藍原延珠が転生(と言う名のやり直し)をして里見蓮太郎の正妻になる為に色々と頑張るお話 作:安全第一
次は問題児を更新するとか言いながらこっちを更新するという暴挙をやってのけた安全第一でっす。
あ、第三宇宙速度の速さで石は投げないでね!(汗
死んじゃうから!(大汗
それと昨日、『楽園追放』と『ゆるゆり』の映画を観に行きました。
両方とも良作でしたよ。
次の日。
蓮太郎が延珠を支える決意したその旨を伝えると延珠は驚いた表情をした後、とても嬉しそうに微笑みを浮かべていたという。
それ以来、二人の仲は一段と良くなった。
そして時より垣間見た彼女の悲しい表情は見えなくなり、蓮太郎もそれを見て満足そうにしていた。
依頼に関しては、ガストレアとの戦闘で未だに延珠の454カスール改造銃による蹂躙が繰り広げられていたものの、殺し損ねたものや自身を襲おうとする敵を斃すだけの活躍はするようになった。
また、蓮太郎は延珠の戦闘を邪魔する事無くそれを援護、または延珠との連携によるガストレア殲滅というスタイルを取るようにもなる。
やはり延珠の戦闘能力は別次元の領域に達しており、一度454カスール改造銃無しの素手による戦いを見たが、それはもう圧倒的蹂躙だった。
拳の一振りで地形を変える一撃。
いつどこで移動したのかすら分からない瞬間移動。
手刀による斬撃はガストレアの再生能力すら手に負えないほどの斬れ味。
一つ一つの形に全く隙が無く、完璧と言える技の数々。
ガストレアの個体における特徴を瞬時に看破し、弱点を即座に見出す観察眼。
ガストレアの個体ごとによる相手の弱点を利用しての蹂躙。
これだけでもほんの一部なのだが、それをイニシエーターの力を使わず、単なる膂力だけで成し得ている。
他にも蓮太郎との連携では相手の弱点を的確に指示したり、対ガストレアの戦術や戦略を練り上げる指揮官としての技術も併せ持っていた。それも幾千通りものガストレア殲滅の攻略手順を瞬時に練り上げるのだから、蓮太郎は素直に凄いとしか言い様がなかった。
特に延珠は対人戦が得意であり、蓮太郎は彼女に対人における戦い方を学び、日々鍛錬を怠らなかった。延珠に一日でも近付きたいのだろう。延珠もその姿を見て蓮太郎の鍛錬に付き合っている。
蓮太郎は高校に通っている為、大体の時間はそこで過ごすが、それ以外の時間は自身の鍛錬やたまにやって来るガストレア討伐の依頼を請けていた。
これは、延珠と蓮太郎の過ごす何気ない日常の一部である。
△▼△▼△▼△▼△▼
「よっ」
「うおっ!?」
延珠の足払いによって踵から左脚を丸ごと刈り取られた蓮太郎は重心を失い、そのまますっ転ぶ。
その隙を逃さず、転んだ蓮太郎がうつ伏せになった瞬間に左膝から背中の中央に乗り、利き腕である右腕の肘から上の部分を右足で踏んで拘束、右手で頭を抑え止めに手刀を作った左手で蓮太郎の首筋に当てる。これだけの動作をコンマ一秒以内で全てやり終え、延珠が告げた。
「チェックメイト」
「……参った」
蓮太郎が降参の意を示すと、延珠は拘束を解き、蓮太郎から離れる。
「あー、これで何敗目だ?」
「五百二十三敗目。それよりも、身体の重心の運び方がなってないよ。他にも相手への視線、眼球運動、表情の作り方、呼吸、肉体の初動、攻撃の軌道、足運び、体勢の安定性の確保、凡ゆる体勢からの状況対応etc。これでもまだほんの一部なんだけど、一番痛いのは戦闘に関する技術を全て出し尽くしてしまっている事。対人戦で最も大切なのは、手札を大量に用意していかに相手に行動を読ませず且つ相手の行動アルゴリズムを看破して弱点を瞬時に見抜き最低でも一万通りもの攻略方法を見出すのかなんだけどね。それを呼吸するかの如く当たり前に出来る者は戦闘面を極限まで極めた存在だけで、大抵そういう人は超越者とか修羅とか羅刹とか呼ばれるんだけど、流石に蓮太郎には無理だよね」
「そ、そこまでは無理っす」
戦闘面について長々と説明した延珠に蓮太郎は少し引き気味だった。
(師匠との修行時代の頃は色んな世界を渡ってそんなやり手とも殺り合ったからなぁ……。
正直、私が一番恐かった相手はそういう面での超越者だったし)
そんな蓮太郎を尻目に、延珠はしみじみと過去について思い出していた。
過去に延珠と殺し合いをした者達は千差万別。延珠のような強大な不死性を持っている者や地球規模の威力を誇る絶大な一撃を持つ者、宇宙法則を操る者や森羅万象を創造する者など、一人ひとりが究極の領域に至っている超越者だった。
だが延珠にとってその類の超越者を相手とするのは得意分野であり、取るに足らない存在と言えた。
そんな延珠にも、最も恐れているタイプの超越者がいる。
それは『戦闘に関する全技術を極限以上に極めている』超越者である。
その類の超越者こそ延珠が最も恐れ、最も警戒している。
それは何故か。
例えとして、地球規模の攻撃を繰り出せる者がいたとしよう。
だが地球規模の攻撃とは大抵何らかの動作が必要としてくる。魔法使いなら詠唱、忍者なら術を発動する際の印結びと言ったような具合だ。
そしてそれを相手は黙って見ているだろうか。
答えは否である。
戦闘に関する全技術を極めた超越者達は、相手が何かをする前にその動作を既に封じているのだ。
何かをする前に、既に何かをし終えている。戦闘面を極めた超越者はこれくらい朝飯前でやってのける。
音速?
光速?
神速?
そんな
戦闘技術を極めに極めた超越者達に速さなど存在しない。
残るのは結果のみ。
そして行動の過程を省略する技術すら彼等は当たり前のようにやってのけるのだ。
例え相手が不老不死であれば、永遠に苦しむ方法で
ファンタジーものでもそう。例え最強の主人公が敵でそのステータスが那由他の彼方であり、此方が一般人程度のステータスしか無かったとしても、そんなものハンデにすらならない。究極の戦闘技術を極める者ならば防御力完全無視の即死ダメージを与える事すら容易なのだ。
最強の主人公が武器を一振りで星を半壊させる大規模な攻撃を繰り出しそれに巻き込まれたしても、どのような体勢で対応しどのような動きで避けどのような回避ルートを割り出しどのような歩法で移動するのかを刹那の間に組み込めば余裕で生還出来る。それも無傷で。
そして相手が天性の戦闘センスを持っていたとしても、相手は天性の戦闘センスを何も活かせず何も出来ずに死ぬだけだ。
どこかの漫画で空手を始め、師範代に一日目はボロ負けしたが二日目は只々相手の様子を観察し全てを解析する事で三日目は圧勝出来た理事長がいたらしいが、超越者ならば逆にそれを逆手に取るくらいは簡単にする。それ以前に肉体の初動すら感じ取れない上に速度など存在しないので、その理事長が永遠にボロ負けし続けるビジョンしか浮かばない。
他にも戦闘に関する天才は見ればすぐに敵の技術を習得出来ると勘違いされているが、それは戦闘技術を極め切れていない敵が悪いだけで、極限以上の戦闘技術なら天才であればあるほどそれを習得する事が出来なくなるのだ。
要するに『極限まで極めた戦闘技術』は見て覚えるタイプである天才に対して非常に相性が良い。逆に言えば天才タイプの最も恐ろしい天敵なのだ。『天才殺し』と言っても過言では無いだろう。
まず、上記までに挙げた戦闘技術ですら基礎の基礎、基本の中の基本なので例え天才がそれを習得して良い気になっていたら死亡ルート一直線である。
それに加えて基礎の基礎、基本の中の基本の技術やそれ以上の戦闘技術を盗まれても、その技術に対するカウンターの技術やそのカウンターに対するカウンターの技術、そしてそれすら上回る戦闘技術を備えている事など明白であり、『その戦闘技術を盗めば盗むほど自身の足下が掬われ易くなる』仕組みになっているのだ。
延珠の師匠であるウルキオラは専らこのタイプなのである。それでいて延珠が過去に殺し合いをした千差万別の超越者達のタイプ全てを兼ね備えているのだから余計に恐ろしい。そこまでの次元に至ったルーツを知りたいぐらいだ。
ウルキオラを除いて過去に殺し合った戦闘技術を極めた超越者の中で一つ例を挙げるとすれば、全盛期時代の『キング・ブラッドレイ』であろう。齢六十を超えても尚、圧倒的な戦闘技術を持っていたが、全盛期時代はその比では無い。
あれの繰り出す剣技は最早剣技とは言えなかった。いつの間にか移動しており、いつの間にか斬り終えている。延珠ですら動作の一つすら予測する事が出来なかった程だ。もしも彼がこの世界にいたならば、世界中にいるガストレアの総数は現在の二分の一以下になっていた筈だ。
というか、延珠と殺し合ったあの時は眼帯を外していなかったので全力を出していたのかすら怪しかった。
寧ろ眼帯を外してしまえば最後、延珠は何も出来ずに永遠と殺され続けていたのかも知れない。
「そう思うと世界って広過ぎるよね……」
「何か言ったか?」
「ううん、何でも無いよ。ただ私よりも強い人は山ほどいるって現実を再確認しただけだよ」
「え、なにそれ怖い」
何故か蓮太郎は戦慄した。
△▼△▼△▼△▼△▼
夕食の時間。
二人だけの食卓だが、家族のような他愛ない会話が繰り広げられていた。
「そういえば延珠って学校はどうするんだ?」
「え? こう見えて私、外国の大学卒業してるよ?」
「……え?」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「いや、お前とペアを組んで一年経つけど始めて聞いたぞ」
「あはは……」
思い返してみれば言ってなかったような気がする。延珠は思わず苦笑いを零した。
先程の通り、延珠は大学を卒業している。見た目こそロリだが、年齢は蓮太郎よりも年上なので問題ない。
まあ仮に十歳の子どもだとしても、何処かの赤色が特徴の十四歳弐号機パイロットもドイツの大学を卒業していたので問題ない筈だ。
「じゃあ俺が高校に行ってる間はどうしてんだ?」
「うーん、その日によってまちまちだけど、ここでボーッとしたり外周区に遊びに行ったり病院の地下室にいる菫の手伝いをしたり、かな」
「ま、延珠がそれで良いなら良いか」
延珠は基本的に自由行動だが、蓮太郎よりも遥かに強い延珠が危機的状況に陥る訳が無いし、外周区の呪われた子ども達もみんな延珠に懐いている。四賢人の一人である室戸菫は延珠に多大な興味(主に延珠の持つ力に)を抱いており、解剖したいとか何とか言っていた。室戸菫だけ危ない発言をしていたが、延珠は特に気にしていないようだ。
それに延珠の持つ力は科学程度では解明する事すら出来ない。一種のブラックボックスのようなものだが、手掛かりを掴むなら魔術といったオカルトの領域まで手を染めなければならないだろう。
まあ例え四賢人全員がオカルトに手を染めた所で何も解りはしないしどうにもならない。どうしても魔術を構築したいのなら、科学の領域を完全に捨て去るしか無いだろう。魔術とはその存在自体がブラックボックスなのだから。
延珠が過去に殺し合った超越者を例に挙げるならば、水銀の蛇・メルクリウスが創り上げた『エイヴィヒカイト』という魔術。
これ自体は創った本人しか解らないので四賢人はおろか、延珠でも解らず、魔術というのはこういう事を言い、大半以上が正体不明なのである。
閑話休題。
蓮太郎は別に延珠の行動を制限するつもりは無い。というか蓮太郎より延珠の方が年上なので行動を制限するという事自体おかしいのだが。
そこで蓮太郎がふと思い出したように、別の話題を切り出す。
「そういえば、ここ最近この東京エリアによくガストレアが侵入しているって噂を聞いたんだが、本当なのか?」
「そうだね、ここ最近は頻繁にガストレアが侵入してるのは確かかな」
「なあ、それって俺達がペアを組んだ時の初任務と関係あると思うか? 今思い返せばあの時も妙におかしいとは思ったんだ。ステージIとステージIIはともかく、ステージIII二体にステージIV四体、そして新しく機関銃を取り込んだステージIIIの大群。あれは普通じゃない」
「うん、下手したらモノリスを突破されていたかも知れないしね。関連性が無いとは言い切れない」
あの時のガストレア侵攻ははっきり言って異常だ。報告に上がっていた数で十体、機関銃を搭載したステージIIIの二十体以上の大群、合わせて三十体以上のガストレアが一斉に侵攻して来たのだ。それこそモノリスを突破する勢いだったのは間違い無いだろう。
常識ではモノリスを突破出来るのはステージVのみ。
だがガストレアとは常識を覆す寄生生物。ステージVだけがモノリスを突破するとは限らないのだ。
その内、ステージIVのガストレアがモノリスを突破する可能性が生まれるだろうと延珠は予想していた。実際にそれは現実になるのだから人類からすれば迷惑極まりない。
「まあステージIII以上のガストレアが侵入した例は無いみたいだから他の民警に任せれば良いよ。今の蓮太郎なら機械化兵士の力を使わずにステージIIIを倒せるし、使えばステージIVも圧倒出来るから問題ないよ」
「まあ深刻に考える必要も無いか。ステージVが来ても延珠がいるから無問題だろうし」
「まあ超高位序列者のいない他のエリアは絶望的だろうけど」
流石に他のエリアにも最低一人は高位序列者はいるので絶望的とまではいかないだろうが、ステージVが現れれば最悪の事態なのは間違いないだろう。それこそ絶望的なのだが。
「それでなんだけど、最近頻繁に現れるガストレアの件は誰かが裏で暗躍している可能性があると思う」
「誰かが裏で暗躍か……」
「だからその可能性を考えて東京エリア全体を私なりに調査してるんだ。三ヶ月くらい前からだけど」
「え、それも初耳なんだが」
「えへへ、ごめんね」
苦笑しながら謝罪する延珠。だが基本自由行動の延珠だからこそ出来るのであって責めるつもりは毛頭ない。
「それで判明した事なんだけど、この東京エリアに『仮面を付けた燕尾服の男』が出没しているらしいんだよ」
「仮面を付けた……」
少なくとも蓮太郎には思い当たりは無い。しかし仮面を付け、燕尾服の格好をしているのは奇妙だとは思ったが。
だが蓮太郎に思い当たりは無くとも、延珠自身にはあった。というかありまくりだ。
「だけど私には思い当たりがあるんだ」
「……まあ世界各国を渡って活躍してたらそりゃあ思い当たりもあるよな」
「うん、だからその男の個人情報をIP序列三位のアクセス権限を使用して調べたんだけどね」
実際は転生してから一度も会ったことが無いのだが、それを言ってしまえば話が拗れるので敢えて頷いておく。
「……そいつの情報は?」
「その男は元民警。問題行動が多過ぎてライセンスは停止・序列凍結中になってるけど、ライセンス停止前の序列は百三十四位」
「百三十四位……かなりの高位だな」
百位近くの序列者と知れば普通は驚く所なのだが、IP序列が三位という超高位序列者が目の前にいる為、そこまで驚きはしなかった。ただ相当な実力者であることに納得した蓮太郎である。
因みに現在の蓮太郎達のIP序列は十万五千六百三十七位。初任務完了と共に序列が上がったが、それ以降はあまり依頼を請けていない。しかし延珠の持つ元々の資金が億単位なので貧乏生活は免れている。ただ天童民間警備会社は延珠のヒモによって存続していると言っておこう。
「そして仮面の男の名前は蛭子影胤。イニシエーターの方は蛭子小比奈。蛭子小比奈はモデル・マンティスのイニシエーターで武器を持てば無敵らしいよ」
「蛭子影胤に蛭子小比奈……か」
「ついでに言っておくけど、蛭子影胤は『陸上自衛隊東部方面隊第787機械化特殊部隊』に所属していた。その意味は分かるよね?」
「成る程、つまり俺と同じで機械化兵士って訳か……面倒だな」
「あと蓮太郎が昔大怪我をして運び込まれたのがセクション二十二だったけど、蛭子影胤はセクション十六。つまり蓮太郎の所属していたセクション二十二の戦術思想はステージIVすら倒せる超人的攻撃力を主体としたものだけど、蛭子影胤の所属するセクション十六の戦術思想はステージIVの攻撃を止めることが出来る斥力フィールドによる絶対防御。まあ言えば真逆だね」
「だが機械化兵士って時点で厄介なのは決定だな。確かその斥力フィールドって……」
「対戦車ライフルすら防げる代物だよ。でも蓮太郎の攻撃力なら貫通出来るけどね。ただ一つだけ言えるのは防御だけじゃないって事を念頭に置いといて」
「分かった、俺も蛭子影胤と蛭子小比奈について独自に調べてみる。鉢合わせだけは勘弁願いたいけどな」
「鉢合わせしたらしたで、私が直々に嬲り殺しにしてあげるから心配ないよ。出来れば今発注してる新しい専用銃が完成してから始末したいけど。もうじき完成するらしいし、性能を試す的当てにしたいからね」
「物騒な物言いだなオイ。まあそれもお前の良い所なんだけど」
「ありがと、蓮太郎」
「どーいたしまして」
そう言いながら蓮太郎はこれから戦う可能性のある蛭子親子に心の中で合掌した。
里見蓮太郎と蛭子影胤が対峙する日はそう遠くは無かった。
この話でジャッカルの登場が確定となりました(白目
やったね影胤さん! (試し撃ちの)実験台になれるよ!(錯乱
後はれんたろーの強化フラグ回収なり
延珠が過去に殺し合ったラスボスの皆さん
・ULQUIORRAさん
・アーカードの旦那
・赤屍さん
・キング・ブラッドレイ大総統閣下(全盛期ver)
・ニート
他にもいっぱいいるよ!(白目
因みに延珠がラスボスの皆さんに殺された回数
・ULQUIORRAさん:?回
・アーカードの旦那:12回
・赤屍さん:76回
・キング・ブラッドレイ大総統閣下(全盛期ver):107回
・ニート:0回(流出階位で対抗した為)
因みにアーカードの旦那と戦った時は不死性が無かったけど、一回旦那倒したら平然と復活したのを見て真似しようとしたらなんか不死性を獲得出来たというエピソードがあったりなかったり
どの殺し合いも決着が着かなかったのでULQUIORRAさんが全部止めてます。