魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜

え〜とうとうここまで書けました。

ここまで読んでくださった方々、感想評価を頂いた方本当にありがとうございました。

感謝の極みです!!!

ではよろしくお願いします。


最終話《幻の残業局員》

〜ギンガサイド〜

 

「陸さん! ……うっ、ひぐっ……陸ぅぅ……さん! 」

 

陸さんが生きているかもしれない。そんな可能性が少しでもある、それだけで十分だ。そこへ向かう価値は十分にある。私は泣きながら速度を上げゆりかごの真下の方へと向かう。でもそこで隣に誰かが並んだ。最初は誰かが止めに来たのかと思ったが違ったようだ。だから急いで涙を拭う。

 

「ギンガさん! 」

 

「どうしたのキャロ? 私を止めに来た? でも無駄だから。私は止まらない、陸さんは絶対に守る。もう殺させない、奪わせない。そして陸さんは誰にも渡さない!!! 私の愛は陸さんだけに捧げる物だから」

 

「いえ、そんな事しませんよ。私も行きます! 陸飛さんが生きてるかもしれないんです。私は陸飛さんが大好きです、愛してます。だからもう、私のいない所で陸飛さんが傷ついてるのは嫌なんです!!この気持ちは誰にも負けません!!!例え……ギンガさんでも」

 

真剣なキャロの顔。冗談抜きにして、その強い眼差しから感じ取れる物は私の陸さんへの愛に引けを取らない。最大の……最強の敵、ライバルがこんな身近にいた。誰にも負けるつもりはない、誰にも陸さんを渡す気はない。でも……キャロなら……この子になら……負けても文句はない。陸さんをこれだけ真剣に思える愛情があるのなら。

 

「なら……陸さんがどっちを選んだとしても恨みっこないね、キャロ? 」

 

「ありません。陸飛さんがギンガさんを選んだなら潔く陸飛さんの一番は諦めます! でも……」

「でも? 」

 

「二番は誰にも譲りません!!! 」

 

例えその人の一番じゃなくてもその人のそばのいたい、本物だ。私は私以外の本物の愛を見た。この目の前にいる私より7歳も年下のこの子から。なら……私は認めない。

 

「じゃ……もし陸さんがキャロを選んだなら私は陸さんの二番でいい。私は貴方以外の人間を認めない」

「私はギンガさん以外の人を認めません」

 

「「もしそれ以外の人が陸(飛)さんを奪うと言うのなら……全力で、排除(します)する! 」」

 

しかし二人の息が合った時、私達の横をとんでもないスピードでツインテールの少女が追い抜いて行った。誰かと言われればそれはリンさんだ。流石にアレに追いつくのは無理がある。

 

 

 

 

〜リンサイド〜

 

僕は先に出たギンガちゃんとキャロちゃんの間を突き抜け陸ちゃんの所へ飛んだ。自分で言うのもなんだが僕のスピードは管理局の中でトップと言えるフェイト執務官の次に速い。だからあの二人が追いつく筈はない。でも別に僕は陸ちゃんを先に助けようとかそんな事を思って急いでいる訳じゃない。陸ちゃんの使ったあの強化魔法はリミッターを開放する度に力を増す、なのりんで言うところのブラスターシステムだ。己の筋力の限界点を超えて、魔力を注げば注ぐだけ筋力をブーストしていく言わば無制限の筋力ブースター。けどそれを使うのには限度という物がある。なのりんしかり、無茶をして開放すればそれだけで身体にかかる負荷は膨大な物になるからだ。一体何をするつもりか知らないが早く止めなければ陸ちゃんの命に関わる。身体だってさっきの戦闘で生じた傷が癒えているはずもないのだから。

 

「っ!? 陸ちゃん!? 」

 

「ぬぐっ……ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!! 」

 

僕は陸ちゃんの姿が見えた所で静止し陸ちゃんの姿を唖然として見ている。何をしようとしているのかと思えば一人でゆりかごを持ち上げて上昇させているのだ。この為の筋力強化。でも何故だろう……陸ちゃんはリンカーコアを失った筈だ。しかし今は強化魔法と飛行魔法を展開しながらゆっくりとゆりかごを上へ上へと持ち上げていく。それに陸ちゃんから明らかな魔力の気配がある。どういう訳か今の陸ちゃんにはリンカーコアがあるようだ。

 

「陸ちゃん、何してるですですか!? 無茶ですですよ! ここはみんなで力を合わせて全員で「ダメだ!? 」え……ど、どうしてですですか!? もう一人でやらなくていいですですよ? みんないるです! 僕はもう無茶してる陸ちゃんなんて見たくないですですよ!!! 」

 

「ぐっ!? 例え……全員で上げたとして、その後はどうするつもりだ? 多くの、ぐぐぅぅ……人間で撃墜ポイントまで行けば、ぬぐっぁぁぁあああああああ!!! はぁ……はぁ……それだけアルカンシェルの……余波の範囲から逃げられる可能性が減る。リン、お前は俺達の仲間から……死人を出す気なのか! ぐぅぅ……俺はもう嫌だ!!! もう誰も欠けさせてたまるか!? もう誰も失わない。もう誰も……失ってたまるかぁぁぁぁああああああああああああああ!!! 」

 

「陸……ちゃん……っ!? 陸ちゃんダメです!? 」

「ぐっ……5、50%……開放ぉぉぉぉおおおおおおおお!!! 」

 

陸ちゃんの雄叫びと共に陸ちゃんの纏う魔力が跳ね上がりゆりかごが上に上がる速度が速まる。しかし、速度が急激に上がるのは最初だけで後は段々ガス欠のように落ち始める。陸ちゃんの汗や息の切れ方、もう限界など軽く超えている。けどここまでになった陸ちゃんを止める事など出来る訳がない。もし止めたいなら陸ちゃんを気絶させるしかないのだから。

 

「陸さん!? 」

「陸飛さん! 」

 

後からギンガちゃんとキャロちゃんもこの場に到着し、二人の顔は陸ちゃんの様子を見て一瞬にして悲しみの表情に変わる。勿論僕も既にその状態だ。そして二人は陸ちゃんの横に並び必死にゆりかごを上へと押す。ギンガちゃんはウィングロードに乗りながら、キャロちゃんはフリードに乗り一緒に押す。しかし、二人程度が加わった事では何の足しにもなっていない。これ以上はどれだけ集まろうと意味がないのだ。それを陸ちゃんは理解している。だからこそ一人でやろうとしている。

 

「ぐうぅぅ……陸さん……帰ったらいっぱい殴りますよ、か、覚悟……うぐっ……してくださいね!!! 」

 

「わ、私も……うう〜!? 今度ばかりは許しません!? ……ぐぅ〜!? 帰ったらいっぱい怒ります!!! 」

 

「ぐっ!? ば、馬鹿かよ……うっ!?お前らは……ま、 全く……はぁ……はぁ……フフ、60%ぉぉぉおおおおおおおお!!! うぐっ!? 」

「「「陸(さん)(ちゃん)飛さん!? 」」」

 

陸ちゃんはさらに魔力を注ぎ筋力をブーストさせた。しかしもうこれ以上は身体が追いつけてない。陸ちゃんは身体が軋むのか少し苦しそうな声を上げる。けど陸ちゃんは尚もゆりかごを持ち上げ続け、とうとうギンガちゃんが上がれる限界高度まで来てしまい、ギンガちゃんは力尽きて下へと落下し始めた。

 

「ギンガ!? 」

 

「ギンガちゃんは僕に任せるですですよ! 陸ちゃん……絶対帰って来るです、じゃないと……じゃないと僕は陸ちゃんの事嫌いになりますですですよ!!! 」

 

「リン……ぐっ……あはは……それは……ごめんだな。ああ、約束だ。ぐぅぅおおおおおおおおおおおおお!!! 70%ぉぉぉおおお!!! 」

 

 

 

 

〜キャロサイド〜

 

陸飛さんの魔力がさらに跳ね上がる、しかも隣で見ていて感じるぐらい陸飛さんの腕の筋肉は軋むような音を立て始めていた。でもゆりかごは確実に上へと上がりもう少しで撃墜ポイントだ。私も必死に陸飛さんを手伝う、しかし力になっている気がしない。恐らく全くゆりかごを押す足しにはなっていないのだろう。けどただ見てるだけなのも私は嫌だった。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……キャ、キャロ……もういい、速く戻れ! 」

「嫌です!? 私はもう陸飛さんのそばを離れません!! 私は言った筈ですよ、私は陸飛さんが好きです、大好きなんです!!! だから、だから陸飛さんがこのまま死ぬと言うのなら私も一緒に死にます! 絶対にもう陸飛さんだけ死なせません!! 私も一緒です、陸飛さん愛してます!!! 」

 

子供の私が言っていることだ、陸飛さんが間に受けるわけはない。でもこの気持ちは本物だ、だから絶対に逃げないし陸飛さんから離れない。こんな事がただのわがままなのは分かっている、けどそれでも…………

 

「ぷっ……ククク……あっははははははは!!! ぐっ!? おおっとと!? 」

「え!?な、何で笑うんですか陸飛さん!? 酷いです!! 私がこんなに真剣にっんん!? ……り、りりりふとしゃん!? い、いいい今ぁぁぁ!? キキ、キスぅぅ…………」

 

陸飛さんがあまりに大爆笑するので私は少し怒ろうと思った、けどその途中で私の言葉は中断された。陸飛さんに唇を塞がれたからだ……陸飛さんの唇で。私は気が動転して顔を沸騰させた、もうろれつすら回っていない。

 

「ありがとうキャロ、嬉しいよ。こんな可愛くていい子俺には勿体無いと思ってたんだけどなぁ〜? ダメだわ、負け、俺の負けだよ」

 

「な、何が……負け……なんですか? 」

 

「ん? ……内緒」

「え!?どうしてですか? 教えてくださ「そらよっと!!! 」きゃっ!?……り、陸飛さん何を!? 」

 

突然陸飛さんが一瞬ゆりかごから手を放し、フリードを下に蹴り飛ばした。フリードは衝撃で悲鳴をあげ、私ごと下に落ちる。そして陸飛さんは再びゆりかごを支えた。

 

「陸飛さん!? 」

 

「おい、フリード!! その子は俺が初めて惚れた子だ!!! 絶対に怪我させるなよ? 」

 

「陸飛さん……今、なんて……」

「じゃ……な、キャロ。ぐっ……ぬぐっ……ぉぉぉおおおおお!! 100%ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! 」

 

陸飛さんの魔力がさっきと比べ物にならない程跳ね上がる。そしてゆりかごが上がる速度もさっきより速い。私もすぐにまた追いつこうと思った。しかしできなかった。何故なら…………

 

「フリード!? 何してるの!? 戻って!!! 早く陸飛さんのところに! フリード!! そんな……嫌だ…………」

 

フリードが突然下に急降下し始めたからだ。私がいくらフリードに呼びかけても言う事を聞いてくれない。そしてあっという間に陸飛さんが見えなくなりその瞬間陸飛さん向かった方向が光り輝いた。

 

「嘘……陸飛さ……陸飛さぁぁぁぁぁああああああああああああん!!! あ……ああ……うっ、ひぐっ……いやぁぁぁぁあああああああああああああ!? 」

 

 

 

 

〜ヴィヴィオサイド〜

 

「いってきま〜す! 」

 

私が大きく関わったJS事件……それからはやくも4年の月日が流れた。私はなのはママとフェイトママと一緒に住み、本当の家族になった。他のみんなもそれぞれの道を歩み、元気で過ごしている。そしてお兄さんは……結局帰って来なかった。誰も帰って来た姿を見ていない。しかもお兄さんがゆりかごを撃墜ポイントまで持っていったという事実は管理局の人間以外には公開されなかった。だからミッドの住人はお兄さんのおかげで今があると言う事を知らない。しかし誰もこの事を抗議しなかった訳じゃない。リンさんやキャロさん、私やなのはママ達もこれについては断固戦った。でも上の人はそれを取り合ってくれなかったのだと言う。

 

「今日から新学期だねぇ〜? 」

「うん、そうだね。そうだ、ねぇ〜知ってる?今日学校に新しい先生来るんだってよ? 」

 

「そうなんだ」

 

それでもお兄さんを知っている管理局員はお兄さんの事を尊敬し英雄のように讃えた。しかしそれも時が経つにつれそれも段々と話されなくなり、お兄さんに関わった人間以外お兄さんの事を知っている者は誰一人いなくなった。それでもある一つの噂としてお兄さんの事は残っているそうだ。その噂とは管理局が人手不足で機能しなくなった時、その誰かは……誰にも気付かれずに膨大に残っている仕事を終わらせる。だから管理局が人手不足で潰れることはない。何故なら管理局には…………

 

「あ、先生来るぞ! 」

 

「皆さんさん! おはよよ〜ございま〜す! 初めましてん? 今日からこのクラスの担任なんかになっちゃっちゃ……すず、ん? 突然立ち上がってどうかしましたか? え〜と……ふむ、高町ヴィヴィオさん? 」

 

「嘘……。ぉ……ぃさん? 」

 

「およ? ……フフ」

 

何故なら管理局には誰にも見えない幻の残業局員がいるのだから……と…………

 

 

第1章《幻の残業局員》……完

 

 




え〜一応本編は完結という事ですがそれは第1章とさせて頂きます。

続き?

あります!

でもその前に過去話が入りますのでこの話以降お付き合い頂けるようでしたらまたよろしくお願いします。

次回もよろしくお願いします。

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