けいおんにもう一人部員がいたら   作:アキゾノ

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毎度のことながら、更新遅くてすいません。
これからもどうか、よろしくお願いします!


第40話 This Love

Side 律

 

 

今日はクリスマスだ。

軽音部の皆で、唯の家でクリスマスパーティーをすることになっている。

憂ちゃんの手料理とか、、プレゼント交換で澪が一喜一憂する姿を楽しみにしてた。

千乃も初めてのクリスマスパーティーと言ってたので、きっと目を輝かせてくれるんだろうと思ってた。

 

連絡があったのは夕方ごろ。

和と千乃は一緒に来るはずだったんだけど、少し遅れてるのか、と。

その時、和が切羽詰った声で電話をしてきた。

こんなに和が慌ててる声なんて聞いたことがない。

 

曰く、千乃が来ない。

嫌な予感がした。

和は千乃の家に向かうと言う。

大まかな場所は把握しているのか、走り出す息づかいが電話越しに伝わる。

私は急いで、さわちゃんに連絡を取り千乃の家の住所を聞き、折り返すと言った。

 

隣で、澪が不安そうな顔で見ていた。

その頭を撫でて、大丈夫だと言う。

まるで自分に言い聞かせるように。

 

けど震える指に、唯も憂ちゃんも手を止めてあつまっている。

結果、さわちゃんはすぐに教えてくれて、和に電話をかける。

 

わかった、とそう端的に言う和の息は整っていた。

きっとすぐ近くまで来ていたのだろう。

私たちも、その住所に行こうと立ち上がったときに、ムギから電話がかかってきた。

タイミングがいいというのはこういうことか。

 

事情を話す。

一瞬の沈黙。

そして。

 

 

「みんなは家で待ってて」

 

 

「はぁ!?なんで!」

 

 

すぐにでも駆けつけてやりたい。

杞憂だったならいい。

だけどもし、病気が進行していたのなら・・・抱きしめてやりたい。

 

 

「千乃ちゃんのことは、和ちゃんと私に任せて。その代わり、みんなはパーティーの準備を進めてて・・・お願い」

 

 

「パーティーって・・・そんなことよりも」

 

 

「お願い・・・もし千乃ちゃんが泣いてたら・・・温かく迎えてあげられる、そんなパーティー会場を・・・」

 

 

ムギも、最悪の想定をしているのだ。

その上で、千乃のために何が出来るかを考えているのだ。

 

 

「・・・わかった」

 

 

「おい、律!」

 

 

澪が私に食ってかかる。

 

 

「その代わり・・・ちゃんと千乃を連れてきてくれな。みんな、待ってるって伝えてくれ」

 

 

そう言って電話を切る。

横には澪が納得いかない顔をしている。

 

 

「そんな顔するなよ・・・千乃のことはあの2人に任せよう」

 

 

「・・・2人より5人のほうが良いに決まってる」

 

 

「かもな・・・でも、千乃はきっと泣いてる」

 

 

「だから!」

 

 

「だから私たちは千乃が笑ってくれる、そんなパーティーにするんだ」

 

 

「・・・・」

 

 

「手伝ってくれよ。私よりも澪のほうが女の子らしいからさ」

 

 

「・・・うん」

 

 

「・・・ありがとな」

 

 

本当は澪も駆けつけたいんだと思う。

できることなら私だってそうだ。

 

 

「律ちゃん隊長!私はどうしたらいいでありますか!」

 

 

「あー・・・唯は澪と一緒に会場造りしててくれ」

 

 

「りょうかい!」

 

 

唯の明るさに救われる。

憂ちゃんも張り切ってくれてる。

だからさ、千乃。

早く来てくれよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言おう。

なにがどうなって、こうなった!?

 

 

目の前には千乃がいる。

その両脇には和とムギがいる。

そこはいい。

いつもと同じだから。

けどいつもと違うところがある。

それは、腕を組んでるというところだ。

そしてそれは、なんていうか、その・・・いわゆるカップルのようで。

3人の顔は真っ赤で・・・恥ずかしいならしなきゃいいのに!

 

でも、まあとりあえずは。

 

 

「いらっしゃい、千乃」

 

 

 

 

 

 

 

 

Side千乃

 

 

人は後悔をする生き物だと、前の世界の看護師さんは言っていた。

その通りだと思った。

私はいつだって後悔をしている。

本当にこれで良かったのかと。

今回のことだってそうだ。

 

喪失病が進行して、言いたくはないけど良い区切りだと思った。

けど、甘えの捨てられなかった私は、差し伸べられた手を握ってしまった。

一度でも温かさを知ってしまったら・・・もう1人にはなりたくないと思ってしまったのだ。

本当に後悔だ。

自分も辛い。

相手だって辛くなるのに。

 

そしてなにより・・・2人の手を取ってしまった。

こんなこと今まで経験したことがないのだけれど、私は告白をされてしまったのだ。

それもなんと和ちゃんと紬ちゃんに。

何度夢かと、思った。

和ちゃんと紬ちゃんが告白を、手を差し出したとき、私は頭の中が真っ白になり・・・気づいたら2人の手を取っていた。

つまり、私はどちらかを選ぶことが出来なかったのだ。

2人のことを、同じくらいに好きだとそう思ってるから。

 

怒られても仕方ないと思った。

だって・・・これじゃまるで浮気みたいで・・・。

でも、2人は呆れたように笑った。

そして。

 

「「まあ、千乃(ちゃん)だもんね」」と。

 

 

そして、あれよあれよと着替えさせられ、唯ちゃんの家まで腕を組みながら来たのでした。

 

 

 

「え~っと・・・いろいろと聞きたいことがあるんだけど・・・まずは千乃」

 

 

「は、はい」

 

 

律ちゃんが頭を抱えながら私に問いかける。

テーブルには見たこともないような料理の数々。

テーブルの上や窓、ちょっとしたスペースにはかわいらしい色とりどりの飾り付けが。

きっと澪ちゃんと唯ちゃんだと思った。

 

 

「喪失病、か?」

 

 

「っ・・・はい」

 

 

「そっか。歩きづらそうだったけど・・・」

 

 

「はい・・・あの、体が、上手く、動かなくなって、しまいまして」

 

 

途切れ途切れに、そう伝える私。

ぼやけた視界には、顔をゆがめた律ちゃんが見えたような気がした。

 

 

「あの、でも、私、歌えます、から!いっしょう、けんめい、歌います!」

 

 

できるかどうかはわからない。

けど、私から歌うことを取ったら、軽音部での居場所がなくなってしまう。

それだけは嫌だった。

 

 

瞬間、頭に衝撃が。

そしてほっぺたをつねられる。

 

 

「ったく・・・お前もそろそろ私たちをわかってくれ」

 

 

「・・・え?」

 

 

「喪失病が進行して、体が不自由になって、声も出しづらくなったからって、それが何だって言うんだ」

 

 

「そんなことで、千乃への見方をかえたりなんかしないぞ」

 

 

律ちゃんと澪ちゃんはそう言う。

 

 

「そうだよゆっきー。ゆっきーはゆっきーなんだから」

 

 

唯ちゃんもそう言って、頭を撫でてくれる。

なんで・・・和ちゃんも紬ちゃんも・・・律ちゃんも澪ちゃんも唯ちゃんもなんでこんな優しい声をかけてくれるんだ。

 

 

目が熱くなり、鼻がツンとする。

霞がかった視界が、更にぼんやりとする。

 

 

「あー、律ちゃん泣かしたー」

 

 

「律はそういうところがあるからなぁ」

 

 

「ちょ、お前ら!何で私1人のせいに・・・っは!?」

 

 

「律・・・今年の軽音部の予算、削られたいのかしら」

 

 

「ちょっと向こうでお話しよう?律ちゃん・・・」

 

 

「いや・・・ちょっと待ってくだしゃい・・・」

 

 

「律ちゃんも泣いちゃった・・・」

 

 

「泣いてる律・・・かわいい」ボソ

 

 

「て言うかちょっと待て!千乃のことはわかった!次の疑問は和とムギ!おまえら2人だ!」

 

 

「「何か?」」

 

 

「今日に限って仲が良すぎる!ほら和!千乃の横に変態がいるぞ!腕組んでるぞ!ムギも、千乃の片方の腕がむっつりメガネに取られてるぞ!いつもみたくサーチアンドデストロイしろよ!さぁ!ファイっ!」

 

 

「あぁそのこと・・・」

 

 

「そのことならもういいのよ。良くはないけど」

 

 

「「「へ?」」」

 

 

「「私たち、千乃(ちゃん)と付き合うことになったから」」

 

 

「「「・・・ええええええええええええええええ!!!???」」

 

 

みなさんの絶叫が響きます。

 

 

「いや・・・あのちょっと待ってくれ・・・付き合うって、そういう意味で?」

 

 

「えぇ」

 

 

「・・・女どうしで?」

 

 

「そうよ」

 

 

「・・・・千乃、意味わかってるか?」

 

 

「えと、うぅ・・・はい」

 

 

改めて聞かれると恥ずかしいです。

女の子どうしということも、きっぱりと宣言してくれる2人にも。

 

 

「千乃・・・おめでとう!」

 

 

「澪!?」

 

 

澪さんが私の手を取ってそう言ってくれます。

 

 

「和もムギも本当におめでとう!」

 

 

「和ちゃんとムギちゃんはゆっきーのこと大好きだったもんね~。あ、私もゆっきーのこと大好きだよ~」

 

 

「え、なんでみんな普通なんだ・・・私がおかしいのか?」

 

 

律ちゃんが頭を抱えて、うんうんと唸っています。

気持ちは少しだけわかります。

私だってまだ信じられないのですから。

でも、それでもこの手に伝わる温かさは嘘なんかじゃない。

 

 

「じゃーゆっきーも来たことだし、さっそくクリスマスパーティーはじめよー!」

 

 

唯ちゃんの元気な声が響き、ここにパーティーは開催された。

まず初めに憂ちゃんの手料理が振舞われた。

グラタンやチキン、パスタなどが所狭しとならぶテーブルは宝箱と見間違うほどで。

和ちゃんがお皿に取り分けてくれます。

 

 

「はい千乃。慌てずにゆっくり食べなさい」

「はい、ありがとうございます」

「千乃ちゃん、しんどくない?何時でも食べさせてあげるからね」

「あ、ありがとうございます・・・」

「り、律!このパスタ私が作ったんだ!」

「お、おう」

「しょうがないから律にもたべさせてやる」

「待て!そのパスタって合宿んぼbjhjks」

 

 

澪ちゃんが律ちゃんの口にパスタをねじ込んだ後、律ちゃんが変な声を上げて倒れました。

その光景に、何か思い出してはいけないことを思い出しそうになりました。

唯ちゃんも同じのようで、憂ちゃんが隣で慌てています。

 

 

「澪って・・・料理下手だったのね」

「下手と言うか、あれは料理じゃないわ。実験よね」

和ちゃんと紬ちゃんのやりとりも遠く聞こえます。

 

 

 

 

 

 

「えー、宴もたけなわではございますが・・・」

「まだ始まってすぐだぞ律」

「そろそろクリスマスプレゼントの交換会に移らせていただきたいと思います!」

「きっとはやくプレゼント交換したかったのね」

「うるへー!私はさっき死にかけたんだ!これくらいさせろ!」

「死に掛けたって・・・大げさな。ちょっと喉に詰まっただけだろ」

「ちがうわ!一重にお前の料理のせいだ!」

「まったく律はなにをばかなことを」

「「・・・・・・・・」」

「なんで唯と千乃は黙ってるの?」

 

 

 

 

「ケーキでけー!」

「憂と私の力作です!」フンスフンス

「・・・唯はどの部分を作ったのかしら?」

「はい!苺を乗せました!」

「でしょうね」

「でもお姉ちゃんが乗っけた苺、きれいです!」

「「「「ホントにいい子だ!」」」」

 

 

 

 

「千乃ちゃん!」

「へ、なんですか!?」

「お口のまわりに生クリームが!」

「あ、ほんとだゆっきー」

「大変!真っ白な白濁色のベトベトしたものが千乃ちゃんの顔に!」

「大変なのはお前の頭だ!」

「舐めてふき取ってあげなきゃ!」

「ムギ、そこは下半身よ。クリームがついてるのは・・・ここよ」ペロ

「ずるい!私もする!」

「・・・・・・」プシュー

「千乃が気絶してる・・・ん、どした澪?」

「り、律の顔にもクリームついてるから仕方ないからとってやる!」

「いいよ別に。自分で取れるし」

「なに言ってるんだ!律なんて足の指を使わないと20まで数えられないくらおバカだろ」

「そんなわけあるか!」

「いいからほら!」

「ちょ、ちょっと待て!やめ・・・アッー!」←慣れてないのか、澪ちゃんの指が律ちゃんの目を刺した。

 

 

 

 

「さーさー!プレゼント交換だ!」

「方法はどうするんだ?」

「クジとかかしら」

「誰のが当たるか楽しみだねゆっきー」

「はい!」

「あ、こうしよーぜ。歌を歌ってプレゼントをまわして、歌の終わりに持ってたやつがプレゼントってことで!」

「律にしてはいいアイディアだ」

「失礼な!じゃ、千乃、歌ってくれるか?」

「わ、私ですか?」

「ゆっきー以外にいないよ~」

「そうだな。千乃頼む」

「大丈夫よ千乃。私の千乃なら最高の歌を聞かせてくれるはず」

「千乃ちゃん、私がついてるからね!なんてったってカップルなんですもの私たち!グヘヘ」

「えと、では・・・」

 

聖なる夜。

歌う曲に悩んでしまう。

そして不安になる。

果たして自分はちゃんと歌えるのか。

喪失病により、失くしたものは大きく。

体を動かすのも、話すこともしんどくなってしまっているのだから。

 

でも、みなさんはそんな私でも良いと言ってくれた。

その言葉に、私は救われて。

そしてその気持ちを形にするために、口を開く。

 

 

「This Love」

 

 

この曲はアンジェラアキさんという歌手の歌。

この曲のテーマは『愛』である。

恋人、家族からの愛、そして自分からの恋を歌ったこの歌は、聞くもの全てに愛を思い出させるバラードとなっている。

愛を信じ、愛の力を信じる。

楽しいことばかりではないけど、それも含めてあなたを抱きしめる。

静かに優しく歌い始め、サビの部分では一変してなんと力強いことか。

これが私の今の気持ちだ。

喪失病に囚われた私を、みなさんの『愛』が優しく解き放ってくれる。

嬉しい。

気づいたら私は歌い終わってた。

あれだけ、話すことが難しくなっていたのに、歌を歌っている間だけはちゃんと口にすることが出来ていた。

 

歌い終わった私を皆さんが見ている。

 

 

「やっぱり千乃の歌は最高だな」

「当然よ。私の千乃なんだから」

「えと・・・あり、がとう、ございます」

・・・歌い終わったら、またもとの喋り方に戻ってしまう。

そのことに、皆さんの顔がすこし歪んだ気がした。

 

 

でも、手を取ってくれた。

 

「千乃へのプレゼントは・・・これだな」

 

見れば赤を基調とした包装紙にくるまれた真四角の箱。

いったい誰からのプレゼントなのだろう。

見渡してみても、みなさんがニヤニヤしているだけ。

 

 

「ゆっきー、早くあけてみてよ~!」

「バカ、唯!バレるだろう!」ヒソヒソ

「お前もだよ澪」

「さ、千乃ちゃんどうぞ」

 

 

「・・・」ドキドキ

 

 

胸が膨らむ。

いったいなんなんだろう。

 

 

そこにあったものは手のひらサイズのペンダントでした。

可愛いハートの形をしたペンダント。

綺麗・・・。

 

 

「千乃、ここを押してみて」

 

 

和ちゃんに言われるがままに押してみる。

すると、ペンダントは開き、そこには写真が入っていた。

これは・・・軽音部のみなさんで合宿をしたときの写真だ。

各々が楽器を持ち、笑いあっている写真。

あぁ・・・もうなんだか懐かしい。

目に涙が溜まるのが解った。

ダメですね。

最近はなんだか涙もろいです。

 

 

「千乃!?」

「どこかいたいの!?」

 

 

「ちがい、ます・・・うれしいん、です・・・こんな、素敵な、プレゼント、皆さんからいただけるなんて・・・・」

 

 

「・・・ばれたか」

「はい・・・」

「なんでわかったのー?」

「だって・・・こんな・・・こんなに、優しい思いが、溢れてて・・・あったかかった、から・・・」

「千乃・・・」

「アイディアは唯だけどな」

「千乃ちゃんへの初めてのクリスマスプレゼント、みんなで一生懸命作ったの。気に入ってくれるかしら・・・」

「はい・・・!一生、大事に、します。ありがとう、ございます!」

「よかったよかった」

 

 

 

そう、きっと、一生肌身離さず持っている。

喪失病でなにもかも失くしてしまっても、これだけは。

 

 

 

「さ、千乃にはプレゼントが回ったけど私たちはいったい誰のかな?」

「あ、唯が持ってるやつは私のだ」

「澪ちゃんの・・・わー可愛い!ブックカバー!」

「私は・・・憂のね。ニット帽ありがとう」

「澪は誰のだ?」

「和のやつだ。おしゃれなカバン・・・ありがとう!」

「と言うことは・・・ムギが私ので」

「律ちゃんが私のということね・・・くまのぬいぐるみ?」

「・・・なんだよみんなその目は!」

「いや・・・意外だな~って」

「律ちゃんのキャラじゃない」

「うるせ!・・・ムギなにこれ」

「なにって・・・お薬よ?」

「なんか瓶のところに『ハエールMAX』って書いてあるんだけど・・・」

「うん」

「・・・何の薬?」

「生えるの」

「・・・なにが?」

「男の子の象徴」

「いらねーよ!」

「えぇ!?どうして!女の子同士でもそれを飲めば○○が△△で××が出来るのに!?」

「お前の頭の中はそればっかりか!ていうかどこで売ってるんだこんなもの!」

「良くぞ聞いてくれました!琴吹病院のある研究部門で開発された新薬なのです!」

「なんて名前のところだよ」

「女の子の女の子による女の子のための社会を目指す、男撲滅同好会です」

「同好会が作ったの!?大丈夫なのかこの薬」

「大丈夫よ、その薬の効果は私も保証するわ」

「使う機会が一番ないプレゼントだ・・・ちくしょう」

「り、りつ!私明日までパパとママがいないんだ!」

「・・・だからなんだよ!」

 

 

 

 

「ところで千乃のプレゼントは?」

「そういえば・・・」

 

 

「あ、えと・・・ここに・・・」

 

 

「ありがとう千乃」

 

 

「いや、なにを勝手に持って帰ろうとしているの和ちゃん」

 

 

「あら、あなたは律のプレゼントもらってたじゃない」

 

 

「和ちゃんだって憂ちゃんのもらったでしょ!」

 

 

「千乃のプレゼント・・・気になるな。っていうか私も欲しい。この薬だけじゃなんかやだ」

 

 

「あら、ひどいわ律ちゃん」

 

 

「まーまー。それよりも開けてみようよ!」

 

 

そう言って皆さんが私のプレゼントを囲む。

そして綺麗に包装された紙を、和ちゃんが丁寧に開けていく。

 

 

「・・・わぁ!」

 

 

「綺麗・・・」

 

 

イヤリング。

既製品ではなく、手作りのもの。

体が上手く動かなくなる前から、菊里さんに手伝って貰いながら作ったもの。

それぞれのカラーに合わせ、また星や花の形もイメージに合わせたもの。

自分でも驚くほど、上手くできたと思っています。

菊里さんも、褒めてくれました。

 

 

 

「すごい・・・しかも人数分ある」

 

 

「いいのかこんなに高そうなもの・・・」

 

 

「いえ、えぁっと、手作り、なんです・・・すいません」

 

 

「まじ!?すげー・・・すっげー嬉しい!」

 

 

「ありがとう千乃ちゃん!」

 

 

喜んでもらえてよかった・・・そして皆さんの笑顔に、また私は力をもらえる。

 

 

「あれ・・・でも1個あまってるぞ?」

 

 

「あ、それは・・・その、後輩に・・・」ゴニョゴニョ

 

 

「なるほど!来年の新入生のために作ったんだねゆっきー!」

 

 

「気が早いなー」

 

 

「でも、千乃らしいよ」

 

 

 

こうして、私の初めての友達とのクリスマスパーティーは終わっていくのでした。

 




神様「次の更新こそ・・・早めに・・・!」

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