ブラック・ブレット 双子のイニシエーター   作:ユウジン

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第12話

「ん?」

 

優磨が外に出て駐車場に向かう途中で近くの公園を見ると…

 

「やべ…高校生が子供に手を出してるって警察に連絡しないと…」

「ちっげぇよ!!!!」

 

不幸そうな顔をこちらに向けながらロリコン野郎こと蓮太郎は振り替える。

 

「よう、元歌のお兄さんでキノコ栽培師でアロマセラピストでゲイバーのストリッパーことロリコンの蓮太郎」

「何か最近ネット上でそんな風に言われてるけど全部ちげぇよ!」

「全部じゃないだろ」

「は?」

「いやロリコンは正解だろ?」

「不正解だよ!って言うかネットでも俺のロリコン説出てんだけどあんたじゃねぇよな!?」

「いや、アレ菫が広めたんだ」

「あんのくそ医者!!!!」

「???」

 

蓮太郎の足下でたこ焼きを食べる少女は疑問符を浮かべる。

 

「初めましてだな…牙城 優磨だ」

「初めまして…ティナ・スプライトです」

 

眠そうな目を擦りながらティナは錠剤を出すとボリボリ食べる。

 

「お前…こんな小さな子を薬漬けにして…」

「全然ちげぇよ!て言うかこれカフェインの錠剤だって書いてあるだろ!」

 

そんなことは百も承知だ。冗談の通じない奴だね。

 

「では里見さん。これにて…」

「ああ、じゃあなティナ」

 

ティナ危なっかしい足取りで何処かに行ってしまう。

 

「アレが新しい蓮太郎ロリハーレムランドの一員か…」

「だから俺がロリコンって言う事実無根のネタは何時まで引きずられるんだよ!」

 

蓮太郎に叫びが公園に響く。

 

「まあ次から真面目な話だ」

 

優磨は目を少し細めてベンチに座る。

 

「敵は相当な腕だ…」

「ええ…しかも多分内通者がいる」

「ああ…それを考えると相当な情報網だ…こっちの素性もバレてるかもしれない…」

『………ん?』

 

バレてるかもしれない…?

優磨と蓮太郎は顔を見合わせる。

バレてるとしたら…狙われるのが一人いる…唯一の非戦闘員…

 

『木更(さん)(ちゃん)!?』

 

二人は勢いよく立ち上がる。木更が危ない。

 

「蓮太郎!こっちだ」

 

二人は直ぐ様駐車場に向かいポンコツ丸に乗り込む。

そしてエンジンを掛けると相変わらずピスピスと情けない音を立ててエンジンがかかる。

 

「頼むぞスバックス君!」

 

勢いよく車を出した…

 

 

 

その頃天童民間警備会社前では…

 

「マスター…着きました」

【よしティナ…ではここの天童 木更を殺し、天童民間警備会社を麻痺させろ】

「了解です…ここの人数を聞いて良いですか?」

【ああ…ここにいるペアは一組だ。それは里見 蓮太郎&藍原 延珠ペア】

「え?」

 

ティナは手に持つ武器を落とし掛けた。

 

【まあ序列千番のペアだ。ステージⅤを倒したとかで有名だが大した敵ではない。天童木更に至っては腎臓に障害があり戦闘は不可能とのことだ。気を付けるべきなのはここではなくもう一つの民警・牙城民間警備会社の唯一のペアにして社長、牙城 優磨と柊 夏、柊 春、千寿 夏世のチームだ】

 

ティナは完全に武器を落とす。

 

「牙城は…強いんですか?」

【恐らくお前では相手にならないだろう。恐らくお前の銃弾を撃って弾いたのもそいつだ。全く…室戸の腰巾着がまだ生きていたか…】

「…………」

【とにかく牙城とは戦うな。上手く避けるんだ。いくらあいつでも一人でお前の暗殺から守るのは難しかろう】

「はい…マスター…」

 

ティナは通信を切ると武器を取り出しながら階段を上る。一階と二階の店は休みの時間帯を選んだ…後はドアを開ける。

 

「あら里見くん。おかえ…え?」

 

中には一人だ…良かった…無駄な人死には出ない。

 

「天童 木更さんですね?覚悟を…」

 

次の瞬間ティナが手に持つガトリングガンが火を吹いた…

毎秒100発にも及ぶ弾丸の雨が木更が居たとこに炸裂する。だがその時には既に木更は机の下にかくれていたが所詮は焼け石に水…次々来る弾丸で机はあっという間に砕かれた…だが、

 

「え?」

 

ティナは一度射撃を止めると、砂塵の中からゆっくりと立ち上がる影がある。

 

「…………」

 

その影の正体は木更だ…殺人刀(せつにんとう)雪影(ゆきかげ)を手に木更はティナを見据える。

 

「貴方は?」

「くっ!」

 

ティナは再度銃撃を開始…しようとしたがその前に木更が抜刀…居合いともに斬撃がティナを襲う。

 

(鎌鼬!?)

 

飛ぶ斬撃をティナはギリギリで躱すがそこに続けて放つ。

 

「ちっ!」

 

ティナは横に飛んで銃撃を開始…だが木更も動いて躱すと弾丸を刀で弾きながら特攻…そのままガトリングガンを切り捨てる。

だがティナは迷うことなく切り捨てられたガトリングガンを捨てながらナイフを抜くと木更の首を狙う。

 

「ふっ!」

 

それを木更は余裕を持って躱し距離をとる…が、

 

「か…は…」

 

木更は急に脇腹が痛くなる。持病の腎臓が悲鳴をあげ始めたのだ。

 

「ご免なさい…」

 

ティナは謝りながらゆっくり近づきナイフを構える。

予め自らのマスターに聞いていたことが役に立った。木更の腎臓が悲鳴をあげるまで待てば良いとは思っていたがここまで早いとは…

 

「さようなら…」

「里見…くん…」

 

ティナがナイフを降り下ろそうとした次の瞬間、

 

浮嶽(ふがく)!!!!」

 

山すら浮かせるスラスターによる加速つきのジャンピングアッパーはビルの一階から木更達がいる三階まで突き破りティナを狙う。

 

「くっ!」

 

ティナは後ろに飛んで躱すがそこに、

 

「天童式戦闘術二の型十六番!隠禅・黒天風!!!!」

 

背後のドアから勢いよく飛び出した蓮太郎の蹴りがティナを吹っ飛ばす。

 

「なっ…」

 

蹴っ飛ばしてから蓮太郎も相手に驚愕する。

 

「ティ…ナ?」

「里見…さん…?」

 

流石の優磨も困惑してると…

 

「これ以上邪魔しないでください…次は殺します」

 

そう言って窓から飛び出す。

 

「ああ!」

 

次の瞬間グシャ!っと嫌な音を立ててポンコツ丸の上に分割されたガトリングガンと共に着地したティナはそのまま走り去る…

 

「んのぉおおおおおおおお!!!!」

 

優磨は頭を抱えた…

 

「と、とにかく救急車!」

 

 

 

 

 

 

木更を救急車で運び、それに蓮太郎が付き添っていってから優磨は内側から殴って形を無理やり直すとバフバフ言い出したエンジンを労いながら延珠達を車で拾うと病院に向かう。

 

「ねぇ優兄…何でポンコツ丸窓とか無くなってんの?」

「小さい隕石がぶつかったんだよ…」

 

優磨は血の涙を流しながら車のハンドルを切る。

 

「しかし木更は大丈夫なのか?」

「心配だね」

「大したことが無いと良いんですけど…」

「葬式は清●記ですかね」

「勝手に殺すな夏世…」

 

病院につくと丁度良くエンジンがバホン!と言って沈黙…

 

「やっぱり買い換え時だよこれ…」

「かなぁ…」

 

夏の言葉に優磨は頬を掻く。

すると延珠はピクン!と背を伸ばす。

 

「どうした?」

「いま妾の蓮太郎メーターが振り切れた…蓮太郎の操の危機だ!」

 

そう言って能力を解放してないと言うのに凄まじい速度で駆け出した。

 

「…………まあ…いいか」

 

蓮太郎が木更に恋い焦がれてるのは周知の事実…二人っきりの病室でイチャついてたりするかもしれない。

すると木更の悲鳴が上がったような気がしたが特に危機感がある声じゃないため優磨たちはのんびり病室に向かった。


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