくれ、俺もそんな世の中がいい。そんな世の中にしたい」

 

「あ……」

 

嬉しかった。自分の意見を正面から受け止め支えてくれると言ってくれているのだ。陸飛君はこんなにも優しくて優しい笑顔ができる人だった。ならどうしていつもは無表情なのか……それは多分諦めている為だ。自分が誰かを救う事を……誰も殺さなくて済む道を。

 

 

 

 

〜カナルサイド〜

 

私が陸と話した次の日、私は目を疑った。しかしそれは私だけじゃなく他のメンバーもだ。何故なら…………

 

「陸ちゃ〜ん! おはようですですよ! 今日も一緒に頑張りますですです! 」

 

「……ちゃん付けとは突然だな? まぁ〜いいけど。なら俺も呼び捨てさせて貰うぞ? リン」

 

陸が隊舎に顔を出した瞬間リンが飛ぶように陸の前まで駆けて行った。いつの間に仲直りしたのだろうか……と言うより前より確実に仲良くなっている。昨日一体何が……私は物凄く気になった。

 

「おはよう陸、リンと仲直りしたの? 」

 

「ん? ああ、おはようカナル。昨日……な? 」

 

「え?……今……あいさつ、え? 」

 

私はパニックになった。昨日までまともに会話すらしてくれなかった彼が突然あいさつをし私の名前まで呼んでくれたのだ。本当に昨日何があったのだろう…………。でもこの日を境に陸は筆箱に馴染み出した。そして私達の絆は深まる。しかしこの数ヶ月後の事だった。私とコウはある任務を受け、二人でその任務を受けた。だがその任務で私達は初めて失敗をしたのだ。正確には返り討ちにあった。事の発端は私が油断した所から始める。私のポジションは私の技を最大限発揮できるポジション。つまりは味方の防御役、私の技は攻撃主体ではなく守りなのだ。

 

「ペンシル……スライサー、《鰹節》」

 

「カナル!? ダメだよせ!? 」

 

突然コウの慌てる声が聞こえた。しかしもう遅い。私はいつものように相手の魔力スフィアを鉛筆削りで受け止め、それをスライスするように無力化する。けどそれは罠だった。敵は私達を研究していたようで私の防御法は完全に読まれていたのだ。その魔力スフィアは無力化すると同時に私の手元で弾け私はその瞬間身体中にとんでもない電流を浴びる。

 

「ぐっ……ぁぁぁあああああああああ!? 」

「カナル!? 」

 

私はその場で倒れた、そしてコウが私に駆け寄ろうと走り出す。しかしその瞬間コウのお腹を何かが貫いた。私に気をとられコウは背後からの攻撃に反応出来なかったのだ。コウが崩れる落ちる姿を私は見ていた。身体は動かないが確実に意識はある。そしてその後コウを貫いた白くて薄い紙のようなそれは倒れたコウを何度も刺し始めコウは痛みで雄叫びをあげる。

 

「ぐがぁぁぁぁああああああ!!! いっがぁぁぁぁああああああ!? 」

 

「や……めて……コウが……死んじゃう…………」

 

もう私は絞り出すような声しか出ない。いくら声を出そうとも攻撃は止まらない。そのうちもうコウの声は聞こえなくなった。さっきまで動いていた手ももうピクリとも動いてない。私は何もできなかった。何も出来ずに仲間がやられる姿を永遠と見せられていた。もしかしたらコウは死んでしまったかもしれない。私が油断した所為で。

 

「コウ……そんな……お願い……何か……言って? ぐっ……コウ!!! 」

 

「フフフ、いい声だわ? 無駄よ? こいつはもう死んだ。お前もすぐに同じ所に送ってやるわぁ〜削殺の鉛筆削り? 」

 

気がつくとコウを踏みつける一人の少女がいた。銀髪の髪。そして黒いワンピース。見た感じ、歳は私達とそこまで離れていない。けど私が気になったのはそこではない。この子の周りをひらひらと漂う白い紙。それは長くまるで龍のようだ。さらには私の通り名を知っていると言う事だ。という事は私達は誘い出されたのだ。

 

「よくも……コウを……お前は……一体…………」

 

「あはは、いいざまねぇ〜? 貴方達『筆箱』の存在は最近裏じゃ有名だもの誘い出すのはわけなかったわぁ? さて、次は貴方の番よ?フフフ。 大丈夫、心配しなくていいわ? 貴方は殺しはしない。貴方可愛いし。貴方が許してくれと泣いて叫ぶまで痛みつけてあげるから」

 

そう言い私の方へと歩いてくる。でも私は逃げる事が出来ない。身体はさっきの電撃で痺れたままだからだ。

 

「フフフ、最後に教えてあげる。私の名はクラン・ペーパー。貴方達『筆箱』を狩る為に結成された裏組織。その名も『文房具』。そして私は『文房具』のリーダーにして『文房具』最強の使い手。ンフフフ、貴方達はやりすぎたのよ? 管理局は踏み込んではいけない闇に手を出した。だからこれは見せしめよ。貴方を惨ったらしく心を殺して……じゅるる……私の物にしてあげるわぁ〜? さぁ〜いい声で泣いてね? 紙技……《紙刺》!!! 」

 

さっきまでこいつの周りで浮いていたトイレットペーパー位の紙が私の方へと迫る。もうダメだ、このままなぶり殺しにされる。私は諦めた。しかし攻撃は私の前で止まる。

 

「っ!? 何!? 」

 

「はぁ……はぁ……黒鉛流……鉛筆槍術!!! 」

 

コウだ。あれだけ身体を刺されたのにも関わらずコウは死んでなかった。生きていてくれた。そしてこんな状態で私を……私を守ってくれた。今にも死んでしまいそうなのに…………

 

「《黒鉛突》!!! 」

 

「ぐっ!? 」

 

コウの攻撃は敵の頬を掠めた、だが躱された。でもそのお陰で敵と距離が開らいた。

 

「貴様……まだ生きていたのか……死に損ないめ。……フフフ、いいわぁ〜? 今日はこれぐらいにしてあげる。すぐに始末したらつまらないし。それじゃ……最後に、もう一度名乗っておくわ? よ〜くその頭に刻みつけておきなさい? 私の名はクラン・ペーパー、又の名をデス・ペーパー……貴方達を殺す死の紙よ? フフフフフフ……あっははははははははは!!! 」

 

その瞬間目の前の少女は消えた。すると私の身体はそれに合わせるように動くようになる。私は急いでコウの手当てを始めた。改めて見ると酷すぎる傷だった。早く病院に連れて行かないと助からない。

 

「コウ……ごめん、私の所為で……すぐに病院に」

 

「カナル……カナルは大丈夫? 怪我ない? 」

 

こんな状況ですらコウは私の心配をしていた。相変わらず優し過ぎる。でもそんな優しさが今の私には苦痛だ。私が油断さえしなければ……こんな事にはならなかったかもしれなかったからだ。

 

「私の怪我なんて大した事ない。それよりコウの方が……相変わらずコウは誰にでも優しいね? でも私にはそんなに優しくしなくていいよ。そんな資格ない……っ!? ちょ、え!? コ、コウ? 」

 

突然コウが私を抱きしめて来た。男の子にそんな事されたのは初めてで私は頭から湯気を立てて慌てる。両手をバタバタさせ上手くろれつも回らない。

 

「俺は別に誰にでも優しくしてるわけじゃない。お前だから心配したんだ。お前に怪我して欲しくないからさ? 」

 

「しょ、しょれってどう言う……意味? 」

 

「う、う〜と……気がつかなかったかなぁ? 俺……カナルが好きだ。カナルに優しくしてるつもりだったんだけど……」

 

好き?私を?信じられない。私は今言われた事が理解できなかった。だって私は全然女の子らしくない。ガサツで暴力っぽい。なのに私が好き……嬉しい……でも……信じられない。こんな事言われたの初めてだ。

 

「コ、コウ? しょ、しょの!? 嬉しいんだけど……私なんか全然……お、女の子っぽくないし!? そ、それにコウモテるし!? わ、私なんか!? ……コウ? ねぇ? っ!? コウ!! しっかりして!? 」

 

コウはかなりやばい状態だった。私はすぐにコウを病院に運ぶ。結果入院するハメになったがコウは助かった。そして今日を境に私はコウを意識し始めコウを好きになり、晴れて恋人になったのだ。まさか私にこんな日が来るなんて思ってもいなかった。それにしてもあの少女は何だったのか……まだその正体は掴めていない。しかし救えない事に……私達は自分達が狙われていると言う事実をまだ……重く考えていなかったのだった。

 




次回もよろしくお願いします。

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