藍原延珠が転生(と言う名のやり直し)をして里見蓮太郎の正妻になる為に色々と頑張るお話   作:安全第一

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最近、pixivの『泣ける艦これ』を見て号泣してます。マジで。
めっちゃ感動する。

今回は蓮太郎のチート具合が分かる回。

ではどうぞ。


11.邂逅

 外周区。

 

 そこは呪われた子ども達が落ち延びている場所。そして、呪われた子ども達への差別意識が抜けない大人達が忌み嫌う場所でもある。

 

 東京エリア内の呪われた子ども達への差別意識は他のエリアより薄い方だ。そして今や英雄視されている藍原延珠の影響もあり、彼女らを保護する大人達も多い。

 

 だが、ガストレアショックから立ち直れた大人達が多いこの東京エリアであるが、未だに立ち直れない大人達も少なくない。

 

 それらは産んでしまった呪われた子どもを外周区の近くに捨てている。故に亡くなっている呪われた子ども達は数多くいる。

 

 そして外周区はモノリス付近に存在し、たまにモノリスの磁場結界を抜けて来るガストレアと遭遇し易い。

 

 その為、外周区の建物はガストレア戦争の傷を残したままであり、修繕される事は無い。当然ライフラインも途絶している。

 

 さて、その外周区にステージIIIのガストレアが侵入したとの報告が藍原延珠の元に届いた。

 

 延珠はそれを承諾。直ぐさま殲滅へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

『ギシャアアアァァァァァ!!!』

 

 目の前の少女に異形の怪物が襲い掛かる。大きな口に鋭い牙、丸太よりも太い腕に鉄すら切り裂く爪を少女を潰そうとする。

 

 だが、

 

「……クククッ」

 

 不敵に笑う少女が白銀の拳銃を構え異形の大顎に狙いを定める。

 

 そして引き金を引く。

 

 拳銃の撃鉄が十三ミリ爆裂徹甲弾の雷管を叩き、銃口から発射される。

 

 銃弾は空気を裂きながら異形の大顎へと吸い込まれ、首から上ごと顎を千切り抉る。

 

『───!!?』

 

 首から上を全て持って行かれた異形は何が起きたのか分からず困惑した。

 

 空高く跳ばされている異形の頭が最初に見たのは自身の胴体。そして首の部分からは噴水のように吹き出ている赤い液体。

 

 次に視界に入るのは、先程の少女。だが彼女が浮かべている笑みは悍ましく、蹂躙を愉しむような笑みであった。

 

 そしてギラリと銀色に光る拳銃が此方に銃口を向けている。あれが自身の首を顎ごと千切ったものであると初めて理解した。そして、

 

「Amen」

 

 そんな言葉が聞こえた後、異形の意識は唐突に途絶えた。

 

 

 

 

 

「うん、任務遂行」

 

 ガストレアの首を消し飛ばした少女、藍原延珠は残った胴体をカスール改造銃で肉塊に変えて始末し、その後は外周区の中を歩いていた。

 

「全く、たかがステージIIIなのに私を駆り出すなんて。東京エリアの民警はそこまで貧弱じゃないんだけどなぁ」

 

 延珠は心底呆れながら頭を掻き、そう呟く。ステージIII程度なら千番台の民警で事足りるというのに。

 

「……とは言っても七匹同時に攻めて来られるとお手上げ状態か。ま、仕方ないね」

 

 ステージIIIのガストレアはそう弱くない。ステージIすら油断すれば死に至るのに、ステージIIとなれば死を覚悟して挑まなければならないレベルだ。ましてはステージIIIともなれば生半可な民警なら単独では絶対に倒せない相手。ステージIV・ステージVに至っては超高位序列者に頼らなければならない。

 

 そんな強さを持つガストレアをあっさりと殲滅する延珠の方が可笑しいのだ。過去に十万体ものガストレアを僅か数分で全滅させたその力は推して知るべしである。

 

 現在は活動が控えめになっているものの、カスール改造銃のみで蹂躙と殲滅の繰り返し。誰がどう考えても可笑しいと認識するのが普通なのだ。

 

 だが延珠の扱うカスール改造銃は人類では扱えない代物。内部構造を弄り、威力を尋常外まで引き上げたそれは最早銃であって銃では無い。故にガストレア殲滅が容易いのだ。

 

 そして近々完成予定である黒金の拳銃はカスール改造銃の威力を更に上回る。

 

 それもその筈、“ステージVを撃ち殺す”コンセプトで造られた物である為、“殲滅用”として用いられる事になっている。

 

「んー、私が描いた脚本通りに動かしてあげると言った所でその通りに動かせるとは限らないなぁ。私はあの水銀ほどの脚本家じゃないし詐欺師でもない。精々最悪の事態にならないように調整する程度しか出来ないのが痛いよ……」

 

 はーやれやれ、とため息を吐く延珠。日は既に夕暮れへと傾いている。別の依頼を請けた蓮太郎は丁度あの仮面の男と邂逅している所だろう。

 

「よし、じゃあぼちぼち動こうっと。まあ赤屍さんみたいに常時0時間行動も出来るけど、瞬歩で十分だね」

 

 そう言うと、延珠はその場から一瞬で姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、里見蓮太郎は相棒である延珠が特務でガストレア殲滅に出向いたのと同時に届いた依頼を請け、その現場に辿り着いていた。

 

 まあその時にエラの張ったゴツい顔をしている殺人課の主任刑事が脅して来た等の事はあったが、適当にあしらってどうにかした。今日の食事当番は自分なので、さっさと依頼を片付けたい一心である。

 

「お前、相棒のイニシエーターはどうした? お前等民警の戦闘員は二人一組で戦うのが基本なんだろ?」

「ん? あぁ、あいつはいま別の依頼に出向いててな。今ごろガストレアを潰し終えている所だろうぜ」

「……それはどういう事だ?」

「あんたも知ってるだろうが、俺の相棒は藍原延珠って言ってな。IP序列三位の英雄だ」

「……は?」

 

 蓮太郎の相棒が藍原延珠という人物と知り、素っ頓狂な顔をしてしまう多田島。藍原延珠といえば知らない者はいないとされる英雄。イニシエーターの身でありながら世界中を駆け巡り、人類の危機を幾度となく救って来た。

 

 そんな人物の相棒が目の前にいる少年だという事が信じられない。だが蓮太郎からは嘘を吐いている様子は見られない。

 

「どうやらモノリスからステージIIIのガストレアが七体もやって来たらしいんだとよ。それで外周区で迎え撃つ形で一人殲滅に向かった訳だ。しかしこうもあっさりモノリスの結界が抜けられるとはこの先心配になるぜ……」

「……そりゃマジかよ……」

 

 そして依頼の内容を聞き、内心冷や汗をかく。ステージIIIが七体も侵入して来ているとは緊急事態にも程がある。もしも藍原延珠がいなければ今ごろこの東京エリアはパンデミックと殺戮の嵐に塗れているだろう。下手をすれば更にガストレアが侵入して被害が甚大になったかもしれない。

 しかしガストレアが侵入しているのはこちらも同じ事で。

 

「まあ、あっちがどうにかなってもこっちがな……。ガストレアなんだろ?」

「まあな……。さっきも言ったが、間違いなくガストレアがいる」

 

 マンションの階段を上り、現場の二○二号室に向かうとそこには警官隊がドアの前を固めていた。

 

「なにか変化は?」

 

 多田島の言葉に警官隊の一人が青い顔をして振り返る。

 

「す、すみません。たったいまポイントマンが二人、懸垂降下にて窓から突入。その後、連絡が途絶えました」

 

 現場の空気が凍る。

 

「馬鹿野郎! どうして民警の到着を待たなかった!」

「我が物顔で現場を荒らすあいつ等に手柄を横取りされたくなかったんですよ! 主任だって気持ち、わかるでしょう!」

 

 彼の言った通り、民警と警察の仲は悪い。敗戦後、ガストレア絡みの事件は民警の同伴無しに現場に入れないという内容の法律が制定されたからである。

 

 これは警察官の死亡率を少しでも下げる為の必要な措置とのことだが、所轄に土足で踏み込んでくる民警の社員を温かく受け入れてくれる警察官などどこにも存在しなかった。

 

「んなこたぁどうでもいい! それより───」

「分かってる。俺が突入する!」

 

 蓮太郎が言葉を発した時には既にXD拳銃を抜き、遊底(スライド)を引いて弾を発射出来るようにしていた。

 

 多田島はその行動を見て、警察官に顎をしゃくって命令。それを認識した警官隊二名がドアの前に配置さて、彼等の持っていた全長の短縮された扉破壊用散弾銃(ドアブリーチャー)蝶番(ヒンジ)に当てられる。

 

 そして蓮太郎が一呼吸、あらゆる状況に対応出来るように思考をクリアにする。

 

 そして一言。

 

「やってくれ」

 

 二挺のショットガンが火を噴き、それと同時に蓮太郎がドアを蹴り破る。

 

 夕暮れの日の光が六畳の小部屋に照らされており、そこに蓮太郎が突入した。

 

「……これは」

 

 突入した蓮太郎が見たものは血に染まった壁、そして一人の男。

 

 身長は一九○は超えているだろうか。細過ぎる手足に胴体、細い縦縞の入ったワインレッドの燕尾服にシルクハット、極め付きは舞踏会用の仮面という奇妙な出で立ち。

 

 そして蓮太郎は延珠の言っていた事を思い出す。

 

(燕尾服を着た仮面の男。なるほど、こいつが……)

 

 蓮太郎がそれに思い至ると、仮面男が首を巡らせてこちらを見て薄笑いを浮かべる。仮面の奥に潜んでいる鋭い視線が蓮太郎を刺した。

 

「やあ民警くん。随分遅かったじゃないか」

 

「アンタ、民警じゃないな。そっちに倒れている警官はアンタが殺したんだろ?」

 

「おや、正解だよ。確かに私も感染源ガストレアを追っていた。しかし同業者ではない。なぜならね───」

 

 男は芝居がかった調子で両手を広げる。

 

「───この警官隊を殺したのは私だ」

 

「そうかよ。それじゃ───」

 

 気配からして敵だという事は分かっていたが、仮面男が自ら敵だと宣言したのだ。

 

 

 

 

 

「───殺しても文句はない訳だ」

 

 ならば遠慮なく殺してやろうではないか。

 

 

 

 

 

 蓮太郎が居たのは仮面男の背後(・・)。左手に持つXD拳銃を彼の後頭部に当てていた。

 

「!」

 

 仮面男はそれにいち早く気付き、拳銃が発砲される前に首を傾けて回避。同時に拳銃を抜き撃ち(クイックドロウ)

 

 蓮太郎は身体を逸らしてそれを避け、逸らした勢いで一回転し左脚で回し蹴りを放つ。

 

「フッ!」

 

 隠禅・黒天風。

 

 一年間、延珠との戦闘訓練の際に指摘された事の一つ。

 

 

 

『技名を叫びながら技を放つと威力が下がるよ。それに技名を叫ぶという事は「今から技を放ちまーす」って宣言しているのと同じ』

 

 

 

 それ以降、最低限の呼吸と共に技を放つ事を覚えた。次の行動を読ませずいかに先手を取れるかが重要になって来る。

 

「オ、なかなかやるね」

 

 だが仮面男も然る者。反対側から迫る回し蹴りを目視する事なく左腕で難なく受け止め、右脚で裏回し蹴りを放つ。

 

 その攻撃を蓮太郎は右腕で受け止める。そして左手に持っていた拳銃で仮面男の背中に狙いを定めた。

 

「!」

 

 しかし直ぐさま照準を男の持つ拳銃の銃口に変え、引き金を引く。同時に男も拳銃の引き金を引いており、発射されたお互いの銃弾がぶつかり合って潰れる。

 

 最後はお互いに距離を取り、再び相対する形となった。

 

「ほう、想像以上だよ」

 

「アンタもな」

 

 コイツは強い。

 

 蓮太郎はそう認識した。あの男はこちらを見ずに照準を自分に定めていた。もしもそのまま背後を撃っていたらお互いに相討ちになっていただろう。

 

 その時、場違いな携帯の着信音が室内に鳴り響く。

 

 音源は二つ(・・)

 

「ん、なんだ延珠?」

 

「小比奈か……」

 

 同時に蓮太郎と仮面男が電話に出る。殺伐とした空気の中、平然と電話に出る二人は相当な実力を持つ者だと伺えた。

 

「そっか、依頼終わったんだな。え、手応えが無かった?」

 

「ああ、うん。そうか分かった」

 

 他愛ない会話が続く。それでも相手から意識を外していない。蓮太郎と仮面男はそれを難なくこなしていた。

 

「これからそちらに合流す───」

 

「しょうがないだろ? ま、俺もさっさと依頼終わらせるから───」

 

「───こっちを見ろ化け物め! 仲間の仇だッ!」

 

 ちらりとドアのあった方向を見てみれば警官隊数人がカービンライフルを構えていた。

 

 仮面男はそちらを見ずに早撃ち。ホルスターから抜いていた為に抜き撃ちは出来なかったが、最小限の動きだけで気配を悟らせずに撃つ。

 

「!」

 

 だが、その銃弾はありもしない方向へ着弾した。

 

 原因は相対している少年、里見蓮太郎。

 

銃弾撃ち(ビリヤード)

 

 銃弾を銃弾で撃つという荒唐無稽な技術である。音速以上の銃弾を音速以上の銃弾で弾く技術を持っている人間など世界中で一人いるかいないかである。

 

 しかし蓮太郎は難なくやってのけた。しかも『義眼』を使わずに。

 

 そして蓮太郎は警官隊数人に向けてギロリと睨みつけ、殺気を放つ。この男に立ち向かうのは自殺行為であると。何より邪魔で仕方ない。

 

 

 

 ───死ぬぞ、お前等。

 

 

 

「ッ!?───……」

 

 蓮太郎の凄まじい殺気に当てられた警官隊達はその場で気絶した。所謂『殺気で相手の意識を失わせる技術』である。

 

 仮面男は警官隊へ視線を向けている蓮太郎に数発発砲。だが仮面男に出来る技術が蓮太郎には出来ない道理など無い。

 

 視線を警官隊に向けたまま男の拳銃が発砲したと同時に発砲。『銃弾撃ち』で相手の銃弾を撃ち落とした。

 

「いや、なんでもない。ちょっと立て込んでてね。すぐそっちに行く」

 

「あぁ、なんでもないぜ。現場がゴタゴタしてるだけだ。すぐに終わらせて帰る」

 

 そして異常な攻防があったのにも関わらず、お互いに携帯電話を手放してはいなかった。

 

 同時に通話が終わり男は携帯電話のフリップを閉じ、蓮太郎はスマホをポケットへしまった。

 

 すると、男は心底楽しそうな調子で仮面を抑えながら、喉の奥でキキキという笑いを漏らした。

 

「いやはや、ここまでとは思いも寄らなかった。私と互角とはかなりの逸材だね君は」

 

「ありがたいお世辞をどーも。アンタがここまで強いとは俺も予想外だったよ」

 

 蓮太郎は軽薄そうな笑みで男を見る。それに対抗して仮面男もこちらを見る。仮面の奥の瞳がギロリと蓮太郎を捉えた。

 

「ところで君、名前は?」

 

「里見蓮太郎だ」

 

「サトミ、里見くんね……」

 

 男は口の中でそうブツブツと呟きながら割れた窓ガラスをくぐってベランダに出ると、手すりに足をかける。

 

「おい、アンタの名は知ってるぜ。蛭子影胤」

 

 蓮太郎が男の名を口にすると、影胤は驚く事もなくこちらを振り返った。

 

「おや、私の名を知っているとはね。ますます興味深いよ君は」

 

「アンタの目的は?」

 

「ふむ、目的かね? 強いて言うなら世界を滅ぼす事、かな?」

 

「世界を滅ぼすだと?」

 

「そう、私は世界を滅ぼす者。誰にも私を止める事は出来ない」

 

「そうかよ。なら俺が止めてやらぁ」

 

「ククク、やはり面白い。君とはまた何処かで会えそうだ。いや、私から会いに行くべきかな?」

 

「今日は見逃してやる。延珠が待っているからな。だが次は殺す、必ず殺す」

 

「おやおや、怖いねぇ。なら私も殺す気で君と会おう」

 

 そして影胤は一足飛びにベランダから飛び降りた。

 

 

 

「……さて、さっさと依頼を終わらせるか」

 

 蓮太郎は踵を返し、気絶させた警官隊数人を多田島に任せると、目を閉じ辺りの気配を探る。すると恐らく感染者であろう岡島純明の気配を察知。その方向へと向かって行くのであった。

 

 

 




最初の邂逅はあっさり(?)としたものである。
まあそういうラノベとかもあるし大丈夫だよね!



現在のENJUの持つ超絶チート。

・死神と虚と破面の力

・始解、卍解、帰刃

・カスール改造銃

・ジャッカル(手に入る予定)

・アーカード並みの不死性

・赤屍さん並みの不死性

・常時0時間行動(赤屍さんのやつ)

・覇道太極(永劫破壊)
太極は『修羅外道外法羅刹』
※因みにパラメータは全て98。天魔・夜刀に次ぐ強さを持つ覇道神。

・極限を超越した戦闘技術



こんなもんですかね。
なんたるチート(白目

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