藍原延珠が転生(と言う名のやり直し)をして里見蓮太郎の正妻になる為に色々と頑張るお話 作:安全第一
最早エイプリルフールネタじゃねー!(白目
高校の授業を終えた蓮太郎はいつものように帰路を自転車で漕いでいた。
「今日も平和だな……いや、平和じゃないんだけどな」
蓮太郎と延珠がペアを組み始めて約十ヶ月。だがその間はガストレア討伐任務やそれに関する事件に全くと言って良いほど関わらなかった。
とはいえこれは準備期間に過ぎない。延珠による戦闘技術の習得、それの向上。蓮太郎がこの残酷な世界すら容易く戦い抜く事が出来る力を得るという延珠の計画である。まあ覇道神である延珠にとってこの世界など歯牙にも掛けないのだろう。蓮太郎は知る由もないが。
アパートに到着し自転車を駐輪場に置き、階段を上る。
今日は延珠が食事を作る当番の日だ。彼女が振る舞う料理は蓮太郎すら絶賛してしまう程に美味い。思わず三つ星レストランで働いてたのかと聞いてしまったのはいい思い出だ。
(さて、今日の晩飯は何かな〜)
そう軽い気分で住んでいる部屋のドアノブに手を掛け、それを回してドアを開ける。
「延珠ただいまー」
アパートに自室に入り、学校鞄を置こうとした時───
「な、なんだよ……これ……!?」
蓮太郎は驚愕した。
そこにいたのは血みどろになって倒れている愛しき相棒の姿。彼女はピクリとも動かない。
「え、延珠っ!!」
思わず駆け寄り、延珠を抱き上げる。だがそれでも起きなかった。
(一体、誰が……!?)
蓮太郎は周りを見渡すが、凶器の類らしきものは落ちていない。窓は閉まっており、ガラスには何もされていない。暗殺された形跡や遠くから狙撃の後は無いという事だ。
だがその前に延珠はIP序列三位の超高位序列者。そう
だが今の延珠はどうだ。再生しない上に動かない。
「延珠ッ延珠ッ!!」
頭から血の気が失せる感覚を感じた蓮太郎は必死に延珠に呼び掛ける。
誰に殺されたかなんて今はどうでもいい。蓮太郎は延珠に呼び掛けるだけしか出来なかった。
だが幾ら蓮太郎が呼び掛けようとも、未だ彼女が起き上がる気配は無い。
「え、延珠……」
蓮太郎は絶望する。こんな何気ない日常で彼女が死ぬとは思いも寄らなかったのだ。
護れなかった。最愛の相棒を救えなかった。
「起きてくれ……起きてくれよ、延珠……」
目尻からうっすらと一粒の涙が浮かび上がる。身体を震わせ、彼女の身体を抱き締めた。
「延珠、延珠……」
お前のお陰で俺は変われたんだ。お前の存在が俺に光を照らしてくれだんだ。
お前と折角ペアを組んだのに、死んでしまっては元も子もない。お前が死んだら俺は一体どうすれば良いんだ。木更さんと俺とお前で天童民間警備会社。木更さんが設立して俺が付いて行ってお前が変えてくれて、だから俺と木更さんは変われた。この三人で今の天童民間警備会社が成り立っている。
何より、俺がお前を愛しているんだ。短い間でお前の事を知って、理解して。そしてお前も俺の事を知って、理解してくれて。笑顔でそれを受け容れてくれて。その時から俺はお前に惚れた。
好きなんだ。恋い焦がれているんだ。屈託の無いその笑顔が眩しくて、その幸せをいつでも感じていたくて───
「延珠……」
でも、彼女はこんなに冷たい。あんなに暖かった少女はその温もりを宿していない。
突如として奪われた俺の光。今の俺の周りは日が暮れていないのに真っ暗になっていた。
「えん、じゅ……」
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
「………」
後悔、後悔、後悔。ボロボロと涙を零しながら蓮太郎の心には後悔の二文字が占めていた。
だがあまりにも突発過ぎた悲劇は、蓮太郎の心の正常性を失わせる。嫌だ、嫌だ、嫌だ、と───
あぁ、嫌だ。認めない。
このような終わりなど許せない。
俺は。
あぁそうだ。こんな結末など認めるものか。
やり直したい。
私が納得出来る結末をよこせ。
渇望が、蓮太郎の心を支配する。『自分の望む結末以外は認めない』という渇望が総てを支配して行く。
人の身であった蓮太郎の身体は最早別次元となった。
途轍も無い神気が辺りを埋め尽くす。凄まじい渇望と神気によって空間が歪められる。
「───………」
蓮太郎は抱き締めた彼女の顎に手を添え、自らの唇と彼女の唇を合わせた。恐らく、純粋に彼女を愛することが出来るのはこれが最後。この先は渇望によってその愛は歪められ、間違った愛になるという確信があったから。
愛があろうと、歪んだ愛だろうと、それを向ける対象がいなければその愛は愛ではない。愛であって愛に非ず。
冷たくなった彼女だったが、その唇の味は最初で最後に味わう至高の味であった。
出来れば、この先もこの至高を味わいたい。だからやり直すのだ。
愛を取り戻す為に。
彼は謳う。
───
『
「……なんだこれは?」
絶対無、ウルキオラ・シファーがノートを見て首を傾げた。
すると凄まじい速度で階段を駆け上ってくる音が聞こえて来る。
「しっ、しししし師匠!!! それを見ちゃダメ〜〜〜っ!!!」
そして現れるこの内容を書いた張本人、藍原延珠。その表情は真っ赤で息も絶え絶えだった。
ウルキオラは顔だけを延珠の方に向け、一言。
「……里見蓮太郎を水銀にしてどうする。奴に水銀は似合わん。常識的に考えて奴に合うのは永遠の刹那だろう」
「」
呆れた表情でバッサリと言われた。
「……まず、いきなり流出位階に至れる者など波旬か黄昏ぐらいしかいないだろうが」
「い、いやっ、そ、その、あの……」
「大方、お前の愛が迷走して生まれた産物という事は間違いないが……」
ウルキオラは思い出す。
確かに水銀の愛は本物であり、一途に愛する姿勢は良いだろう。だがその愛が天元突破してストーカーと化していたあの姿はもう、なんというか、何も言えなかった。
永遠の刹那なら解る。だがコズミック変質者と里見蓮太郎を合わせてみろ。全然似合わないしシュール過ぎてカオスになる。見た目幼女の延珠をストーカーする蓮太郎とかそれはもう重度を超えたロリコンだ。多分、延珠は黄昏とは違い積極的にストーカーされに行くスタイルを取るだろう。
つまり何が言いたいのかと言うと……
「変態、という訳だな。お前は」
「きゅう」
己の黒歴史ノートを見られ、挙げ句の果てに師匠であるウルキオラから変態認定された延珠は羞恥の余り、気を失ってバタンキューしたのだった。
終わり
ENJUちゃんは変態。
蓮太郎への愛があまりにも強すぎてこうなってしまったのである。
好感度メーターが振り切り過ぎてしまった故の帰結なのだ。
因みにこの後黒歴史ノートを滅尽滅相しました(笑
かなりテキトーに作ったので削除するかも知れません。
そこの所はご理解下さい。m(_ _)m