バカとテストと召喚獣~すべてを知った僕となにも知らない君~   作:唐笠

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第9話 『バカ』2

後方からかけられた声に振り向くと、さっきみぞおちをいれたマサキと呼ばれてたやつが姫路さんの首を肘で挟み、人質のように扱っていた。

「ケンカもしらねぇようなテメェがここまでできるなんて誤算だったが、これでなにもできないだろ?」

「ぐ……」

捕らえられている姫路さんは苦しそうにもがいているが、自分で抜け出せるわけがない。

かと言って僕が動けば姫路さんがどうなることか……

「カズ、タイチ、やっちまいな!」

「へへっ、さっきの借りは返してもらうぜ」

「存分に可愛がってやるから覚悟しろよ」

そう言う二人は目一杯足を後方に構えると全力で僕を蹴り上げてきた。

痛みが一点に集中しすぎていて声にもならない…

だけど僕は今、蹴り上げられたことにより宙を舞っていることだけはわかった……

そして、宙であう二つの視線。

悲しみ、悔しさ、後悔、そういったものの入り交じった姫路さんの目と視線が合ってしまったのだ。

あの目は、あの時の僕と同じ…

そう、夢の中で出会ったもう一人の僕と同じ目をしていたのだ。

終わらせたくない…

また、終わるなんてイヤだ!

今度は……今度こそは僕が望む君との日々を取り戻したいんだ!

「明久…よくがんばったな」

そう決意にも似た願いを身中で叫んだ瞬間にかけられる聞き慣れた親友の声。

そして、僕はコンクリートに直撃することなく受け止められた。

「雄二…どうしてここに?」

「教室の窓からお前が校庭を走ってるのが見えてな。

で、そのお前からはお前らしさが感じたから助けてやろうって気になったんだよ」

そう言って雄二はいつものように得意気に笑う。

「にしても、酷くボロボロにやられたな」

「まぁね…」

「まっ、明久はささっと姫路を救い出してくるんだな。雑魚は俺に任せとけって」

やれやれ、雄二には本当に頭が上がらないね…

雄二一人だけでも、どうってことないのに僕に花を持たせてくれるなんてさ。

「あぁん!

さっきから黙って聞いてりゃ誰が雑魚だってぇ!?」

「テメェらに決まってんだろゲス野郎」

二人を挑発しながらも雄二は僕にアイコンタクトを交わしてくる。

『今の内に姫路さんを助けろ』と。

それにアイコンタクトを返すと、僕はふらつく足元をしっかりと保ち、二人組の脇を一目散に駆け抜ける。

「なっ!?」

「よそ見してんじゃねぇぞ!

テメェらの相手はこの悪鬼羅刹の坂本雄二だ!!」

「おい待てよ!?

こいつの外見ってたしかに――――」

雄二なら心配いらない。

それよりも、僕は今僕にできることに集中しなくちゃいけないんだ。

「止まれ小僧。

お前だって嬢ちゃんのことが大切だろ?」

「当たり前だよ…」

そんなことは今さら聞くまでもないことだ。

僕が何度も自問自答してきたこたえがそれなのだから…

「だから、

僕はお前を許さない!」

「けっ!

お前一人になにができるって言うんだよぉ!?」

そう言ってマサキはポケットから果物ナイフを取り出す。まさか!?

「姫路さん危ない!」

このままじゃ姫路さんが!?

そう理解するや否や僕は全速力で走り出す。

「かかったな小僧!」

「っ!?」

まずい!?

やつの狙いは最初から僕だったんだ!

果物ナイフが突き出されてからそう気付くがもはや遅い。

脇目もふらずに走っていた僕にそれを避けられるだけの術は残されてはいないのだ。

「吉井君になにするんですか!」

ガブッ!

「いてぇ!?」

「えっ…?」

あまりの展開に僕は思わず間抜けな声をだしてしまう。

なんせ、あの姫路さんが自分の首まわりを捕らえていた腕に噛み付いたのだから、僕の驚きも理解いただけるだろう…

しかしおかげで、マサキはナイフを手放して僕に刺さることもなく事なきを得たのも事実である。

「吉井君!」

「姫路さん!」

僕はマサキの腕から逃げ出してきた姫路さんの手をとると後ろに庇うように前にでる。

「テメェら…ナメた真似しやがって…」

「おっと、残念ながらチェックメイトだぜチンピラさんよ」

そう言いながら雄二はナイフを拾い直したマサキの目の前にのびた二人組を放り投げる。

「て、テメェはいったい…」

「悪鬼羅刹っていやぁ、わかるだろ?」

「ひぃ…

ま、まさか本物の坂本!?」

「俺の親友に随分なことしてくれたじゃねぇか。

本当ならここでお前らまとめてくたばらしてやるが、明久と姫路に金輪際関わらないっていうなら見逃してやる」

そう言う雄二は野性味たっぷりの威圧的な笑みを浮かべながら脅しつけるように睨む。

さらに拳をゴキゴキ鳴らしたりしてるもんだから、さっそくどちらが不良かわかったもんじゃない…

「わ、わかりました!

もう関わりませんからお見のがしを!」

「手下連れてとっとと失せろ」

「は、はい!」

そう言ったや否やマサキはのびている二人組を引っ張ってそそくさと逃げていってしまった。

引きずられてる二人が哀れな気がしないでもないことは黙っておこう…

「雄二、今日はありがとう」

「坂本君、本当にありがとうございました」

そう言いながら僕と姫路さんは実質、事件を解決してくれた雄二に頭をさげる。

本当に雄二が来てくれなければ今頃どうなっていたかわからないのだから、ありがたいばかりである。

「気にすんなよ。困った時にはお互い様ってな。

それよりも、明久も姫路も言わなきゃいけないことがあるだろ?」

ってことで邪魔者は帰りますか、そう続けた雄二は振り返ることもせずに僕らとは反対側の方へと歩いていってしまった…

言わなきゃいけないこと…か……

多すぎて何から言ったらいいかわからないけど、まずは誤解を解こう。

そして、もう一つ。

 

さっき感じた一つの疑問を―――――――――

「姫路さん――――――――――」

 




さて、たまには近況報告でもしてみましょう。

えっとですね…
あれですね、テイルズオブエクシリア2を買いまして絶賛プレイ中です。
なぜだかエクシリアキャラはロリ組(エリーゼ・エル)が可愛く可愛く見えます。

おかしいな…
私にロリ属性なんかないのに…
ってか、エクシリアキャラはみんな好きだ!
特にアルヴィン!←えっ

あっ、テイルズの移転もロスメモと並行しましょうかね…

っと、このままじゃ収拾がつかないので今回はここまでで。

最後に一言:ご利用は計画的に!

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