魔法少女リリカルなのは!?「幻の残業局員」   作:ヘルカイザー

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どうも〜。

幾つかある書きたいものをいろいろ悩んだ末、こう言うのを書くことにしました。

後は今書いてる作品が終わったら次のを書きます。

これ以上は増やしません。

ではよろしくお願いします。



第1章《幻の残業局員》
第1話《プロローグ》


時空管理局本局ー戦技教導隊本部にて

 

「この馬鹿野郎!!!いつもいつもサボりおって!!!もういい!!お前には愛想が尽きた、さっさと出て行け!お前は異動だ!!!」

 

さっきまで騒がしかった室内が一気に静まり返った。そして今1人の事務局員が部隊長に怒られている、仕事をサボっていた為だ。その男の名は鈴木陸飛(りくと)サボりの常習犯で部隊の異動歴は100回以上。今回は戦技教導隊への異動で一ヶ月間勤めていたがとうとう追い出されてしまった。これだけ色々な部隊で追い出されていてよくクビにならないものだと他の局員からはよく言われている、そんな陸飛だが激怒している部隊長に向かい突然姿勢を正し敬礼をし始めた。

 

「今迄お世話になりました!では、失礼致します!!」

 

それを言った瞬間そこにいる誰もが驚いて固まった。何故ならこの鈴木陸飛と言う男は、普段このような事は決して言わない。普段の彼はなんと言うか、全てが適当な人間なのだ。言葉遣いも丁寧語など使わず砕けている。その事についても普段から注意を受けていて直す素振りも見せない、にも関わらず教導隊に配属されてから初めて目上の人に対し礼儀を忘れずにした。こんな当たり前の事だが最後に陸飛が普段絶対にやらない事をした為に驚いている。部隊長も突然の事に怒りが吹き飛んでしまった程だ。

 

「あ、ああ……今迄ご、ご苦労だった…………」

 

最後に部隊長にそう言われた後陸飛は部隊室から出て行った。しかし、陸飛が出て行った後部隊室は何とも言えない雰囲気が流れ始めている。

 

「あいつが来て一ヶ月間だったか……短かったな。あいつも馬鹿だよな?もう少し真面目にやれば何でもできそうなのによ?」

 

「そう言えばあいつが来てから一ヶ月間で仕事が楽になった気がしたんだけど……気のせいかな?」

 

陸飛が出て行った後何人かの教導隊員が陸飛の話をし始める。だがその内容は、陸飛に対するダメ出しが殆どだ。

 

「気のせいだろ?あいつなんてサボってばっかいたんだから殆ど仕事何てしてなかっただろう。あれ?でもだったらあの大量に残ってた書類の山は誰が片付けたんだ?」

 

「それだったら多分なのはちゃんなんじゃね?仕事熱心だし。ねぇ?なのはちゃん?」

 

1人の教導隊員が後ろでデスクワークをしている女性に喋り掛ける。その女性は管理局のエースオブエースと呼ばれている高町なのはと言う人物だ。彼女はとても優秀な魔導師で教導にかなりの情熱を燃やしている。

 

「いえ、私じゃありませんよ?すいませんけどそこまでの余裕は流石に……」

 

「あれ?違うの?じゃ……どうして終わってるんだ?」

 

そんな話をしていると部隊長が手を叩き皆を注目させる。

 

「おい、無駄話してないで仕事を続けろ!皆でやって、いつの間にか終わったんだろ?それと鈴木陸飛三等陸士に関してはこれ以上何も言うな!移動になったのはあいつが使えないだけだ、自業自得だ。」

 

部隊長が占めてその場を収め、その直後お昼の鐘がなった。

 

「お!昼だな。俺は弁当があるけど……なのはちゃんは?」

 

「私は食堂です。じゃ、ちょっとお昼頂きます」

 

彼女はそう言うと部隊室を出て食堂へと向かった。

 

 

 

 

〜なのはサイド〜

 

今日は一緒に働いてた仲間が部隊から追い出された。でもそれは彼の自業自得、だけどもう少し頑張って欲しかったな……そう思いながら歩いて食堂まで来るとその彼が昼を食べていた。一ヶ月間しか一緒に仕事をしていないからあまり喋らなかったけど、ちょっとお話してみようかな?私はランチを注文しそれを持って彼がいる席まで足を運ぶ。

 

「ん?あれ、高町っちじゃん!どったの?」

 

彼はいつも私の事をこう呼ぶ、別に許可した訳じゃないけど。なんか馴れ馴れしいというか砕けすぎというか……まぁ〜同い年だから別に良いのだけど…………

 

「ここ良いかな?」

 

「お?いいお、いいお!どうぞどうぞ!」

 

なんと言うか……ダメ人間みたいだ…………

 

私は彼の前に座りランチを食べながらチラチラと彼を観察する。こうしてよく見てもやっぱり仕草とか雰囲気がダラシない。

 

「およ?どうしたの高町っち?」

 

視線に気付かれた私は慌てて視線を逸らす、やっぱり話さなきゃ良かったかな?でも話さなきゃ分かんないし。

 

「鈴木君は、何でそんなに適当なの?今日だって……すいませんでしたって謝ればもしかしたら……」

 

そうだ。部隊長だって怒りたくて怒ってるわけじゃない、彼がいい加減だから怒るのだ。だから謝ればもしかしたら許してくれたかもしれない。

 

「ふむむ?そうねぇ〜面倒いから?」

 

私は今どんな顔をしているのだろう。彼が言ったその言葉に流石に不快感を覚えた。つまり彼は仕事が面倒いからサボり、怒られても面倒いから謝らない。注意をされても面倒いから直さないっと言うことだ。一緒に仕事をしていてここまでやる気がないと流石に不愉快だ。

 

「鈴木君?君のそう言う所考え直したほうがいいよ?それじゃ、どこ行っても上手くいかないだろうし。一緒に仕事をしてる人も気分悪いよ。少なくても私はもう2度と君と仕事なんかしたくない!」

 

私はそう言って席を立った。だけど、席を立った時に周りをよく見てなかったが為に食事を運んでいる人にぶつかってしまった。お陰でその人の食事が溢れてその人の服や床が汚れてしまっている。

 

「あ……ご、ごめんなさい!?」

 

私は謝った、悪いのは明らかに私だ。

 

「は?謝って済むと思ってんのか!!!この服どうすんだよ?俺の飯は?おい!!!」

 

ぶつかられた男はかなりの怒っていた。私は少し怖くなった、悪いのは私だけどこんなに怒られるとは思わなかったから。

 

「ごめんなさい、食事代は私が払います。服も弁償しますから。」

 

「そんなの当たり前だろうが!!!それだけで済むと思うな!!それじゃ、俺の気がすまねんだよ!!!」

 

謝っても、謝ってもその男は許してくれない。目の前で小さくなってる私に男がとんでもないとこを言ってきた。

 

「お前そこに立て、一発殴らせろ!」

 

「え…………」

 

「殴らせろ!」そう聞いた途端に冷や汗が止まらなくなった。悪いのは私だ、でも殴られる様な事なのだろうか?そもそも女の子を殴るって何を考えてるんだろう。でも悪いのは私だから何も言えない。私は殴られる覚悟をし、目を瞑る、しかしそんな時だった……

 

「なぁ〜なぁ〜なぁ〜おっちゃん?その辺でやめてくれにゃイカなぁ〜?高町っちも謝ってる事だしさぁ〜」

 

私は思わず振り返る、するとそこにはさっきまでとなんの変わりもない彼がご飯を食べながら話ている。

 

「んだとこの野郎!!!ふざけんな!?てめぇは関係ないんだからすっこんでろよ!!」

 

確かにそうだ。悪いのは私で彼は関係ない、でも何故庇おうとするんだろう?さっき割と酷いこと言ったのに。

 

「おほほぉ〜?おっちゃん器がミジンコだなぁ〜?いい大人がよっほ〜?謝ってる女の子1人許へないなんてよぉ〜?」

 

適当だ……適当すぎる…………

 

庇われてるのにいい気が何一つしない。それに軽く喧嘩売ってるし。

 

「…てめぇ……ちょっとこっち来い!!!ぶっ殺してやる!!!」

 

男は彼を無理やり外へ連れ出す。私は驚いて少し固まってしまったが急いで後を追いかける。あんな彼でも私の所為で怪我をしたらいたたまれない。私は走った、だけど見失ってしまって何処に行ったか分からない。外を隈なく探していたらさっきの男がこっちに向かって歩いてきていた。けど彼の姿はない。私は男の前まで行きもう一度謝った。

 

「ああ、次から気をつけろよ?もう気が済んだから許してやるよ」

 

男はそう言って私の横を抜けていった。でもすれ違う瞬間、男の袖に赤い染みが付いてるのが見えた。それは明らかにさっき溢した食事じゃない。それは血だ。私は嫌な胸騒ぎにかられ男が歩いて来た方に走る。そして暫く走り、建物の角を曲がった所で彼を見つけた。

 

「およよ?高町っち?どったの?」

 

そんな風にいつも通りに返す彼だが私はそれどころじゃなかった。彼を見ると顔には所々殴られた跡があるし頭からは血を流している。

 

「どうしたじゃないよ!?大丈夫!?」

 

私は急いで彼の頭から流れてる血を拭い怪我の具合を見ようとしたが彼は…………

 

「いやや?いいよ高町っち。こんなの何でもないカラッと」

 

そう言って私の手を優しく払う、でも私はそんなの我慢できない。彼は私の代わりに殴られたんだ。

 

「どうして……庇ってくれたの?私さっき酷いこと言ったのに…………」

 

私は彼の頭の血を無理やり拭いながら尋ねる。私は聞きたかった、なんで庇ったのか。

 

「べっつにぃ〜?ご飯食べてる時に真横でガヤガヤっとされたから早く静かにさせよっと思っただけだから、庇ったわけじゃないよ?どう言う勘違いん?」

 

私は少し唖然として拭いていたハンカチを彼に投げつけた。カチンと来た。結局彼は自分の事しか考えてないのだ。そりゃ、悪いのは私だからしょうがないけど。そんな言い方ないと思う。

 

「もう知らない!!でも私の所為で迷惑掛けたのはごめんなさい。それは謝る。でもちょっと今のは酷いよ!!!」

 

私は壁に背中を預けてる彼をほぽって部隊室に戻った。

 

 

 

 

なのはが陸飛を置いて行った後陸飛に通信が入った。陸飛は誰だか確認しそれに出る。

 

「はぁ〜い、陸ちゃん!お仕事お疲れ様♡今さっき部隊異動の通知が届いたわよ?あら?怪我してるじゃない大丈夫?」

 

陸飛は頭の血を拭い、通信相手に話し始めた。

 

「ええ、問題ありません。ただのかすり傷です。それよりリンディ統括官、用はそれだけですか?」

 

陸飛の答に苦笑いのリンディは話を続ける。

 

「もう少し砕けて話しても良いのよ?」

 

リンディはにっこりと笑い陸飛の返答を待つ。陸飛は少しため息を吐きリンディに向き直ると再び話し始めた。

 

「リンディさん?また仕事の話ですか?俺は今日仕事が終わったばっかりなんですが?」

 

「うふふ、その……お願いできるかしら?最近忙しくて貴方に頼りっきりなのは、悪いと思ってるのよ?でも知り合いの子が心配で。」

 

陸飛は再びため息を吐き暫く考え込んだ。そんな陸飛の様子にリンディは申し訳なさそうな顔で待つ。

 

「分かりました、お受けします。それで?今度はどんな部隊何です?」

 

陸飛は観念し承諾した。そしてリンディは満面の笑みを浮かべる。

 

「ふふ、ありがとう陸ちゃん!愛してる♪」

 

そう言われた陸飛の顔は苦笑いだ。

 

「それで次の部隊なんだけど……古代遺物管理部機動六課って言うんだけど?」

 

「機動六課?聞いたことないんですが?そんな部隊ありましたっけ?」

 

陸飛は首を傾げる、そんな部隊は聞いたことがなかったからだ。

 

「知らなくて当たり前よ。だってまだ稼働してない部隊だから。」

 

「それは新部隊って事ですよね?そこに俺が行く意味はあるんですか?リンディさんも分かってる筈ですよ?俺の仕事。」

 

陸飛は少し真剣な表情になりリンディに尋ねる。しかしながらリンディはニッコリと笑う。

 

「ええ、勿論分かってるわよ!でもその新部隊は色々と人手不足もあるしそこの部隊長は私の知ってる子でね?無事にやり遂げて欲しいの。だから貴方に助けて欲しいのよ!お願いできるかしら?」

 

「分かりました、書類に関してはそちらに任せます。でも……何処だろうと俺のやり方は変わりませんよ?ましてやそこまで慌ただしくなりそうな部隊だ。ある程度は無茶させていただきます。問題ありませんね?」

 

陸飛はそう言ったがリンディはあまりいい顔をしない、なんかとてつもなく心配そうな顔だ。そんなリンディの顔を見た陸飛は顔を逸らす。

 

「陸ちゃん?仕事を頼んでる私が言うのはおかしいけど……無理しちゃ嫌よ?貴方只でさえ今の仕事で休み無しで働いてくれてるでしょ?正直私はそろそろ貴方にはこの仕事辞めて欲しいんだけど。いえ、辞めなくても良いけど……少し休んでくれないかしら?じゃないと貴方倒れるわよ?今日で一体何年働き詰めなのかしら?」

 

陸飛はリンディに少し顔を向け顔を手を添える様に隠す。

 

「8年です。」

 

陸飛は短く切ってそう告げた。8年……それは本来あり得ては行けない時間だ。

 

「陸ちゃん?お願い休んでくれない?貴方のお陰で管理局は大分助かってるわ。ううん、それだけじゃないわね。管理局で働いてる人で貴方が入った部隊の人は貴方のお陰で今も働いていられるのよ?皆それは知らないけど。でも貴方が倒れたら元も子もないわ!」

 

「仕事は受けますが、それはお断りします。これはこの仕事を始めた時に決めたことです。では……」

 

陸飛はそう言い通信を切った。

 

「機動……六課か…………」

 

陸飛は空を見上げすっかり日の沈んだ夜の星を眺めた。そして陸飛はまたため息を吐くと立ち上がり、帰宅する為に歩き出すのだった。

 

 




次回もよろしくお願いします。

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