藍原延珠が転生(と言う名のやり直し)をして里見蓮太郎の正妻になる為に色々と頑張るお話 作:安全第一
更新しマース(=゚ω゚)ノ
いよいよ延珠の最愛の相棒との再開もとい出会いです。
ガストレア戦争から早くも九年が経った。
延珠はその間、単独イニシエーターとして各国を渡り活動し、ガストレア達を屠って来た。
その結果、延珠のIP序列は三位。『
『劫火』の異名はゾディアックガストレアとの戦いと十万体のガストレアとの戦争の時に彼女から全てを焼き尽くす火炎を纏っている姿を取って名付けられた。仏教では劫火とは世界が壊滅する時に、この世を焼き尽くしてしまうと言う大火を意味しているそうだ。そう捉えると延珠の纏う火炎は正に劫火そのものだったのだろう。
世界各国で活動している為、様々な権力者には貸しがあったり借りがあったりする。なので延珠の信頼は高い。
現在、延珠は東京エリアにて活動していた。それは気まぐれでは無く、ちゃんとした目的があった。
それは彼女の最愛の相棒である里見蓮太郎が自立し、IISO機関への加入をする時期であった。
延珠は蓮太郎とペアを組む日を覚えていたのでこうして東京エリアに戻って来ている。
話は別になるが、IISOでペアとして登録するにはプロモーターとイニシエーターの両方の承認が無ければならない。
当然、世界最強の戦力である延珠の元にはプロモーターから山ほどのオファーが来ていた。しかも強者から弱者まで様々だったのでこれには延珠も苦笑したものだ。
しかし延珠はそれらを全て拒否した。
全ては蓮太郎と会う為なのだ。他のプロモーターとペアを組むつもりなど毛頭ない。しかし単独イニシエーターではペアは成立せず、序列なども向上しない。
だが延珠は世界各国を渡り、幾多のガストレアを斃し戦果を挙げ、更にはゾディアックガストレアすらも討伐し、その名を全世界に知らしめる事で単独活動を許された例外である。
さて、延珠は今IISOの東京エリア支部にやって来ていた。
それを出迎えたのはIISO機関で働く職員の一人であった。その職員とは前から面識があり、延珠を様々な形でサポートしている優秀な職員でもあった。
「延珠様、ようこそおいで下さいました」
「良いよー、堅苦しいなあ」
「いえ、ガストレア戦争からご活躍されていた貴女様は最早英雄と呼ばれてもおかしくありません」
「同じ呪われた子どもなのに?」
「貴女様が幾ら呪われた子どもであっても関係ありません。寧ろ貴女様のご活躍によってこの東京エリアに限りますが、呪われた子ども達への差別は減っているのです。この偉業を達成なされた貴女様を慕う奪われた世代もいるのです」
「それは大切な人達をガストレアによって奪われる前に私が倒したからだよ。別にそこまで偉い事をしたっていう覚えも無いし、それが呪われた子ども達を差別する大人達を少なくしている訳じゃない」
「謙遜し過ぎですよ。ですが、やはり世の中はそう変わってくれないという事ですか」
「まあ、そうなるかな。私は化物だって自覚してるけど、他の呪われた子ども達は人間だからね。ただ望まずにそういう力を手にしてしまっただけの被害者だから」
「……難しいものです」
お互いに苦笑する。この職員も奪われる世代の一人だが、呪われた子ども達を擁護する側の人間だった。今でも呪われた子ども達への支援をし続けているが、一人の力では限界があり、中々思う様にいかなかった。
それは延珠にも言える事で、幾ら多大な功績を挙げようが、一人では限界があった。そういう意味ではお互い似たもの同士であった。
「では延珠様、貴女様がご希望なされていたプロモーターを招集して来ますので此処で少々お待ちください」
「うん、ありがとね」
職員は延珠に軽く会釈すると別の部屋へと向かって行った。
一人となった延珠は長椅子に座ると懐かしむように過去の記憶を思い出していた。
「そういえば『私』が『妾』だった当時は蓮太郎と会った瞬間に拒絶してたなぁ……」
あの頃は人間不信と敵愾心に塗れていたから差し伸べた蓮太郎の手を思い切り弾いていた。
「あの時は悪い事をしちゃったな……」
しみじみと思い出し、今の自分と昔の自分は全く違うのだと改めて認識していた。昔の自分と決別しただけで此処まで違うとは思いもしなかった。
「うん、気持ちの入れ替えとしてちょっとだけ仮眠しよっと」
そう言うと延珠は長椅子に身体を預けて眠りについた。
「───延珠様、プロモーターの招集が終わりました。起きてください」
「……ぅ、ん、終わった? 起こしてくれてありがとね」
あれから小一時間は経過しただろうか。延珠が寝ている所を先程の職員が起こしてくれた。
「延珠様も起きた事ですし、待合室にてプロモーターを待機させております」
「よっし、会いに行こっか」
ピョン、と身体を跳ねるようにして飛び上がり立ち上がった。そして職員の後を付いて行く。
「あ、そういえば一つ言い忘れていました」
「どしたの?」
「延珠様のご希望なされたプロモーターとペアを組んだ場合、個人の持つIP序列は消えませんが、ペアでのIP序列は十二万番台からスタートとなります」
「別に良いよ。序列に執心してる訳じゃないし、私がIP序列三位に戻る時は政府とIISO機関からの特務による出撃時か、聖天子様に臨時許可されるかの二つだって聞いたから」
「なら問題ないですね」
それが聞けて何よりです、と安心して言う職員。延珠がIP序列三位に戻るには先程述べたように『大絶滅』による危機が迫った際の政府による出撃要請が出た場合と、東京エリア統括者である聖天子から直に許可されるかの二つのパターンとなる。
因みに延珠には更に制約が課されている。
それは延珠の【卍解】【帰刃】を使用するには聖天子からの許可、又は承認が必要である。
理由は単純で、それを使ってしまえば大陸が消滅してしまう程に超強力だからだ。その気になれば星すら破壊出来る為、基本的に使用を禁止されている。
延珠は東仙要と同じ特殊な存在である。故に斬魄刀の解放である【始解】と【卍解】、そして【虚化】と【帰刃】が使用出来る。
【始解】と【虚化】は延珠の判断で自由に使用可能だ。まあそれだけでも十分に強力なのだが、コントロールが自由自在に効く為、大陸を消滅させる事も出来れば、小規模な攻撃まで可能だ。なので周りに被害を出す事無く戦闘出来る。
しかし【卍解】や【帰刃】は余りにも強力過ぎる為、コントロールによる制御が効いていて例え出力を抑えた攻撃だとしても、普通に大規模な攻撃となるのだ。
ゾディアックガストレアの一体である【タウルス】相手に一度試しとして帰刃を使用した事があった。
のだが、余りにも強大な力だったが故に、一分足らずで大陸ごと相手を消滅させてしまったのだ。
そんな事もあり、卍解や帰刃は許可を下されて初めて使っている。
閑話休題
延珠と職員は待合室の前へと到着した。
「ここです。後はお互いに話し合い、ペアを組むかどうかお決めになり、ペアが成立しましたら私をお呼び下さい」
「オッケー、ありがとう」
「では、失礼します」
そう言って職員は自分の仕事に戻って行った。
「……この先に蓮太郎が」
やはり緊張する。九年前は蓮太郎が子どもだったから普通に接する事が出来たが、今回はそうはいかない。
「あ〜、やっぱり緊張するなあ〜」
そう呟く延珠。しかしいつまでもこうしてる訳には行かない。
「よし、行こう!」
延珠は腹を決めて待合室のドアノブに手を掛け、回す。そして待合室の扉が開かれた。
「失礼しまーす……」
延珠は待合室の中へと入る。
そしてその先には彼が居た。
「えっと、君が俺のイニシエーターになる藍原延珠で良いんだよな?」
(あっ……)
久しぶりに見る彼の姿に延珠は見惚れてしまった。
藍色が掛かった黒髪をして身に制服を包み、いつも不幸面をしているその表情。
そしていつも『妾』だった時の自分を支えてくれた最愛の相棒。
里見蓮太郎がそこに居た。
「うん、私が藍原延珠だよ。これからよろしくね、蓮太郎」
「ッ!」
延珠は女神のような微笑みでそれに応える。蓮太郎は一瞬、彼女に見惚れそうになった。初対面でいきなり下の名前で言われてもそんな事はどうでも良くなる程に。
お互いに見惚れたその姿。方や少年を長い間待ち続けた少女、方や初対面でここまで美しい微笑みを見た事が無かったと驚かされた少年。
二人の運命が今、交差した。
藍原延珠についての補足説明
延珠は呪われた子どもですが、侵食率は存在しません。
だって魂を実体化した姿だもの。
後は死神と虚と破面の力を持ってるので私の書いているウルキオラさんと同じで始解と卍解、帰刃が使えます。
帰刃は虚化をした後に使用可能です。
作中でも述べてましたが、東仙要と同じ特殊なタイプとなりますのでご了承ください。