白面が討たれ、冥界の門は閉ざされた。すべてが終わった後、日本の妖怪たちは"要(かなめ)"の修復へ向かう。白面が壊して行った要を放置すれば、日本が海の底へ沈むからだ。妖怪たちは其の身を石に変えて、要を支える。しかし妖怪たちは、巨大な西洋甲冑によって薙ぎ払われた。
『我は白面! その名の下に全て滅ぶべし!』
海中に現れた西洋甲冑が、要の修復を妨害する。妖怪たちは数万体が残っていたものの、その戦意は低かった。白面が目覚めた際にボコボコにされ、うしおやシャガクシャが戦っている間も戦意を喪失していた妖怪たちは、軽々と蹴散らされる。妖怪たちの集結が遅れて個別に撃破されているものの、戦力の投入を続けなければならなかった。戦力を整えている隙に、要を完全に破壊される恐れがあるからだ。
「おのれぇ! こんな時、あの者たちがいれば……!」
「まずいぞ、西の。このまま結界自在妖の消耗が続けば。抑え切れぬ!」
『ひひひ、ざーんねーんでしたー』
その西洋甲冑の本体は、白い剣だ。しかし、戦場に白い剣は見当たらない。どこに居るのかと言うと、沖縄の都市へ向かっていた。そこで空から、都市が沈む様子を見物する予定だった。しかし、なにか近付いてくる事に気付く。それに気付いた剣は降下して、身を隠そうとした……間に合わなくて、捕まったけど。
「ちっ、わしはバカどもの尻拭いかよ」
『げぇ、とら。じゃなくてシャガクシャじゃないですかー! やだー! 冥界の門に消えたんじゃなかったのー!?』
「あァ? そりゃ別のわしだろうよ」
『へー、ところで何か用なのー?』
「懐かしい連中に声を掛けられて来たんだが、出遅れたみてーだな」
『ふーん。じゃあ、ここで出会ったのは偶然かー』
「……」
『……』
「……ん?」
『なんで放してくれないのー?』
「そりゃおめー。白面の臭いをプンプンさせてる奴を、わしが大人しく見逃すわけねーだろ」
『えー』
「たしか粉々になっても元に戻るんだっけな。冥界の門にでも放り込んでやっか」
『やーめーろーよぅ』
さっそく未来のシャガクシャは剣を、最寄りの穴へ放り込む。剣は逃げ出せないまま、冥界の門へ放り込まれた。人間ならば体を乗っ取れたものの、妖怪のシャガクシャに対しては魂を食らえない。人を狂わせる剣の音色も効果がない。飛んで逃げようにも、しっかりと柄を掴まれていた。
別の世界への入口と云われている冥界の門へ、剣は引き込まれる。すると海中で暴れていた西洋甲冑は活動を停止して、海の底へ沈んで行った。そのあと妖怪たちは大地の要に空いた穴を塞ぎ、日本の沈没は止まる。そうして何気に日本を救ったシャガクシャは、うっかり穴に吸い込まれて、この世から姿を消したとさ。とっぴんぱらりのぷぅ。
Special Thanks
▼『セリア』さん
感想を15回も書いてくれた人だよ! この人だけ2桁で、ぶっちぎりだね!
「この人と共に、この作品は育った」と言っても過言ではないよ!
・【あらすじ追記の人】原作未読の人は"白面"が何なのか分からないと気付いたため、あらすじに追記。「これはダークサイドのオリキャラが、ヒーローサイドに忍び込んで、希望を圧し折るおはなしです」の原型を作った。後に元の部分を削除したため、この追記部分が正式なあらすじになる。
・【流兄ちゃんの人】流兄ちゃんの登場が望まれたため、フェリーで合流させた。なぁに流兄ちゃんだったら、うしお達の行動を予測する程度のこと余裕ですよ
・【フェリーを沈める切っ掛け】婢妖の出番がなかった事に気付いたため、書き直してフェリーを沈める事になった……オレじゃぬぇ! セリアさんがやれって!
・【エスパー1】白面の使いなんて一言も言っていない時点で、"白面の使い"というキーワードを持ち出した。間違いなくエスパーの所業
・【エスパー2】カムイコタンに置かれていた西洋甲冑が、転生者独自の判断である事に気付く。たしかに転生者は白面の指示なんて受けてないけど、なんで其所に考えが至ったのか意味不明なレベル。
▼『毎日が後悔の日々』さん
感想を5回も書いてくれた人だよ! 珍発言の多い人だね!
・【うぇっへっへっへの人】姉ちゃんの愛を妄想した際に奇声を漏らす
・【(*´ω`*)フフの人】自分の黒歴史を暴露した際に、そこはかとなく可愛い顔文字
・【ねぇちゃんの人】「姉ちゃん」よりもかわいらしい「ねぇちゃん」を発案し、書き手に衝撃を与えた……天才じゃなかろうか。
▼『PALUS』さん
感想を4回も書いてくれた人だよ!
・【Dark-sideの人】ティンときてダークサイドを発想する
▼感想を3回かいてくれた人だよ!
『輸入銘木』さん
▼感想を2回かいてくれた人だよ!
『kic』さん
『カイトシ』さん
『ガルテガルテ』さん
『kokoithi』さん
▼感想を書いてくれた人だよ!
『日本海』
『M弐百』
『Sierpinski』
『アーガー』
『えいじろー』
『えふえぬ』
▼特別枠『ユリキオスガンボア』さん
・【うしおととらを読み始めた人】これを読んでから興味を持って、"うしおととら"を読み始めたんだってさ! 藤田和日郎さんの「うしおととら」は最高よォ! まァ、それを二次で叩き壊した書き手が言うセリフじゃないけどね!
▼特別枠『ぜんとりっくす』さん
・【いつもの誤字報告の人】最終話まで書き終え、最終話を書き終わってルンルンしながら感想をチェックしに行ったら、"全話分の誤字報告"をされて書き手のハートは撃墜されました。きちくぅ。でも、助かりました。
・【感想44番の人】あんまりなタイミングで行われた誤字報告の感想番号。これは偶然か? いいや、センチメンタリズムな運命を感じるぜ!
これにて、おしまい。
あん、何? 寂しいって?
みィんな死んでしまって悲しいと、あんたらは言うのかい。
ひひひ。
いいかね、よォくお聞き。
人間は土に生まれて土に死ぬ。
土に死ねば、この世に再び帰ってはこない。
にもかかわらず、
その土からさえ、この世に立ち帰ってくるもの。
それが、転生者なのだよ。
だから、だからさ……
ひょっとして……
いつの日か……
「うしお、のん気に朝メシなぞ食っとるバアイかーっ」
「死んでも残さねえ!!」
「母ちゃん、ごちそーさん。行ってきま……」
「まって、うしお。口の周りをちゃんと拭いて……」
「おまたせ、姉ちゃん!」
「遅いよ、もう……じゃー、行こっか。うしお♪」
END