ブラック・ブレット 双子のイニシエーター   作:ユウジン

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第33話

『え?』

 

その場の全員が突然唖然とした。突然天井にヒビが入り穴が開くと一人の男が乱入。

銃を撃つとまず悠河の銃を撃ち、更にそのまま乱射しケルベロスを待避させる。そして男は着地すると、

 

「すまん!遅れた!!!!」

「優……兄……?」

 

夏は信じられないと言う顔だ。

 

「おう、なんだ夏」

「優兄!」

「優磨兄様!」

「優磨兄さん!」

「優磨さん……!」

 

四人に抱きつかれる。

 

「何だ何だお前らちっとは成長したかと思えばまだまだだな」

「ばかぁ!何で遅れるんだよ!」

 

優磨は皆の頭を撫でる。

 

「ごめん……だけどもう大丈夫だ」

 

優磨は次に蓮太郎の元に行く。

「よう」

「優磨さん……俺!」

「ありがとう」

「え?」

 

優磨はそっと火垂に触れる。

 

「お前は夏たちを守ってくれた。そしてお前は彼女の復讐と言う鎖を解いていた。成長したな」

「……」

「だからこそ今は立て……言っていただろう?生きろと」

「……はい」

 

蓮太郎は立ち上がると優磨と背中合わせになる。

 

「お前は義眼使いだ。俺はあのクソヤロウ三人組を倒す」

「大丈夫……だろうな。あんたなら。人間やめてるだろうし」

「失敬な。俺は人間だぜ?」

「どうだかな」

 

優磨は肘で蓮太郎をつつく。

 

「行くぞ。蓮太郎」

「ああ、優磨さん」

 

二人はそれぞれの相手に疾走した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

制限解除(リミッターオープン)!解除率30%!!!!」

 

制限(リミッター)が解除され優磨の腕のスラスター火を吹く。

 

「くそ……まあいい!もう一度殺してやる!」

 

そう言うと狙撃弾が飛んでくる。

 

「オッラァ!」

 

狙撃弾を優磨は正面で殴り来た方にそのまま跳ね返す。

 

反射鏡(はんしゃきょう)!!!!」

 

飛んできた速度を上回る速度で狙撃弾はそのまま帰っていく。

 

「がご……」

『へ?』

 

そして北沢 三朗は眉間から血を流し絶命した……

 

「はい一人終わり」

「な、舐めるなぁああああ!」

「ん?」

 

優磨に北沢 二郎の蹴りが迫る。

それを優磨は伏せて躱す。

更に北沢 一が優磨に迫る。

 

「よ!」

 

優磨は体を逸らして躱していく。

 

「せぇの!」

 

優磨はスラスターを起動させ拳を加速……それを連続で行い……

 

紅蓮(ぐれん)(かさ)穿(うが)ち】!!!!」

 

同じ場所に連続で打ち込み北沢 一は血を吐きながら吹っ飛ぶ。

 

「キサマァアアアアアアア!」

 

北沢 二郎の蹴りが迫る。それを、

 

「ふん!!!!」

 

優磨は肘と足で挟んで止めると体を捻り裏拳。

 

「ぐふっ!」

「おらぁ!」

 

更にボディーブロウ…そして相手の首を抱えるようにする技……俗に言うフロントチョークといわれる技で思いきり締めつつ体を捻りながら地面に転がる。その際にメギャっと言う音がし、血の泡を吐きながら北沢 二郎の命を刈り取る。

 

「さて……」

 

優磨は最後に北沢 一を見る。

 

「馬鹿な……こんなあっさり……」

「お前らさぁ……自分より弱いやつとしか戦ったこと無いだろ?んで個人では勝てない相手には三人で囲って倒してた。だからなぁお前らさぁ……」

 

覚悟が感じれねぇよ……そう優磨がいった。

 

「殺される覚悟が……叩きのめされる覚悟が……感じれねぇんだよ!!!!」

 

優磨の制限(リミッター)が40%まで引き出される。

 

紅蓮(ぐれん)!!!!」

「うぉおおお!!!!」

 

カートリッジをすべて使いきり北沢 一の拳と優磨の拳が火花と轟音を撒き散らしぶつかる。

 

「オオオオオオオオラァアアアアアアア!!!!!!!!」

「なっ!」

 

北沢 一は自分の拳が粉砕されたのを確認しながら優磨の拳を顔で受ける。

メリゴキゴキャっと言う音と共に北沢 一の顔面がグルングルンと回転し首が四回転し絶命した。

 

「何時か俺も地獄に行くとは思うけどよ……その時は顔見せんなよ」

 

優磨は背を向けると夏達の元に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悠河ぁあああああああああ!!!!!!!!」

 

蓮太郎は悠河と間合いを詰める。

 

「ちぃ!!!!」

 

悠河の蹴りが迫る。

それを伏せて躱すと、飛び上がる。

 

「天童式戦闘術 二の型四番!!!!隠禅(いんぜん)上下花迷子(しょうかはなめいし)!!!!三点撃(バースト)

 

脳天に強烈な踵落としが決まる。

義眼がバチバチ音を立てる。まるで蓮太郎感情に呼応するかのように……

 

「がっ!」

「うぉおおおお!焔火扇!!!!三点撃(バースト)!!!!」

悠河は壁まで吹っ飛ぶ。

 

「くそ!」

 

悠河は懐から非常用に隠し持っていた銃を抜くと蓮太郎に狙いをつける。

 

「死ねぇえええええええ!!!!」

「っ!」

(こんなところで……死ねるかぁあああああああああ!!!!!!!!)

 

火垂を殺された……何がなんでも絶対に倒す……!!!!

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

 

蓮太郎の義眼の奥が火花を散らした。

 

「ん?」

 

すると、周りが白くなる。その場には蓮太郎と悠河のみ……何かは分からないが……何が起きてるのかはわかる。

周りの時がゆっくりと流れてるのだ。そのため悠河が撃った銃弾がゆっくりとこちらに向かってくる。

 

「……………」

 

蓮太郎はその中で警察から奪ったベレッタと火垂の遺体から取っておいたガバメントを構える。

 

「ウォオオオオオオ!!!!!!!!」

 

続けて二丁撃つ……ベレッタの銃弾が悠河が撃った銃弾を弾き……火垂のガバメント銃弾が悠河の胸を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

「がはっ!」

「よう」

 

蓮太郎は悠河に近づく。

 

「撃つ瞬間が……見えなかった?」

「お前にはそう見えていたんだな」

 

確かに全てが遅くなった世界でいつもの感覚で蓮太郎は動けていた。端から見れば確かに蓮太郎が高速で動いたように見えるだろう。

 

「はは……まさか二度も天童の技に負けるとはね」

「なに?」

 

蓮太郎は眉を寄せる。

 

「君と同じ技を使う男さ……僕はそいつに破れて四枚羽根から三枚に堕ちた……まあ実力は確かだよ。何て言ったって三秒で僕は負けた」

「……………」

 

蓮太郎は背筋が凍った。この男を三秒で倒すなど普通じゃない。

 

「……ごほ!ごは!」

 

悠河は血をはく。

 

「言っておくけど五翔会の戦闘員はこれで全てじゃない。少なくとも……僕クラスだっている。君は何時まで戦えるのかな?」

「んなもん決まってる……」

 

蓮太郎は背を向ける。

「敵意向けてくんなら全部ぶっ潰すだけだ」

「は……は……君は……馬鹿…だ……ね……でも……」

 

嫌な馬鹿じゃない……そう言って悠河は動かなくなった。

 

 

 

 

 

「…………」

 

蓮太郎は火垂を抱き上げる。

 

「蓮太郎……」

「帰ろう……延じ……」

「う、ん……」

『え?』

 

蓮太郎と延珠は目を見開く。

 

「あ、里見さんも死んだんですか……?」

『で、でたぁああああああ!!!!!!!!』

蓮太郎は突然目覚めた火垂を投げてしまった。

 

『ええ!?』

 

夏達も突然起きた火垂に驚愕する。

 

「いったぁ!」

 

火垂は背中から落ちて悲鳴をあげる。

 

「おおおおお前幾らなんでも化けてでるのが早すぎだろ!」

「そそそそそそうだ!幾らなんでも早すぎだ!」

「いや、何でか死んでなかったのよ……何でかしら……」

 

火垂が懐をいじり……取り出したのは、

 

「携帯?」

「ああ!」

 

これは菫特製の携帯。例え対物ライフルを当たっても傷一つ着かないとか言う携帯だ。余計なことに血糊噴射機能まで着いていたらしくそれのお陰で死んだと蓮太郎は思い込んでいた。

火垂は衝撃で一時的に気を失っていただけらしい。

 

「俺は気づいてたぜ?」

 

優磨の言葉に蓮太郎は驚く。

 

「じゃあなんで言って……」

「あそこで言うようなものじゃなかろう?」

「う……」

「まあいいじゃん!」

 

夏がバンバン蓮太郎を叩く。

 

「んじゃ、ここをどうにかして壊すか……」

「いや、その前に……」

 

優磨はUSBを出すとコンピューターの差し込む……それから弄ると、

 

「よしOK」

 

優磨はUSBを抜く。

 

「ちょうど良いからここの研究の証拠ももらっていこうぜ?ついでにここの爆破も設定した」

「あるんですか?」

「ああ、いざというときの自爆装置があって……」

【後……1分です】

「あれ?」

 

確か後十分くらい後に爆発する予定にしたんだが……

 

「にげろぉおおおおおお」

「優兄のばかぁああああああ」

「うわぁああああん」

「うそですよねぇええええ」

「ふぇえええええ」

「何であんたはそう詰めが甘いんだよぉおおおおおお」

「走るぞ火垂ぅうううう」

「なんなのこのひとぉおおおお」

 

皆は走り出す。優磨が絡むとろくなことがないのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

ドンッ!っと言う音がした……

 

「先生この音は……」

「多分……どこかで爆発が起きたね……」

 

留守番組は準備が終わったため蓮太郎達の迎えに来ていた。

 

「入りますか?」

「いえ、誰か来ます」

 

耳が良い風深が言う。

 

「数は……あれ?一人多い?」

「まさかボーイ達が殺られたんじゃ……」

「そんなわけないでしょ!」

 

弓月が怒鳴る。

すると、ドガン!と言う音と共にマンホールが飛ぶ。

 

「し、死ぬかと思った!」

 

蓮太郎が這い出る。それに続くように延珠達も這い出てきた。

 

「里見くん!」

 

木更は蓮太郎に駆け寄る。

 

「大丈夫!?」

「まあ何とか……」

 

皆は出終えると……

 

「よっこいしょ!」

 

優磨が出る。

 

『え?』

「よう」

『で、出たぁああああああ優磨さんのお化けぇえええええええ!!!!』

 

菫以外全員飛び上がって叫び菫ですらポカーンとしている。

 

『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏!!!!』

「アーメン!!!!」

「ジーザス!!!!」

「いやいやいや!俺生きてるし!後玉樹、それ死んだ人間に言う言葉じゃないから!!!!」

「じゃあ……本物なんですか?」

 

由美が聞く。

 

「おう、由美ちゃんが最後におねしょした年も言えるぜ?確か……」

「わー!」

 

由美が優磨の口を塞ぐ。

 

「本当に優磨さんなんですね?」

「ああ」

 

すると優磨は由美に抱きつかれた。

 

「よかった……本当に……よかったぁ……」

「そうか……」

 

優磨は優しく由美の頭を撫でる。そして菫と目が合うと、

 

「お帰り、優磨くん」

「ああ、ただいま」

 

すると、菫は優磨の腕を見る。

 

「あれ?君は腕が無くなっていたんじゃないの?」

「ああ~、何か襲われた後ガチガチ歯が鳴るし目眩がするし幻覚まで見えてきて最終的に意識失ったんだけどさ……まあ、起きたら元に戻ってた」

「は?」

「そんでさ。俺が目覚めたのって数年前に潰れた廃病院らしくてお化けの襲来に怯えながらそこから脱出してついでに起きたときに置いてあったメモに指示された場所に来たらお前らの戦闘に乱入する嵌めになったんだ」

『いやいやいや……』

 

色々と突っ込みどころ満載にして可笑しいだろそれと全員が思った。

 

「しかし誰が俺の治療したんだろうな」

 

優磨の体はご存じの通り殆どが機械だ。その性でまず普通の病院は無理……菫ほどの科学者ならばともかく素人などが治療はできない。

 

(少なくとも菫レベルの天才……しかも機械化兵士の知識を持つもの……もしくは俺と同じ機械化兵士の人間……か?)

 

優磨は頭を掻きつつもここで考え込んでも仕方ないと頭を振るう。

 

「で?これからどうするんだ?」

「最後のゴミ掃除といくんだよ」

 

菫は悪そうな笑顔でそういった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三十分後……櫃間は車を爆走させていた。

悠河やケルベロス連絡が取れなくなったのは先程……まさか負けたのかと櫃間は心中穏やかではなかった。

だがそこに来たのは木更から電話と包み……内容は結婚を承諾するとのことと包みの中身タキシード。急にのため怪しい気もしたがそれ以上に歓喜が身を包んでいた。しかも前々から驚かせようと挙式の準備をしていたらしく後は櫃間が送った服を着て来ればよいとのこと。まさか自分を驚かせるためにこっそり準備してたとは恐れ入る。可愛いじゃないか。

 

(くくく……里見 蓮太郎……木更は貰うぞ!!!!)

 

狂喜じみた顔で降りると松葉杖をつき、三角巾で腕を吊るして頭に包帯をぐるぐる巻いた櫃間は車を降りる。

 

「ここだな」

 

少し寂れた感じはあるがお洒落な教会だ。

 

「あ、櫃間さん」

「っ!」

 

櫃間は入ると一瞬計画全てが頭から消えた。中に居た木更は当たり前だがドレス姿……だが……美しかった。

 

「行きましょう?」

 

櫃間は木更の腕を取り歩き出す。中には由美や新一に菫や見たことのない長髪の男等が居た。何か見たことがあるような無いような人間が多数いる……

 

(まあいい)

 

櫃間は牧師の前に立つ。

 

「これより……近いの言葉をのべてもらいます」

 

牧師にしては酷く体つきが大柄な金髪の牧師は口を開いた……


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