剣の丘に花は咲く   作:五朗

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ロングビル 「シーロウっくん。あっそびましょ」
ルイズ   「シロウならいないわよ」

ロングビル 「シーロウっくん。あっそびましょ」
シエスタ  「シロウさんならいません」

ロングビル 「シーロウっくん。あっそびましょ」
キュルケ  「シロウならいないわよ」

ロングビル 「シーロウっくん。あっそびましょ」
ルイズ・シエスタ・キュルケ 「「「シロウ(さん)ならいないわよ(せん)」」」
ロングビル 「上等だテメェら表へ出ろッ!!!」

 
 士郎に会いに行くロングビルっ。しかしいつも士郎はいないっ! しかも断る声はいつも違う女の声っ!! 
 ロングビルの怒りの矛先は、士郎かそれとも家にいる女かっ!!?
 ロングビルの怒りが頂点に達した時っ! 伝説の戦士が蘇るっ!!!!
 
 「わたしの……わたしの純情のことかぁっぁぁっぁぁぁあッ!!!!」
 

 馬鹿話Ⅲでした。
 本編始まります。
 



第七話 忍び寄る影

 アルビオン空軍工廠の街ロサイスは、首都ロンディニウムの郊外に位置している。そこは、革命戦争以前には王立空軍の工廠であった。そこには今、様々な建物が並んでいる。

 その中の一つ、赤レンガの大きな建物。空軍の発令所の屋根には、“レコン・キスタ”の三色の旗が、誇らしげにはためいていた。

 近くには、地上から仰ぎ見れば首が痛くなるほどの巨大な戦艦が停泊している。

 その巨大な戦艦、アルビオン空軍本国艦隊旗艦“レキシントン”号には、巨大な雨よけのための布が、まるでテントのように戦艦の上を覆っている。そして全長二百メイルにも及ぶ巨大帆走戦艦を、今は巨大な盤木にのせ、突貫工事で改装を行なっていた。

 アルビオン皇帝、オリヴァー・クロムウェルは、共の者を後ろに引き連れ、その工事を視察していた。

「なんとも大きく、頼もしい艦ではないか。このような艦を与えられると、世界を自由にできるような気持ちにならんかね? 艤装主任」

「わが身には余りある光栄ですな」

 

 気のない声で、そう答えたのは、“レキシントン”号の艤装主任、サー・ヘンリ・ボーウッドであった。艤装主任は、艤装終了後その艦の艦長に就任する伝統が、空軍が王立であった頃からあった。そのため、革命戦争のおり、敵艦を二隻撃破した功績を認められたサー・ヘンリ・ボーウッドは、“レキシントン”号の改装艤装主任に任じられたのである。

 

「見たまえ。あの大砲を!」

 

 クロムウェルは、無邪気な子供のようにはしゃぎながら、舷側に突き出た大砲を指差した。

 

「余の君への信頼を象徴する新兵器だっ! アルビオン中の錬金魔術師を集めて鋳造された、長砲身の大砲だぞっ! 設計士の計算ではなんとっ! ……」

 

 調子よく大砲の自慢をしていたクロムウェルであったが、なぜか急に指差したまま黙り込んでしまった。すると、クロムウェルの背後に控えていた長髪の女性が近づくと、クロムウェルの耳元に囁いた。

 

「トリステインやゲルマニアの戦列艦が装備するカノン砲の射程の、おおよそ一.五倍の射程を有します」

「……なんとっ!トリステインやゲルマニアの戦列艦が装備するカノン砲の射程の、おおよそ一.五倍の射程を有するのだっ!!」

「「「「おお~」」」」

 

 長髪の女性が教えたのが明らかであったが、クロムウェルの取り巻きは、感心したように感嘆の声を漏らした。

 その光景を冷ややかな目で見たボーウッドは、軽くため息を吐くと、クロムウェルに囁いた女性に視線を移動させた。その視線に気が付いたクロムウェルは、ボーウッドに女性を紹介した。

 

「ふむ、ミスタ・ボーウッドには、大砲よりもこちらの女性が気になるようですね。こちらの美しい女性はミス・シェフィールドというのですよ」

 

 クロムウェルに紹介されたシェフィールドと呼ばれた女性は、ボーウッドに向き直ると、優雅に腰を曲げて頭を下げた。冷たい妙な雰囲気をする、二十代半ばの女性であった。見たことのない、奇妙な細い、ぴったりとした黒いコートを身に纏っており、マントはつけていなかった。

 クロムウェルは、シェフィールドを観察するかのように見つめているボーウッドに近づくと、その肩を叩いた。

 

「彼女は、東方の“ロバ・アル・カリイエ”からやってきたのだ。エルフより学んだ技術で、この大砲を設計した才女だよ。彼女は、未知の技術を………、我々の魔法の体系に沿わない、新技術をたくさん知っておる。君も友達になるがいい、艤装主任」

 

 ボーウッドはシェフィールドを睨みつけるようにしながら頷いた。革命軍の軍人であるボーウッドであったが、心情的には王党派であった。しかし、軍人は政治に関与するべきではないと意思を強く持っていたため、上官である艦隊司令が反乱軍側についたことから、レコン・キスタ側の艦長として革命戦争に参加したのであった。アルビオン伝統のノブレッス・オブリージュ、高貴なものの義務を体現するべく努力する彼にとっては、今だアルビオンは王国であるのだった。よって、彼にとっては、クロムウェルは忌むべき王権の簒奪者であった。

 

「これで“ロイヤル・ソヴリン”号にかなう艦は、ハルケギニアのどこを探しても存在しないでしょうな」

 

 ボーウッドは、間違えた振りをしてこの艦の旧名を口にした。その皮肉に気が付いたクロムウェルはそれでもボーウッドに微笑みかけた。

 

「ふふ……ミスタ・ボーウッド。アルビオンにはもう“王権(ロイヤル・ソヴリン)”は存在しないのだ」

「そうでしたな。しかしながら、たかが結婚式の出席に新型の大砲を積んでいくとは……下品な示威行為と取られますぞ」

 

 トリステイン王女とゲルマニア皇帝の結婚式に、国賓として初代神聖皇帝兼貴族議会議長のクロムウェルや、神聖アルビオン共和国の閣僚は出席する。その際の御召艦が、この“レキシントン”号であった。

 親善訪問に新型の武器を積んでいくなど、あまりにも失礼であった。

 クロムウェルは苦笑すると、肩をすくめた。

 

「ああ、そう言えば君にはまだ、“親善訪問”の概要を説明していなかったな」

「概要……ですか」

 

 また陰謀か、と苦々しく思ったボーウッドは、顔をしかめ、“レキシントン”号に積載されている大砲を睨みつけた。その様子を見たクロムウェルは、ボーウッドの耳に口を寄せると、二言三言囁いた。

 すると、“レキシントン”号を睨みつけていたボーウッドの目が、驚きに見開かれた。そしてゆっくりとクロムウェルに視線を移動させると、怒りに震える口でクロムウェルを怒鳴りつけた。

 

「馬鹿なっ! 何を考えているんだっ!! そのような破廉恥な行為っ! 聞いたことも見たこともありませんぞっ!!」

「軍事行動の一環だよ」

 

 どこ吹く風かというように、全く気にせず答えるクロムウェルに、ボーウッドはますます興奮した様子で訴えかける。

 

「トリステインとは、不可侵条約を結んだばかりではありませんかっ!! このアルビオンっ! 長い歴史の中で、他国との条約を破り捨てた歴史はないんですぞっ!!」

 

 激高して詰め寄るボーウッドに、冷ややかな目でボーウッドを見つめていたクロムウェルは、静かな声をかけた。

 

「ミスタ・ボーウッド。それ以上の政治批判は許さぬ。これは議会が決定し、余が承認した事項なのだ。君は余と議会の決定に逆らうつもりかな。いつから君は政治家になった?」

 

 軍人は政治に関与すべきではないという信条を持つボーウッドは、クロムウェルの言葉に声を詰まらせると、怒りに満ちた視線をクロムウェルに向け、頭を下げた。

 

「……すみませんでした。……しかし、それを行えばアルビオンは、ハルケギニア中に恥をさらすことになります。卑劣な条約破りの国として……それでもよろしいのですか」

 

 クロムウェルは、震える声で訴えかけるボーウッドの言葉を鼻で笑った。

 

「フッ。それがどうしたかね?いずれハルケギニアは我々レコン・キスタの旗の下、一つにまとまるのだよ。聖地をエルフどもより取り返した暁には、そんな些細な外交上のいきさつなど、誰も気にとめまい」

 

 あまりなその言葉に下げていた顔を上げたボーウッドは、クロムウェルに震える指を突きつけた。

 

「じょ、条約破りが些細な外交上のいきさつですと? あ、あなたはっ!! あなたは祖国をも裏切るつもりかっ!!!」

 

 怒りに任せ、そのままクロムウェルに掴みかかりそうになったボーウッドだが、その前にボーウッドを制するかのように、クロムウぇルの後ろに控えていた男が、ボーウッドとクロムウェルの間に杖をスッと差し込んできた。

 邪魔をされたボーウッドは、怒りにつり上がった目をその杖の持ち主に向けたが、視線の先の人物が、あまりにも予想外の人物であったことから、先程までの怒りを忘れ、呆然とした顔でその杖の持ち主を見つめた。

 

「で、殿下?」

 

 杖の持ち主、それは、討ち死にしたはずの、ウェールズ皇太子であった。

 

「艦長、かつての上官にも、同じセリフが言えるかな?」

 

 笑いが含んだクロムウェルの言葉に反応することなく、ボーウッドはウェールズ皇太子の前に膝をついた。それを無表情に見下ろしたウェールズは、手を差し出した。その手を恭しく受け取ったボーウッドは、その手に接吻をした。刹那その顔が青ざめた。その手は、まさに氷のように冷たかった。

 それをニヤニヤと笑いながら見つめていたクロムウェルは、共の者達を促し、歩き出した。ウェールズも従順にそのあとに続く。

 その場に取り残されたボーウッドは、ウェールズの手に触れた唇に手を当て呆然と立ち尽くしていた。

 あの戦いで死んだ筈のウェールズが、生きて動いていた。ボーウッドは、“水”系統のトライアングルメイジであった。生物の組成を司る、“水”系統のエキスパートの彼でさえ、死人を蘇らせる魔法の存在など、聞いたことがなかった。

 ゴーレムなのか? しかし、体には生気が流れていた。“水”系統の使い手であるわたしだからこそ分かる……あの体には、懐かしいウェールズ皇太子の水の流れが……。

 未知の魔法か……ウェールズを蘇らせ、そしてそれを操るほどの魔法……。

 そこまで考えたボーウッドは、まことしやかに流れている噂を思い出し、身震いした。

 神聖皇帝クロムウェルは、“虚無”を操る、と。

 ならばあれが『虚無』なのか?

 ……伝説の“零”の系統。

 ボーウッドは震える声で呟く。

 

「……あいつは、このハルケギニアをどうしようというのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 クロムウェルは、傍らを歩く貴族に話しかける。

 

「子爵、君は竜騎兵隊の隊長として、“レキシントン”に乗り組みたまえ」

 

 羽帽子の下で、濁ったワルドの目がクロムウェルに向く。

 

「……目付け、ですか」

 

 首を振って、ワルドの憶測を否定したクロムウェルは、首を後ろに向け、まだ呆然と立ちすくんだままのボーウッドを見た。

 

「あの男は、決して裏切ったりはしない。頑固で融通がきかないが、だからこそ信用できる。余は魔法衛士隊を率いていた、君の実力を買っているだけだ。竜に乗ったことはあるかね?」

「ありませぬが、ご心配なく……」

 

 その言葉に満足気に頷いたクロムウェルは、後ろに控えている、以前の自信に溢れ、風を切って歩いていた面影が欠片も見当たらないワルドに顔を向けた。

 

「そう言えば子爵。もう加減はいいのかね? ついこの間まで、ベッドで寝込んでいたと聞いていたのだが」

「……ご心配をお掛けしました。ええ、今は全く問題はありません」

 

 俯いた状態で、ぼそぼそと小さな声で答えるワルドに、クロムウェルはまだ体調が万全ではないと思い、優しく微笑みかけた。

 

「ふむ、それならば良いが、そう言えば君は、あれだけの功績を上げながら、何一つ余に要求しようとはしなかったが、何かないかね?」

 

 その言葉に、ワルドは俯かせていた顔を上げ、鈍い光が灯る目をクロムウェルに向けると、残った生身の手で、首に掛けているペンダントに触れた。

 

「……“聖地”を……」

「“聖地”? ふむ、信仰かね? 欲がないのだな君は」

 

 元聖職者でありながら、信仰心など欠片も持たぬクロムウェルは、ワルドの言葉に呆れた様子で笑いかけた。

 それを横目で見たワルドは、触れていたペンダントに目を落とした。それは古ぼけた銀細工のペンダントだった。ワルドはそれを慣れた手つきで開けると、その中に描かれた綺麗な女性の肖像画を見つめた。

 しばらく小さな肖像画を見つめていたワルドは、丁寧な手つきでペンダントを閉じると、それを服の下にしまい込んだ。

 そして、前を歩くクロムウェルの背中を見つめ、ボソリと小さな声で呟いた。

 

「……わたしには、それしかないのですよ閣下」

 

 

 

 

 

 

 アルビオンの工廠で陰謀が進んでいるその頃、トリステインの王宮、アンリエッタの居室では、女官や召使が、四季に花嫁が纏うドレスの仮縫いで大わらわであった。太后マリアンヌの姿もそこにはあり、純白のドレスに身を包んだ娘を、目を細めて見守っていた。

 しかし、幸せの象徴といっても過言ではない、純白の花嫁衣装を身につけたアンリエッタからは、幸福を全く感じることができなかった。仮縫いのための縫い子たちが、袖の具合や腰の位置などを訪ねても、曖昧に頷くばかりであった。そんな娘の様子を見かねた太后は、縫い子たちを下がらせた。

 

「どうしましたかアンリエッタ、元気がないようですが?」

「母様」

 

 アンリエッタは、涙に滲む目を母后に向けると、母后に駆け寄りその膝に頬を埋めた。

 

「……望まぬ結婚なのは、分かっています」

「そのようなことはありません。わたくしは幸せ者ですわ……生きて、結婚することができるのですから。母様は、結婚は女の幸せと申されたではありませんか」

 

 そのセリフとは裏腹に、アンリエッタは美しい顔を曇らせると、その目元から涙をとめどなく流して泣いている。マリアンヌはそんな娘を、悲しげな眼差しで見つめるとそっとその頭を撫でた。

 

「恋人が……いるのですか?」

「『いた』と申すべきですわね。まるで速い、速い川の流れに流されている気分です……全てがわたしの横を通り過ぎてゆきます。愛も、優しい言葉も……何も……残りません」

 

 マリアンヌは、アンリエッタの頭を撫でる逆の手で自分の目頭をそっと抑えると、優しく囁く。

 

「恋ははしかのようなものです。熱が冷めれば……ええ……きっと忘れられますよ」

「忘れることなど……できましょうか」

「あなたは王女なのです……辛くとも、忘れねばならぬことは、忘れねばなりませんよ。あなたがそんな顔をしいていたなら、民は不安になるでしょう」

 

 次第に涙声になっていく声を必死に抑えながら、諭すような口調でマリアンヌは言う。

 

「っ……わたしは……一体何のために嫁ぐのですか?」

 

 涙を流し、声を時に詰まらせながらも、アンリエッタは母后に問いかけた。

 

「未来のためですよ」

「民とっ国の……未来のっ、ためで、すか?」

 

 所々声を詰まらせながらも、アンリエッタが涙を流す顔で母后を見上げると、マリアンヌは首を振り、涙に潤む目でしっかりとアンリエッタを見つめた。

 

「それだけではありません。あなたの未来のためでもあるのです。アルビオンを支配する、レコン・キスタのクロムウェルは野心豊かな男と聞きます。さらに恐ろしいことに、かの者は『虚無』を操るとか」

「まさか……伝説の系統ではありませんか」 

「そうです。それが真なら、恐ろしいいことですよ。アンリエッタ。過ぎたる力は人を狂わせます。不可侵条約を結んだとはいえ、そのような男が、空の上からおとなしくハルケギニアの大地を見下ろしているとは思えません。軍事強国のゲルマニアにいたほうが、あなたのためなのです」

 

 そう言うとマリアンヌは娘の体を抱きしめた。

 

「……申し訳ありません母様。わがままを言いました」

「……いえ、いいのです」

 

 広い居室の中、微かに鳴き声が聞こえる。母娘は互いに涙を流しながらも、しっかと抱きしめあった。 

 

  

 

 

 

 

 

 

          

 

 

 

 

 

 

 ところ変わってここはトリステインが誇る魔法学院の生徒が住む学生寮。その中の一室、ルイズの部屋の前でロングビルは地団駄を踏んで叫んでいた。

 

 なぜ、ロングビルがこんなところで叫んでいるのかというと、それには深い理由があった。

 ロングビルは先程やっと仕事が一段落したことから、最近タイミングが合わず、碌に会うことが出来なかった士郎に会うため、やっと出来た時間を利用し、入念にメイクをした後、うきうきと小躍りしながら士郎に会いに来たのだった。しかし、ノックするも全く反応がなく、訝しげにドアを見つめていると、通りがかった金髪ロール、モンモランシーが声をかけてきたのだ。 

 

「あら? ミス・ロングビル。どうかしたんですか?」

「え? ええ。シロウさんに話しがあったんですが……どこにいるか知りませんか?」

 

 ロングビルが笑いながらモンモランシーに話しかけると、モンモランシーは肩をすくめると苦笑いした。それを見たロングビルは、何故か嫌な予感を感じ、思わず後ずさってしまう。

 モンモランシーは、ロングビルの様子に気づくことなく士郎の行き先を伝える。

 

「ミスタ・シロウでしたら、ミス・ツェルプストーに連れられて、宝探しに出かけたそうですよ」

「……え?」

「他にはルイズとミス・タバサもついていったそうですが。そう言えばルイズ達、最近授業に出てないみたいだけど、大丈夫なんですか?」

「…………」

「……? ミス・ロングビル? どうかされたんですか?」

 

  顔を俯かせ、震えているロングビルを訝しげに思ったモンモランシーが、ロングビルの顔を覗き込もうとした瞬間、ロングビルは顔を勢い良く天井を仰ぎ見た。

 

「あの……」

「ミス?」

 

 急に顔を上げると、体を震わせながらブツブツと何か呟いているロングビルに驚いたモンモランシーは、思わず耳を澄ませてロングビルが何を呟いているのか聞き取ろうとする。

 

「あの」

「あの?」

 

 モンモランシーが耳をそばだて、ロングビルに一歩近づいた瞬間、ロングビルは、ドンッ! と踏み砕かんとばかりに床を踏むと、大声で叫ぶ。

 

 

 

 

「あっんのっ!!! クソガキ共がっ~~っっっ!!!!」

 

 

 

 

 

 ロングビルのその叫びは、学院の隅々まで響き渡った。その叫びは、使い魔たちの野生を刺激したのか、その叫びを聞いた使い魔たちが、次々と遠吠えをし始める。

 

 ――ぐぉお~~!!――

 ――ちゅんちゅんちゅんっ!!――

 ――ワオォォオ~ンっ!!!――

 ――パネェ~~っ!!――

 

 使い魔たちが次々と遠吠えを放つ中、それでもしっかりと聞き分けることが出来るロングビルの咆哮は続く。

 

 

 

「ハハハハっ!! そっちがそうするならっ! こちらも考えがあるからねっ!!!」

 

 

 腰が抜けたのか、床にペタンと座り込むモンモランシーは、自分の肩を抱きしめ、がたがたと震えながら狂ったように笑うロングビルを見つめていた。

 

 

 

「ハハハハハハっ!! 覚えておきな~~~~~っっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




ロングビル 「シロウ……覚悟はいいかい」
士郎    「いやちょっと待て」
ロングビル 「わたしの純情を弄んだ罪……どのくらいのものか」
士郎    「だからちょっと待て」
ロングビル 「思い知りなあァァぁぁッ!!!」
士郎    「だから待ってぇぇぇぇえぇぇ」
ロングビル 「これがっ! 大人の魅力だああアアァっぁぁァァ!!!!」
士郎    「だからなんで下着姿で襲いかかって来るんだァっぁぁぁぁあ!!!????」

 ついにキレたロングビルは暴走を始めるっ! 成熟した女の力を見せつけるロングビルっ!!
 このまま士郎は押し倒されてしまうのか!? 

 その時ッ!! 士郎の奥で奴が目覚めるッ!!!

 「小さいことはッ! イイ事だあああぁぁぁぁッ!!!」

 目覚めてはならない奴が目覚めた時ッ!! 世界に嵐が吹き荒れるッ!!
 目覚めた士郎ッ!! 大人の魅力を打ち破れッ ロリ○ンッ!!!!!

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