武装機甲士Alternative   作:謎の食通

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今回、アユマユオルタネイティブの設定がでてきますが、原作そのままにはしません。
スパロボナイズしていきますのでご了承願います。


・・・いや、原作そのままって突っ込みどころ満載としか言いようが・・・。

あ、それと一万UA突破しました。ありがとうございます。


第六話

1997年日本帝国長野県浅間山麓

 

 

浅間山。

極めて遠く限り無く近い世界において無限力の一つであるエネルギーを研究していた研究所が此処には存在していた。そして、この世界にもまた似たような物を研究している施設が存在している。

 

 

「ここが大空寺研究所ですか。知識では知っていましたが、なんとまあ・・・」

 

 

グランゾンのコクピットでシュウは呆れたように言葉を零す。いや、真実呆れているのだろう。

 

 

「うわー、いかにもスーパーロボットが存在してそうな研究所ですね」

 

 

その研究所の見た目はどう見ても研究所には見えなかった。というかどう見ても大空魔竜です本当にありがとうございました。

 

 

「私の推測が正しければ、当たりですよ、チカ」

 

 

そして、『彼』の知識から考えると本当にスーパーロボットが存在する可能性がある場所なのだ。

 

 

「えっ、マジであるんですか?つまり、ここもなんかの超エネルギーとか研究してるんですか?いやあ、何処の世界でも日本ってのは何処か可笑しいですね!」

 

 

捲くし立てる。チカは、鳥のファミリア故にシュウの肩などに止まっている。つまり、耳の近くに騒音の元が常に存在している状態なのだ。

 

 

「・・・少々、黙りなさい」

 

 

シュウは瞑目しながらチカを嗜める。ファミリアであるチカは己の分身、しかし本当に自分の分身か時々疑わしく思うシュウ・シラカワなのであった。

 

 

「さて、そろそろ始めますか」

 

 

「始めるって何をですか?」

 

 

その言葉には答えず、シュウは魔力を練り上げる。そして、呪文を唱え始めた。

 

 

「天のことわり、地のことわり、逆しに行えば、逆しに生ず。冥府の怨み、煉獄の焔、血をもちて盟す、闇に依りて盟す・・・」

 

 

シュウの魔力が周囲の大地に満ちる。そして世界に漂う怨霊たちもその魔力に引き寄せられてきた。

 

 

「そ、その呪文は!?」

 

「アク・サマダ・ビシス・カンダク!!」

 

 

シュウの呪文が完成した直後、周囲の地面が爆発した。いや、地面の中からなにかが現れたのだ。

 

それは岩石の巨人、デモン・ゴーレムだった。それも一つ二つではない。五体以上は出現していた。

 

 

「ふむ、成功しましたか。BETAのせいで、地上も本来に比べて死霊が多いようですね」

 

 

本来、地上世界はラ・ギアスに比べて魔術の威力が減衰する。にも関わらずデモン・ゴーレムを問題なく召喚出来たのは、BETAにより地上に死が溢れているからではないかとシュウ・シラカワは推測していた。

 

 

「ご主人様!あれ!あれを見てください!」

 

 

そんな時、チカはある事に気付き、それをシュウに報告した。

 

 

「・・・ほう、あれは」

 

 

それは朱い色が混ざるデモン・ゴーレムだった。デモン・ゴーレムは召喚された大地に死霊を基点として作られる巨人だ。つまり、朱い色の石はそこに埋まっていた石と言う訳だ。

 

だが、本来ならそれは地上で全くといって良いほど採掘されない希少鉱石だった。故にがめついチカが真っ先に気付いたのだろうが・・・。

 

 

「オリハルコニウムが混ざっているデモン・ゴーレムですよ!」

 

 

そのデモン・ゴーレムを構成するのはラ・ギアスでもトロイア州でしか採掘できない精神感応金属オリハルコニウムだったのだ。

 

 

「そういうことですか。・・・おかげで知りたい事の一つを知ることが出来ましたよ」

 

 

そして、それはシュウの推測を確実な物へとする因子の一つでもあった。朱色のデモン・ゴーレムを見ながらシュウは笑みを零す。最も傍から見ると恐怖で寒気がしてくるような笑みではあったが。

 

 

「ところでデモン・ゴーレムは何に使うんですか?」

 

 

ふとチカは思った。何故こんなところでデモン・ゴーレムを召喚するのかと。

 

 

「それは・・・こう使うのですよ」

 

 

シュウはデモン・ゴーレムに念を飛ばし命じる。

 

そうするとデモン・ゴーレムたちは研究所の方向に振り向き、攻撃を開始する。

衝撃波が、岩石が研究所に飛来し、施設を破壊した。

 

 

「ちょ!?いきなり何してるんですか、ご主人様!」

 

「そうですね・・・炙り出しと言った所ですか」

 

 

チカはシュウの突然の蛮行に驚愕する。自身を利用している訳でもないのに攻撃をする理由がわからなかった。しかし、これはシュウにとって必要な事だ。己のルーツを知る為、そしてそのルーツの源が世界に及ぼす影響を把握する必要があったのだ。

 

 

「炙り出し?」

 

「ほら、出て来ましたよ」

 

 

研究所のハッチが開き、『ソレ』は出て来た。

 

 

 

***

 

 

 

時をほんの少しだけ逆戻す。

 

研究所の中は混乱に包まれていた。突然仕掛けられた攻撃。しかもBETAとは異なる全くの未知の存在による物だ。

 

 

「一体何事だ!?」

 

 

所長と思しき初老の白衣の男は現状の確認をするため部下に状況を聞いた。

 

 

「しょ、正体不明の敵がこの研究所を襲っています!」

 

「何?もしや、狙いはD計画か!」

 

 

所長は部下の報告を聞き、自分たちの研究を盗みに何者かが襲ってきたのかと解釈した。普通はそれが常識的な判断だろう。

 

 

「そ、それが・・・敵は人間ではありません。そして、BETAでも無いのです」

 

「なんだと?」

 

「ご覧ください」

 

 

だが、誰が敵がオカルト染みた存在なんて想像つくだろうか。モニターには、数体のデモン・ゴーレムの姿が映っていた。

 

 

「これは・・・岩石の巨人か?」

 

「ええ。この巨人たちに、此処は襲われています。如何なさいましょう?」

 

「至急、軍に救援を要請するのだ!」

 

 

この研究所で行われている研究は一部の者しか知らない。だが、その研究には計り知れない価値がある。それゆえ所長は、救援を要請するように命じた。だが・・・。

 

 

「それが・・・この一帯に強力なジャミングが掛かっていて、完全に通信が遮断されました」

 

 

通信は何者かによって使用不能とさせられていた。その何者かの正体は皆目見当がつかなかった。あえて推測するならば、ここの研究を知る同類(・・)では無いか?その程度の推測しか彼らは出来なかった。

 

 

「・・・護闘士(さきもり)達は、どうか?」

 

 

それゆえに彼らは自分たちの切り札を切る。

 

 

「今、この研究所にいるのは、一名だけです!」

 

「彼か・・・仕方が無い。彼に試作機で出てもらおう」

 

 

所長は、研究で使われている実験機を使用することにした。これならば敵を撃退する事も可能だし何よりも誤魔化(・・・)す事が出来るからだ。

 

 

「よろしいのですか!?」

 

「ここが潰されるよりはマシだ」

 

そして、部下たちは動く。切り札を使う為に・・・。

 

 

 

***

 

 

 

「ほら、出て来ましたよ」

 

 

研究所のハッチから出てきたのは戦術機だった。

 

 

「あれは・・・ライブラリーにありますね。89式戦術歩行戦闘機F15J陽炎、第二世代型戦術機と言う奴ですね。・・・あんなものが見たかったんですか?」

 

 

だが、その機体はお世辞にもスーパーロボットとは呼べず、そもそも開発の難航している新型機の代わりとして導入された量産機なのだ。第二世代戦術機の傑作機ではあるが、シュウ・シラカワが行動に及んでまで見たいものだとは、使い魔のチカは到底思えなかった。

 

 

 

「正確には、あれに搭載されているシステムとパイロットですね。ほら、御覧なさい」

 

 

シュウは言う。機体そのものでは無く中身に興味があるのだと。チカはシュウが指し示したモニターに書いてある情報を読んだ。

 

 

「これは・・・テレキネスα反応?つまり、あれに乗ってるのは念動力者と言う事ですか?この世界にも居たんですねえ」

 

 

陽炎からは、念動能力者特有の反応が検知されたのだ。このグランゾンのカバラ・システムは念動力に対応しており、それゆえにテレキネシスαを探知することが出来るのだ。このシステムはグランゾンの遠隔操作装置にも利用されている。

 

 

「ふっ、そういうことです。さて、この時点で収穫は十分にありましたが・・・出来れば例のシステムも見てみたい物ですね」

 

 

そう言うとシュウはデモン・ゴーレムに命令を下した。内容は単純だ。『陽炎を撃破しろ』、それだけだ。

 

シュウの命令を受けたデモン・ゴーレムたちは陽炎に攻撃を仕掛ける。

デモン・ゴーレムの放った衝撃波を陽炎はかわす。そして、ゴーレムたちの頭上を使いし、包囲しつつあったゴーレムから逃れる。

 

そして、後ろを向いたゴーレムに対し手持ち火器で攻撃を仕掛ける。だが、陽炎の攻撃は効果的とは言えなかった。

陽炎の持つ87式突撃砲は弾数こそ驚異的だが威力はお世辞にも高いとは言えない。結果、陽炎の攻撃はデモン・ゴーレムたちに決定打を与える事は出来なかった。

 

スピードこそ遅いが衝撃波という飛び道具に次第に追い詰められていく陽炎。

 

戦いが佳境に差し掛かった時、陽炎が光を放った。

 

 

「ほう、あれは・・・」

 

 

陽炎から放たれた光はデモン・ゴーレムを打ち砕いた。その光は物理的な破壊能力を持っているのだ。しかし、その光はビームの類では無かった。何せ放たれた光の形状は球状でおよそリアル系の武器らしからぬ物だったのだ。

 

 

「何ですか、あれ!?あれって地上の兵器ですよね?あれじゃあ、まるで魔装機じゃないですか!」

 

 

チカは驚愕する。前の世界ならともかく、この世界の地上の技術力では、あのような物を作るのは到底不可能だ。そして、人型兵器らしからぬ不思議な力を武器にする姿は彼に地下世界の機動兵器を思い起こさせた。

 

 

「さあ、どうでしょうかね?」

 

 

もっともその主人は使い魔の疑問を煙に巻いたが・・・。

 

 

(前の世界では、かつてラ・ギアスが超機人に関わったと思われる痕跡がありました。恐らく、アレはこの世界の・・・)

 

 

シュウが状況の吟味をしていると陽炎はデモン・ゴーレムたちを掃討しつつあった。

 

 

「・・・目的は達しました。戻りますよ」

 

 

もはや、現時点で見るべきものは無いと判断したシュウはこの場を後にする事に決めた。

 

 

「了解です。ネオ・ドライブ起動!」

 

 

グランゾンは隠れ蓑を展開しつつ、この空域を高スピードで離脱した。残ったのは損傷した研究所と陽炎、そしてデモン・ゴーレムの残骸である土くれと鉱石だけだった。

 

 

「何とか終わったか。しかし、こいつらは一体・・・」

 

 

陽炎の衛士は、敵の反応が無い事を確認すると意思を緩める。だが、彼には漠然とした不安があった。BETAとは全く異なる異形の敵。その存在が唯でさえ暗い、この世界の未来に更に影を差す事になるのではないかと、そう思わずには居られなかった。

 

 

 

 




次にマブラヴ世界で大きなイベントである、あの作戦をやるつもりです。そして、その後はそろそろ動き出したラ・ギアス世界に関わっていきます。

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