けいおんにもう一人部員がいたら   作:アキゾノ

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少しづつでもいいから、更新していきたい・・・のでよろしくお願いします!
あと今回、クラス編成として原作と少しちがうところがあります。
ご容赦ください。


第51話

Side 千乃

 

 

いちごさんに手を貸してもらい、何とか落ち着いた私はお礼を言ってから苺さんやクラスメイトの人達に挨拶をしようと思ったのですが先生が教室に入ってきて、各々席へと座ってしまいました。

残念な反面、いちごさんが私の隣に座ってくれた事が嬉しく、また私のほうから一方的ではあるが前の一年でのゆ、ゆ、ゆ友人が近くにいることに安心を覚えた。

 

私たち2年1組の先生は、黒井ななこ先生という大変スレンダーで山中先生に負けず劣らず美人な先生でした。

 

 

「ほんならまずは自己紹介からいこか~」

 

その言葉におそらくクラス中が首を傾げた。

いや、まあ新しくクラスが変わったので見知らぬ顔ぶれも増えたことをうまく中和しようということなのだろう。

しかし、クラスに入ってきていきなりその言葉は意表を突かれた。

私としては大助かりだが。

 

「自信があるやつは一発芸してもええで」

 

という前振りがなければ。

さすがに知らない人の中で一発芸をするなんて度胸のある人はいないだろうと思ってたのだけれど

 

「ジョジョ立ちします」

「フリーザ様の物真似します・・・ぜったいにゆるさんぞ虫ケラども!じわじわとなぶり○しにしてやる!」

「納豆の物真似します」

「あやとりで必殺技します・・・ビッグベン・ワイヤー・フレーム!」

「ジブリの1シーンやります・・・うるさいなーもー、万年球ひろい!」

 

名前より先に一発芸する人の多いこと多いこと・・・。

え、これって私も何かやるべきなのでしょうか?

そして私の隣の席の苺さんの番。

いちごさんも何かやるのかなと思ってたら。

 

「若王子いちごです。バトン部に入ってます。1年間よろしくお願いします」

 

そして座った。

ですよね、それが普通ですよね。

私もそれに習おうかと思った、けど。

ふと思う。

私の持ってる病気のこと。

恥ずかしい話、もう私は一人でなんでもやることは難しくなってきている。

もちろん、それを理由に甘えたいわけではない。

ただ知っておいてほしい。

そうすることで、私と関わろうとする人がいなくなってもいい。

知らずに迷惑をかけたくないからだ。

最初から私がそういう病気だったと知っていれば、周りの人も諦めがつく。

あぁ、病気だからこうなのか、と。

全部言う必要はない。

喪失病で1年後にすべて忘れてしまいますなんて頭がおかしいと思われてしまうかもしれないから。

 

刺すような視線を受けながら、私は静かに席を立つ。

 

「湯宮、千乃です。」

 

一息吸って。

 

「えっと、私は、今、病気を患って、ます。体がうまく、動かなくなったり、喋るのが、遅くなったり・・・皆さんに、も迷惑をかけてしまうかも、しれません。なるべく、迷惑を、かけないように、しますので、どうか、よろしくお願い、します」

 

深々と頭を下げる。

先ほどまでは楽しい雰囲気だったのにしん、と静まり返る教室。

あぁ、申し訳ないなぁと思いながら席に座ろうとする私はその前に発せられた言葉に行動を遮られることになった。

 

「それって自虐のつもり?」

 

「・・・え?」

 

隣のいちごさんの口から出た言葉はなぜか私の胸にストンと落ちました。

綺麗な瞳が私の顔を覗き込んでいる。

 

いちごさんは口を再度開いて、何かを言おうとして、やはり閉じた。

 

「まぁ・・・なんや、湯宮が病気って言うのはうちも今知ったわ・・・みんなもできる範囲でええから助けたって」

 

先生がそう言わなければきっとこの空気はずっと続いたと思うほど、長く感じた。

結局、いちごさんはそれ以降、HRが終わるまで何も話しませんでした。

 

怒らせてしまった・・・のだろうか。

 

 

 

そして自己紹介が終わりに近づいたとき、私はまた奇跡を感じた。

 

「真鍋和です。生徒会に所属してます。困ったことがあれば何でも言ってください」

 

「秋山澪です。け、軽音部に所属してます・・・よろしくお願いします!」

 

 

 




神様「いちごさんかわいい」

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