魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜!!!

皆さん新年明けましておめでとうございます!!!

今年もよろしくお願いします!!!!

さぁ〜今年も頑張って書きまするよ〜。

では、よろしくお願いします!!!


第32話《残された者への希望》

〜チンクサイド〜

 

「くっ……どこまでデ、デタラメな奴なんだ…………。ん?」

 

私達はタイプゼロと未だ戦闘を続けている。こいつはどこまでデタラメなのか……私達3人がかりで互角、いや……それ以上とは…………。しかもモニターに映っている陸さんとやらが傷ついて弱る度にこいつは力を増していく。このままでは押しきられてしまう。そう思っていた、だがタイプゼロが突然目を見開き呆然と口を開けたまま動かなくなった。一体何が起こったのかと思ったがモニターを見たらその訳が分かった。暗殺対象の男が死んだからだ。暗殺は無事完了。

 

「嫌……そんな……陸さんともう……それじゃ……私これから…………」

 

「今がチャンスだ、姉に続け!」

 

「「了解!」」

 

ここが最後のチャンスだと思った。ここを逃せば奴は恐らく狂ったように襲いかかって来る。だからその前に叩く。正直こちらもそろそろ限界だ。

 

「……陸さん……っ!?しまっ!?」

 

「「「いっけぇぇぇぇえええええええ!!!」」」

 

私達は渾身の、ありったけの攻撃を叩き込む。それこそもう起き上がってこないと言える程にタイプゼロを機能停止へと追い込む。

 

「ぐっ……あ……がぁぁあああああああああ!?」

 

タイプゼロの悲鳴がこの空間に響き私達の攻撃は全てクリーンヒットした。これによりタイプゼロはピクリとも動かなくなった。私はホッとしてため息をつく。何とか妹達と共に生き残れた。こんなはずじゃなかったのだが。

 

「あ……ああ…………」

 

ホッとしたのも束の間、ファーストを助けに来たのかタイプゼロ、セカンドが現れた。しかも感情が暴走し魔力が安定してない。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあああああああ!!!」

 

私は思った、こっちも……手がかかりそうだ……と…………

 

 

 

 

〜リンサイド〜

 

「1㎝!!!」

 

「ぐっ!?」

 

守れなかった……

 

「2㎝!!!」

 

「ぬぐっ!?」

 

陸ちゃんを……守れなかったです……

 

「3㎝!!!」

 

「クソっ!?」

 

僕は1㎝ずつ切り込みを深くし少尉を追い詰めていく。しかし、少尉もそこら辺の使い手とは違う。僕の攻撃を紙一重で躱し防いでいく。でも僕は止まらない。さらに攻撃を加速させる。

 

「4㎝!!5センチぃぃぃぃいいいいいいいい!!!」

 

「ぐがっ!?」

 

最後の攻撃が通り少尉の得物は砕け散る。そして少尉は僕の攻撃を防ぎきれずに頬をかすめた。切れた頬からは血が流れ始め少尉は僕から距離をとるとそれを拭う。

 

「ちっ……全く、面倒な奴だ。あそこで確実にトドメを刺しておくべきだったか。流石……元筆箱、最強の使い手。私とは格が違うか?」

 

「筆箱最強……そんな肩書き……関係ないですです。僕は……守る為に力を手に入れたです。その為に強くなれたです……勿論陸ちゃんも…………。少尉は分かっているですか?もし陸ちゃんが本気だったら……貴方はもうここにはいないですですよ!?」

 

僕がそう言うと少尉は意味の分からない顔をしている。けどそれは当たり前だ。誰が理解できる?誰がそれを認めてくれる?自分の大事な者が奪われる状況で……自分の命が奪われる状況で……陸ちゃんは愚かな真似をしたです。本当なら絶対やってはいけない事です……敵に手加減して戦うなんて。陸ちゃんは優し過ぎるです。きっと……二度自分の手で少尉を殺す事が陸ちゃんにはできなかった。だから無意識的にでも力を抑えてしまった。本来の型を使わずに……少尉を死なせないように…………

 

「何が言いたい……まさか?陸飛が手加減していたとでも言いたいのか?フフフ、あり得んな?陸飛が私より強い?それはない。私の力は昔に比べ格段に上だ!それに比べ陸飛は以前より腕力は格段に上がっているが魔力を完全に失っている。それで私に勝てるだと?フフフ、笑える冗談だ」

 

「それが分からないなら……少尉は大分腕が落ちましたですですね?陸ちゃんが魔力を失って弱くなった?違うです!?逆ですですよ!陸ちゃんは強くなった、魔力を失う前より格段に!!!」

 

そうだ……陸ちゃんがこの8年間どれだけ努力したか……どれだけ大変だったか、今の少尉なんかに分かるわけない。少尉の尻拭いももう終わって、やっとこれから自分の為に時間を使えるようになったですのに…………

 

「そろそろ救援も来る頃だ、私はこれで失礼するよ。もう会いたくはないがさらば……っ!?いない……どこへ……がはっ!?」

 

少尉がその場を離れようとした瞬間僕は自分の得物で少尉を後ろから叩き飛ばした。少尉は僕の存在には気付いたが対応が間に合わずにまともに僕の攻撃を受け近くの壁に叩きつけられた。

 

「ぬうぅ……こ、この糞ガキが……ぐっ…………」

 

「定技は筆箱で最速ですですよ?忘れたですですか?僕の得物は決して捉える事などできない……間合いに入った物を何であろうと両断する、それが定技の真髄です!ペン技如きが調子にのるんじゃねぇ〜ですですよ?……っ!?少尉……貴方は…………」

 

僕がこう攻撃を当てた場所は何故か火花が散っていた。よく見るとケーブルやら何やらが飛び出ている。少尉が以前より格段に強くなったのはこれが原因ですですか?身体を……戦闘機人としての身体に変えていたとは…………

 

「ちっ……流石だ。だが今日はこれで失礼する。ペン技近式……零の型…………」

 

「零?馬鹿な!?ペン技は全部で五型までしか無いはずですです!?」

 

そうだ、ペン技は近式と遠式……その二型を基盤にそれぞれ五型五色までの技しか存在しない筈。でも今少尉が放とうとしているのは零……僕の知らない技、恐らく陸ちゃんも知らない…………

 

「《白光》!!!」

 

「な!?」

 

それは一瞬だった、僕が捉えきれないほどの速度。少尉のボールペンが白く光り辺りを包み込む。その光の所為もあるが少尉の攻撃速度が捉えきれなかった。僕の得物は砕かれ地面に散らばる。直撃は避けた為に怪我はないがさっきまでそこに倒れていた戦闘機人共々少尉はその場から消えた。完全に逃げられた。

 

「くっ……油断したですです。陸ちゃん……ごめん……なさいですですよ…………」

 

 

 

 

〜キャロサイド〜

 

「陸飛さん……どうか安らかに…………」

 

私は陸飛さんが沈んだ所で花束を投げ、手を合わせる。あれから3日が過ぎた。私が目を覚ました時、周りは大分混乱していた。だけど六課の皆が無事なのを見て少し安心できた、ギンガさんとヴィヴィオ……陸飛さん以外は…………。ギンガさんとヴィヴィオは敵に攫われ、陸飛さんは沈んだまま発見されずに死亡扱いになった。はやて部隊長もせめて遺体だけでもと探す為に動いた様だが状況が状況だけに探す許可が下りなかったようだ。モニターの映像とその場にいた私やリンさんの意見を複合して確実に即死だろうと判断された。でもそれは覆りようがない、心臓を貫かれて生きてる人間がいるだろうか?……いるわけがない。

 

「キュクル……」

 

「うん、私も悲しいよフリード…………」

 

フリードは悲しい顔で鳴いている、勿論私も悲しい。いつまでも泣いていた位くらいだ。けどそれをしたら必死にヴィヴィオを守った陸飛さんに対して顔向けできない。助ける、ヴィヴィオを助け出す。それが陸飛さんに今できる事だ。きっと天国にいる陸飛さんに見せられるせめてもの事だ。だけどヴィヴィオの場所は未だ掴めていない。六課は巡航船であるアースラに本部を移し復帰した。今隊長達が必死に対策を練っている。せめて……ヴィヴィオ達の居場所が分かれば六課も動きようがあるのだけど。

 

「陸飛さん……私達はどうすればいいですか?このまま……ん?どうしたのフリード?」

 

「キュクルー!!」

 

私がしゃがんで落ち込んでいるとフリードが私の袖を噛んで引っ張る。向こうに何かがあるらしい。私はフリードが言っている方へ目を向けた。すると陸飛さんが丁度戦っていた所に一本のボールペンが落ちていた。

 

「これって……間違いない陸飛さんのだ。戦ってる最中に落としたのかな?ん?ここ外れる……え!?これ…………。フリード!?急いで隊長達の所に!?」

 

希望はまだ残ってる、陸飛さんが残してくれた。

 

 

 

 

 

〜はやてサイド〜

 

「現状スカリエッティの手がかりはなしや、けど、諦めるわけにはいかん。これからできる限りの人員で「すいません!?」……キャロ今大事な会議中やで!?」

 

隊長達で会議をしている最中キャロが会議室に呼び込んできた。流石に私はキャロにすぐ出るように言うがよく考えればキャロだってそんな事分かっていない訳がない。私は少し冷静になりキャロの話を聞く事にした。

 

「部隊長、これを!」

 

「これ?これって……ただのボールペンやないか?」

 

「はい!陸飛さんのです!陸飛さんが……亡くなった場所に落ちてました。」

 

という事は形見か?まさかこれだけの為に会議を止めたんかいな……これは後で説教やな。そう私は思った、しかしそれは間違えだった。よく見るとボールペンだと思ったそれは半分にでき中には何やら赤く点滅するチップが入っていた。私はこれが何か知っている、勿論キャロもやろう。

 

「キャロ……これ受信機やろ?まさかとは思うけど……ヴィヴィオが送信機持ってるんか」

 

「恐らく持ってます!陸飛さんがヴィヴィオにあげたボールが一本だけあるんです!?」

 

私はそんな所を見た訳でも聞いたわけでもないから分からんけど、フェイトちゃんが知ってるみたいや。この話を聞いて突然立ち上がった。

 

「私覚えあるよ!陸飛がヴィヴィオにボールペンあげたの知ってる。私もその場にいたから。でも本当にそのボールペンに発信機ついてるのかな?」

 

それは分からへんけど、これを解析すれば分かる。鈴木君が残した僅かな希望……使わせて貰うわ。

 

「キャロ、お手柄やで!よし、すぐにこれを解析するんや!」

 

私はキャロを褒める、けどキャロはそれを否定した。それは自分の手柄ではないと言う。けどこれを見つけたのはキャロやしここにいる全員それは認めるはずやで?例えこれがそうじゃなくても、手がかりを見つけたことに変わりはない。しかしキャロの次の言葉で私達は納得して受け入れた。

 

「陸飛さんのお陰です!」

 

 

 

 

〜リンサイド〜

 

「リンちゃんも戦場に出るの?」

 

「はいですです。陸ちゃんの代わりに戦わないといけないですから。」

 

僕は今リンディさんの所に来ている。あの夜の報告と僕の出撃許可をもらう為だ。何故なら本来僕は戦場に出る役職ではない。だから上司であるリンディさんの許可がいるのだ。

 

「さっき連絡が来たわ、六課がヴィヴィオちゃんの場所を突き止めたそうよ?こっちも敵のアジトを突き止めたわ。それから……ヴィヴィオちゃんを見つけられたのは陸飛君のお陰みたい、陸ちゃんが事前にヴィヴィオちゃんに発信機をつけた様なの。」

 

僕はそれを聞いて驚く事はなかった、ただ相変わらずだなぁ〜と思ったですです。陸ちゃんはどこで何をするにもただでは終わらない。何かしら残して消えるです。残業部での仕事でもそう……自分はふざけて見せて、みんなは少しイライラしながら仕事をしている。だけど陸ちゃんが去った後誰に聞いても陸ちゃんが嫌いな訳じゃない。なんだかんだで陸ちゃんはみんなを自分の味方にしてから去る。確かに例外もいるかもしれない。けど陸ちゃんはどんなに取りこぼしてもすくいだす……最後には…………

 

「ねぇ〜リンちゃん?リンちゃん……陸ちゃんが死んで「それ以上は言わなくていいですですよ?」で、でも貴方…………」

 

「僕は……陸ちゃんが安らかに眠ってくれれば満足ですです。それ以上は何も望みませんですよ。」

 

確かに僕は陸ちゃんと知り合ってからのこの9年間……陸ちゃんと過ごすのが楽しかった。一緒に仕事をして、部署は違うけど……どちらも必要な、互いに協力し合う仕事で。それで……陸ちゃんがいなくなって……僕は気付いたですですよ………

 

「リンちゃん!?」

 

「え?……あはは……ダメですね……これから戦場ですのに……うっ……な゛み゛だが……どまら゛ない゛でずよ…………ひぐっ……うわぁぁぁあああああああああああぁぁぁぁ…………」

 

人間は失ってから気付くんだ……それが何より大事だという事を…………

 

僕がその場に崩れ泣いているとリンディさんが僕を抱きしめた。その温もりはとても暖かくて……僕が我慢してる物が全て溶かされ出て行ってしまうような。

 

「いいのよ?泣きたい時は泣いても…………」

 

「ううっ……うっ……うわぁぁぁああああん!?りぐぢゃん゛、嫌でず……いなくなっだら゛……嫌ぁぁ…………」

 

僕はしばらく泣き続ける。リンディさんに抱きしめられながら……慰められながら。止まるわけがないのだ、何故ならこの涙は……好きな人を失った涙なのだから…………

 




次回もよろしくお願いします!

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