ブラック・ブレット 双子のイニシエーター   作:ユウジン

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第17話

優磨は今針の筵に上にいる気分だった…

今優磨の自宅には菫と聖天子が居た…まあマンション前には護衛隊の皆様が鎮座しているがそんなことはどうでもいい…とにかく今はこれから帰ってくるはずの夏たちや呼んだ蓮太郎達が急いで戻ってくるのを待つばかりである…と言うか早く来い。

 

「ふふ、別に怒る事は無いじゃないか。別段私たちは君が不快になるような関係じゃない」

「別に怒ってなどいません!」

 

嘘だ!っと叫びかけたが優磨は黙ってお茶を出す。

 

「ありがとうございます…」

 

なんか不機嫌全開だ…何が気に入らなかったのだろう…すると、

 

『ただいま~』

『お邪魔しまーす』

 

やっと来た…と思いきや不機嫌聖天子と普通の服を着ている菫を見た瞬間…

 

『すいません部屋間違えました』

「まてぇい!!!!」

 

皆様揃って出ていこうとした…が優磨が捕まえる。

 

「どこ行く気だ!」

「待て優磨さん!俺は幻を見てるに決まってる。なぜならここに聖天子様が居るわけないし更に言うなら先生が居るわけない!しかも白衣じゃない服…」

「もしかしたら今日食べた豆パンがよくなかったのかしら…やっぱり消費期限三日過ぎたのはダメね」

「妾も最近寝不足気味せいだな。お陰で起きてても幻が見える」

「最近朝方にしようとしているのですがそのせいか夢を見てるようですね」

「うーん…優兄の大切にとっておいたお菓子腐ってたのかな?」

「それとも優磨兄様のお手製ご飯が…」

「最近パソコンずっとやってたのが悪いんですね…目が疲れてるようです」

 

全員揃いも揃って失礼なやつらである。

 

「蓮太郎、これは現実だ。木更ちゃん、賞味期限ならまだしも消費期限はアウトだし三日過ぎたのって君の胃袋どうなってるの?延珠ちゃん、ちゃんと寝ないよ大きくならんぞ。ティナちゃん、夢は起きてては見ない。夏、俺が楽しみにしてた朝から並ばないと買えない限定お菓子食った犯人はお前か…あとで覚えてろ。春…確かに今日の朝飯は失敗したがそんな毒は入ってない。夏世、一日一時間を守れ…だが疲れ目にそんな症状はない」

 

優磨が次々ツッコミ…

 

「まあ入れよ。話があるみたいだ」

 

そう言っていれた…

 

 

 

 

 

 

 

「それで?何があったんだ?」

 

蓮太郎が聞くと聖天子は写真を出す。

 

「今日の夕方にもテレビでやりますがこれを…」

 

そう言って出したのは…

 

「モノリスの写真?」

「はい。よく見てください」

「…む?」

 

延珠がなにかに気づいたようだ。

 

「どうしたの?延珠」

「うむ…夏よ、よく見るとこのモノリスだけ白くなってないか?」

『え?』

 

優磨たちも注目する…

 

「本当だ…白化現象か?」

「ふむ…」

 

優磨が言い菫は顎に手を添える。

 

「はい…更に今朝ガストレア・モデルアントが侵入してきました。しかもモノリスの下に穴を開けてです」

「ええ!?じゃあモノリスの下を潜ってきたんですか?」

「つまり…ガストレアが本来弱める筈の磁場がここからは出ていない…もしくは弱まってる?」

「そうなります」

「だがどうやってるのだ?」

「恐らく犯人はこれです」

 

そう言ってもう一枚写真を出す。

 

「これは…まさか!?」

「はい、ステージⅣ…通称アルデバラン…」

「だけどおかしくないですか?ステージⅤならまだしもステージⅣでは近づけないはず…」

「それはわかりません…ですがこのアルデバランは現在は撃破されたステージⅤ、牡牛座(タウルス)に追従して現れたガストレアでその能力はバラニウムの浸食液を出す…」

「だけどあれ殆んど飛距離なんて無いに等しいくらいしか飛ばせない…となるとやっぱどうやって近づいたんだ?」

「里見くん、気にするのはそこじゃない。そこも重要だがそれ以上に重要なのは…」

 

菫は聖天子を見る。

 

「モノリスが白化現象をお越し始めた頃にガストレアで侵入してきたって事は白化現象は恐らくモノリスの力を失い始めてる可能性が高い…となると…あとどれくらいなんだい?モノリスが完全に機能を停止させるのは…」

「流石四賢人と呼ばれた室戸 菫さんですね…研究者が幾度となく計算を行いましたが残念ながらもって7日…現在技術者が集まり新たなモノリスを製作していますが十日掛かります…」

「待て…じゃあ三日は完全に無防備ってことか?」

「そうなります…しかもアルデバランはガストレアのなかでも唯一チームを組んで動く…つまりそこには間違いなくガストレアが集中して来ます。そこで皆さんにはその間の防衛のためアジュバンドを組んでもらいたいのです」

 

アジュバンドとは民警同士が連合を組み合う制度だが民警は皆一筋縄で行くような奴等ではなくこの制度を使う民警は非常に少ない。と言うか居ないと言っても差し支えない位だ。

 

「分かってんのか?民警は揃いも揃って変人ばっかだぞ?手を組むのがどれだけか…」

「ですが優磨さん…他に手はありません。残念ながら自衛隊だけでは防衛が完璧とは言えません」

「確かに…な…」

 

優磨はため息を一つ吐くと、

 

「俺はその依頼受けるよ」

「じゃあ僕も」

「私も受けます」

「まあ一人だけ逃げてもあれですしね」

 

優磨チームと…

 

「分かった。受ける…と言うか拒否できる雰囲気じゃねぇよ」

「安心しろ蓮太郎、妾が守るからな」

 

蓮太郎ペアはその依頼を受けた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではありがとうございました」

「いや、これから俺たちもアジュバンドのメンバー集めねぇとな…」

 

優磨が頭を掻いてると…

 

「あの優磨さん!」

「ん?」

「あの…菫さんとはどういう関係なんですか?」

「どういうって?」

「いや…その…あれです…恋人……とかでは?」

「ないない、それはない。俺と菫は大学時代からの友人だ」

「そ、そうですか!」

 

聖天子はパァッと顔を輝かせると、

 

「ではまた」

 

そう言ってスキップしながら迎えに来た護衛の人を連れて行ってしまった。

 

「?」

 

優磨は首をかしげながらリビングに戻る。

 

「どうだった?」

「スキップしながら帰っていった。なんか良いことでもあったのかな?」

 

何があったのか菫から聞いていた面々は優磨の一言を聞いた瞬間…

 

 

『はぁ…』

「溜め息!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて次の日…アジュバンド結成のためにも優磨は知り合いの民警に訪ねに行く。集合は今から5日後…それまでに優磨と蓮太郎で二人ずつ探す予定だ。

だが優磨はすでに一人見つけている。それは由実で昨日電話かけたら待ってましたと言わんばかりにワンコールで出た。

その上快諾である。となるとあと一人…一応心当たりはあるが遠いため新車のマローダーを運転してやってきた…

 

「さて行くか…」

 

優磨は車を降りるとビルに入っていく。

目的の場所は三階に合った。そこには看板があり、名は【深川民間警備会社】とある。

優磨がドアを叩くと、

 

「はい!」

 

パッチリした目に少し丸顔で服装はロングスカートに半袖のワンピースと言う出で立ちの十歳くらいの少女…名は【木上(きかみ) 風深(ふうか)】…そしてその奥にはタブレットを叩く人影…それと共にタブレットが音声を流す。

 

《優磨やんお久し~》

「ああ…」

 

 

 

 

 

 

 

彼は深川(ふかわ) 新一(しんいち)…序列930位の高位民警で性格は無口…等ではなく寧ろお喋りで気さくな人間だ。だが生まれつき声が出せず会話はもっぱらタブレットに言葉を打ち込んで会話する。

 

「と言うわけだ」

《ふーん…ニュースでみたときは何かの冗談かと思ったけど笑ってる場合やなさそうやな》

 

新一は腕を組む…こいつは基本的に関西弁だ。理由は元々大阪エリア出身なのだが向こうは半端じゃないくらいイニシエーターに対する迫害や差別がひどくこのままでは自分は良いが風深の身が危ないと判断し東京エリアに住み着いた人間だ。

 

「そこでアジュバンドに入ってほしいんだが…」

《まあええで?東京エリア吹っ飛ぶと困るしな。でもワイも風深もわざわざ負け戦やるんは趣味やない。そこでや…ここの屋上に行かへんか?》

「は?」

《ワイと風深の二人と戦ってもし勝てたら…ええで?》

「おいおい、俺は今日プロモーター無しだぜ?」

《ワイら二人かがりに負ける程度ではアルデバランたちに勝つなんて夢のまた夢やで?》

「ち…わかったよ…行くぞ」

 

優磨は新一と風深と共に屋上に上っていった。


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