魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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どうも〜。

1話でここまでお気に入りと評価までつくとは思いませんでした。

お気に入りや評価してくださった方本当にありがとうございます。

これからも頑張りますので御付き合いください。

ではよろしくお願いします。


第2話《プロローグ2》

本局航空隊第1321部隊隊舎にて

 

「おーい!誰かここにあった書類知らないか?昨日確かやり残して置いてあったと思ったんだけど?」

 

1人の部隊員が昨日やり残した筈の書類が探し見つからず、他の部隊員に書類の行方を尋ねるが知らないっと返されてしまう。しかし部隊員が書類を探している姿に気づいた部隊長はその部隊員に向かって口を開いた。

 

「おい!これの事か?これだったら昨日お前がやって提出しただろ?」

 

そう言われた部隊員は驚いた顔をしている。

 

「あれ……そうでしたっけ?まぁ〜終わっていたならいいです。ありがとうございます部隊長!」

 

「おう」

 

1つの騒動が終わると全員がデスクワークに戻るがすぐに別の騒動が起きた。

 

「てめぇ、仕事中に何寝てんだ!?起きろ!!!」

 

「んん……およよ……?」

 

寝ていたのは陸飛であり、まだ寝ぼけている。つい2ヶ月前に陸飛は異動してきたのだが相変わらずサボっていた。

 

「およよ、じゃねぇぇえええ!?起きろつってんだろ!!!」

 

そう言って怒鳴っている女性は背の小さい赤髪の女性。怒鳴りながら陸飛の頭を思いっきりぶっ叩いた。

 

「イタッ!?……てて……痛い……ヴィっち何すんの?」

 

八神ヴィータ、さっきから陸飛を殴っている女性の名前だ。陸飛はヴィータのヴィだけを取りヴィっちと呼んでいる。しかし当の本人はあまりよく思っていない。

 

「誰がヴィっちだ!?いい加減その呼び方止めろって言ってんだろうが!!!」

 

「え〜いいじゃん。減るもんじゃないしぃ〜、ね?アタッ!?」

 

全く反省の色が見えない陸飛にヴィータは今一度制裁を加える。そんなやりとりを続けていると部隊長が見かねて近くまで来た。

 

「ヴィータもうよせ。鈴木、お前もいい加減サボるのを止めろって言ってるだろ?そんなんじゃまた異動だぞ?下手をしたらクビだ、分かってるのか?」

 

「あやや?分かってますとも部っち!お任せアレ?」

 

もはや部隊長にすらこの様な言葉遣いだ。呼び方も上官に対して言っていい物ではない。そんな陸飛に部隊長も流石に呆れているのか溜息をつき始めた。

 

「もういい……お前異動だ。上官の前でそんな言葉遣いを平気でするのはお前だけだぞ?しかも、何だよ……部っちって…………」

 

ここの部隊長は人柄の良い部隊長なのだが陸飛の勤務態度にもう我慢できないようだ。

 

「部隊長ちょっと待ってください。私が鈴木をちゃんとしつけますんで、こいつにチャンスを下さい。お願いします!!!」

 

ヴィータは異動宣告を下された陸飛を庇い自分が直させると言い、部隊長に許しをこう。しかし、当の本人はフニャフニャと不思議な踊りを踊るように真っ直ぐ立っていない。普通ならここで一緒に頭を下げる場面だが下げているのはヴィータだけだ。

 

「だがなヴィータ、本人は……やる気が無さそうだぞ?」

 

「え?……馬鹿お前も頭下げろ!?異動になりたいのか!!」

 

部隊長が陸飛に指を指すと陸飛はやる気の無さそうな顔であくびを始めていた。そんな陸飛にヴィータは慌てて頭を下げさせる。しかし、本人に謝る気が無いため熱意が伝わらない。

 

「ヴィータ、悪いがこいつは異動だ。やる気のない奴をこれ以上世話などできない。鈴木、今すぐ荷物を纏めて出て行け。これ以上お前にチャンスはやらん」

 

ヴィータの必死の説得も虚しく陸飛は異動になった。そして陸飛は自分のデスクを片付け始めるがすぐに終わった、何故なら陸飛のデスクにはあまり荷物が無いためダンボール1個で事足りるからだ。さらに荷物を纏めた陸飛は片手でダンボールを持ち入り口で振り返るともう片方の手で姿勢を正しながら敬礼をした。

 

「今迄お世話になりました。では、失礼します!」

 

そう言った陸飛が出て行った後は教導隊の時と同じでおかしな空気が流れている。全員陸飛が出て行った方を向いて固まっているのだ。しかし、それを聞いて暫く固まっていたヴィータは我に帰ると急いで出て行った陸飛を追いかけた。

 

 

 

 

〜ヴィータサイド〜

 

私がせっかく庇ってやってるのにあいつは悪いと思ってないのか全然謝らない。でも手のかかる奴ほど可愛いって言うから。面倒見てやろうとしたんだが、案の定これだ。だけど、あいつが出て行くときしっかりした見事な姿勢で敬礼をして出て行った。何だよちゃんとできるんじゃねぇ〜か……そう思って私はあいつを追いかける。余程呑気に歩いていたのかあいつを見つけるのは容易くて助かった。

 

「おい、待てよ鈴木!」

 

「およ?何だヴィっちじゃん。どったの?」

 

呼び止めた私にあいつはいつも通り返す。止まってくれたのですぐに追いついた私だったが、言いたいことがある。

 

「どったの?じゃねぇ!?って言うかヴィっちを止めろ!!!」

 

そう言って怒鳴る私をこいつは聞いているのかいないのか分からない顔で私の頭を撫で始めた。

 

「はいはい〜。ヴィっちはいつも小さくて可愛いねぇ〜。」

 

流石に私はキレた。人の気にしていることを…………

 

「てめぇ、いい加減にしろ!!!私がこんなに気にしてやってるのに、ぶざけんな!?何でてめぇはそんなにやる気がねんだ!!!正直不愉快だ!!もっとシャキッとしろ!?それにな!私だってお前よりは上官なんだ!!そんな呼び方すんじゃねぇ!!!失礼だろうが!!!謝れ!!!」

 

「おやや?それはそれは……ゴメンちゃい?」

 

私が本気で怒ってもまるで反省の色が見えない。我慢を通り越した私はこいつに殴りかかった。だがその時私の足がもつれてこいつを押し倒すように転んでしまい、更には運悪く私達が倒れてぶつかった所は沢山のダンボールの山だった為にそのダンボールが私達の上に落ちてきた。この量と音から察するに相当重い物が入っているのだろう……落ちてくるスピードも早かったから私は反応できなかった。このままじゃ大怪我をする。そう思った私はこいつに覆いかぶさるようにこいつを守ろうとしたがこいつはどういうわけか私を思いっきり蹴り飛ばした。

 

しかしその衝撃でダンボールが落ちてくる範囲から抜け、私は怪我一つ追わなかったがあいつはダンボールぼ下敷きになってしまった。私は突然の事態に頭が真っ白になり一瞬固まったが、すぐにあいつの無事を確かめにその場に駆け寄る。

 

「おい!大丈夫か!!」

 

私は急いであいつの上のダンボールを退かしこいつの怪我の具合を見る。

 

「あや?ヴィっち、大丈夫だから。これ位何ともないんよんよん?」

 

こいつは平気そうな顔をしていたが頬は少し切れていて、腕を打ったのか反対の手で押さえている。更には頭からは汗が大量に出てき始めていてとても平気そうには見えなかった。

 

「何が大丈夫なんだ!!その腕見せてみろ!?ほら!!」

 

私は無理やり袖をまくって見るとそこには青い痣ができていて明らかに折れている。私を怒らせたのはこいつだが怪我の原因を作ったのは私だ。確かに一発殴ってやろうとは思ったがここまで大怪我をさせる気は無かった。

 

「ありゃりゃ?こりゃ〜良い感じに熟してますなぁ〜。食べられそうだ。」

 

こいつはふざけた感じで言っているが恐らくかなり痛い筈だ。

 

「その……悪かった。ここまで怪我させる気は無かったんだ。ただ一発入れてやろうと思っただけで……とにかく医務室行くぞ。」

 

私はこいつの腕を取り座っているこいつを立たそうとした。だけどこいつは掴んでる私の手をそっと離して自分で立ち上がった。

 

「じゃ、ヴィっちまたね〜。」

 

立ち上がるなりそんな事を言うこいつを私は止めた。当たり前だ、医務室とは反対方向に歩き出したのだから。

 

「待てよ、どこ行く気だ!?」

 

「およ?何処って帰るんだけど?」

 

私はまた怒鳴った。

 

「こんな怪我して何言ってんだ!?良いから早く医務室行くぞ!!」

 

そう言って医務室に連れて行こうとした私だがこいつがやった行動に固まった。怪我をして青くなってる所を指で線を入れるようになぞった、そしたらその部分だけ痣が消えた。

 

「偽装スプレー、偽装スプレー。ヴィっち騙されたぁ〜。あっはっはっは!……ヘブし!?」

 

そう言って笑うこいつを私は今度こそ思いっきりぶん殴った。あいつは後ろにぶっ飛んだが、そんな事はもう知らない。もうどうでもいい、私の中でのこいつの評価は完全に0だ。

 

「人が心配してやったのにふざけんな馬鹿野郎!!!もうお前なんか知らね!何処へとでも行きやがれ!!!」

 

そう言ったらあいつは出口の方へと歩いって行った。私もうんざりしながら部隊室に戻ろうとしたら足に何かがぶつかった。それはスプレー缶だ、表面には大きく偽装っと書かれている。恐らくあいつが落としていったんだろう、私はそれを拾い興味本位で説明書きを見た。しかしそれを見てまた私は固まった。そこに書いてあったのは偽装は偽装でも怪我をしていないように見せる偽装だ。って事はさっきのは怪我をした所にこれを指で塗って、まるで最初から怪我なんてしていないと思わせたと言う事になる。ならあいつはまだ怪我をしたままだ。

追いかけようと思ったがもうあいつは見えないし何処に行ったかも分からない。

 

「あいつ……私が気にしないようにこんな事したのか?」

 

私は罪悪感にかられながらもスプレー缶を持ったまま部隊室に戻った。さっき殴った事は次会ったら謝らないとな。

 

 

 

 

1321部隊の隊舎から出た陸飛は外の公園で座っていた。そして、通信モニターを開くと誰かにかけ始める。

 

「はい……ってなんだお前か。どうした、何かあったのか?」

 

その人物はクロノ・ハラオウン管理局の提督でリンディ統括官の息子だ。

 

「いえ、貴方から頼まれた仕事が終わったので報告しようと思いまして。」

 

「そうか、ありがとうご苦労だった。それより陸飛、その腫れた顔と青い腕はどうしたんだ?」

 

陸飛の顔はさっきヴィータに殴られた為に腫れていて、腕もさっきより青くなっている。クロノにそれを指摘された陸飛は何でもないと言い、青い腕を隠す。しかし、顔までは隠せず殴られた顔が目立っていた。流石にこれを見たクロノは心配そうな顔をしている。

 

「お前と通信する時はいつも何処かしら怪我してるな?仕事内容的には事務作業の筈だが?」

 

「何処にでもお節介で良い人が居るもんでして、そう言う人の好意を踏み躙ってるんです。これ位の罰は受けないと。」

 

そう言う陸飛の顔を見ながらクロノは苦笑いになっている。しかし、どこか気に入らなそうな顔もクロノはしていたが口には出さなかった。

 

「そいう言えば母さんから聞いたんだが、六課の仕事を受けたそうだな?」

 

クロノからそう尋ねられ何も言わずに頷き、クロノに視線を向けるがすぐに逸らした。そのクロノの顔はいつの間にか真剣なものになっている。

 

「あそこには僕の昔馴染みが多い。だから僕からも頼む、あいつらを助けてやってくれ。」

 

「俺にできることであれば……」

 

その答えにクロノは満足そうな笑みを浮かべた。その表情に陸飛は気まずそうな顔をする。

 

「ああ、それとレティ提督からお前に仕事の依頼が来てるぞ?」

 

それを聞いた陸飛はぽりぽりと頭を掻き溜息をつくとクロノに向き直る。その表情は真剣だ。

 

「まぁ〜六課の稼働までまだ時間があるから構いませんよ。それで、何処なんです?」

 

陸飛がそう言うとクロノはニヤニヤとし。

 

「自然保護隊だ。」

 

「あそこに書類業務なんてありましたっけ?」

 

陸飛は首を傾げながら必死に考えている。だが思い当たらないようだ。

 

「少しだがあるみたいなんだ。だから助けてくれるとありがたいんだが?それにな……そこに新しい新人もいるようなんでな、少し手が回らないそうだ。」

 

今一度溜息を吐く陸飛はその仕事を了承したのだった。

 

 




次回もよろしくお願いします。

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