まずは作者のオリジナル。正確にはクリスマスイブのお話し~
メリークリスマス
聖夜……またの名をクリスマス。これはキリスト教におけるイエス・キリストの誕生日でありその日の町はリア充の巣窟となる。
だが同時に恋人同士のお楽しみ日と言うだけではなく子供へのプレゼントをサンタさんが届ける日でもある。
これはその日の前夜の物語……クリスマス・イブの夜のお話である。
ハッピーメリークリスマス!!!!!
「よし!」
優磨は赤い服に赤い帽子……更に白い髭をつける。そして麻袋を肩に掛ければ完成。
今夜はクリスマス・イブ……なのでここは一つ優磨がサンタになって皆に届けてあげようと言うことで優磨はサンタ変装したのだ。
「さて行くか……あ、その前に」
優磨は四つ箱を出す。
(えーと確か……)
優磨は紙を取り出す。そこには皆から集めたプレゼント要望書が入っている。一応言っておくが子供たちには内緒である。
(まず夏は……)
【遊園地いきたい】
(これはサンタじゃなくて俺への要望書だろうが!)
優磨は内心全力で突っ込んだが飲み込んで……
(じゃあこれだな)
優磨は遊園地のチケットを夏の枕元に置く。
(えーと春は……)
【新作の服がほしい】
是非とも夏に見習ってほしい女子力である。
(じゃあこの服をあげよう)
この間雑誌で見ていて目輝かせていた服を置く。
次は夏世だ。
【本が欲しいです】
(いやはや夏世らしい)
優磨が笑うと、
【追伸。優磨さんの懐具合と相談して大丈夫です】
ずっこけた。
(ま、まあ蓮太郎お薦めのファーブル昆虫記あげよう)
最後に翠……まあ我が家の良心とも言えるこの少女はたぶん和ませてくれるだろ……
【鰹節一本下さい】
(何でやねん!!!!!)
つい関西弁になった。だが鰹節……何で鰹節なのだ!
(まあ持ってるんだけどさ)
優磨は枕元に鰹節を置いた。と言うかなぜ持ってるの?
(よし、次はあそこだな)
優磨は外に出ていった。
(到着!)
サンタと言うより泥棒よろしく向かったのはボロアパート……じゃなくて蓮太郎の家である。正確には延珠と前回の一件で新たに蓮太郎のイニシエーターとなった火垂(裏で菫や聖天子の暗躍があったには言うまでもない)にプレゼントである。既に蓮太郎から許可をもらって窓は開けてもらっておいたのでそこから侵入する。
既に三人とも寝ていた。蓮太郎の首に延珠と火垂は腕を回して抱きついてる。
地味に極っていて蓮太郎は苦しそうだ。それを外してやりながら……
(えーと、延珠ちゃんのは……)
【おっぱいだ!妾に木更……いや、由実……ええい!この際聖天子位でも良いのでくれ!】
(……………)
優磨はこめかみを抑えた。
(皆デケェのばっかだな……)
仕方ないので胸はあげられないが変わりに、
(この【モ〜モ〜・ミルク 天然生乳成分100%】で我慢してくれ……)
因みにこれはカルシウム含有量が通常の二倍とされており胸を成長させた少女たちに大人気だが在庫が少ない貴重なものだ。マジでこれで勘弁願いたい。
次に火垂は……
【牛乳と卵お願いします】
(お使いか!)
優磨は頭を抑えながら冷蔵庫にいれておく。
(さてと……)
序でに優磨は蓮太郎にもプレゼントを渡す。本人には内緒のプレゼントである。
決して高くはないが品の良いカジュアルな腕時計。これなら学生でも良いしさらに卒業してからもつけられる逸品だ。耐久性も抜群。
(次は……)
優磨は外に出た。
「ゴガ~!」
凄まじいイビキを轟かせるのは片桐 玉樹……その隣には耳栓をした弓月がいた。
(確か弓月は……)
【素直になりたい】
(いやサンタには物を頼んでくれよ!)
何でこう無茶な物だったりするのだ。言っておくがサンタは織姫と彦星ではないのでそんな七夕よろしくお願無理でございますなので変わりに、
(素直になれます薬……とかいてあるビタミン剤……)
ようはこれ飲んで暗示を自分にかけて素直になってくれと優磨は思いながら外に出た。
次は新一と風深の所だろだが……
【プレゼントはわ・た・し(ハート)……ってやりたいので長くて赤いリボン下さい】
(……………………)
もうなにも言わないし思うまい。
優磨は赤いリボンを枕元においておく。
(がんばれ新一)
さて次は……
(木更ちゃんに予め許可もらったとはいえ端から見たら犯罪者だよな…俺……)
優磨は盗むものはなにもない天童民間警備会社に入る。木更はここでティナと寝泊まりしてるのだ。
(あれ?確かティナちゃんの願いって……)
優磨は紙を見る。
【私には良いので木更社長の心労を取り除くものあげてください】
(ええこや!ええこスギだろ!)
優磨は目頭が熱くなった。
(じゃあこれをあげよう)
カモミールティーのティーバックをあげる。このお茶は別名グットナイトティー称され神経を静める効果があるハーブティーだ。
(良い夢を~)
優磨はそっと出ていく。
後3つ……
(お邪魔しまーす……)
「あ、優磨さん」
由実はまだ起きていたらしい。
「あ、まだ起きてたのか?」
「ちょっと最近年末のせいで仕事が立て込んで」
「大変だな」
それから優磨はそっと奥にある榧と言うか由実のと言うかそんな自室に入る。
(ええと榧ちゃんには……)
【最近由実さんが肩凝りが酷いらしく可哀想ですので由実さんに肩揉み券あげてください。まあ原因は仕事量が多いのと胸の重さでしょうけど】
(この子も苦労して……ん?)
【追伸、どうせなので優磨さんが揉んであげても良いですよ?いや寧ろそっちの方がいいでしょうしそのまま肩から下に【グシャ!】】
途中で危なくなってきた気がして優磨は紙を握りつぶす。
「優磨さん?」
「あ、由実ちゃん。ほら!」
「え?」
由実は優磨に渡された箱を開ける。中はネックレスだった。
「メリークリスマス」
「はい……」
由実は嬉しそうに頬を緩める。
「じゃあまだ届けるから俺は……っ!」
突然跳ね起きた榧が後ろから襲う……それを優磨は躱して逃亡した。
「アデュー!!!!!」
砂塵をあげて優磨は撤退した……
「ちっ!」
「榧ちゃん?」
由実は困惑した……
「ふぅ……」
聖天子は目頭を揉む。年末と言うことで国家元首としての仕事も多い。夜も更けてきたと言うところでやっと終わった。
すると窓が叩かれる。
「え?」
窓を見るとサンタの格好をした意中の男……優磨が木に登って来ていた。
「優磨さん?!」
「よう」
「どうやってここに……」
「俺の義眼は赤外線とかも見れるからここの警備を潜り抜けつつやって来た」
そう言ってプレゼントを渡す。
「ハッピーメリークリスマス」
中身はイヤリングだ。
聖天子は優磨の笑みを見て顔が赤くなった。
「ん?風邪か?無理すんなよ」
優磨は聖天子の額に自分の額をくっつける。
「っ!」
「ん?何か暑くなって……うぉ!」
聖天子は優磨を羞恥が限界になったため突き飛ばした……結果優磨は木から落ち……
「侵入者だ!!!!!」
「げっ!」
「侵入者だ!!!!!」
「出会え出会え!!!!!」
「殿中で御座る!」
「控えおろう!聖天子様の御前でござるぞ!」
いやお前らなんなんだよ!と言う突っ込みを我慢しながら優磨は爆走。
『まぁあああああてぇえええええええルゥ●ァン!!!!!!!!!!』
「誰が●ゥパァンだぁああああああ!!!!!」
聖夜の夜にサンタと聖居の警備隊が追いかけっこと言う色々ありえない状況となった……
「ゼィ……ハァ……ヒィ……オェ……フゥ……」
「いやはや色々突っ込みたいけどお疲れさま」
菫に出された水をイッキに飲む。
「で?私にはないのかい?」
「これだよ」
優磨は瓶と箱を出す。
「ワインとチーズとクラッカー?」
「まあ独り身同士飲もうや」
「お酒苦手なくせに」
「まあワインなんて一杯でも飲めば記憶飛ぶしな」
「更に明日二日酔い決定だよ?」
「介護よろ~」
優磨はグラスにワインを入れる。
『乾杯』
二人はグラスを掲げた。