ブラック・ブレット 双子のイニシエーター   作:ユウジン

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第19話

学校での一件から更に次の日…

ゴロゴロと悪路を突き抜けながら外周区を一台の車が走る…運転主は優磨であった…何故こんなことをしてるかと言うと後ろにいる蓮太郎と延珠と木更に頼まれたのだ。

因みに他にも呪われた子供達がびっしり乗っている。その為今実は警察に見つかると非常にヤバイ。優磨の新車のマローダーは前に運転手を入れて二人…そして後ろには八人乗るが明らかに人数オーバー…まあ外周区には警察は来ないからそういう心配は無用だろう。

 

「もうすぐモノリス前に着くぞ~」

 

優磨が言うと皆が目を輝かせる。

因みに夏達はあっという間に後ろの子供達と仲良くなっている。

更に言うと蓮太郎は子供達に膝の上を巡っての戦いを繰り広げられており、それを見た木更は羨ましそうに見ている。

そして到着する。

 

「ようし!お前らいくぞ」

 

蓮太郎に連れられて子供達はモノリスの近くまでいく。

 

「ふぅ…」

 

それを見送りながら優磨はタバコに火をつけた。

 

「今日はありがとうございました」

 

すると木更が礼を言いに来た。

 

「あの子達は今里見くんが松崎さんって言う方に頼まれて先生をやっているんですけどそこの子達なんです」

「成程、新たな蓮太郎ロリハーレムランドの住人かと思ったぜ」

 

優磨が言うと木更がクスクス笑った。

 

「そう言えば夏ちゃん達がバレたそうですね」

「ん?…ああ…少なくとも表には出してないがやっぱり思うことは多いだろうな…」

 

優磨はそう言うとタバコを吸う…

肺に煙を入れると少し頭がスッキリしたような気になる。

 

「ま、のんびり探すさ…」

「でしたら先生は里見くんですけど、この青空教室何かどうです?」

「ふむ…悪くないかもな…」

 

とは言え先生はあのロリコンの蓮太郎だ…少し心配だな…等とふざけたことを考えてると帰ってきた。

 

「優磨さんすいません」

「別に良いさ。楽しかったか?」

「はい、それにこの間先生が言ってた将来の夢が決まりました」

 

一人の少女が笑っていってきたため優磨が、

 

「へぇ~、なんなんだ?」

「私は里見先生のお嫁さんになります!」

『私も!』

 

他の子供達も含め全員揃って手をあげていた…上げていないのは夏と春と夏世位であり延珠はもとよりティナもしっかりとあげている。

 

『………………………』

 

優磨と木更は固まると…

 

「木更ちゃん…警察だ…十才児に手を出そうとしている変態がいる」

「はい。わかりました…」

 

木更はなんの迷いもなく携帯を出すと110と打つ。

 

「ちょ!まてぇえええええ!!!!」

 

蓮太郎の絶叫にも似た叫びがそこら一体に響いた…

 

 

 

 

そして遂に集合日が来た…

優磨は新一ペアと由実ペアをマローダーに乗せると走り出す。

 

「深川さんお久しぶりです」

【いやぁ由実も久しぶりやなぁ。相変わらずでっかい乳ぶら下げてぇ…】

 

由実はサッと自分の胸を隠すが細腕では全く隠れない。寧ろ強調してる。だが…

 

「がぅ!」

「っ!」

 

新一は瞳を灼熱させた風深に噛まれて悲鳴をあげた。まあ声は出せないため悲鳴を出してる顔と言った感じだ。

 

「変わらないね~」

 

それを見て夏と春も笑う。夏世も最初は驚いていたが新一と風深のやり取りに笑ってる。

 

「お、見えてきた見えてきた」

 

遂に戦地が見えてきた…

 

 

 

 

 

 

 

「たしかこの辺りだったと思うんだけどな…」

 

キョロキョロ周りを見渡していると…

 

「こっちです。優磨さん!」

 

木更がこっちに向かって手を振る。

そっちの方に向かうと既にテントの外に蓮太郎達も集まっていた。

 

「あ、里見さん。こんにちわ」

「どうも…」

 

蓮太郎は視線を外しながら言葉少なめに返す。そうしないと頭を下げたり上げたりした際に揺れる胸に眼が行きかねないからだ。

するとそこに…

 

「姐さんメロンパン買ってきましたぁあああああああ!!!!」

 

金髪の男が飛び込んできた。

 

「はい、ありがとう」

 

木更が礼を言うとその男はスキップしながら自分のイニシエーターと思われる少女のとなりに座る。

 

「取り合えず自己紹介といくか…」

 

蓮太郎が言うとトップバッターに今の金髪の男が立ち上がる。

 

「片桐 玉樹だ!武器は…これだ!」

 

そう言うとメリケンサックとブーツから大音量が流れ出す。

どうもチェーンソーを仕込んでるらしい…

だがこれは音が凄いため不評で全員から「うるさーい!」と怒られた。だがそれでもメゲないのがこの玉樹と言う男らしく腰からマテバ拳銃と言うリボルバーを抜くと、

 

「これが俺のビィイイイイイイックマグナァアアアアアアム!!!!」

 

とかいって女性陣からフルボッコにされ、最後に、

 

「強制退場!!!!」

 

と言った夏にぶん殴られ空のお星さまにされた。誰も心配なぞしてないが…

 

「じゃあ先程のバカ兄貴に続くのは恥ずかしいけど…片桐 弓月よ…モデルはスパイダー」

 

そう言って弓月と名乗った指から蜘蛛の糸を出し木々との間に足場を作る。

 

「ざっとこんなもんね」

 

弓月は平坦な胸で威張るが…

 

「パンツ丸見えだぞ」

「ウラァアアアアア!!!!」

 

蓮太郎の一言でぶちギレ飛び蹴りをかました。

 

「あっぶね!」

「この変態!!!!痴漢!!!!ロリコン!!!!不幸顔!!!!ロリコン!!!!」

「不幸顔以外は違うし何故ロリコンを二回言った!?」

 

すると今度は愛想がない比較的長身の男が出る。

 

「薙沢 彰磨だ…そこの里見とは元同じ同門でな」

 

そう言って近くの木に向かって飛ぶと…

 

「天童式戦闘術一の型三番、轆轤鹿伏鬼!!!!」

 

すると木が弾けた。

 

「ん?」

 

優磨は違和感を覚えた…天童に内部破壊の技は無かった筈だ…

蓮太郎から聞いたことがあるが天童の技は全て強きを弱きを助けるのを基本としているため残虐性の高い技は無い筈なのだ。

あれを人に当てれば只では済まないだろう。蓮太郎も違和感は覚えたらしく首をかしげていると、

 

「ふ、布施…翠…です…」

 

舌足らずの声で魔女みたいな帽子を被った女の子が出てきた。

 

「モデルはキャット…です…」

 

そう言うと爪を伸ばした。優磨達やいつのまにか復活した玉樹はおぉ…と歓声の声を漏らす。

 

「そう言えばその帽子はどうしたんですか?」

 

夏世が聞くとビクッと翠は体を震わせる。だが彰磨は優しく、

 

「仲間に隠し事はするものじゃない」

 

と言う。そう言われ翠は帽子を外すと…そこには猫耳がピコピコ動いていた。

全員驚く。

 

「成程…因子が表に出たのか…」

 

イニシエーターの中には翼が出て空が飛べる奴もいる。

 

「ふ、ぇえ…」

 

すると風深が出てきた。

 

「私もね。歯が全部、牙なの」

 

イーっとしながら言う…確かに全て鋭い犬歯だ。

 

「だから良いなぁ…可愛くて…萌って奴だよ」

「そ、そう?」

 

すると背後から延珠と夏が近づき…

 

『えい!』

「キャアアアア!!!!」

 

パンツを下ろしやがった…

 

『あれ?』

「ふえええええええ!!!!」

「なにしてんだお前ら!」

 

優磨は驚きで声を出す。

 

「いや…その…」

「尻尾はないのかなぁ…と…」

「馬鹿かおどれらは!」

 

すると…

 

「言い訳の前に…」

 

目を灼熱させた榧は延珠と夏の頭を掴み…

 

「謝るのが先でしょう?」

『いーだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!!!!』

 

プロレス技のアイアンクロー…相手の頭を掴み握力でミキミキ言わせる技である。しかもモデル・アントの榧の握力でのアイアンクロー…多分と言うか絶対痛い。

 

『ご、ごめんなさあああああい!!!!』

 

延珠と夏の絶叫が響いた…

 

 

 

「と言うわけでモデル・アントの藤島 榧です。能力は今の通り腕力と握力が高いです」

 

そう言って榧は近くの石を取ると簡単に握り潰して粉にしてしまう。

 

「以後お見知りおきを…」

 

メイド服の裾をつまんで挨拶する。

続いて…

 

「北美 由実です。よろしううおねぎゃいしましゅ!」

「落ち着け由実…」

 

由実は相変わらず人見知り全開だった。

次は新一達だ。

 

【あー。深川 新一や。生まれつき喋れへんけど会話事態は好きなんでよろしゅうたのんますわ】

「木上 風深です!職業は新さんの性奴隷です!」

『ぶっ!』

 

その場の全員が驚愕して吹いた。

 

【何でやねん!】

「冗談です」

 

なんだ…と全員が安心したところに…

 

「本当の職業は肉奴隷です!」

【変わっとらんがな!と言うかお前はワイを社会的に殺す気か!?】

「大丈夫です!新さんのだったら排泄物だろうが何だろうがきっちりお世話してあげます」

【重いわ!】

 

高速でタブレットを叩く新一と風深の口論と言うか全く噛み合わない会話は十分ほど続き…

 

「あー…牙城 優磨だ。イニシエーターはこの三人だ。まあ能力と言うか力はこの両腕の義手から高周波ブレードだ」

 

そう言ってスパスパ近くの木の枝を切る。

 

「柊 夏だよ、モデルは蝦蛄…だからね」

 

夏の瞳は深紅に変わり…

 

「ウラアアアアアア!」

 

木をぶん殴ると木が根っこからブチブチ言って吹っ飛んだ。

 

『おお~…ん?』

 

だが上に飛べばいつか落ちてくる…重力に乗っとり木は落下してきて…

 

「げっ!」

 

玉樹の上に落下した…その際プチっと言う音がしたが気のせいだろう…気のせいだといえ。

 

「こ、殺す気か!」

 

玉樹が下から這い出てきた…無駄に頑丈だ…

 

「次は私ですね。柊 春です。モデルは蝙蝠で遠距離狙撃が得意です。あと範囲は私を中心に五百メートル前後が限界ですがソナーもできます」

「千寿 夏世です。モデルはドルフィン…武器はショットガンです」

 

二人が続けて自己紹介をし…最後に蓮太郎ペアと何と木更はティナと組むことで参加した…これで計15名のアジュバンドが結成された…とは言え…

 

 

「全員キャラ濃いな…」

『あんたが言うな』

 

優磨の呟きは全員の総突っ込みを喰らったらしい。


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