魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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ども〜。

ではよろしくお願いします!


第16話《友達》

〜アリササイド〜

 

それは偶然だった、私達が初めて陸飛を見たのはとある文房具屋。

 

「ねぇ〜すずか、これ何て可愛いんじゃない?」

 

「え、どれどれ?本当だ、これいいね!」

 

私達は筆記用具が足りなくなったので買い足しに来ていた。

 

陸飛を見たのは、お会計で並んでいる時の事、私達の前に陸飛が並んでいた。

 

その時の事は衝撃的だったので絶対忘れないと思う。

 

「すいません、このボールペンが欲しんですがまだありますか?」

 

それはこの店で一番安いボールペンで何のデザインもない物、それならさっき店頭に並んでいた筈だが何故かまだ無いかと聞いている。

 

それなら自分で必要な本数を持って来ればいいのに……私はそう思った。

 

「かしこまりました、いくつお持ちいたしましょうか?」

 

「2000本位あれば「「はぁ!?」」え?あ、あの……何か?」

 

私は注文した数に思わず店員とハモる。

 

陸飛は私が声を出した事で後ろを振り返り私と目が合う。

 

そして私と店員を交互に見ながら何を驚いているんだ見たいな顔をしている。

 

だって2000本よ?

 

見た感じ私達と同い年で、会社で社員に振りまく訳じゃあるまいし中学生がそんな安っぽいボールペン2000本も何に使うのよ!?

 

「あ、あの……申し訳ありませんがそこまでの在庫はうちには……」

 

店員さんが申し訳なさそうな顔をするが当たり前だ、そんな在庫ある訳無い。

 

「そうですか……なら仕方ない。ではこの店のボールペン種類問わないんで全部ください。」

 

「い、いやあの……え?ほ、本当にですか!?」

 

結局その日、陸飛はその店のボールペンを全て買い占めて行った。

 

その時の店員さんの顔は嬉しそうだが何か複雑な顔だ。

 

その後私達はお会計を済ませ陸飛の話題を話しながら帰った。

 

しかし、その次の日私達の学校である事件が起きた。

 

それは学校の生徒全員を人質に取り、国から身代金を巻き上げようとしたイカれたテロ事件。

 

当然、私とすずかは人質になっていて、何十人もの銃を持った男が各教室に並び学校は恐怖で包まれていた。

 

そして、その時はただ……助けが来るのを待つしかなかった。

 

 

 

 

〜なのはサイド〜

 

「そう言えばその事件の時……私もフェイトちゃんもはやてちゃんも管理局の仕事でいなかったんだっけ……」

 

あの時は……突然学校があんな事になっているって連絡が来て、アリサちゃん達が心配で気が気じゃなかったなぁ……

 

「でも確か……あの時って結局警察の機動隊がその場を収めたんじゃなかったっけ?」

 

フェイトちゃんの言うとおり、あの時は警察が突入してあっさり逮捕ってなった筈。

 

「確かにその事件は表立った所ではそうなってたわ。でも本当は違うのよ。あの時、警察の前に学校に乗り込んで来たのは……そこの馬鹿よ!」

 

そう言ってアリサちゃんは鈴木君を指差す、私達はそれを知って空いた口が塞がらなかった。

 

なんで何の関係もない鈴木君がその場にいるのか……私達の学校には鈴木君はいない筈。

 

「どうして陸飛が私達の学校に?陸飛生徒じゃないよね?」

 

フェイトちゃんが鈴木君に詰め寄る、ここまで話したら隠す意味もないと判断したのか鈴木君が話し始めた。

 

「シャマルさんに頼まれたんですよ。はやて部隊長の友達が危ないから助けてくれないかってね。」

 

「成る程なぁ〜シャマルに……って待たんかい!?何でその頃からシャマルと関わりがあるんや!?今迄そんな話聞いた事ないで!?」

 

お、驚きが驚きで膨れ上がったよ!?

 

え!?シャマルさんそんな前から鈴木君の事知ってるの?

 

六課で鈴木君とシャマルさんが話してるの見た事無いんだけど……ほら見てよ、もう皆何も言わなくなっちゃったよ!?

 

この場にシャマルさんがいたら詳しく聞きたい所だけど残念ながら今回はザフィーラとお留守番なんだよね……

 

「ま、まぁ〜そこら辺は置いといて話を戻そうよ。ここからは私が話すね。」

 

すずかちゃんが沈黙を破り話を続ける。

 

と言うか……その様子だとすずかちゃん達もそれは知らなかったみたいだね。

 

なんかそっちの方が気になるんだけど…………

 

 

 

 

〜すずかサイド〜

 

私が人質になり少し経った後、突然学校内が騒がしくなった。

 

何か敵襲だぁ〜とか……相手は一人だぁ〜とか。

 

「すずか、今教室には銃を持った男が一人になったわ。誰が来てくれたか分からないけど今がチャンスよ。今皆で一斉にあいつを取り押さえる。幸いあっちは学生だって油断して私達を拘束してない。だからすずかも手伝って。」

 

「う、うん分かった。」

 

私達はクラスの皆で協力してこの場逃げ出そうと動き出す。

 

「今よ!?」

 

「っ!?何だお前ら大人しく……ごふっ!?」

 

危なかったがなんとか男を押さえつけ縛り上げた。

 

でもその時、何処かに行った筈の男達が戻って来てしまい、あっという間に私達の周りを取り囲む。

 

そして男達は私達に銃を向け口を開く、私達はそれを聞いて背筋が震え上がった。

 

「人質なんか沢山いるんだ、お前らがいなくなった所で問題ない。」

 

パンッ!?っと言う音と共に男達の持っている銃が一斉に火を吹く、もうダメかと思った私は目を瞑った、でも銃弾が私達を襲うことはなかった。

 

「っ!?貴様、いつの間に!?」

 

男の一人がそう言った時に目を開けるといつ間にか男と私達の間に誰かが立っていた。

 

見覚えがある、一瞬私はそう思った。

 

でも私はすぐに思い出す、昨日文房具屋でボールペンを買い占めた男の子だって。

 

「この……な!?なんだこれは!?」

 

男達は何かに驚いている、だけどそれは私も同じだ。

 

何故なら男達の銃口には全てボールペンが突き刺さっていて、最初ので暴発したのかもう使い物にならない状態だったからだ。

 

そして、男達が驚いている一瞬をりっくんは見逃さないかの様に動き出す。

 

「ペン技遠式……一の型……」

 

その時りっくんが何かを呟いたのに気づいた男達は今度は一斉にりっくんの方へと襲いかかる。

 

しかし、それは遅かった。

 

「《花》!!!」

 

瞬間りっくんがそう叫んだ、すると男達は全員、教室の壁に叩きつけられた。

 

そしてそれぞれの男達のすぐそばにはボールペンが転がっている。

 

まるで同じタイミングで一斉に投げたかの様に。

 

「あ、あの……え!?ちょ「ちょっと待ちなさい!?」…………」

 

助けてくれたりっくんに私は話しかけようとしけどアリサちゃんに先に言われてしまった。、でもりっくんはそれを無視して教室を出る。

 

私達はすぐに追いかけたが教室の外を見るとそこにはもう誰もいなかった。

 

その後、警察の人が学校に来て気絶していた犯人を全員逮捕。

 

世間には警察が鎮圧したって事になっていた、だからこの事実を知ってるのは当時りっくんの姿を見た私達のクラスだけ。

 

でも皆この事は間違ってると言わなかった、その時助けてくれたりっくんに感謝し大事にしないと決めたのだ。

 

しかし、当時助けてくれたりっくんを気にならない訳無い。

 

だから私とアリサちゃんは近所の文房具屋を回った、どうしてもお礼が言いたかったから。

 

するとりっくんは拍子抜けする位簡単に見つかった、最初にりっくんを見た文房具屋にりっくんはいたのだ。

 

丁度お会計が終わる所で振り向き私達の姿を確認すると、りっくんは驚き何故か凄いスピードで脇を抜けて店を出る。

 

でも今度は逃がさない、私は全速力でりっくんを追いかける、そして私の速さを舐めていたりっくんはあっさりと捕まえられた。

 

「何か用?俺……捕まる様なことした覚えないんだけど?」

 

「あのね、そうじゃなくてお礼を言いたくて「いらない。」あ、待って!?」

 

りっくんはそれだけ言って逃げようとするが後から来たアリサちゃんにのしかかられ馬乗りにされた。

 

「何で逃げるのよ!?いいじゃない少し位話聞いてくれても「はい、聞いた。」この!?あんたいい加減にしなさいぉぉぉ!「もういいだろ?」言い訳ないでしょ!?」

 

旗から聞いているとまるでコントをしてる様だ、だけど私は話が進まないので二人を止める。

 

それで何度も説得しているとりっくんは話を聞いてくれると言うのでアリサちゃんはりっくんの上からどいた。

 

「「助けてくれてありがとう!」」

 

「……どうも!「ってどこ行くのよ!?」帰る。「待ちなさいよぉぉぉ!?」離してくれないか?」

 

お礼を聞いた途端にりっくんは帰ろうとする、それに対してアリサちゃん羽交い締めにして止めた。

 

「名前だけ……教えてよ。「鈴木、じゃ!」ええ…………」

 

私がそう言うとりっくんは流れる様に苗字だけ答えて、やはりさっさと帰ろうとアリサちゃんを引きずりながら歩き出す。

 

「待ちなさいって言ってんでしょぉぉぉぉがぁぁぁぁ……はぁ、はぁ……あんた何て馬鹿力なの!?って言うか私達の名前覚えていけぇぇぇぇぇ……あんたの下の名前教えろぉぉぉぉぉぉ…………」

 

アリサちゃんが必死になって引き止めるけど止まってくれない。

 

だから私は……

 

「お願い、止まって!!!「おぶっ!?」あ…………」

 

りっくんのお腹に拳を入れたらいい所に入ってしまった

 

「すずか……いくらなんでも溝にパンチは良くないわよ。見なさい、彼……息できなくなってるじゃない。」

 

確かにりっくんはお腹を抱えて蹲ってしまった、息もできないみたいだ。

 

「その……ごめんなさい……」

 

「ころ……す……気か……」

 

この時の事に関して私は今でも凄く反省している。

 

 

 

 

〜はやてサイド〜

 

「そんな事があったんやなぁ〜。何かでも今も変わらん所はあるみたいやな?思い当たる節があるやろ?特に最後の奴なんて……そう思わん、鈴木君?」

 

「……い、いえ特には『嘘つけ!?』…………」

 

ほれ〜見てみ?

 

皆でハモったで?

 

「それでそれが騒動なの?」

 

「う、うん。」

 

なのはちゃんがアリサちゃん達にそう尋ねる、でも何かそれだけじゃなさそうな顔や。

 

特にすずかちゃんはあまりいい顔はしてへんなぁ、なんかあったん?

 

「そう言えば陸飛……その頃管理局は?何で海鳴市にいたの?」

 

「……管理局には属していました、海鳴市にいたのは野暮用です、テスタロッサ隊長。」

 

何やその誤魔化し方、何かあるんか?

 

鈴木君は何かと隠す癖がある様やな……

 

「もう……フェイトでいいって言ってるのに……」

 

フェイトちゃんは鈴木君への対応が柔らかくなったなぁ〜。

 

「もうあがりましょ?のぼせるわ。」

 

私達はアリサちゃんの意見に同意しお風呂を出た。

 

そしてその後、ロストロギアの反応を感じた私達は現場に向かったが、拍子抜けする位簡単に任務は終わった。

 

 

 

 

〜すずかサイド〜

 

皆が帰って来た後、私達は外でバーベキューをした、でもそこで皆が食べてる最中りっくんだけ少し離れた所で座っている。

 

だから私はりっくんのそばに近づいて話を振る、私が今日りっくんに会って一番聞きたかった事があったからだ。

 

「りっくん、皆と食べないの?「ん?ああ、俺はここでいい。」そう……それでりっくん……怪我……もう大丈夫なの?」

 

私がこんな事を聞くのも、りっくんにお礼を言った後私は不幸にもまた別の問題に巻き込まれた。

 

でも一番不幸なのはそれで私を助けに来てくれて怪我をしたりっくんなのかもしれない。

 

しかも……その時りっくんはかなり危ない所までいってしまった。

 

私とアリサちゃんはその間お見舞いに来ていたんだけど、ある日突然りっくんはいなくなった。

 

私達は心配していたけど、今日あって元気そうで安心した。

 

「もう……何ともないよ。「本当に?」……ああ。」

 

りっくんはよく嘘をつく、実際私達と短い期間だったけど話をしていた時は嘘をついていた。

 

でもそれはりっくんが私達を心配させないようにする為の嘘だ、恐らくりっくんは誰に対してもそうなのだろう。

 

だから私はりっくんと友達になった時決めたんだ、りっくんを心配する一人になろうって。

 

りっくんが一人にならない様に。

 

 

 

 

〜リンディサイド〜

 

「陸ちゃ〜んお久〜♪」

 

「そうですね……リンディさん。」

 

私は夜中、出張から帰って来ている筈の陸ちゃんに通信をした。

 

今の調子を聞く為だ、はやてさんから通信で色々聞いているし。

 

「今日は楽しんで「仕事です!」……分かってるわよ。でも久々に帰ったんだからいい気分転換になったでしょ?」

 

そう言うが陸ちゃんは何も言わない、まぁ〜いいわ。

 

「最近仕事の調子はどお?はやてさんの話だともうバレた見たいだけど。」

 

「ええ、参りましたよ。貴方が俺を派遣した六課は仕事はやりにくいは、終いにはバレるわで……本当に「ちょっと待ちなさい!?」何でしょうか?」

 

この時私は気づいた、陸ちゃんは嘘を言っている。

 

バレて参っている?

 

それは無いわ、貴方は本当に参ってる状況でこんな風に話したりはしない。

 

なら何故、嘘をつくのかしら?

 

いえ、そんなの決まってるわね。

 

はぁ……参ったわね、私が参ったわ。

 

「陸ちゃん、貴方……一体いつから六課の皆を出し抜いてるの?いえ、それ以前に……いつからそのつもりだったの?」

 

「さぁ〜何を言ってるのか分かりませんが?」

 

本当……感の鋭い陸ちゃんは嫌いだわ。

 

私が分からないと思ってるの?何年貴方の上司をやってると思ってるのかしら?

 

貴方……いつもとやり方が違うわ、恐らくはやてさん達にバラしたのは……わざとね。

 

「なら、こう言った方がいいかしら?貴方は六課の皆にどんな『幻』を見せているのかしら?」

 

私がそう言うと陸ちゃんは少し笑い、話し出す。

 

「そうですね……例えば……昼間はいい加減に見える人間が実は真面目で夜は寝ないで頑張っている……そしてそれがバレてしまったから、俺が残業をやめてくれている……とかですかね?」

 

そう……そう言う事。

 

やられたわ陸ちゃん、だてにチェッカーズから『ファントム・ワーカー』と呼ばれている訳じゃ無いわね。

 

でもどうしましょう……はやてさん達は完全にそう思ってるでしょうね。

 

「さっき、いつから……っとおっしゃいましたが六課に入って最初にリンディさんと通信した時からですよ。あの時、貴方は俺の事を露見させようとしていた。俺に友達を増やす為だとか言って。だけど、それと貴方からの任務は別です。俺はどんな環境になろうと仕事は終わらせる。だからやり方を変えました。人間は一度思い込むと中々その思い込みは捨てられない。俺が一度受けた依頼をしくじる事などありはしません。」

 

何よそれ……つまりは最初っからって事じゃない。

 

「陸ちゃん……無理しないでって言っても……聞いてくれないじゃない。私はただ貴方の事を考えただけなんだけど……まさか、はやてさん達に自分の存在をバラして逆に自分の仕事を怪しまない様にするなんて……やっぱり貴方はこの仕事に関しては優秀だわ。けど……そんな陸ちゃんは大嫌いよ!!!」

 

私が少し怒鳴り気味に言っても陸ちゃんは顔色一つ変えない。

 

はやてさん達は今陸ちゃんを完全に信用し始めている、今陸ちゃんの仕事を知っているのは隊長達とキャロさんだけ。

 

他の局員に関してはバレ無い限りいつも通りやればいい。

 

でもはやてさん達には怪しまれたらそうはいかない、必ず陸ちゃんの周りを嗅ぎ回る。

 

そうなれば陸ちゃんの仕事はかなりやりにくくなる。

 

けど先に自分から露見さてもうやっていませんと信用させてしまえば……はやてさん達は怪しまなくなる。

 

更には今まで何度も事務所で仕事をしている所を見せてそれをはやてさんの達の中で定着させる。

 

そしてその後、残業を一切事務所でやらなくなれば……もう残業してる事なんて分からないわ。

 

なんてことなの……私は陸ちゃんを甘く見過ぎていたわ。

 

お願い皆……気づいて。

 

私は陸ちゃんに仕事をお願いしてる立場だからはやてさん達に自分で気づいて貰うしかないの。

 

お願いよはやてさん……貴方達は今、陸ちゃんの手の中で踊っている……だからそれに気づいて……陸ちゃんが倒れる前に…………

 

 




次回もよろしくお願いします。

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