□■□
我が家の最強は、お母さん、かな。
『某教導官へのインタビュー』より抜粋。
□■□
やっちまった。やっちまったよ、僕。
なにがスルメンだよ、どんだけその場の流れに任せたネーミングなんだ。切羽詰っていたからってこれはひどい。
しかも噛んでたスルメが歯に挟まるし、そのせいで杏奈さんに買い食いがバレて灼熱おでんを食べさせられるし、まだ舌が痛くて刺激物は食べられないし。というのにお弁当はカレーライス。しかも激辛。
鞄の中で香ばしいを通り越して目に痛い臭いを発するソレ。窓開けて誤魔化したけど弁当蓋を開ければ犯人がわかるよ、あら不思議。
杏奈さんは相当におかんむりのようだ。
確かに頼まれた赤味噌はひっくり返ってリュックの中でぐちゃぐちゃになってたし、服も汚してしまった。
心配、かけたんだと思う。
強引に服を脱がせて風呂場に連れて行かれたのも、怪我がないか確かめるためだ。医者の妻だけあってその手際はテキパキとしていて不快感を与えず、また悟らせない。
後ろめたい気持ちがなかったら、きっと気づかなかった。
だが、そうまでして乗り込んだ結果は言わずもがな。
自分を助けるはずが、どういうわけか高町なのはを助けていた事実。
朝からチラチラとテメェあとで話しあんだからにげんじゃねぇぞ的な視線の原因はおそらくカレーではない。
(もうイヤ。何にもしたくない。僕は引きこもる)
英語教材が広げられた机に突っ伏せた。
発音を鼻にかける英語教師の声を遮音。認識阻害もかけ、寝不足の頭を休憩させる。
空には自由に姿形を変えていく白い雲が浮かんでいる。
優雅に風に流れるその在り方が、羨ましかった。
だが、それは所詮憧れに過ぎない。憧れは願望に過ぎない。願望は――以下ループ。
そして放課後、高町なのはに捕獲された。
せっかくお昼にカレー弁当を必要最低限の時間で腹に流し込み、非難の声をかけられることなく事なきを得たというのに。
代償として僕の唇はたらこのように腫れ上がり、口内は麻酔を打たれた如く感覚がなかった。その様は何人たりとも近づけることを許さない絶対防御。
「あの、高田くん」
「らひかほうあ、あかまひはん」
「……大丈夫?」
まだ麻痺が取れないとは…料理人杏奈、侮れん。
だが、言葉を理解できなければ流石の高町なのはも会話することは不可能だ。
知らない振りして、このまま家に帰ってしまえばこっちのもんだ。明日また聞かれたとしても同じように対応するだけ。もしも彼女が強硬手段に出たときは伝家の宝刀『記憶喪失』の出番だ。
――えっと、これなら話せるかな。
なぜか、口を動かしていない彼女の声が聞こえた。
昨日耳に詰まった泥を掻き出すため、血が出るまで耳掃除をしたのでその影響だろう。そう、空耳。
――もしもーし?
昨日の時点で魔法素人同然だったこちらの彼女が念波を扱えるはずがない。受信と発信は別なのだ。
――レイジングハート、ちゃんとできてるかな?聞こえてないみたいなんだけど…
――No, plogram.Condition,All Green.
レイハさん、こちらにいたんですね。
授業中、隣から魔力反応があったのは気のせいではなかったらしい。
指導するデバイスもどうかと思うが、初歩魔法とはいえ片手間で習得してしまう彼女の才能に白旗を揚げるべきか。
(だがまだ…僕が魔法を使えるとは知られていない。一般人風情を頑として貫くのだ)
往生際が悪いとは、それだけ生きる意欲があるということ!
――ま、いっか。喋れないみたいだし、このまま連れて行っちゃおっと。
「いろはらひへんへんっ!?」
――人攫い宣言っ!?
お巡りさん、現行犯です!助けてぇ!
鞄を掴み、廊下へとダッシュ。だが、僕の腕は彼女に掴まれた。そんなバカな。今まで彼女に追いつかれたことなど一度もなかった。
「急に走り出したら危ないよ?」
――それから、人攫いって人聞き悪いの。
念波は人には聞こえないのでそんな心配は無用だと言ってやりたかったが、生憎僕はたらこ口。言えずに残念だ。誠に、実に。
聞こえてたなら返事してほしかったの、とむくれる高町さん。
どうやら最初から腕を取られていた模様。そして主人思いのデバイスが勝手に僕の足にバインドを展開していた模様。
(……人から見えない角度を知っていやがる)
前門の高町なのは、後門のレイハさん。……平介はにげられない。
――もう、どうにでもして。
高田平介、陥落。
高町さんに引きずられるように教室から連れ出されたとき、傍観していたらしいクラスメートたちと目が合った。
男子から嫉妬の嵐だった。味方はいなかった。
やって来たのは連日変わり映えのない動物病院。
刻みいいベルの音を鳴らし、中に入っていく高町さんに不承不承僕も続いていく。
脱走しようとしても、高速展開されたバインドに捕らえられてしまうのは来るまでに経験済み。
「こんにちは、高町です」
「ちわー…」
がっくりと落とした肩を、背後からがしっと掴まれた。笑顔の獣医さん。そういえばここでも僕逃げたね。
高町さんやユーノとの接触がインパクト大ですっかり忘れていた。
「どーもぉ、あなたのお名前を聞かせてもらえる?」
「…高田平介です」
肩に食いこむほど力をこめられた手に抗う元気はなかった。
「2人とも同級生――それも隣の席とはねー」
世の中わかんないものね、なんて軽く言ってくれちゃっているが僕としては不本意なのだ。
隣の席なんてアドバンテージがあるがために、今のような状態になっている。
自業自得だなんて僕は認めないぞ。認めないったら認めない。
背もたれに寄りかかって笑う獣医さんにジト目に向ける。笑い声が大きくなった。
僕がユーノを助けた少年と知らなかった高町さんは、獣医とのやり取りに初めこそ目を見開いていたけれど納得したように一つ頷いた。彼女の中で何かが繋がったらしい。いらぬ情報を与えてしまったようだ。
フェレット入りのバスケットを受け取った高町を見る。
嬉しそうな表情をみる限り、本当にユーノを引き取りに来ただけのようだった。
僕はてっきり、人目のつかない昨夜の現場に連れていかれ、シバかれるのかと震えていたのだが、早とちりだった。
ユーノと2人がかりでという可能性も捨てきれないので油断はしない。
これから高町家のペットとなるユーノは差し出した高町さんの手を駆け上り、右へ左へと肩をくるくる行き来していた。
長年の付き合いのように懐いているようなやり取りだ。
(気楽なものだよ、まったく)
視線に気づいたのか、ユーノのつぶらな瞳がこちらを向いた。
キミは本当の高町家の恐ろしさをまだ知らないのだ。
未来を目視した僕は慈しみの微笑みで見返した。心は菩薩の境地。
ほのぼのと眺めていた獣医からある一言を聞くまでは。
「やっぱり飼い主さんに懐いてるわね。女の子同士、気が合うのかしら」
(なん、ですと……っ!?)
やはり昨日の耳掃除のせいで――。
なのはの肩に乗っているフェレットの尻尾を捲り上げ、確認。
「っ――」
「ぎゃああああっ!?」
僕の口から悲鳴が飛び出した。そんな――ない!
急に僕の股間が涼しくなる。
サイズダウンはしてしまったものの、その存在は毎日お風呂で見ているじゃないか。
「こらこら、レディに失礼なことしないの」
崩れ落ちそうになった男の威信を励ましていた僕の手からすかさず、獣医さんが同じく固まったままのフェレットを引き離す。再度、単語が揺るがない事実として漏れなく耳に入った。窘める声がだんだんと遠のいていく。
ようやく凍結が溶け、モグラのようになのはの腕に潜り込んで身を隠してしまったフェレット、ユーノ。
(…ばかな……)
ユーノ・スクライアは女だった。
◆◆◆
ひどい目にあった。
ボク、もうお嫁にいけない。
「えと、元気出してユーノちゃん」
めそめそと布団代わりのクッションを濡らしていたボクの上空から声が降ってきた。
心配そうなタカマチさんの顔があった。
「…うん」
回りに人がいないことを確認して声を出す。
行為をした当人は、、抜け殻のようにタカマチさんの後ろをふらふらと揺れながら立っている。
瞳は虚空を見つめ、開けっ放しのままの口からは時折、女…女…と呪文のように漏れていた。
(そんなに男の子っぽいかな、ボク…)
昔から一人称が『ボク』だからか、間違われることは多かったけれど。
ここまでショックを受けられてしまうと逆に申し訳ない。女としての自信もなくなる。
「タカマチさんはボクのこと女の子って気づいていたんだよね…?」
「うにゃっ!?…それはその…あ!この辺まで来ればいいんじゃないかなっ!」
話を変えられた。ボク、って言うの直そうかな。真剣に迷いながら結界魔法を張る。
10m周辺の世界から色素が抜ける。簡易なもので規模は小さいが、聞かれたくない話には便利だ。
空気の変化に彼女が一瞬身震いした。本当、魔力に敏感だ。
そしてボクの結界を覆うように展開された魔力。その持ち主に振り向く。
「魔力遮蔽は必要だろ。どこから魔道師が覗いてるかわかんないし」
彼は念のためというが、この管理外世界に早々魔道師がいるとは思えない。
とはいえ、目の前に例外が2人もいるのでその考えは改める必要性はあるかもしれない。
眠そうな顔は相変わらずだが、魔道師としての彼の腕は確かなものを感じた。
「それで、俺に用って何?」
腕を上げて、ぐっと身体を解す彼。気を張らないその様子に、ボクは緊張していた肩の力を抜いた。
なのはの前にボクを拾って、病院に連れて行ってくれたのは彼だと先ほど聞いた。
まずはそのお礼からだ。
「あの、ボクを助けてくれてありがとうございました」
「いや、別に。大したことしてないし」
「そう言って、昨日も名前言わなかったんだもんね、平介くん」
「あの噂好き獣医、喋りやがったな…」
にこにことしているなのはに対して、惜しげもなく顔を顰めるタカダさん。
「っていうか、高町さんや、いつの間に名前呼び?」
「平介くん、昨日助けてくれたでしょ。それにお友達だし」
「お供たちだとッ!?キミは誰でも彼でも人を供にしてこき使うつもりか…ぶつぶつ」
驚愕の事実と叫び、彼は一人の世界に入り込んでしまった。あ、戻った。復活は早いみたい。
発音が違うような気がしたけど、ボクがここの言語を聞きなれていないからかな。
「平介くんはずっと高町さん、だよね」
「当たり前。俺は硬派なんだ」
「……硬派の人はスルメンなんて名乗らないと思うな」
ぐはッと胸を押さえて、タカダくんが膝をついた。
「ユーノちゃんも。高町が苗字でなのはが名前だから、なのはって呼んでね」
「わかりました、なのはさん」
「うーん、なんかむず痒いなぁ。これから家族になるんだし、なのはでいいよ」
口調も崩して、ってお願いをされた。了承としてなのはの名前を呼ぶと嬉しそうに彼女は笑う。
彼女の笑顔は癒しの効果があるようだった。
「…フェレットが敬語とか、気遣いすぎだしな」
「平介くんもなのはって呼んでなの」
「いやそれはマジ無理勘弁してください高町さん」
「なのは」
「高町さん」
「なのは」
「タコマチさん」
「タコッ!?むー、なのはッ!」
「タチコm――」
「うにゃあああっ、それ以上はダメなのっ!」
というくだりが続き、結局「さん」付けを取ることで落ち着いたようだった。
◆◆◆
名前呼び騒動で時間と労力を消費してしまった。
苗字で呼ばれるのがよっぽど気に入らないのか、高町は不機嫌そうだった。
「なのは」は元の世界の彼女のイメージが強すぎる。僕にとって「なのは」は彼女であって彼女ではない。
9歳に向けて、精神29歳の男が「なのは様」とは流石に呼べない。
こちらの高町なのはが純粋に育ってくれる願望も込めて、これだけは譲れないのだ。
「話を戻して――昼間もそうだけど、昨夜助けてくれたのは平介だよね?」
来たこの話題。
こちらが本題なのだ。どう答えるかによって未来が変わる選択の局面だ。
高町との言い合いで、思った以上に体力を消費してしまったのは計算外だが。
「…ああ、そうだよ」
「やっぱり、あのスルメ――」
「それはもういいですから!」
いつまで引っ張られなければいけないネタなのだ。
一日経っているのだから、ノーゲーム、ノーカウントにしていただきたい。
「じゃあ、平介くんも魔道師なの?レイジングハートのことも知ってたし」
「あー、それは高町の叫び声が聞こえたし」
「にゃっ!?」
あれを聞かれてたのっ!?とか、焦っている高町に、僕はしたり顔。明日から覚えてろよ、とは思わずに心のメモリーへ刻むにとどめる。
からかった日にはどんな報復が来るかわかったもんじゃない。こういうものは将来、彼女が犯罪を侵したときか仮に結婚したときの嬉れし恥ずかしインタビューで暴露するのがベストなのだ。まぁ、30に手が届きそうな彼女に未だそういった機会は来ていないわけだが。
「魔法は……まぁ、独学だけど」
「独学!?それで、さっきの展開速度はすごいよ、デバイスなしで!」
「……それってすごいことなの?」
よくわかっていないぺーぺー魔道師に未来の学者ユーノは頷いた。
彼女――まだそう表現するには受け容れ難いものがある――の前で魔法を使ったのは失敗だった。遺跡発掘の部族生活で小さい頃から魔法を見て育ったユーノの眼は侮れない。僕は抜け出してばかりいたから、部族の中では魔法に関わるのが遅かった。確か、8歳だったか。
「じゃあ、平介くんにも手伝ってもらおうよ!」
「え、でも…」
「昨日みたいなのがあと19個あるんでしょ。1人でも多い方がいいよ」
「ストップ。協力を求められても俺は断る」
「どうしてっ?」
他人のために一生懸命になれる彼女と僕は違う。
人にも色んな個性がある。
魔導師であろうとも、正義感の薄いタイプもいるのだ。保守的な僕は、彼女たちのような溢れる正義感が眩しく感じてしまう。
ユーノは高町家に引き取られても、女なんだから別に悶着もあるまい。
それだけで高町家によるトラウマが半分に減るのだから、たった1つのトラウマから救ってあげようなんて庇護欲を出さければよかった。もはや後の祭り。
そんな自分の考えに、反吐が出そうになった。
「俺は、家族にもう心配かけたくないんだ。その封印は、昨日のような戦闘になるかもしれないんだろ?大怪我したらどうする?怪我してそれでも家族に内緒で続けられると思うか?俺達はまだ親を騙せるほど歳をとってない」
もし、たら、れば。障害があったときの想定ばかりしていても前に進めないのはわかっている。
彼女たちのような勇気が道を切り開くために必要なことも、イヤと言うほど噛み締めてきた。
だけど――だから、
「……協力できない」
2人の顔が見られず、僕は頭を垂れた。
適当な理由をつけて、2人と別れた僕は家までの道のちを全力疾走した。
叫びたくなる衝動はご近所さんに迷惑になるので堪えた。
家に杏奈さんの気配がする。買い物から帰ってきた頃の時間帯だった。
「平ちゃん、おかえりー」
はんなりとした笑顔。抱きつきたくなった身体に急ブレーキをかける。母とは言え人妻。
僕は平介であるけど、本当の平介ではない。甘えるわけにはいかない。
「はよ、入っておいで」
緩やかな動作で冷蔵庫に食材を詰めていた杏奈さんはいつの間にか、近くにいた。
子供の手でも十分に手が届く位置に。
僕は彼女にとって本当の息子じゃない。偽っているんだ。触れていい権利はない。
人妻だぞ。元の僕と同年代だぞ、手を出して僕が惚れたらどうするんだ。
ごちゃごちゃしたガラクタが頭の中で溢れかえった。
それを包むように杏奈さんの暖かさを感じる。
「ほらほら平ちゃん、涙拭いて、チーンして」
顔に押し付けられたティッシュ。促されるままに、力いっぱい鼻から空気と水を噴出させた。耳がキーンってなった。
また、鼻が垂れた。
杏奈さんは笑いながら新しいティッシュを持った手で、口まで垂れ下がったそれを綺麗に拭き取ってくれた。
「……母さん」
「んー?」
鼻水つきのティッシュをまとめている杏奈さんの背中に、呼びかける。
僕は卑怯だ。彼女に面と向かって聞く勇気もない。この先、彼女を傷つける言葉を発するというのに。
「――俺が事故に遭ったとき、どんな気持ちだった?」
一瞬、その手が止まったのを僕は見逃さない。臆病者なりの意地だった。
「あんまり、覚えてないなぁ。……頭真っ白になって、気づいたら警察に捕まってて切符きられてたんよ」
その情景が目に浮かぶようだった。
「そんな状態だったけどね、平ちゃんの顔見たときは、これほど幸せなことはないって感謝してもしきれなかったなー」
「父さんと出会ったときよりも?」
内緒やね、とお茶目に返した杏奈さん。
「だけど私たちは事故が不幸とは思ってないの。平ちゃんは記憶を失っちゃったけれど、ネコさんの命助けたでしょう?」
「……」
「もちろん平ちゃんが怪我したら心配。とっても。でもあのとき行動できなかったら、平ちゃんきっと後悔してたと思う」
それは平介の行動だ。僕は、わからない。
「自分を守るためにつけた心の傷は治りが遅いんよ?けれど、誰かを助けるためにした怪我はいつか誇りになる。だから、平ちゃんがやりたいことやったらいい。おかんは応援する。今決めた」
「今かいっ」
「そうよ。だから、もしまた忘れてしまってもその度に約束してあげるから安心しぃ」
「……そんなこと言って、大怪我しても文句言えないからな?」
「文句は雅信さんが言うからいいの」
それは怖そうだ。
レントゲン結果と睨めっこしている雅信さんの姿を思い出してしまった。また、彼の患者として怪我を治してしまったら今度こそメスを置いてしまうかもしれない。
そんな雅信さんの話を言い合って、夕飯の支度ができるまで自室にいることを伝え、2階に上がった。
僕はいつも、彼女に引き摺られていくだけのサポートだった。自ら進んで戦場に出向くことはしない。
ただの脇役でよかったし、それを望んでた。
花形である攻撃魔法は身体に合わなかったし、特化していた素質は補助魔法だった。
そりゃあ、使えたらカッコイイのに、と子供の頃は考えたことはある。でも、それで人が傷つくのは嫌だった。
そんな僕に何ができるというのだろう。
僕とは別人のユーノ、そして真っ直ぐな心を持つ高町ならきっと解決できる。僕が介入することによって事態を余計に混乱させてしまうのではないか。それは平介を危険に晒すことにもなる。
けれど、昨夜のようなことが起きたら――。
僕が知る彼女とは別人のような高町なのは。
僕が知る歴史とは別の動きを見せている世界。
助けたいと疼く衝動。これは平介だけの気持ちじゃない。
高町なのははとユーノ・スクライアは、高田平介の周りに含まれてしまった。
(…元の世界に戻る僕が、この世界にいた証を残してもいいのかな)
もしそんなエゴが許されるのであれば。
「たった一度限りの
最初で最後。そう言い聞かせて僕は、高町とユーノに念波を送った。
1人目のTS原作キャラはユーノ・スクライア。
無印ではユーノだけの予定です。
次回からようやく、平介(ユーノ)が本格介入します。