「ふぅ……」
優磨はタバコの煙をはく。死にかけながらも戦って終わった。つかの間の平和だ。だが……
「平和すぎてなんだかな~」
平和だと平和で落ち着かない。どうするか……
「優兄どうしたの?」
夏が顔を出した。
「ん?いや、ここんところ慌ただしかったせいでなんか落ち着かなくてな」
「ふぅん……じゃあ出掛けようよ」
「え?」
「皆ー!優兄がなんか買ってくれるて!」
「ええ!?」
『やったー!』
他の三人も出てきた……まあ、良いだろう。ここのところ慌ただしい生活だった。束の間の平和かもしれないがならばその束の間を堪能させてもらおう。
「じゃあいくぞ」
優磨はタバコの火を消すと四人を連れて歩き出した。
五人が最初に来たのは服屋……基本的に男っぽい夏も服選びは好きだし他の三人なんぞ言わずもがな……つまり優磨は一人退屈な顔で待つことになる。
(まああんなことがあった後だと、こういう退屈な時間ってのも大事だとしみじみ思うな)
「優兄ー」
「ん?」
シャッと試着室から出てきた夏の格好は長袖のふわふわした毛が着いたファーのチュニックに下は腿まで出すホットパンツと言う出で立ち……少々寒々しいが寒さに強いしボーイッシュな美女候補(ここだけの話成長すれば美女度合いだけで言うと四人の中では一番かもしれない)の夏が着ると非常可愛い。
「おお~似合う似会う」
「そう~?」
夏は頬を崩しながらくるりと回る。
「優磨兄様」
「お?」
次は春……
黒いフレアワンピースに白いカーディガンを羽織っている。下には黒タイツ……将来は美人ではなくどちらかと言えば可愛い系の女の子の卵の春……めんこい事~
「可愛いじゃん」
「えへへ~」
春が頬を染めながら照れる。
「優磨兄さん」
「お、夏世か」
次に出てきたのは夏世……
長袖の青いセーターに下は足首まで届く白のロングスカート。
夏世も成長すればきっとどちらかと言えば清楚で頭の良い美人になるだろう。更に髪を卸してるためいつもより大人びた感じがする。
「大人っぽいな~」
「良いじゃないですか」
夏世はニコッと笑う。会ったばかりの頃からは考えられない笑顔であった。
「ゆ、優磨お兄ちゃん」
「翠?」
翠が出てきた。服装は所謂アマロリと言われるふわふわが多いドレスタイプの服でいつも着用してる帽子と非常に似合う。自分に合う服が良く分かっておりセンスは他の三人以上かもしれない。
「センス良いじゃないか」
「……」
照れて翠は帽子で顔を隠した。
「それで良いのか?」
優磨が聞くと四人とも頷く。
それを見た優磨がレジに向かう。
「合計【ピー】円です」
「げ……」
値段の高さに優磨は卒倒しかけたのは秘密である。
それから五人は買った服で歩く。
子供たちは優磨に引っ付き虫状態で端から見たら年の離れた兄弟に見えるだろう。本来は親子でもぎりぎり通じそうな程なのだが優磨は見た目が若いため誰も親子とは思わない。
「でもまた優兄とデート出来て良かったね~」
夏がそう言うと他の三人も頷く。
(デートねぇ……)
優磨にしてみればデートというよりは父親の気分である。
まあこいつらがデートだと言うならば……
「じゃあお嬢さんたち……」
優磨は夏たちを放すと振り返り四人を見る。
「これからお茶でもどうですか?」
『………喜んで』
そう言うとすぐそこの喫茶店に入った……
「ふぅ~」
優磨はコーヒーを飲む。
因みに夏たちはパフェを食っている。ふくは汚さ無いようにはしてるがその反面口の回りに結構ついてる。
将来の美人候補たちはまだまだそういったところには甘い……だが……
(何時かそう言ったものにも気を使うようになるんだろうな……)
何時までも彼女たちは子供じゃない。今は自分が好きだといってくれるが一過性の物だろう。危機を助けてるからそういった感情を持つだけで何時か彼女たちだって本当に好きな人が出来て今の居場所から出る。仕方ないし当たり前だがそれでも寂しい……だがきっと男がほっとかない美人になってモテるだろう。そして見つけたとき……自分は祝福しなければならない立場だ……彼女たちを守る立場をその男に譲らなくてはならない。
その時ちゃんと守れる男なのだろうか……呪われた子供である彼女たちと生きれる覚悟があるのか……
(まあ、そんときはきちんとぶん殴って試しちゃる……)
優磨が固くまだ見ぬ将来に誓いをたてながら……
「おいおい、口に着いてるぞ」
『え?』
(ま、当分は大丈夫だな)
優磨は笑いそうなのを我慢しながら拭きつつそう思った……
因みにその後優磨は自分を四回以上も殴らなくてはならない事態にいつしか発展してしまうのだがそれはまだ先の未来の話である。
以上でクリスマス特別編は終了です。
次回からはオリジナルのお話を書いていこうと思いますが以前より更新速度は落ちると思われます。
とりあえずは……皆さんメリークリスマス!
そしてこれからもよろしくお願い致します。