3月が過ぎ、4月のイースター休暇が終わると、グリフィンドール対スリザリンの試合が迫ってきた。
オリバーの気合の入り方は半端じゃなく、全員毎日ヘトヘトになるまで練習した。
当然、補欠の私も例外じゃなくて、レギュラーの3人と全く同じように、パス回しやシュート練習を徹底的にさせられたよ。
おかげで、授業が眠くて眠くて辛かった。
特に魔法史は、いつも授業開始3分で睡魔にやられていたんだ。
もっともクィディッチの練習がない時だって、私はビンズ先生の授業で最初から最後まで起きていられたことがないんだけど。
そして迎えたスリザリン戦当日。
この日も、よく晴れた最高のクィディッチ日和だった。
「レイ、今日はいい天気だ。しかし、相手はスリザリン。チェイサーに負傷者が出た時のために待機しろ」
オリバーに言われ、私はユニフォームを着てベンチ入りすることになった。
結論から言えば、幸いどうにか私は出ずに済んだ。
けど、今まで見たことがないぐらい酷い試合だった。
とにかく、あり得ないぐらいのファウルの嵐だったんだ。
先制点を入れたのは、アンジェリーナだった。
その直後、スリザリンのフリントは、アンジェリーナの箒に体当たりしてきた。
ブチ切れたフレッドが、フリントの頭にビーターの棍棒を振り下ろした。
ハリーも、スニッチを取ろうとしたら、マルフォイが箒にしがみついてきたせいで取れなかった。
その後もスリザリンはファウルだらけだった。
私は、とにかく、ハリーが早くスニッチを取って試合を終わらせて欲しいと祈り続けていた。
試合が長引けば、ケガ人が増えるばかりだし。
長い長い試合の末、ハリーがマルフォイを出し抜いてスニッチを取った。
どうにかグリフィンドールは勝ったんだ。
そして、グリフィンドールの優勝が決まった。
熱血キャプテンのオリバーは嬉し涙でぐしゃぐしゃになった。
いつもは冷静な寮監のマクゴナガル先生までもが、喜びで大泣きして、グリフィンドールの寮旗で涙をぬぐっていた。
グリフィンドールのクィディッチ優勝は、グリフィンドールみんなの悲願だったんだ。
*
6月になり、学年末試験が迫ってきた。
けど試験の後は、夏休みが待っている。
今年はイギリスでクィディッチのワールドカップが開かれるから、絶対に見に行きたいんだよね。
ちなみに夏休みの間、私と父さんは、ロンドンの悟叔父さんの家で過ごすことになっている。
そんな中、バックビークの控訴裁判が試験最終日に決まった。
しかし、魔法省から死刑執行人がやってくるらしい。
つまり「控訴なんて形だけ」と言っているのも同然だった。
そして、いよいよ試験に突入した。
試験では、カンニング防止魔法のかかった専用の羽ペンが配られた。
編入当初、羽ペンが上手く使えずに苦労していた私。
だけど、この1年、バーベッジ先生を始めとする先生達の長いレポート書きで鍛えられたので、もう完璧に使いこなせるようになった。
変身術の課題は、ティーポットを陸亀に変えることだった。
これはかなり上手くいった。
私のポットは完璧に亀に変わった。
でも、周りをみるとみんな四苦八苦していたみたいだ。
呪文学は「元気の出る呪文」が出た。
これもハーマイオニーと練習したからバッチリだ。
ハリーは杖を勢いよく振り下ろし過ぎて、相方のロンの笑いが止まらなくなったみたいだけどね。
魔法生物飼育学、魔法薬学、天文学、薬草学も問題なくこなせた。
特に得意の魔法薬学は絶好調で、いつも以上に完璧な調合ができて、私はご機嫌だった。
スネイプは、私の薬を見てガッカリしていた。
きっと、文句をつけようがなかったから、悔しかったんだろう。
ふっふっふ、いい気味だ。
唯一の問題は、魔法史。
私は日本にいた時でさえ、魔法史は苦手だった。
しかも、ホグワーツで習うのはイギリス中心の魔法史だから、日本の学校じゃ習わないような出来事や人物もいっぱい出てくる。
おまけに普段、ビンズ先生の催眠術にやられ、寝てばかりで全く授業を聞いてない。
それでも試験前、私はハーマイオニーのノートを見せてもらい、どうにか暗記しようとした。
けど、まさか「中世の魔女狩り」が出るなんて!
どうにか答案は書いたけど、全然自信がない。
どうしよう。
魔法史を落として留年する羽目なんかになったら。