魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜

ではよろしくお願いします。


第36話《エースオブエースと瞬殺の物差し》

〜ティアナサイド〜

 

「はぁ、はぁ……まずい、このままじゃ時間の問題。魔力も残り少なくなってきたし」

 

私は今運が良いのか悪いのか戦闘機人三人と交戦状態になった。しかしその最中足を負傷し完全に部が悪くなってしまった。今は隠れて色々思考を巡らせるがあまり良い方法が浮かばない。一旦引こうにもこの場所は結界で閉じられていて逃げることも許されない。

 

「はは、まったく……なんでいつもこんなにしんどいのよ。自分の運を呪いたいわよ本当」

 

敵の連携は信じられない程固い。ただでさえ動きにくい状態なのにあのコンビネーションはまともに相手に出来ない。だけどあのコンビネーションにもどこか穴がある筈。そう過程をおいて頭を必死に回転させ相手を分析する。すると一つ思いついた。けど…………

 

「うわぁ……しんど。どうしてこう、しんどいやり方しか思いつかないのかしらね。まぁでもこのままやられるよりマシか」

 

《発見されました。4方向からまっすぐ来ます》

 

「ん?4?敵は三人とだった筈じゃ!? 何よそれ」

 

せっかく思いついた策も四人となればまた別の話だ。まずい、完全に手詰まりだ。そう思って焦っている間に壁を破り三人の戦闘機人が私の前に現れる。でもおかしい、4方向という事は後一人は何処に……でも今は三人しかいないならさっきの策でいけるかもしれない。そう感じ私はその策で続行する事にした。どうせもう一人が出てきたら終わり、なら足掻く。

 

(ここだ! )

 

戦闘機人達が動き出す瞬間、待機させていた魔力スフィアを左右に放ち、二人の戦闘機人に避けさせる。そして隙が出来たところにもう一人の射撃型、そいつに向け魔力スフィアを放った。私の魔力スフィアが着弾した時、そいつの攻撃も発射寸前だった為、着弾点で暴発しその戦闘機人は気絶する。さらに最初に放った魔力スフィアの一つを今の暴発によって生じた煙にまじえ赤く光る剣を持った戦闘機人を気絶させた。

 

「はぁ……はぁ……あ、貴方を保護します! 今すぐ武装を解除しなさい! はぁ……はぁ……? あ……れ? 」

 

不安だったが二人の戦闘機人を倒す事に成功した私は最後の一人に向けクロスミラージュを構えそう言った。しかしここで問題が起きた、意識が朦朧としてきたのだ。恐らくさっきの打ち合いで脳を揺らされた為だ。立っていられず私はその場に倒れふせる。

 

「ちっ、好き勝手やってくれたな?でももう終わりだ……っ!?誰だ!?」

 

私が倒れた直後誰かが後ろから歩いてきた。私はさっきクロスミラージュが言っていた、敵が来たのだと思い。もう私は諦めていた。身体は動かない、さらにはここで増援だ。一人じゃどうしようもない。

 

「てめぇ……どうやって結界の中に入って来た!?」

 

「あれ?気がつかなかったの?あんなもん壊したよ?」

 

それを聞いて私は顔を上げた。するとジーパンに普通のポロシャツを着て青く袖のない革ジャンをきた男の人が私の前に立っていた。敵の驚きようからしてこいつらの味方じゃなさそうだ。

 

「何? くっ……ふざけるな!?」

 

「鉛筆……槍術……」

「え!?え、えんぴつ!?」

 

その男が出した物を見て私はあいつの面影を見た。絶対おかしい。ボールペンもおかしかったがこれはもっとおかしい。だって鉛筆だ。あんなもんすぐ折れる。

 

「《黒鉛組手》」

「え!?ぎゃっ!?」

 

「ええ……槍術って言うから刺すのかと思ったのに……組手って…………」

 

革ジャンの人に戦闘機人が拳を向けて攻撃を仕掛ける。しかしその人は鉛筆の後ろで拳を下に叩き落としそのまま相手の顎に鉛筆を直撃させた。それで戦闘機人は簡単に気絶した。そして私を立たせてくれた。

 

「あ、あの?貴方は?」

 

「ああ、俺は「こ〜く〜ん! 」っ!?ってバカ!?急に飛びつくな!?ドフっ!?」

 

「ちゃんと受け止めてよぉ〜。ふふ♪ ねぇ〜ねぇ〜それよりこ〜君、私もう我慢できないよぉ〜? こ〜君の大事なそれ見てたら私興奮してきちゃったぁ〜。早くこ〜君のそれ、私のここに入・れ・て?」

 

突然私を助けてくれた人を押し倒した茶髪でストレート髪の女性は思わず顔が赤くなるような恥ずかしい事を言い始めた。まさか……こんな所で……私もいるのに。そう思い目を離せない。

 

「しょうがないなぁ〜? じゃ〜やるか「やるかじゃない!? 」……ダメ? 」

 

「当たり前よ!? 一体こんな真っ昼間から何始める気なの!? しかもこんな所で!? 」

 

「何って……鉛筆削りだけど? 」

「へ? 」

 

よく見ると女の人が小型の鉛筆削りを出し、革ジャンの人がそこに鉛筆を入れようとしていた。私は自分の勘違いだった事にようやく気づき一気に顔を沸騰させる。しかしそれもしょうがないことだと思うのだ。

 

「だ、だったらそんな紛らわしい言い方するんじゃないわよぉぉぉおおおおおおおおお!!! しかもなんでこんな所で鉛筆削るのよ!? てかゴミもって帰りなさいよね!? 」

 

人の目も気にせずその場で抱き合いながら鉛筆を削り始めた二人の変人に私は頭を抱えた。けどまぁ……おかげで助かったのは感謝しなればいけない、そう……思った。

 

 

 

 

〜なのはサイド〜

 

「リッ君……ごめんね」

 

「トドメだ、ペン技近式……四の型……《黄「でぇぇぇりゃぁぁぁあああああああああああああ!!!」な、がっ!?」

 

私にトドメを刺そうとボールペンを向け構えていたワークエスケーパーが突然横からぶっ飛ばされた。そして誰かが私の前に立つ。私の意識は一気に覚醒しその人物を見た。するとそこにいたのは黒い着物を来て緑色のツインテールをしている久々に見た私の友達だった。彼女は私に手をかざすと魔法で私の傷を治療していく。完全ではないがもう痛みもほとんどない。これでまた戦える。

 

「これはこれは、エースオブエースともあろう人が情けなくも殺されかけてたですですか? あまり無茶してると僕もそろそろ怒りますですですよ、なのりん? 」

 

「にゃはは……返す言葉もないや。ありがとうリンりん、助かった。久しぶりだね? 」

 

「本当ですです。こんな状況じゃなきゃいつまでもお喋りしていたいですですが今は目の前の事に集中するですです」

 

そう言ってリンりんは私の手を掴むと私を立たせてくれた。そしてリンりんにぶっ飛ばされたワークエスケーパーは立ち上がりヴィヴィオの横へと並ぶ。それを見て私とリンりんも身構え相手の出方を見た。

 

「リン・ストーン、お前はどれだけ私の邪魔をする気だ? いい加減面倒くさくなってきたぞ? 」

 

「ふん、何を言っていやがるですですか? 僕は言った筈ですですよ? これ以上誰も殺らせねぇ〜て? 今日で最後にするです。少尉、貴方を殺しますです! 」

 

殺す……そう聞いて私は少し悲しくなった。リンりんは友達だ、だから出来れば人を手にかけて欲しくない。でもワークエスケーパー相手ならそれも止む無しだ。加減して勝てる相手じゃない。けどリンりんの服装……なんで戦闘しに来て着物を着ているのだろうか? 動きにくくて戦いづらいと思うのだけど。

 

「フン、やれるものならやって見ろ。とは言え、お前のその身なり……どう言うつもりだ?『筆箱』時代にでも戻ったつもりか? それで勝てるだと? くだらん!所詮思い込みだ、気持ちだけでは何も変わらない」

 

「なのりん? なのりんに言わなきゃいけない事がありますです。僕はなのりんに隠している事がありますですですよ」

 

「隠している事?」

 

リンりんは構えたまま喋り始めた。ワークエスケーパーもそれを何かの覚悟と受け取ったのか何もしないで待っている。そしてリンりんの震えた声色から凄く不安なんだと伝わった。

 

「僕は初めてなのりんに会った時、元武装隊の事務員と言いましたがあれは真っ赤な嘘です。あの時なのりんが友達になろうと言ってくれて嬉しかったです。だから自分の事を知られるのが怖かった。なのりんに嘘を言いましたです。僕は管理局のある特殊部隊の部隊長でした。僕はそこで沢山の人を殺してきたです。勿論したくてした訳じゃないですですよ? 殺らなければ仲間が殺られる。殺らなければ自分が殺られる。そう言う任務を扱う部隊でしたです。だから……これを言ったらなのりんに嫌われると思っ「ならないよ」え…………」

 

「それを聞いてもリンりんを嫌いになんてならない。私だって前線に出た事あるんだよ? だからしょうがないと言うのは本当はダメだけど……私はどんなリンりんでも大好きだよ? 」

 

私がそう言うとリンりんは少し泣いていた。でもすぐに涙と拭って前を向く。もうその背中に迷いは見えなかった。私は今言った言葉を曲げるつもりはない。例えリンりんがそこでどんな酷い事をしたとしても私はリンりんの友達だ。何故ならリンりんは悪人じゃないから!

 

「なのりん……ありがとうですですよ。」

 

リンりんはそう言ってワークエスケーパーに定規を向ける。と言うか……リンりんの武器って定規だったんだ……初めて知った。なんか武器のシュールさがリッ君と重なる。

 

「少尉、貴方の相手は僕が務めますです! なのりんはヴィヴィオちゃんをお願いしますですよ」

「うん! 」

 

リンりんがワークエスケーパーの相手をしてくれるならまだなんとかなる。ヴィヴィオと約束したんだ。だから必ず助ける。そうか誓いを約束を力にし私はレイジングハートを強く握りしめる。するとリンりんも私似合わせる様に自分の髪をツインテールにしている髪留めを取り普通のストレートにした。背が低いリンりんがそうすると長さが腰の辺りまで来る。

 

「フフ、まさに『筆箱』時代を思い出す光景だ」

 

「僕の覚悟は決まりましたです……元特殊鎮圧部隊『筆箱』、瞬殺の物差し……今一度、その最強の名に相応しい技でもって……貴方を殺しますです……三十センチ……定技…………」

 

「フン、くだらん。ペン技近式……一の型…………」

 

リンりんとワークエスケーパーは互いに睨み合った。そしてしばらく間をあけた後一斉に動き始める。

 

「《赤破》!!! 」

「《切り計り》!!! 」

 

リンりんは上から振り下ろす様に、そしてワークエスケーパーは横から薙ぎ払うように、互いに技を放つ。さらにその技は互いの武器にぶつかり物凄い音を出した。拮抗して動かない二人の武器。しかしそれも長くは続かなかった。先に動いたのはリンりん、拮抗している相手の武器に自分の武器を突き刺すように滑らせワークエスケーパーの喉元へと定規を刺しこむ。

 

「《者刺し》!!! 」

「ぬぐっ!?……ぐぅぅ、ナメるな小娘!!! 」

 

しかしそこ攻撃はワークエスケーパーが左手を犠牲にして防いでしまい、リンりんはその体重の軽さ故に簡単に腕を振ったワークエスケーパーに吹っ飛ばされる。でもリンりんはそのまま着地すると同時にワークエスケーパーに突っ込んだ。そして二人は互いのもてる最高速度の攻撃で何度も武器をぶつけ合う。その速度は打ち合うたびに速さを増し、もはや割って入る事など出来ない状態にまでなった。

 

「はぁぁぁぁあああああああああああ!!! 」

「うおぉぉぉおおおおおおおおおおお!!! 」

 

二人が激しく戦いを繰り広げる中私もヴィヴィオと戦闘を続行していた。しかし私は相変わらず元凶である戦闘機人を探している。ヴィヴィオを助けるためには必要な事だ。

 

「クリスタルゲージ……ロック!! 」

 

「くっ……こんな物、もう覚えた! ……ハァ! ヤァ! 」

 

バインドをかけてたがもうヴィヴィオは簡単に砕いてくる。でもまだヴィヴィオは私のクリスタルゲージで捕縛してある為破るにはもう少しかかる筈だ。そしてそうこうしているうちに目的のターゲットを見つけることに成功した。

 

「見つけた」

 

「ハァ!ハァァ!!! ……っ!? 」

 

「ブラスタースリィィィ!!! 」

 

私は自分の限界を無視してブラスターシステムを最後の三段階まで開放した。さらにカードリッジを7発ロードし砲撃の準備を始める。ここからターゲットのいる場所まではかなり距離がある。でも届かせる。この分厚い壁ごと撃ち抜いて。

 

「ディバイィィィィンバスタぁぁぁあああああ!!! 」

 

私の砲撃は次々と壁を撃ち抜き最深部まで進んでいく。敵も気づいた様だがもう遅い。私の砲撃はターゲットごと最深部をメチャメチャにした。だが殺してはいない。あくまで確保だ。そしてヴィヴィオは敵の制御下から離れ頭を抱え始める。私は急いでヴィヴィオに駆け寄った。

 

「ヴィヴィオ!? 」

「っ!?ダメ!? 来ないで!!! 」

 

「っ!?ぐっ!?」

 

「ダメなの……止められない」

 

どうやらヴィヴィオは自分の意思で戦闘を止めることが出来ないようで私はヴィヴィオに攻撃された。しかし防御が間に合い後ろに押し出されるだけで済んだ。早く助けてあげたい。でもその為には心苦しいけどやらなきゃいけない事がある。

 

「ヴィヴィオ……」

 

「なのはさん、ごめんなさい……あの時、なのはさんが出て行く時……お兄さんとケンカさせちゃって。ヴィヴィオ……そんなつもりじゃなかったの。本当はお兄さんの事だって嫌いじゃない。いつもヴィヴィオに笑ってくれて、飴くれるお兄さん大好きだった!? でも……ヴィヴィオ素直になれなくて、いつも嫌いなんて言っちゃってたの。だからヴィヴィオの所為でケンカさせちゃって、それに……それにヴィヴィオの所為でお兄さんが死んじゃて!? 」

 

「違う!? あれはヴィヴィオの所為なんかじゃ」

「違わない!? お兄さんはヴィヴィオを守ってくれた。助けてくれたんだよ? ヴィヴィオを守らなかったらお兄さん生きてたかもしれない。ヴィヴィオが殺したんだ!? 」

 

そんな風に思ってたなんて知らなかった。なのに私はヴィヴィオが何も知らなくてリッ君に嫌いなんて言ってるのだと思って。なら……ケンカなんかする必要なかった。もう少し話せていただけで分かり合えたかもしれなかった。けど……もう遅い。だってリッ君はもういない。

 

「ヴィヴィオ? ママと帰ろう? それでこれからずっと一緒に過ごそう? 後……お兄さんに謝らないとね? 」

 

「でも……なのはさん、ヴィヴィオの本当のママじゃ……それにヴィヴィオは偽物なんだよ!? 」

「そんなの関係ないよ」

 

「え…………」

 

「そんなの関係ない。血の繋がりはないけど……私はヴィヴィオのママでヴィヴィオはヴィヴィオ。私は好き嫌いするヴィヴィオも毎日黙ってお兄さんの所に行くヴィヴィオも甘えん坊のヴィヴィオも……全部私の大好きなヴィヴィオだよ?だから、だから私をヴィヴィオのママでいさせて? 」

 

私の言葉が届いたのかヴィヴィオは涙を流す。そしてゆっくりと私に向かい口を開いてくれた。私の事を「なのはママ」と呼んでくれた。今ヴィヴィオは私を求めてくれた、私に助けを求めてくれた。だから助ける。私は絶対にヴィヴィオを助ける。

 

「ヴィヴィオはどうしたい? 」

「いたい……もっと、もっとなのはママとみんなと一緒にいたい!!! 助けて……」

 

「助けるよ!いつだって、どんな時だって!!!」

 

その言葉が聞きたかった。今ならヴィヴィオの強い意志がある。だから絶対大丈夫。ヴィヴィオの意思が強いならばヴィヴィオは絶対我慢できる。私はヴィヴィオと打ち合い、その拳を受け止める。そしてレイジングハートに指示を出し、ヴィヴィオにバインドをかけた。私の最高の攻撃を放つ準備をする為に。

 

「ヴィヴィオ?ちょっとだけ痛いの……我慢できる?」

 

「うん……」

 

「防御を抜いて、魔力ダメージでノックダウン! いけるね? レイジングハート! 」

 

《はい! 》

 

そう尋ねるとヴィヴィオは頷いてくれた。そして私の前に巨大な魔力のスフィアが出来ていく。さらに4つのブラスタービットもヴィヴィオに向け砲撃を放つ準備を始めた。

 

「全力……全開!!!スタぁぁライトぉぉぉおおおおブレイカぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!」

 

「うっ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁ……」

 

スターライトブレイカーがヴィヴィオに直撃したところでヴィヴィオの胸からレリックが現れた。だから私は追撃を図りそれを破壊にかかる。

 

「ブレイク、シュゥゥゥゥト!!!」

 

「あ゛ぁぁぁぁ……うわぁぁぁぁあああああああ!?」

 

大きな爆発の後その爆風で発生した爆煙の所為で周りが見えなくなった。しかしだんだん晴れていく。私は身体に負荷をかけ過ぎた所為でレイジングハートを使って立ち上がるのが背一杯だった。するとヴィヴィオが元の姿に戻りフラフラとしているのが見えた私は急いで駆け寄ろうとする。しかしヴィヴィオに止められた。

 

「一人で立てるよ……」

 

そう言い一人で立ってくれたヴィヴィオに私は我慢できずに駆け寄り抱きしめた。でもその時はやてちゃんが丁度合流した。向こうではリンりんがまだ戦っている。しかしもう私は戦いに参加できない。これ以上はもう無理だ。

 

「リンさん大丈夫やろか……」

 

「リンりん…………」

 

リンりんとワークエスケーパーは激しい打ち合いをまだ続けており、互いに武器を破壊しては新たに武器を出して打ち合い続けている。一体何処から出しているのか分からないが二人の足元には残骸がたくさん落ちていた。

 

「うおぁぁぁあああああああ!!!」

 

「はぁぁぁぁああああああ!!!っ!?な!?なんでです!?しまっ!?うわぁぁぁああああああああ!?」

 

「リンりん!?」

 

突然周りの一切の魔力結合が出来なくなった。当然魔力を使い攻撃を放っているリンりんは速度が落ち、戦闘機人の身体を持つワークエスケーパーは速度が落ちることなく攻撃を続行する。よってリンりんはワークエスケーパーのとんでもない量の攻撃を受けてしまい、私達の所までぶっ飛ばされてしまった。ボロボロのリンりんを抱え起し、無事か確認する。しかしあまり良くなかった、リンりんの両腕は今の攻撃で完全に骨が折れていた。これでは動かすことも難しい。

 

「リンりんしっかりして!?」

 

「あはは……僕だけカッコ悪いですですね」

 

そんな事はない、リンりんはこれ以上ないくらい助けてくれた。リンりんがいなければヴィヴィオも助けられず私も死んでいる。そう思っているとワークエスケーパーがこちらにゆっくりと近づいてくる。私達は身構えながら睨む。けどそれしか出来ないのだ。ここは封鎖され逃げられない。しかも私達は魔力がなければこの男に何の抵抗もする事が出来ない。

 

「はぁ……はぁ……手こずらせてくれたな?だが今度こそ終わりだ。さぁ、覚悟っ!?な!?」

 

「「「「っ!?」」」」

 

ワークエスケーパーが振りかぶり私達に攻撃を仕掛けようとした瞬間、私達とワークエスケーパーの間に何処から入って来たのか誰かが割って入って来た。それも……真上から。当然私達もワークエスケーパーも突然の事態に驚きを隠せない。顔を確認しようにもフードで顔が見えない。

 

「貴様何者だ!?邪魔だ!どけ!!!っ!?がはっ!?」

 

少し感情的になっているワークエスケーパーはそのフードの人に攻撃を簡単に避けられ蹴り飛ばされる。そしてフラフラと立ち上がったワークエスケーパーの顔は怒りで歪んでいた。

 

「ぐっ……貴様……やってくれたな……生かして帰さんぞ!?」

 

「帰るつもりはない、あんたを殺すまでは……な?」

 

そう言い目の前の人はフードを脱ぎ捨てた。しかし、その顔を見て私達は誰一人声を発する事が出来ない。信じられない……目の前にいる人間が本物なのかが。だって……目の前にいるのは…………

 

「リッ……君?」

 

そう……今私達の目の前いるのは黒い服を着て腕や足、胸から腰まで身体中にボールペンの入ったホルダーを巻きつけたリッ君だった。

 

 




次回もよろしくお願いします。

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