「いやーサンタさんがまさか本当にチケットくれるとはね~」
クリスマスイブの次の日……と言うか今日こそがクリスマス当日なのだがそれは横に置いておきとにかく優磨たち五人は遊園地に来ていた。
因みに夏と翠は気づいてないっぽいが春と夏世は優磨がサンタだと気付いている。
敢えて気付いてない振りをしてるが逆にその気遣いが痛い……
「じゃあ優兄!まずはジェットコースター制覇と行こう!」
「優磨兄様!一緒にコーヒーカップに……」
「優磨兄さん。お化け屋敷いきましょ」
「優磨お兄ちゃん。メリーゴーランド乗りたい……」
「全員一緒に回っから落ち着け!」
優磨は四人に引きずられながら歩き出した……
『アバババババババ!!!!!』
「もっと早くぅううううう!!!!!」
夏に高速回転させられるコーヒーカップに乗り……
「グワァアアアアアア!!!!!」
『キャアアアアアアア!!!!!』
お化けにビビった夏たちが力解放して反撃しようとしたのを止め……
「はぁ~のんびりできる……」
『ふぅ~』
メリーゴーランドで休憩し……
「……………」
『……キャアアアアアアア!!!!!!!!!!』
「うぉおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
ジェットコースターで全員声をだし……
『ふぃ~』
「さ、弁当にするぞ」
四人とも椅子に座る。
とはいえ一番疲労しているのは実は優磨である。子供の元気にはついていくのが大変だ。休日のお父さんの気分である。
「さ、皆食べていいぞ」
「これおにぎりですか?」
「おにぎりって言うより……潰れた座布団だよね」
『うん……』
「ガーン!」
優磨はショックで項垂れた。優磨の調理技術は一向に上がる気配がなかった。
「でも味はまだいいですね」
「あ、ホントだ。前みたいに塩をつけすぎてジャリジャリ言わない」
「……」
もう優磨のライフはゼロであった。
『ごちそうさまでした』
まあ全部何だかんだ言いつつも全部食べてくれるので嬉しいことは嬉しいが……
「あ、優兄!次あれいこう!」
「え?」
まだ行くの?という声を飲み込みながら優磨が引っ張られていくとそこには世界一恐怖を味わえるというジェットコースター……
「えー……」
「さ!レッツラゴー!!!!!」
「え!ちょま!イヤァアアアアア!!!!!」
因みにその数十秒後……
「ギィイイエエエエエエ!!!!!」
「ヤッホォオオオオオオイ!!!!!」
再度悲鳴をあげたのは別の話……
「ヒィヒィ……」
あれから楽しかったのか夏はもう一度もう一度と結局十回も乗った……
なんだあの無尽蔵絶叫系大好き娘は……
「優磨兄様」
「あ、春」
「あれ乗りませんか?」
またコーヒーカップか……まあ良いだろう?余り回さないようにさせよう。そう思いつつ乗ると……
「ん?」
何故かガッチリ固定された。
「これって……」
恐る恐るここのタイトルを見る。
【世界一回るコーヒーカップ】
「…………うそでしょおおおおおおおおお!!!!!」
次の瞬間ものすごい速度で回転を開始……
「キャー!」
「うわっべべべべっべべ!!!!!」
遠心力に負けないように歯を食い縛る。そうだこの程度なんだろうか……こんなのレールガンモジュールに比べればさしたるものでもな……
「ヒェエエエエエ!!!!!」
「うぷぅ……」
優磨はふらふらしながら口を押さえる。あれはなんと十分間も回され続けるという恐怖のコーヒーカップ……死ぬかと思った。
「あ、優磨兄さん」
「か、夏世?」
嫌な予感……
「お化け屋敷いきませんか?まだ行ってない所があるので」
「お、おう」
お化け屋敷なら大丈夫だろう……そう思っていた時が自分にもありました……
「ウボォオオオオオオ!!!!!」
「いい!」
このお化け屋敷の名前は【世界一危ないお化け屋敷】……
どれくらい危険かと言うとお化けが本当に襲ってくるしあちこちにガチモノの罠があるし入る前に怪我しても自己責任でと言う書類書かされるくらいである。というかここの遊園地は世界一なんとか言うのが好きなのだろうか……
(俺……これが終わったらタバコ吸うんだ……)
優磨はお化けから逃げて罠を躱しながらそう思った……
「ぜぃ……はぁ……ふぅ……」
優磨はベンチで息を整える。死ぬかと思った……
「優磨お兄ちゃん」
「み、翠……ちょっと休ませて……ん?」
「はい」
ソフトクリームを出された。
「疲れてたから……」
「お前ほんと良い子だなぁ!」
あの三人も是非見習ってほしい優しさである。鰹節頼んだりするけど……
だがそこに……
「おい」
「え?」
突然手錠かけられた。
「いま幼女を連れ回すと通報を受けた変質者を確保した。これより連行する」
「え?」
「さあキリキリ歩け!」
「ちょい待てって!違う!」
「良いわけは署で聞く!」
「弁護士……じゃない!刑事の如月を呼べ!俺は変質者じゃない!」
「変質者は皆そういうんだ!良いから歩け!」
「イヤァアアアアア!!!!!」
その後如月刑事が来るまで優磨の疑いを晴らすのにたっぷり一時間はかかったのは別の話である……
(きょ、今日は散々だ……)
優磨はガックシと肩を落とした……