ブラック・ブレット 双子のイニシエーター   作:ユウジン

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第22話

優磨、蓮太郎……更に何故か蛭子 影胤とその娘、小比奈を引き連れ四人は更に奥深くに入っていく。

 

「此方で良いのか?」

「ああ、あれから移動されていたらお手上げだが私がみたのはこの先だ」

「そう言って俺達を嵌めようとしてんじゃ……」

「蓮太郎」

 

優磨が呼ぶと蓮太郎はその方向を見る。

 

「またコカか?」

「みたいだな……あいつらも薬物ジャンキーになったりするのかね」

「他に考えられるのは……っ!」

「伏せろ」

 

でかい木の影に居た……

 

「これが……遠距離狙撃型ガストレア……」

「間違いねぇ……あのとき見えたやつと同じだ……」

「ふむ……周りにあるのはコカみたいだね……おおかたあれで飼われてるって奴かな?」

 

人間にもある……薬漬けにされて言うことを聞かせられると言うパターンが……ガストレアにもあるようだ。それとも無駄に知恵を付けたか……

 

「さて、やるかい?」

『ああ……』

 

不幸なことに機械化の三人はどれも静かに暗殺出来るような力ではない。

 

「天童式戦闘術 一の型三番!!!!」

制限解除(リミッターオープン)!解除率 20%!!!!」

「エンドレス……」

 

三人は飛び出す。

一種遅れて遠距離狙撃型ガストレアが気づくが遅い。

 

「轆轤鹿伏鬼 三点撃(バースト)!!!!」

断罪(だんざい)!!!!」

「スクリーム!!!!」

 

凄まじい爆音とガストレアの悲鳴が辺り一体を包んだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠距離狙撃型ガストレアが始末されて凡そ一時間後……ガストレアの大群が再度進軍していた。

 

 

「くっ!」

 

翠はその頃孤軍奮闘していた。先程逃げ遅れたイニシエーターを逃がしたときに逃げ遅れた上に彰磨とははぐれてしまったのだ。

 

「翠!」

「っ!」

 

ガストレアに背後をとられたが夏のパンチでガストレアは吹っ飛ばされ動かなくなった。

 

「あ、ありがとうございます」

「良いよ別に。友達でしょ?」

「う、うん」

 

翠は照れながら答えた。

 

「でもなんか敵さんも必死だね……」

 

頬を少しあげて笑いながら夏はボクシングのスタイルとなる。

 

「そう言えば今回は狙撃がないですね……」

「そうだね……何かあったのか……ギリギリまで使わないか……もしくは目的は別か……」

「あれは!?」

 

翠が指差した方には戦闘機が飛んでいた。

 

「ちょ!撃ち落とされるよ!?」

 

だが戦闘機は何も障害なくガストレアを殲滅していく。

 

「どう言うことでしょうか」

「……翠……今は考えてる時間はなさそうだよ……」

 

夏が言うと翠も構える。周りを取り囲む多くのガストレア……

 

「行くよ!!!!」

 

夏が走り出すとガストレアも飛び上がる。

 

「ラァ!」

 

だが飛び上がっても夏のアッパーでぶっ飛ばされる。

 

「ウラウラウラァ!」

 

凄まじい連続の拳……雨あられの拳は次々ガストレアを屠って行く。

 

(強い……)

 

翠は爪で凪ぎ払いながら夏を見ていた……いつも優磨に隠れてしまうが夏も春も夏世もイニシエーターとしての力は低くない。能力的に戦闘が得意かどうかはあるもののそれぞれの得意分野であれば十分上位に喰い込める。

特に夏は素の状態でもボクシングと言う下積みがある。それに加え蝦蛄のパンチ力と眼……

広い視界に動体視力……そこに加わる絶対的な攻撃力……近距離での限定となるがその強さは単独でも百位以内に入れる。

だが最初からギア全開で行けば……

 

「はぁ……はぁ……」

 

当然息は上がる。

普段は優磨と一緒にいることで息が上がらないように優磨が指示を出しているが夏はテンションが上がりすぎると自分の体力考えられなくなる。

しかも翠の方に行くガストレアもまとめて排除しているのだ。

だがそこに……

 

「やば……」

 

夏にガストレアが飛びかかり牙を向ける。

 

覇爪(はそう)!!!!」

 

だがその前に三分割にされた。

 

「優兄!?」

「悪い……遅れた……」

 

優磨は全身から汗を吹き出しあちこち傷もあるし泥だらけだ……

それもそのはず……優磨はあの後解除率を30%まで上げて蓮太郎達を背負いガストレアの大群から逃走……しかも半日以上かかった道のりを一時間ほどで戻ってきたのだ。その早さは延珠も上回っていたがその分死ぬかと思った……と後に蓮太郎が語っている。

 

「さて……ここから俺も参戦するぞ!」

 

優磨は高周波ブレードを出すとガストレアを引き裂きながら夏と翠を回収し、

 

烈震(れっしん)!!!!」

 

地面に走る衝撃でガストレアは体制を崩す。

 

紅蓮(ぐれん)!!!!」

 

右ストレートでぶっ飛ばすと駆け出した……

 

 

 

 

 

その頃蓮太郎は、

 

「焔火扇!!!!」

 

ガストレアをカートリッジ一本分使用して屠る。

 

「大丈夫か?」

「え、ええ」

 

蓮太郎の後ろには玉樹と逸れた弓月が居る。

 

「つうかあんたの腕……」

「この間も見ただろ?」

「何度見てもすごいわね」

「まぁな……」

 

蓮太郎は頭を掻く。その視線の先には、

 

「マキシマムペイン!」

 

影胤が無双していた。

 

「これだ!待ち望んだのはこれだよ!まさに地獄、待ち望みしハァレェルゥヤァアアアアアア!!!!ヒャッハー!」

『……………』

 

何か色んなものがぶっ壊れていた。完全に危ない人だ。

 

「ん?」

 

すると段々ガストレアが退いていく……

 

「ぷはぁ……」

 

蓮太郎は一息吐くと弓月を見る。

 

「おい、怪我はないか?」

「無いわよ、あったってそのうち治るわ」

「良いから見せてみろって」

「ちょ!あ、こら触んな!」

 

弓月は顔を真っ赤にして暴れるが蓮太郎はそんなものを気にせず軽く見る。

怪我はないな。流石に服の下は見れないからわからんがそこは自己責任とするしかないな。

 

「何か優磨兄さんみたい……」

 

偶々近くを通り掛かった夏世はそう呟いたらしい……

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

「はぁ……」

「ふぃ~…」

「…………」

【極楽浄土やな】

『死んでどうする』

 

戦いの夜……優磨、蓮太郎、玉樹、彰磨、新一は風呂に入っていた。

ここは民警達の共同浴場だ。プレハブのためあまり居心地が良いとは言えないが今は他の民警は居ないしちょうどいい。

 

「いい湯だぜぇ……」

 

玉樹は爺臭いこといってるが…

 

「はぁ……」

「なんだ里見……まだ悩んでるのか?」

「そりゃそうだろ……まさか我堂が死ぬなんて……」

 

そう、先の戦いで我堂はガストレアに狙い撃ちされたらしい。そのせいで戦死……優磨じゃなければガストレアに狙い撃ちなんぞされようものなら当たり前の結果だ。だが蓮太郎の悩みはその先……

 

「しかも次のリーダー俺って……」

「ま、序列の問題だな」

 

優磨はお湯を肩に掛ける。

 

「なあ、あんたがやってくれないか?」

「あほ、俺序列は五百位だぜ?お前の方が高いじゃん」

「だけど……」

「ちょうど良いからやってみな……少なくともここに居るものは皆お前がリーダーと言うことに異存はない」

 

優磨がそう言うと玉樹と彰磨と新一は頷く。

 

「そうか……」

「だけどもう来ない可能性もあるんだよな?」

「それはないだろう」

 

玉樹の言葉を彰磨は否定する。

 

「あれだけリーダー格の人間を狙い撃ちにしたんだ……まず間違いなく次は総戦力を注ぎ込んでくるだろう」

「げぇ~……」

 

玉樹は嫌そうに舌をだした。

 

「となるとやはりアルデバランを撃破か……」

「だが……」

 

そこが難関だった……実は先ほどの戦いに来た戦闘機は優磨が聖天子に連絡して出してもらったのだがその際にアルデバランを見つけ爆撃したらしい……結果は返り討ち……

致命傷を与えたらしいのだが何と傷が治癒したらしい……しかも明らかにガストレアを上回る速度でだ……

 

「そりゃあ首飛ばしたのに生きてるわけだ」

 

優磨は湯に体を沈める。

 

「まあそこは由実ちゃんが何か考えがあるって言ってたけど……」

「あ~やっと入れる~」

「夏ちゃんちゃんと体洗ってから入るのよ」

『っ!』

 

何と女性陣が入ってきたらしい。

 

「でも由実さんでかい……」

「え?」

 

声からして木更と由実だろう……

 

「ほんとですね……そんなにウェスト細いのに何で胸だけ……」

「ほんとですよねティナさん……実は人間じゃないんじゃ……」

「だよね、絶対人間じゃないよ」

「私もあれくらいには無理でも……大きくなるのでしょうか……」

「うむむ……行くぞ風深!」

「おう!」

「ちょ、だめ揉まないで……!」

「頭蓋骨が軋む音が聞きたいようですね」

『イーダダダダダダダダダダダダ!』

 

恐らく声から考えるにティナ、春、弓月、夏世、延珠、風深、由実、榧で最後は頭を握られている延珠と風深だろう。

 

「うわー翠の耳濡れてペタンってなってて可愛い~」

「く、くすぐらないで……」

「何?ここが弱いの?良いではないか~!」

「あ……ダメぇ……」

 

これは多分翠と夏。

 

 

『…………』

「優磨さん。あんたどういう教育してんだ?」

「あんなこと教えた覚えはないんだがな……」

「まあ翠には良い教育になるだろう。あいつは他人との関わりを怖がる傾向があるからな」

【ええんやろかそれで……】

 

防水機能もあるらしいタブレットを叩いていた新一は突然目をかっぴらく。

 

【と言うことは今……女の花園やな……この壁を境に……】

 

それを聞いた玉樹も目を開く。

 

「そう言えばそうだな……これは行くしかないな」

「っておい!辞めろよ!」

「ボーイ……この壁ひとつ向こうには姐さんも居るんだぜ?」

「う……」

「なんだ里見。お前未だに木更一筋で距離縮まってないのか?」

「ほっといてくれ!」

【さぁ~できたでぇ~】

 

新一は桶で足場を作っていた。

 

「よぉし!」

「行くでぇ!」

 

二人は壁に手をかけ登ると……

 

「よう、くそ兄貴」

「やぁ、新一さん」

『…………………』

 

既に弓月が糸を張って足場を製作し風深と待ち構えていた……

 

「オー…」

【マイガ!】

「いっぺん死んで来いくそ兄貴!!!!」

「見るんだったら私だけにしてください!」

 

瞳を赤くした二人のパンチがそれぞれに決まる。成人男性位の威力は軽く越えるパンチは二人を壁まで吹っ飛ばした……

 

「全く……」

 

ちなみに優磨は最初から待ち伏せされていたことに気付いていたため何も言わなかったのだがそれを後々文句言われたのは別の話だ。

 

「っ!」

 

すると、弓月は蓮太郎と目が合うと顔を真っ赤にして恥ずかしそうに女子スペースの方に消えていった。

 

「……なんだ?あいつ……」

 

蓮太郎は疑問符を飛ばすが、

 

「また新たな住人か……」

 

優磨は湯に更に体を沈めながら呟いた……




因みにバストランキングは………

延珠、夏、夏世、風深、弓月>春、ティナ>>>>【エベレスト級に高い壁レベル】>>>>>>榧>>>>>>【越えるのは諦めた方がいいレベル】>>>>>>木更>>>>>【越えるのは100%無理だから諦めな、人間諦めも大事だレベル】>>>>>>>>>>>>由実

でした。

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