長らくお待たせしました。
どうぞ
ロシア領空内 シベリア連邦管区 上空1万5千フィート
ロシアの地上から豆粒の様に見えるほどの遥か上空に大きな翼を持ち獲物を探す鷹の様に円周状に左旋回で回っている大型の輸送機がそこにいた。
その輸送機はただの輸送機ではなく、多数の武装を搭載した対地専用攻撃機・・・通称:ガンシップと呼ばれ、地上兵士から『空の悪魔』と畏怖されている航空兵器である。
AC-130H<スペクター>統合武装管制システム
そんな畏怖を込めた異名で呼ばれるガンシップ内に設置された武器を操作するシステム操作モニター前にはベストパイプと呼ばれる喫煙具の一つを咥えて吸っている男性がいた。
シャーロックSide
「さて、そろそろかな?」
胸の内ポケットに入れていたアンティークゴールド調の懐中時計*1を取り出し、閉じていた蓋を開閉ボタンを押して蓋を開け時刻を確認する。
文字盤にはアナログタイプであるローマ数字が刻まれており、短針はローマ数字のⅩを指しており、長針はローマ数字のⅥを指していた。
「さぁシステムのチェックをしないとね。
全火器管制システム・・・・・・オンライン
20mmバルカン砲 3門・・・・・・オンライン
40mm機関砲 1門・・・・・・オンライン
120mm榴弾砲 1門・・・・・・オンライン
全システム・・・・・・オールグリーン
うん。火器管制システムは全て問題ないね」
ふむ。少々時間が空いてしまったね。それじゃあ、少しこの機体について説明しようかな?
僕たちが乗っているこのAC-130Hはいろいろな所を改造された特殊な機体であるのだ。
例えば、機体装甲には耐弾性の高いチタン装甲を使用することで全体的な防弾性を持ち地上からの攻撃である30mm弾をも防ぎつつ、装甲内部にはレーダー波を吸収するレーダー波吸収素材(RAM)と吸収しきれないレーダー波を内部反射と減衰を繰り返して吸収するレーダー波吸収構造(RAS)を採用した特殊装甲になっている。
その装甲表面にはレーダー波吸収素材を含んだ塗料が用いられておりレーダー波は熱へと変換され、これもレーダー反射断面積を低減させるモノの一つでありレーダー網にも映りにくくなっている。
つまり、地上攻撃機仕様の大型F-22<ラプター>と思えばいいのではないだろうか。
地上を攻撃する兵装が桁外れに強力ではあることを抜けば、ステルス型のガンシップであるともいえる。
20mmバルカン砲自体も通常とは仕様が違い、普通であれば並列に設置するバルカン自体を
搭載されているバルカン砲の弾薬である20x102mm弾は1800発分があり、全て機体下部に内蔵されており、全て自動装填される仕様になっており、装填役の兵士を必要としない。
40mm機関砲と120mm榴弾砲に関しては、自動装填方式と排出機構を取り入れており、40mmの砲弾装填口付近にボックス型の給弾装置が入っており、ボックス内には150発分の40mm機関砲弾が装填されており、発射すると自動的に設置された薬莢回収機に回収される。
120mm榴弾砲も40mm機関砲と機構自体は一緒であり、砲弾装填口兼排出口である場所にボックス型の給弾装置が付いており、ボックス内には100発分の105mm榴弾が装填されており、排出から装填を自動化していることで人手がいらない。
このシステムは全て電子機械によって制御されている事で僕が座っている席で気軽に操作することができるのだ。
「(まぁ・・・少しエンジン面も弄らないといけなくなったけどね?)」
エンジン面も含めて全てのシステムと技術を見直さないといけなくなった事でコスト面に大きく負担が掛かってしまうは、保管場所の事情で一機しか改造できない状況になってしまったが、性能面はそれに見合う物となっている。
装甲面の強化による防御力向上と武装面の強化による攻撃力の強化を行い、エンジン面とシステム面も弄ることで機動力と火器管制システム向上のすべてを行っているこの機体は、正に『空の悪魔』と呼ばれるにふさわしいであろう仕上がりになっている。
「・・・もうそろそろかな?」
自分の脳内での解説を行いながら、ポケットの懐中時計の時間を確認すると予定時刻の1分前に差し掛かっていることを確認する。
「・・・さて、では取り敢えずは試験運用を頼まれている『ケルベロス』を使ってみるとしようか」
火器管制システムであるディスプレイに表示されている武器情報を変更するようにコンソール盤のスティックコントローラーとコマンドを打ち込み使用火器を「『120mm』・40mm・20mm」から「120mm・40mm・『20mm』」へと変更させる。
武装変更にコンソールを弄ると同時に耳に着けていたインカムから通信が入る。
『こちら、サイレント。
コルネール君も真面目だね、この通信を何者かが傍受しない様に通信の暗号単語を使うなんて。
この通信を傍受して解読したところでデーターは消される未来しかないのにね。
まぁ、そんな真面目な所が彼らしいと思うけどね。
「こちらシャーロック、了解したよ。気のままに鷹の凄さを教えてあげるよ」」
『・・・はぁ、イーグルお願いしますから専用ワードを使ってください』
「ははは、分かったよ。イーグル了解」
スティックである操縦桿を操作しカメラの映像をズームさせてコルネール君たちがいる場所を見つける。
『・・・はぁ、攻撃の合図は基地が爆発した時が合図になります。今自分たちがいる場所は分かりますよね?』
「心配ないさ。君たちが付けている通信機とバッジ状の装置にはIFF*2機能が付いているからね。間違っても誤射なんてしないよ」
カラー画面には、味方を現す水色の枠が複数点在していた。
□BASE1
TGT□HANGAR1
□Mi-24D
□Mi-24D
□SA-22
□SA-22
□2K22
□2K22
TGT□HANGAR2
□Mi-24D
□Mi-24D
□SA-22
□SA-22
□2K22
□2K22
TGT□HANGAR3
□Mi-28
□Mi-28
□SA-22
□SA-22
□2K22
□2K22
TGT□HANGAR4
□Mi-28
□Mi-28
□SA-22
□SA-22
□2K22
□2K22
TGT□HANGAR5
□Ka-60
□Ka-60
□BTR-80
□BTR-80
□HANGAR6
□Ka-60
□Ka-60
□BTR-80
□BTR-80
☒SILENT1
☒PHOENIX1
☒PIXIE1
☒SNAKE1
TGT□HANGAR7
□T-90
□T-90
□T-90
□T-90
TGT□HANGAR8
□MiG-29M2
□MiG-29M2
□MiG-29M2
□MiG-29M2
TGT□CONTROLTOWER1
□SA-22
□SA-22
□2K22
□2K22
TGT□CONTROLTOWER2
□SA-22
□SA-22
□2K22
□2K22
TGT□RUNWAY1
□MiG-29M2
□MiG-29M2
□MiG-35D
□MiG-35D
□Su-27SM2
□Su-27SM2
□2K22
TGT□RUNWAY2
□MiG-29M2
□MiG-29M2
□MiG-35D
□MiG-35D
□Su-27SM2
□Su-27SM2
□2K22
TGT□RUNWAY3
□MiG-29M2
□MiG-29M2
□MiG-35D
□MiG-35D
□Su-30SM
□Su-30SM
□2K22
連絡を貰ったコルネール君たちは基地の表層からIFFの信号が出ており、場所はB区航空機格納庫内からである。
コルネール君たち以外のリンクス君たちは基地本部の地下から反応が現れている。
□BASE2
☒LEIDEN1
☒ESCAPE1
☒ESCAPE2
☒ESCAPE3
☒ESCAPE4
☒ESCAPE5
☒ESCAPE6
☒ESCAPE7
☒ESCAPE8
☒ESCAPE9
☒ESCAPE10
☒ESCAPE11
☒ESCAPE12
IFFのおかげで問題なくみんなのいる場所が把握できている。
水色は、自軍と友軍を指し表しており、緑色は
「こっちは、いつでも大丈夫だよ。サイレント君」
『了解です。では始めます』
味方の位置確認と兵器の使用確認が済んだことで準備が完了したことをコルネール君に伝えるとその3秒後に画面に映っていた「2K22」と「SA-22」の反応が爆発と同時に消失した。
それは、コルネール君が言っていた爆発で間違いないだろう。
「さて、では始めるとしようか」
爆発が起きたことを映像で理解し操縦桿モデルにある人差し指が当たる赤色の引き金を押し込む。
すると機体側面にはみ出ている3個連結式6連装バルカン砲「ケルベロス」の砲身がゆっくりと回り始めると徐々にスピードが上がっていき、そのスピードは眼では追えないほどになると連結されている3つの砲身から20x102mm徹甲炸裂弾が一気に数百発も発射された。
ギュゥイィィーーンヴォオオォォォォォーー!!
発射された数百発の弾丸は滑走路に止まっている戦闘機群に着弾していくと徹甲炸裂弾が戦闘機たちの装甲を貫通すると同時に内部に入っている炸薬が爆発していき戦闘機のエンジン部位や燃料タンクに直撃と同時に引火し破壊していく。
発射し続けず、一秒に一回のペースで引き金から指を離して発射すると言ういわば「指切り」という技術を使って弾丸を次々と発射していく。
「おや、予想通り部隊が動き始めたね。では、兵装を変えるとしようか」
空からの突然の奇襲で動きが遅いかと思われていた戦車と装甲車部隊が動き始める。
スティックの親指を当てる部位にある小さなボタンを押し込む。
すると画面端に映っている「120mm・40mm・『20mm』」が「120mm・『40mm』・20mm」に変わった。
通信機を起動させて基地の格納庫内にいるコルネール君に使用兵装変更の連絡する。
「サイレント君、使用している兵装を変えるよ?20mmから40mmに変えるよ。2~3発発射後に120mmに変更するから注意してね?」
『了解です。40mmはどこに?』
「ちょうど動き始めた戦車部隊に向けるよ。120mmは2番目の管制塔に向けて発射するよ衝撃に備えてね?」
『了解です。120mm使用時は連絡をください』
「了解だよ」
コルネール君に返事を返すと同時に40mmを発射する。
トンッ!!ヴォオオォーー!!
ボフォース40mm機関砲から放たれる
着弾した場所には大きな土煙と炎を出し、その威力を語っている。
トンッ!!ヴォオオォーー!!
トンッ!!ヴォオオォーー!!
爆発音が響くと同時に連続して砲弾を発射させて周囲にいる戦車部隊を破壊していく。
「ふむ、サイレント君。5秒後に120mmを使用するよ」
機動し集結し始めた戦車部隊の壊滅を確認し、通信機を使いコルネール君に連絡する。
『了解です。5秒後ですね?』
「うん。5秒後に発射するよ」
『了解です』
20mmや40mmと同じ様にスティックの小さなボタンを押し込み兵装を120mmに変更する。
120mmの威力は40mmとは、引けを取らないというより40mmの威力の倍であり、その威力は・・・・・・
「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・発射」
発射目標である第2管制塔に向けて引き金を押し込むと40mmの発射音よりも低い音が鳴る。
ドッォオン!!ドゴォォオオン
着弾した瞬間、40mmの着弾よりも大きな音が鳴り響くと同時にその爆発もキノコ雲の様な大きな土煙と爆炎が
発生する。
「上空何千メートルといるところにまで120mmの着弾音がここまで響くなんてね。やっぱり怖いな」
煙が晴れると破壊目標である第2管制塔が見る形もなく崩れ去っており、瓦礫しか残っていなかった。
「さてサイレント君。あとの動きは任せるよ?滑走路の安全を確保してね?」
とは言っても一切援護しないわけではないのでハンガーから出てきた戦闘機類を破壊していく予定ではある。
『了解です。ピクシーに設置させた爆弾がまだありますから、滑走路の安全と残存勢力の無力化に入ります』
「お願いするね。僕も援護するから」
『はい』
アンティークゴールド調の懐中時計
文字盤がシンプルなローマ数字であり、蓋の表には聖女マリアが彫られており、蓋の裏には製造年月とシャーロックの名前が彫られている。
IFF
軍用機において、敵・味方を識別する装置のことで、特定の電波を相手に向かって発信し、規定の返信があれば味方として、それ以外の反応は敵としてレーダーに表示する。肉眼で確認するよりも早く敵味方の判別をつけられるため、より適切な対処を行うことができる。
Mi-24D(ハインドD)
ソ連のミル設計局で開発された戦闘ヘリコプターである。
SA-22(グレイハウンド)
ロシア連邦で開発された近距離対空防御システムである。
2K22(ツングースカ)
ソビエト連邦が開発した自走式対空砲/ミサイルシステムである。
Mi-28(ハヴォック)
ロシアのM・L・ミーリ記念モスクワ・ヘリコプター工場の開発した縦列複座式攻撃ヘリコプターである。
Ka-60(カサッカ)
ロシアのM・L・ミーリ記念モスクワ・ヘリコプター工場の開発した縦列複座式攻撃ヘリコプターである。
BTR-80
ソビエト連邦で開発された装甲兵員輸送車である。1984年に採用された。BTR-70の改良型にあたる。
T-90(ヴラジーミル)
ソビエト連邦、およびロシア連邦が開発した第三世代主力戦車である。T-72をベースに大幅に改良してより高価なT-80Uのレベルに近づけた戦車で、1992年にロシア連邦軍が制式採用した。
MiG-29M2(ファルクラムE)
ソ連のミグ設計局で開発された戦闘機で、MiG-29の発展型である。第4.5世代、MiG-29Mは4世代++ジェット戦闘機と定義されている。
MiG-35D(ファルクラムF)
ロシアのRSK「MiG」によって開発されたマルチロール機。ロシアでは当機を第4++世代ジェット戦闘機に定義している。
Su-27SM2(フランカー)
ソ連のスホーイ設計局が開発した戦闘機。現在もロシア、旧ソ連諸国や第三世界で使用、改良された本機はアメリカのF-15 イーグルにも匹敵する極めて高い格闘性能や長大な航続距離を誇る。
Su-30SM(フランカーH)
Su-30MKI/MKMをベースとしたロシア国内向けの機体で、ベース機に搭載されていたアビオニクス類 (射出座席、通信/航法システム、IFF等) などの外国製機材がロシア製の最新のものに変更されている。