魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」 作:ヘルカイザー
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〜リインサイド〜
深夜、六課事務所にて
私が鈴木三等陸士の監視を始めてからもう2週間は経ちました。でも深夜仕事をしているだけでこれと言ってスパイのような行動は見られません。だからもうやめよう……そんな事を私は考えていました。だって同じ部隊の仲間を疑うのはやっぱりいい気はしないですから。
「明日はやてちゃんに報告だけしてこんな事もうやめるです。「そいつは困るな?」へ?」
突然私の独り言に混じって来た声に私は驚いた、そして周りをキョロキョロと見回す。すると鈴木三等陸士が私の方を見ていた。この距離なら声も姿も見えない筈なのにどうしてバレたですか?それにいつもと性格が……
「そこにいるのは分かってます。出て来てもいいですよリインフォース曹長。」
やっぱりバレてたです。私は観念して物陰から出て鈴木三等陸士の近くまで行く。
「どうして分かったですか?あそこなら私の姿も見えないし、声も聞こえない筈ですよ?」
「別に驚く事はありません。簡単な事です。」
鈴木三等陸士はそう言うが私にはわからない。でも話を遮るのも気が引けるので大人しく聞く事にした。
「曹長の隠れてる場所は俺の所から直接見えませんがあそこにある鏡を見れば見えるんですよ。声に関しても鏡で見える曹長の口の動きを見ればわかります。ってな感じですがまだ分からない事ありますか?」
それを言われて最初のは私が抜けていた事だと思って後悔したが最後のは完全に読唇術だと思った。
「いいえ、もう十分です。鈴木三等陸士、こんな深夜に毎日何をしているのですか?貴方は六課常駐じゃ無い筈です。なのに毎日のように残っていますよね?しかも無断でです。これは立派な規則違反です。それは分かっていますですね?」
でも私が見ていた感じ、ただ仕事をしてる風にしか見えない。残業で仕事をしなくちゃいけないならはやてちゃんに許可を貰えばそれで済む事な筈です。ならどうして彼は隠れて仕事をするですか?その時鈴木三等陸士が聞き逃せない事を言った。
「まったく……六課はやりにくいですよ。」
そう言われ私は理解できなかった、それと同時に怒りも覚えた。六課は他の部隊に比べて部隊内の友好度も高いしルールや雰囲気も緩い方だ。なのにそれの何処が不満なのか。
「何が言いたいんですか?これ以上ふざけた事を言うと怒りますですよ?」
「ん?勘違いしないでください曹長。俺がやりにくいって言ってるのは六課の雰囲気とかじゃなくて六課が常駐って所ですよ。」
そう言われたがそれこそ理解できない、彼は常駐じゃ無い筈だ。なら何故常駐が彼に関係あるのか。
「ふざけないでください!私は鈴木三等陸士が何を言っているのか全く理解できません!!そんな訳の分からない事言って誤魔化しても私は「バレてしまったからには……」え?」
それは突然だった、私の言葉を遮った鈴木三等陸士の目つきが変わった。
「このまま帰す訳には行きませんね?曹長、失礼します!」
そして、ゆっくりと鈴木三等陸士の手が私に迫る。でも私は怖くて動けなかった。
「な、何するですか……やめてください……やめ……て……いやぁぁぁああああああああ!!!」
その瞬間私は逃げ出そうとしたが鈴木三等陸士に捕まった。
◇
〜はやてサイド〜
昨日はリイン帰って来んかったなぁ……どうしたんやろか。ヴィータの所にでも行ってるんかな?ん?あれは……リイン……やな?丁度リインの事を考えてた私の前に本人が現れた、でも一人じゃない。何故かあんなに嫌ってた鈴木君の頭の上で一緒にいる。
「二人ともおはよう!こんな所で二人して何してるんや?」
「あ!はやてちゃんおはようです!」
「あらら、おはよんはやてっち!」
相変わらず礼儀のかけらもない挨拶や。何度も言うようやけど……私上官やで上官。
「で?二人で何してるん?」
「いえいえ、ただ陸飛さんと朝ごはん食べてただけですよぉ〜。ねぇ〜陸飛さん♪」
ふ〜ん、朝ごはんねぇ〜……って「ちょっと待たんかい!?」
「「何ん?(ですか)?」」
ハモるな!?なんや?どうなってるんや?何でこんなに仲良しになっとんのや、名前まで呼んでるやと!?リインは昨日まであんなに鈴木君の事毛嫌いしてたのに……
「な、なんでそんなに仲良くなってん?昨日と偉い違いやんか!?」
私がそう言うと鈴木君の頭の上で幸せそうに笑ってるリインがとんでもない事を言ってきた。
「ダ、ダメです……言わせないでくださいはやてちゃん「何でや!?」ううっ……だってその……私と陸飛さんは……昨日一夜を共にした仲なんですから!」
「え…………」
今何て言った?リインと鈴木君が?一夜を……共……に?
「ああ〜恥ずかしいですよぉ〜!!!」
何て事や……うちのリインが……穢されてもうた……私……もう……もうぅ…………
「って!?はやてちゃん何泣いてるですか!?」
だって……だって…………
「でも……でもリインが自分で選んだなら私は「リっち、ちょっと離れてん!?」へ?」
私が泣きながら話していると私の後ろからもの凄い勢いで何かが駆け抜けた。それと同時に鈴木君が慌て始め、リインを真横に放り投げる。
「グボッ!?」
そして次の瞬間、その駆け抜けた何かに当たり鈴木君が吹き飛んだ。
「ああ?!陸飛さん!?」
リインが吹き飛んだ鈴木君を見て心配そうに叫ぶ。でもその横に鈴木君を吹き飛ばした物が転がって来た、しかしそれは凄く見覚えのある物だった。
「バ、バルディッシュ?……!?」
私は涙を拭い振り返る。するとそこには前よりパワーアップした親バカが歩いて来ていたんや……
「鈴木君……もうあれだね?君のロリコンは存在を消すしかないんだよね?このままだと……うちのキャロまで……キャロの為、そうだ。キャロの為に……キャロの為に……キャロの為に消えろぉぉぉぉおおおおお!?」
突然乱入して来たフェイトちゃんはさっき投げたバルディッシュを拾い鈴木君に襲いかかった。でも鈴木君はまだダメージが抜けてないのか立ち上がって来ない。そんな時、暴走するフェイトちゃんの前に新たな乱入者が現れた。突然の事でフェイトちゃんも流石に我に帰り攻撃を寸前で止める。
「フェイトさん……何……してるんですか?」
それはキャロやった。見たところ訓練後見たいやけど。心なしか声色も低い、怒っているみたいやなぁ?
「キャ、キャロ!?こ、これはね?えーと、えーと……「陸飛さん、フェイトさんに何かしましたか?」え!?い、いや、何もしてないんだけど……その……」
一生懸命言い訳を考えるフェイトちゃんは困り果てて涙目になっている。
「陸飛さんをいじめるフェイトさんは大嫌いです!!!」
そこへキャロはトドメの一撃を叩き込んだ。ああ〜それはフェイトちゃんには……
「嫌い……嫌い……嫌い……嫌い……」
フェイトちゃん……うなだれて何か呟いてる、これは暫く落ち込むやろうな。まぁ〜落ち込むのは私も同じやけど……そして私はやっと起き上がった鈴木君に近づき肩を掴む。
「こうなったら責任とって貰うで?いいな?」
「お、およ?責任って何!?俺何もしてないよん?」
この男はこの後に及んでとぼけ始めた。流石の私もキレるで?私は鈴木君の胸ぐらを掴み軽く上下に振る。
「何や?自分ら二人で一夜過ごした言うたやんか?今更何とぼけてるんや?しばくで自分!!!あ"あ"〜?」
「あやや?い、一夜って……ふ、二人で特撮Blu-ray見てただけだよん?」
特……撮?は……い?それって……
「リ、リイン?ほ、ホンマ……か?」
「はいです♪何故かリインの大好きな特撮を陸飛さんが見せてくれたです!その代わり私は……あ!い、いえ何でもないです。で、とにかく陸飛さんの見せてくれた作品は私が前々から見たかった物で、まさか陸飛さんにそんな趣味があったなんて知りもしないで、知ったような事をアレやコレや言って疑ってしまいましたけど、陸飛さんは全然そんな人じゃなかったです。だから今や私は陸飛さんと立派な特撮仲間です!でもでも、男の人と一晩中特撮Blu-rayを見ていた何て恥ずかしくて……ああ〜やっぱり恥ずかしいですよ!!!」
顔真っ赤にして何言うてんねん…………。ああ……そう言えばリインは重度の特撮オタクやったなぁ〜。じゃ〜何か?また私らの勘違いか?
「またまた勘違いん?やめてよん?迷惑よんよん?「勘違いさせる事を言ってる自分らが悪いんやろぉぉぉがぁぁぁああああああ!!!」ぼくしっ!?」
私は思いっきり鈴木君をぶっ飛ばす。そうや、私は悪くない筈や。フェイトちゃんは……
「もう……死のうかなぁ……キャロに嫌われたし…………」
ダメや……再起不能や。って言うか……絶望し過ぎやない?
「はぁ〜これからカリムと会談やのに……ん?」
何や?鈴木君がキャロに何か言っとるな……あ!キャロがフェイトちゃんの所に……
「フェイトさん……」
「……キャロぉ〜?」
何する気や?
「大好きですよ!」
「キャロぉぉぉ、私も大好きだよ!!!」
これ以上ない位満面の笑みでキャロに抱きつくフェイトちゃん、その姿は天使に救われた者みたいや。それにしても、軽いなぁ〜フェイトちゃんの扱いは……見たいな顔をしている鈴木君に悪気はないんやろうか……ま、まぁ〜フェイトちゃんが復活したのは良かった。
「フェイトちゃん、そろそろ出発しよ?これ以上は遅れてしまうで……」
「え!?う、うん。そうだね。」
◇
〜なのはサイド〜
今日は皆のデバイスを新デバイスに交換した。ティアナとスバルのデバイスも大分ガタが来てたし、丁度いい機会だから。でもその後……突然六課に第一級警戒のアラートが鳴り響いた。すぐにはやてちゃんから通信で詳しい情報が伝えられたけど、フォワードの皆には初出動でハードな思いさせちゃうね。新デバイスも実践で初起動だし。でも頑張って貰わないと。って……考えてるそばから……
「何で鈴木君がヘリに乗ってるの!?」
「およ?バっちの手伝いん?」
どうしてこうなっているかと言うと、現場までの移動はヘリで行う。だからフォワードとリインと私はヘリに乗りこんだ。だけど出発して少ししたら私達が座っている端っこでなんだかいびきが聞こえた。皆が寝るわけないし、リインな訳ない。でも確かに聞こえるいびきの方を見るとそこには毛布に包まっている何かがある。私は何だと思い、それに近づき毛布を剥いだ、そしたらそこで鈴木君が寝ていた。カチンと来たので私は鈴木君を蹴り起こして、今に至る。鈴木君では話にならないので今ヘリを操縦しているパイロットのヴァイス陸曹に聞くと……
「それがですねぇ〜、八神部隊長が警戒態勢で六課に人が減ると鈴木三等陸士がサボるだろうって事で、俺の仕事を手伝わせろって言うもんでして……」
って言われた。まぁ〜確かに鈴木君を六課に残したらサボりまくりそうだけど……なんだか初出動で幸先不安だなぁ……
◇
〜はやてサイド〜
カリムの所で一通り六課に指示を出した私は急いで六課に戻る事にした。
「はやて、裏でシャッハが待ってるわ。それと……さっき通信で陸君……じゃなくて鈴木三等陸士の事話してたけど、彼は元気?」
私が部屋を出て行く直前、カリムがそんな事を聞いてきた。何でカリムがそんな事を気にするんや?相手はただの事務員やで?それにこう言ったらなんやけど、カリムは管理局の理事官にまで籍を置いているような人、それに私の上司や……そんな人と関わりがあるなんて鈴木君はカリムと知り合いかそれとも……
「う、うん……元気やよ!」
「そう、良かったわ。それとはやて?一つ忠告しておくわ……彼を戦場に引っ張り込むような真似をしたら……許さないわよ?」
そう言われ私は固まり、更に冷や汗も大量に出てきた。何故ならカリムが今まで一度も見たことのない程怖い顔をして私の事を見ているからや。正直怖い、普段怒らない所為もあってかなり。
「き、肝に命じて置きます。」
それだけカリムに言い残し私は部屋を出た。
◇
〜キャロサイド〜
もうすぐ降下ポイントに到着する所でなのはさんがガジェットを抑える為にヘリから出撃して行った。そしてその後無事降下ポイントに到着した私達はスターズから順番に降下し始める。
「次、ライトニング!」
でもヴァイス陸曹にそう言われ私達ライトニングの番になった時私は初めての出撃に不安になった。さっきなのはさんに元気づけて貰ったけど……やっぱり不安だ。私はハッチの所まで行くけど少し降下するのを躊躇してしまう。そしたらそんな私の手をエリオ君が握ってくれた。
「一緒に降りようか?」
エリオ君にそう言われた私は決心がついた。私は一人じゃない!さっきなのはさんが言ったとおり、私にはエリオ君も皆もついてる。
「うん!」
そして、私達が降下しようとした時だった。
「キャロ、エリオ!」
「「え?」」
私とエリオ君は思わず振り返る。するといつの間にか私達の後ろまで陸飛さんが来ていた。
「二人とも怪我のないようにな。頑張って来いよ!上で見守ってるからさ。」
その言葉はどんな言葉より私に勇気をくれる。でもそれは隣のエリオ君も同じようだ。
「「はい!」」
二人で元気良く返事をした私達は陸飛さんに背を向け、陸飛さんに貰った勇気で出撃する。
「ライトニング3、エリオ・モンディアル!」
「同じくライトニング4、キャロ・ル・ルシエとフリード・リヒ!」
陸飛さんが見守ってくれるなら私は頑張れる。
「「行きます!」」
だから見守っていてください……陸飛さん。
次回もよろしくお願いします。