魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜。

毎度感想頂いてる方読んで頂いてる方ありがとうございます!

ではよろしくお願いします!


第20話《極式》

〜はやてサイド〜

 

「それでシャマル、鈴木君の容態は?」

 

「正直良くないわ……毎晩の睡眠不足で陸飛君の脳と心臓にはかなりの負担がかかってたみたい。昨夜、陸飛君が倒れていた時……心筋がかなり弱ってた。だからキャロも心停止したと勘違いして陸飛君が死んだって思ったみたいだけど……まだ危ない事に変わりはない。絶対安静よ。」

 

それを聞いて私は胸が張り裂けんばかりの気持ちだった、鈴木君は今だに一人で残業を続けていたんや。

 

今朝……鈴木君が倒れたって聞いて急いで医務室に向かった、でもその途中……通り道の鈴木君の部屋のドアが空いてたんや。

 

だから覗きたくなくても自然に目に入ってもうた、書類の散乱した部屋を……しかもそこで苦しみに悶えたかの様に……部屋に残った痕跡…………

 

「大分苦しかったんやろうな……鈴木君…………」

 

「でしょうね……あれじゃ、息もまともに出来なかったと思うわ。」

 

どうして鈴木君はここまで自分を捨てて頑張るんやろうな……

 

こんな事なら……あんなに怒鳴るんやなかったで…………

 

鈴木君を完全に信用して普通に仕事をしてたと思い込んだ私の責任や。

 

まさか……仮部屋に書類持ち込んでまで残業してるなんて思わんかった。

 

「私が悪いんかなぁ?「違うわ!」……シャマル?」

 

「はやてちゃんは悪くなんかない。これは誰も悪くなんかないの……。ただ……今の世の中が悲しいだけ。」

 

どう言う意味や?

 

と言うか……シャマルは随分鈴木君に詳しい……あ!

 

「そう言えばシャマル、鈴木君と前から知り合いやったんやよね?鈴木君について知ってる事があるなら教えて欲しいんやけど「ダメよ!」え……なんでや!?」

 

シャマルがこんな事言うの初めてや……それになんでそんなに…………

 

「ごめんねはやてちゃん。でも陸飛君については何一つ教えられない。私達は陸飛君に対してどんなに返しても返しきれない恩があるの。だからそんな陸飛君が望まない事は教えられない。」

 

それを言ったシャマルの表情はとても印象的やった……今まで一緒に過ごして来て初めて見る表情。

 

その顔には確かに感謝が見えるけど……それ以上の悲しみを感じる。

 

それに私達?

 

私達って誰や?

 

私も入ってるんか?

 

でも私が鈴木君と初めて会ったんはこの部隊が初めてやで?

 

私は疑問に思ったが今は置いといて鈴木君について諦めずに聞くことにした。

 

「シャマル……それでも私は「ダメ、ダメったらダメ!」……分かった、鈴木君が言ってくれるまで待つ事にするわ。」

 

けどやっぱり教えて貰えず諦めた、まぁ……最後に鈴木君の様子でも見て戻ろうか?

 

「今鈴木君は何処におるんや?顔だけ見て行くわ。」

 

「そこの部屋よ。でもまだ眠ってるわよ?」

 

シャマルが指差した先を確認し私はその部屋のドアを開けた、でもそこに鈴木君はいなかった。

 

一瞬思考が停止し、すぐ我にかえるとシャマルを呼んだ。

 

「シャマル、鈴木君がいないで!?」

 

「え!?そんな、まだ動ける状態じゃ……な……い。」

 

私が言った事を信じられず自分で確認しに来たシャマルは空の部屋を見て固まった。

 

その部屋のベットは毛布がめくられ誰かが寝ていた形跡は確かにある、だから私はそれだけに鈴木君がいない事を心配した。

 

すると私達の方へ風が吹き込む、何だと思い私達がその吹き込んだ風の方を見ると窓が開いていた。

 

恐らくここから外へ出たのだろう。

 

「そんな……馬鹿な……あの身体でまともに動ける筈…………。はやてちゃん、この窓から出たら着くのは訓練所「そうや!この先は訓練所に出る筈や!」じゃ、急ぎましょう!全く……本当に困った患者だわ!!!」

 

私達は急いで訓練所へと向かう、動ける状態じゃない筈の鈴木君を止めに…………

 

 

 

 

〜キャロサイド〜

 

「あのティアナさんは幻影!?」

 

私は今スターズの模擬戦を見ている、その次は私達なのだが何かティアナさん達の動きがおかしい。

 

模擬戦相手であるなのはさんを倒しにかかってると言うかなんと言うか……勿論勝つことが目的ではあるのだけど。

 

何か凄く違和感が……なのはさんの顔も少し険しい。

 

そんな事を思ってる時だった……私達の横の方で誰かが躓く様な音がした。

 

皆は模擬戦に集中していて気づいていなかったが、私は音のした方を見る。

 

「え……陸飛……さん?」

 

そこには片膝をついて息を切らしている陸飛がいた、それを見た私は急いで陸飛さんの元へ走る。

 

皆は私が急に走り出した事でやっと陸飛さんに気づいた。

 

陸飛さんが倒れたのは皆が知っている、理由までは知らない。

 

でも倒れたのは聞かされている。

 

「陸飛さん、何やってるんですか!?早く医務室に「はぁ……はぁ……うっ……いや……いい。」陸飛さん!!!」

 

陸飛さんは全然私の言う事を聞いてくれず、整わない息の中立ち上がりフラフラと歩き出そうとする。

 

「ダメですよ陸飛さん!?お願いですから医務室に戻ってください!?「……大丈夫……だから……」何処が大丈夫なんですか、今にも倒れそうですよ!?」

 

それでも陸飛さんは大丈夫と言い私の言う事を聞いてくれない。

 

「陸飛、今すぐ医務室に戻って!?一体何を考えてるの!!!」

 

「そうだ鈴木!?早く医務室行け!!!」

 

フェイトさんとヴィータ副隊長も満足に動けない状態が明らかな陸飛さんに医務室に戻る様に怒鳴る。

 

「そうです陸飛さん、戻ってくださ……陸飛さん?」

 

すると突然陸飛さんが今模擬戦をしているティアナさん達の方を見て、見たことない位険しい顔になった。

 

私達はそれにつられその方を見た。

 

「え…………」

 

そこには全員が目を疑う光景が広がっていた、さっきスバルさんがなのはさんに攻撃している最中……別の場所で砲撃を放とうとしたティアナさんは幻影だった。

 

でも今ティアナさんはスバルさんのウィングロードを走り丁度なのはさんの真上に行った、そしてティアナさんはクロスミラージュから魔力刃を出し上からなのはさんに攻撃を仕掛ける。

 

この時私は後悔した模擬戦に目を向けず陸飛さんを押さえておくべきだったと、何故なら陸飛さんに視線を戻した時さっきまでそこにいた陸飛さんが消えていた。

 

そしてその代わり……ティアナさんの攻撃が何故かレイジングハートをモードリリースしたなのはさんに当たる瞬間、ティアナさんが横から吹っ飛ばされた。

 

その理由は陸飛さんがティアナさんを蹴り飛ばし、その後なのはさんとスバルさんの前に着地したからだ。

 

 

 

 

〜なのはサイド〜

 

「がっ!?」

 

「ティア!?」

 

私が二人攻撃を素手で止めようとレイジングハートをモードリリースした時だ、上にいたティアナを何処から来たのか鈴木君が蹴り飛ばした。

 

その蹴りを受けたティアナはすぐ近くのビルの上にぶっ飛び私の前に鈴木君が着地した、でもそのまま鈴木君は膝を着く。

 

何だか息も切れていて顔色も悪い。

 

鈴木君が倒れたのは私も聞いていた、だから今こんな所にいる鈴木君に驚いている。

 

でも同時に大丈夫なのかと心配になった。

 

「鈴木君何してるの!?そんな状態で「模擬戦の邪魔をして……申し訳」なに言ってるの!?そんな事いいから早く医務室戻って!?……ちょっ!?」

 

私が何を言っても聞こうとせず鈴木君は立ち上がるがすぐにフラつき倒れそうになった。

 

「鈴木君大丈夫!?」

 

けど倒れそうになる鈴木君を私が支え鈴木君は倒れずに済んだ、今の鈴木君の状態は危ない……医療の知識がない私でもわかる位に鈴木君は弱っている。

 

「すいま……せん。フラつきまし……た。」

 

ダメだ……私の言ってる事が聞こえてない、なんで鈴木君は……一体何を考えて……

 

すると鈴木君は私からフラつきながらも少し離れティアナが吹き飛んだ方へと視線を向ける。

 

「何なのよ……一体何なのよ!!!この間と言い、今と言い私の邪魔ばっかり!!!何がしたいんだ、答えろ!?今すぐ答えろ鈴木三等陸士!!!」

 

いつの間にか立ち上がっていたティアナが鈴木君に激怒した、かなり感情的になっている。

 

今日のティアナ達は少しおかしかった、だから私も二人に分かって貰おうと思ってレイジングハートをモードリリースした。

 

「言った……筈だぞ?もし誰かを傷つける様な真似をしたら……ねじ伏せるってな!」

 

鈴木君……ティアナにそんな事を?

 

「ふざけるな!?私は誰も傷つけてなんか「ふざけてるのはお前の方だ!!!」っ!?」

 

突然鈴木君が怒声を放った、それは今まで見たことのない鈴木君だった。

 

鈴木君がこんなに大声で怒鳴る所を私は見たことない。

 

「はぁ……はぁ……お前のさっきの攻撃……はぁ……くっ……あのままでも高町隊長は問題なく受け止められただろう……だが……お前はその時模擬戦と言う立場を忘れ何を考えた……ぐっ……一体何を考えて攻撃した!!!」

 

確かにあの時のティアナ達の動き、攻撃の手段はもう模擬戦ではない……言ってしまえば喧嘩だ。

 

相手を倒す事と相手に勝つ事……これは同じ様で違う。

 

ましてや模擬戦はティアナ達の実力を図るための物だ、いつもと違う事をしていてはまるで意味がない。

 

「うるさい、うるさい!?私は……もう誰も失いたくない……誰も失いたくないのよ!!!だから強くなりたいの!!!それをあんたみたいなお気楽事務局員に分かってたまるかぁぁぁぁあああああ!!!」

 

ティアナは叫び鈴木君に向けてクロスミラージュを構える。

 

ダメ!?

 

今の鈴木君はまともに動ける状態じゃ……っ!?

 

私が止めようと動こうとした時、私の足元にボールペンが刺さった。

 

誰がやったかは明白……鈴木君だ、まるで邪魔をするなと言わんばかりに鈴木君は私を見る。

 

「私の邪魔をするなぁぁぁぁああああ!!!」

 

ティアナが鈴木君向けて引き金を数回引いた、私は焦った。

 

例え威力が小さくても今の鈴木君には致命傷だ、ティアナにはそれが分かってない。

 

「ペン技……ぐっ……遠式……一の型……《花》!!!」

 

すると鈴木君は数発放たれた魔力スフィア全てにまるで同じタイミングで投げたかの様にボールペンを放った。

 

それにより魔力スフィアは一斉に弾け飛ぶ、鈴木君がまともに戦えるのを知らないティアナ達はそれを見て驚いている。

 

でも鈴木君はもう限界寸前の様でそれを放った後再び膝を着く、しかもさっきより顔色が悪い……今ので大分悪化した様だ。

 

「ちょっと鈴木君もう「陸飛君もうやめなさい!!!」シャマルさん…………」

 

いつの間にかシャマルさんが私達の所まで飛んで来た、その顔はかなり焦っている。

 

「ティアナランスター……終わりか?お前の想いとは……うっ……そんな物か!!!「え……」俺に分からないと言う程……重いんだろ?はぁ……はぁ……だったら……打ち込んでこい「鈴木君何馬鹿なこと言って」お前の!?……抱えた想い全てを!!!俺がその想いを信念を……うぐっ……力尽くでねじ伏せてやる!!!」

 

私が途中で茶々を入れるけどそれを無視する、それどころかシャマルさんの言うことすら聞かない。

 

「ぁぁぁぁ……ちくしょう……事務局員なんかに……あんたみたいな、あんたみたいな奴に!!うわぁぁぁああああああああぁぁぁぁあああああ!!!」

 

鈴木君の挑発をトリガーにティアナが砲撃の準備に入り、そこで見ていた全員が真っ青になった。

 

全員が止めに入ろうと動くがもう間に合わない。

 

「ファントムブレイザぁぁぁぁぁああああああああ!!!」

 

ティアナのクロスミラージュから砲撃が放たれ鈴木君に向かう、このままでは取り返しのつかない事になりかねない。

 

その時鈴木君が動いた、ボールペンを両手で握り自分の上にバンザイをする様に掲げる。

 

「……ペン技極式「な!?陸飛君待ちなさい!?それはダメ!!!」……遠極の型……《極砲》!!!」

 

その瞬間シャマルさんの制止を無視し鈴木君はボールペンを真下に振り下ろす様に放つ、それによってティアナの砲撃は軽く弾け飛び跡形もなく弾け飛んだ。

 

そしてそのままティアナの横をボールペンが通り過ぎる、恐らくティアナが怪我をしない様に外したんだと思う。

 

「あ……ああ……そん……な…………」

 

ティアナはそれが信じられずそのまま座り込む。

 

「何……これ…………」

 

私はこの時もう一つ驚いた事があった、鈴木君が放ったさっきの攻撃……その着弾点を私は見ていた、するとそこには倒壊したビルが三棟ある。

 

あり得ない……ただのボールペンでビル三棟破壊する威力が出るなんて、こんな事人間のキャパシティを完全に超えて……でもそう思った時悪寒が走った。

 

キャパシティを超えてるとなれば当然本人にかかる負担は計り知れない。

 

「陸飛君!?」

 

突然シャマルさんの声が響いた、そして私はその声を聞き恐る恐る鈴木君の方に視線を向けた。

 

「ゴフッ!?……うっ……ゴフッごほっ!?……あ…………」

 

私は固まった……見ると鈴木君が血を吐いていた、さらにその後すぐにドサッと言う音がし鈴木君はその場に倒れた。

 

「鈴木……君?」

 

動けなかった、止められなかった。

 

「陸飛しっかりして!?」

 

「陸飛さん!?」

 

フェイトちゃんが鈴木君の所に駆け寄る、でもそれはフェイトちゃんだけじゃない。

 

キャロやエリオ、ヴィータちゃんも一緒だ、近くにははやてちゃんも固まって見ている。

 

止めようと思えば無理矢理にでも止められた……止めるべきだった…………

 

鈴木君がこうなったのは……私にも責任がある…………

 

「私の所為だ…………」

 

 




次回もよろしくお願いします。

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