第四次ギャグキャラ戦争 ただしセイバー除く   作:ケツアゴ

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変わり始めた第二話

「それで、アンタは一体誰なんだ? 英霊(サーヴァント)とかいうのは何となく理解できたんだけど、サキューンなんて聞いた事ないぜ?」

 

 衛宮士郎は蔵の掃除中に突如現れた特撮ヒーローのような姿をした男にお茶を出しながら尋ねる。士郎自身も魔術師(ただし半人前以下)なので非常識な存在全てを否定するわけではないが、サキューンと名乗る男から聞いた話は半信半疑だった。

 

「ああ、それは仕方ない。俺は正式にはこの世界の存在ではなく、”子供達が憧れる様なヒーローの代表”なんだ。だから、僕自身の記憶にある世界は此処じゃなく、怪人やヒーローの居る別の世界なんだ。まあ、悪人ではないから安心してくれ」

 

「本物の正義の味方(ヒーロー)、か……」

 

 サキューンが冗談めかしに言う中、士郎は養父とした約束を思い出していた。彼の養父は士郎に自分のかつての夢を話した。

 

「僕はね、正義の味方になりたかったんだ」

 

 士郎はその夢を継ぎ、自分が代わりに正義の味方になろうと決めた。だから本物の正義の味方(ヒーロー)を前に思うところがあったようだ。

 

「なあ、正義の味方をするっていうのはどういう事なんだ?」

 

「……そうだね。まあ、大変さ。テレビのヒーローの様にはいかないね。俺が敵対していた悪の組織、シャンシャンって言うんだけど首領が脳梗塞で倒れて入院してね、何もする事がなくて暇だったから怪人派遣会社のヒーロー派遣部門でバイトしたり……」

 

「バイトっ!? いや、ヒーローだろっ!?」

 

「いやいや、ヒーローも生きてるからね。衣食住にお金が掛かるんだ。怪人だってバイトしながら世界征服を目指してる奴だっているしね。まあ、ヒーローも怪人も庶民には変わらない。テレビの中(理想)と現実は違うんだよ」

 

「……正義の味方にも色々有るんだな」

 

「そうそう。僕の知る中では……あんまり先輩の事悪く言いたくないんだけどさ、北海道担当の兄弟戦士アバシリン先輩達なんて酔っ払った勢いで凶悪な悪の組織『デスヒグマ団』を皆殺しにしたり、ヒーロー辞めてホストやってる先輩や……悪の組織に入った奴も居るからね」

 

「そ、それはヒーローなのかっ!? いや、ヒーローならもっとさ」

 

 士郎はあまりの内容に動揺し、サキューンが最後の方で複雑そうな声色になった事に気付かなかった。

 

「所詮は正義の味方も人間だからね。色々居るさ。……士郎、他の英霊()だ。俺から離れるなっ!」

 

 サキューンは入り口の方から他の英霊の気配を感じ取り立ち上がる。聖杯戦争の事を少し聞いた士郎も緊張しながらサキューンの後に続く。門の方に人影が二つ有り、その片方は犬に乗った子供だった。

 

「おいおい、なんで衛宮がマスターになってんだよ? 襲われてなくて安心したけどさ。いや、他の英霊に魔力吸われてたら厄介って意味でだけどね」

 

「ハッハッハ! ボクがこの家から英霊の気配がするって言ったら慌ててたくせに。シンジは照れ屋だな!」

 

「う、五月蝿いぞっ! バラスなよ、ライダー!」

 

 月明かりで二人の姿が鮮明になる。其処には小柄な少年と士郎の友人であるワカメ(慎二)が居た。

 

 

 

 

 

「はぁっ!? 魔法陣に血が掛かったら召喚しちゃったっ!? お前、世の中の魔術師に喧嘩売ってるわけっ!?」

 

 慎二達に敵意がないと判断したサキューンは士郎の意見もあって慎二達を家に上げ、今までの経緯を話した。慎二からすれば家の者の目を盗んで一生懸命準備した自分が馬鹿みたいに思える内容に憤りを覚えて仕方がない。少し前までの彼なら問答無用でライダーを差し向けただろう。だが、彼はライダーと過ごした数日の間に変化していた。

 

「……兎に角、教会まで行くぞ。其処に戦争の監督役が居るから降りるなり参加するなり勝手にしろ。ああ、そうそう。僕と聖杯を巡って争うなら骨の一本位は覚悟しておけよ、衛宮」

 

 裏を返せば最悪でも骨一本で済ませる気である、という事だ。士郎は友人の最近の変わり様に戸惑いながらも案内されるまま教会に向かう。其処で前回の聖杯戦争で起きた事を知った。

 

 

「……あの大火災は聖杯戦争で起きたのか」

 

 そして士郎は聖杯戦争に参加する覚悟を決める。自分のみが生き残った大火災が聖杯戦争によって引き起こされたと知り、見過ごす訳には行かなくなったのだ。

 

「力を貸してくれ、サキューン」

 

「……ああ、俺もヒーローとして見過ごす訳にはいかない!」

 

 決意を決める二人を見ている聖杯戦争の監督役、綺礼は北叟笑んでいた。

 

 

 

「……ふ~ん、参加する事にしたんだ。言っとくけどさぁ、僕も間桐の家の者として聖杯を諦める訳にはいかないからな。ま、今日は遅いから戦わないでおいてやるよ。……そうそう、忠告しておいてやるよ。遠坂も聖杯制作に関わる御三家の一人だ。多分あいつも英霊を召喚してるよ」

 

「なあなあ、シンジー」

 

「あん? なんだよ?」

 

「さっきから思ってたんだけど、なんでアーチャーが二人居るんだ?」

 

「はぁっ!? 何言ってるんだよ」

 

 

 

 

「へぇ、面白そうな話ね。私にも聞かせてくれるかしら?」

 

「さて、一から十二の中から好きな数字を選びたまえ」

 

 士郎達は声のした方を振り向く。其処には白髪の小柄な少女とステッキ片手にダンスを踊る謎生物が居た。

 

 

「……え~と、じゃあ……」

 

「ヴァカめっ! お前に選択権はない!」

 

「いや、お前が選べって……」

 

「ヴァカめっ! ……私の伝説は十二世紀から始まった。あれは茹だるような夏の日の事。いや、心さみしい秋の事だな。そうだ! 暖かな春の日だっ! 肌寒い冬の寒さに耐えていた私はカフェで温かいコーヒーを注文したんだ。すると友人のジョニーがやって来て”大変だ、エクスカリバー! マリリンが攫われた!”と言うのでな、慌ててココアを飲み干して誘拐犯を探したものだよ……

 

 

 

 

 

 

……とまあ、これが守って欲しい千の条項の一つ、”キムチは大根以外認めない”の理由だ」

 

訂正、非常にウザイ謎生物が居た。

 

 

 

 

 

「あ~、もう! ホンット使えない英霊ねっ!」

 

 その頃、凛は己の英霊の宝具について聞いておくのを”うっかり”忘れていた事を思い出して聞いたのだが、非常に使えなかった。

 

「本人には使用不可な上に故障してて正常に動かない、ですってっ!?」

 

「ゲロ~。で、でも、それは仕方ないのであります! だって、ずっと冬樹殿や夏美殿に没収されてたんだもん」

 

「侵略者が兵器を没取されるなぁぁぁぁっ!!」

 

 凛はアンテナの付いたボールのような物体片手に持ちながらバーサーカーを蹴り飛ばした……。

 

 




意見 感想 誤字指摘お待ちしています


エクスカリバーのセリフ確認しようと参考にエクスカリバーが出まくっているHSDDとソウルイーターのクロス作品読もうとしたら消えていた 好きな作品だけに残念

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