最前線基地内部 B1倉庫
リンクスが防衛網で暴れている間に別行動中の隊長達は、既に基地内に通じるのダクトから潜入していた。
「リンクスが暴れてくれている、お陰で此方も潜入し易い」
リンクスが防衛網で暴れている事で基地内の警備が緩くなり、隊長を含めた隊員たちは、ダクトから基地内にある倉庫に侵入していた。
「ここは、倉庫か」
隊員の一人が自分たちがいる場所が倉庫だという事を直ぐに理解した。
「リンクスのお陰でここにいた警備もいなくなっていますね」
この基地内の警備は、正規軍事基地とあまり変わらないレベルであり、定時連絡・定期的な周辺警戒を随時行なっている程であるのだが、それらを行なっていたのが
「リンクスが陽動をやってくれている間に奴の見つけて排除するぞ」
「了解です」
隊長の言葉を聞くと同時に隊員全員が動き始める。
「移動するぞ。ヤツを探さないといけないしな」
隊長を含めた分隊員全員が動き始め、倉庫から出ると見渡しの良い通路に出た。
「コレは・・・敵に見付かったら、ひとたまりもないな・・・」
隊員の言った通り、通路は見渡しが良すぎるため、敵の目に入れば、簡単に見つかってしまうのだ。
「見取り図にも通路は、ここしかないな・・・全員気を引き締めろ」
分隊員全員がセーフティーを外したSCAR-Hを握り直し曲がり角などを警戒しながら、進んでいく。
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数分後
「何も無いですね・・・」
ひたすら、見渡しの良い通路を歩くが、コレといって目星い所が見つからない事に隊員が口に出す。
「情報によると、この先に目標のオフィスがあるからな。急ぐぞ、リンクスの行動に感づかれる前に何とかしたいしな」
隊員の言葉を聞いた隊長が、ゴーグルに映し出されているマップを見て言う。
「目標が、この騒ぎの中、黙ってジッとしていますかね」
「どうだろうな。情報によると、目標は、慎重派の様だが、予期せぬ行動を時たま取ると書いてあったしな・・・」
「可能性としては、逃げる手筈をしているか、ジッとしているか・・・」
「口を閉じろ。ここは、敵地だぞ?死にたいのか?それと目標のオフィスに着いたぞ」
隊員たちが、それぞれの思いを口に出していると、隊長が、振り向き注意すると同時に目標ポイントであるオフィスに到着する。
「・・・・・(お前は、右で待機、お前は、左でブリーチ爆薬を準備、俺とお前は、カバーだ。良いな?)」
『・・・・・・・(了解)』
目標ポイントに到着すると隊長が、腕を動かし指示を出す・・・所詮、ハンドサインだな。
全員が配置についたのを確認し、隊長がカウントを開始した。
「・・・・・・・(3・・・2・・・1・・・っGO!!)」
隊長の指示と同時にブリーチ爆薬が扉にセットされ、起爆されオフィスの扉は木っ端微塵になる。
「GO!!GO!!GO!!」
隊長の声が響くと同時に分隊全員がオフィスに突入した。
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最前線基地 防衛網
リンクスside
「!”#!!」
敵兵士の言葉と同時に爆音や銃声が鳴り響き、様々な弾丸が俺の命を刈り取ろうと飛来してくるが、全て目で追い最低限の動きで避ける。
「・・・・遅い」
先ほど使用したハイニューロ・チップは、一度使用すると学習し、体が記憶する事で同じ事が起きた場合、自動的に体が動かす、戦術稼働機動プログラム・・・通称『OAD(オーバーオートディフェンサー)』により、飛来してくる各種の弾丸を自然に回避していく。
「さっき、隊長達から連絡が来たからな。そろそろ、此処から移動するか・・・」
俺は、最小限の動きで敵の銃弾を回避し、近くにいる敵をCQCで無力化していきながら、基地の方を見る。
「移動の前に、こいつらを沈黙させるか」
俺は、ゆっくりとムラサマブレードを仕舞い、アサシンブレードを展開させる。
何故、威力が高くリーチの長いムラサマブレードを使わないのかは、気分でだ。
「さて、殺るか・・・」
脚部の筋肉を電流による強化をし、行動を開始する。
近くにいる兵士の喉をブレードで突き刺し、引き抜く・・・それにより、少し返り血を頭に被るが気にせず、無力化した兵士の近くにいた兵士を同じ様に近接で連続技として絶命させていく。それを淡々と続けて行く。
「・・・!#%」
淡々と敵を無力化していくと、次に無力化しようとした敵兵が自分の味方の血で染まった俺を見て、何か小さく呟いたが、俺は、気にせず、無力化していく。
「それにしても、どれだけ出てくるんだ?かれこれ、100人以上は、無力化しているが・・・」
リンクスが出てくる敵兵を無力化しているのに未だに
「ウザいな・・・」
当然、兵器であるBTR-60やハインドも増援を出すだけで無く、攻撃をしてくる。
BTRは装備されている14.5mm重機関銃をハインドは4銃身ガトリング式重機関銃で俺のことを攻撃してくる。
当たりそうに無いものは、無視し当たりそうな弾丸は、『OAV』を応用し、無意識レベルで回避していく。
「邪魔だ・・・」
俺は、無力化した敵兵の傍に落ちていたRPGを暴発しない程度で蹴り上げ、右腕で掴み取り、肩に乗せ標準を定める。
俺が蹴り上げて掴んだRPGは、84mm無反動砲・・・別名『カールグスタフ』と呼ばれる無反動砲であり、スウェーデンのFFV社で開発されたモノ、口径は84mm。名称のカールグスタフは、生産に関わったCarl Gustav Stads Gevärsfaktori社の名前に由来する。
因みに現在はサーブ社が旧ボフォース社を買収して生まれた『サーブ・ボフォース・ダイナミクス社』が製造・販売している。
「それだと、良い的だぞ・・・」
標準に入れたのは、兵士を降ろす為にホバリングしているハインドだ。
俺は、そのまま、標準に入れたハインドに向けて引き金を引く。
引き金を引かれたカールグスタフは、発射装置が作動、弾頭のロケットに火が点火され、砲口から84mmの弾頭が姿を現し、ホバリングして兵士をラッペリング降下させているハインドに向かって高速飛翔し、2秒も経たずにハインドのコックピットに直撃。
弾頭に詰まった爆薬が爆発し、コックピットからメインローターに掛けて爆発、たちまちコントロールができなくなったハインドは黒煙を各所から出しながら、回転落下する。
ラッペリング降下途中であった、兵士たちは、回転しながら墜落するに振り回される者もいれば、危険だと直ぐにロープを断ち切り、地面に落下する者もいる。
回転しながら、墜落するハインドは、近くで同じくホバリングして兵士をラッペリング降下させていたハインドに衝突、両機の高速で回転していたメインローターを含むテールローターが2機のハインドを傷付けていくと黒煙を出していたハインドから大量に漏れる燃料が遂に引火し、ぶつかったハインドを巻き込み大爆発した。
爆発し粉々に弾け飛んだ部品が地面に降り注ぐ、破片の一つであるプロペラの破片が、下にいたT-72の車体、それも戦闘室の下にある弾薬室にまで突き刺さってしまい、弾薬の一つが暴発し、それに続くように他の弾薬が暴発してしまい燃料に引火、爆発した。
「・・・そらよ」
撃ちきったカールグスタフを地面に投げ捨て、他の兵士の近くにあったRPGを再び蹴り上げる。
「・・・何故、使用する火器を統一しないんだ?」
俺が、蹴り上げたRPGは、先ほど撃ったカールグスタフでは無く、コンパクトな形をしたロケット砲、M72LAWであった。
M72 LAW(Light Anti-Tank(Anti-Armor) Weapon)は、口径66mmの使い捨て対戦車ロケット弾であり、設計はアメリカ合衆国のTalley ディフェンス、製造はノルウェーのNammo Raufoss ASであり、アメリカ陸軍では、朝鮮戦争以後バズーカの後継装備品として導入された。
因みにその外観と使用法から、別種の兵器であるにもかかわらず、先代の物と同じ「バズーカ」と誤って呼ばれることが多いらしい。
俺は、収納形態から、展開状態に素早く変える。
まず、方向のフタを外し、安全ピンを引き抜き、リア・カヴァーを外す、そこから、ロケット弾が収納されている後部チューブを引き伸ばす・・・が、この時点で発射を中断して後部チューブを収納し戻すことができるが、防水シートが破けてしまっているため、雨が降っている場所の場合、無意味である・・・後部チューブを伸ばしたら、自動的にショルダーレスト(肩当て)と照準器が起き上がる。
そのショルダーレストを肩に乗せて、本体上部にあるセフティ(安全装置)を押しながら、トリガーボタンに指を乗せる、コレで、発射準備完了だ。
「お前も邪魔だ・・・」
目の前にいるBTRの燃料タンク付近に向けて俺は、トリガーボタンを押し込む、発射装置により、弾頭のロケットが点火、後部チューブから、噴射したガス・・・バックブラストが起き、周囲に粉塵が立ち上がると同時に高速でチューブに収納されていた66mmHEAT弾が、姿を現し、砲口を向けていたBTRの燃料タンク付近に着弾。
弾頭に詰まった爆薬が点火し爆発、その爆発により、燃料タンクに引火、更に爆発。それが、連鎖し重機関銃の弾薬にも引火。結果、BTR-60は、爆散した。
「まだまだ、あるからな。使わせてもらおうか・・・」
M72 LAWを拾った兵士の背中には、まだ、2本入っており、俺は、それを拾い取り、先程と同じ様に収納状態から、展開状態にし他のBTRに狙いを定める。
「終われ・・・」
グラっ・・・
「っ!?・・・っと、危ない危ない・・・」
俺が、トリガーボタンを押そうとした瞬間、立っていた地面が急激に揺れ始めた。
「っ!?%&%&’!!」
俺と同じ様に急激な揺れに足元を取られてしまい転んでしまう敵兵を見た限り、俺の所だけ、揺れているわけではないようだ。
と言うか、俺以上に慌てている。
「・・・・網膜投影による状況分析開始」
この揺れは、一体なんだ?自然現象じゃなさそうだ・・・
俺は、頭部両側面に付いているバイザーを展開させ、地震の原因を探る。
---pppppppp---スキャン完了---
相変わらず、早い分析能力ですこと・・・
「情報展開」
敵が未だに続いている地震に体勢を整えられない内に情報を展開させる。
-------地震の原因:最前線基地の地下が震源地と確認。震度5弱の揺れ。現在も尚、揺れは継続中。震源地である最前線基地では、推定震度8と推測されます。
「震源地が、最前線基地だと!?隊長達は、無事か!?」
--------アメリカ陸軍 特殊作戦部隊『レッドクロス』隊員生存不明。仮に生存していたとしても、生存率0.9%
「っ・・・了解だ、作戦に変更はない。目標であるハルゲルト・ラ・シュナイロの暗殺任務を続行する」
---bbbbbbb!!---警告警告!!---急速に接近する熱源を確認!!
「次から次へと・・・!!」
俺が、任務である目標暗殺を続行しようと行動を起こす前にバイザーから警告音と警告マークであるPL-1マークで大量に表示された。
---熱源100m先で停止。浮上を開始しました。約5秒後、目視可能レベルに到達します。
網膜投影による状況分析を聞くと同時に先ほどより、強く揺れ始め、100先の地面が膨れ上がっていく。
「何なんだよ・・・一体。何が現れるんだ?」
俺は、肩に担いでいたM72を暴発しない程度に地面に捨て、仕舞っていたムラサマブレードの柄に手を添え、姿を現す何かを睨む。
5秒が経つと同時に地面から姿を現したのは、金属の装甲で覆われた強大な機械であった。
「・・・な・・・に?」
俺は、姿を現した巨大な機械に見覚えがあった。
2足歩行をし、強靭そうな胴体の右横には、巨大なレドームが搭載され、左横には、長大で砲身が2つに分かれているモノが取り付けられている。
そう・・・この世界にあるはずのない・・・存在するはずのないヤツの姿に瓜二つである。
『っはははは!!コイツが、ヤツ等が作り出した戦闘用ヒューマンか!?ヤツ等も等々おかしくなったか!!っはははは!!』
俺が、その姿に呆然としていると中に載っているのか、外部スピーカーを通してウザい声が聞こえてきた。
「お前は・・・誰だ!!」
『あぁん?お前らが探してた男だよ』
つまり・・・コイツが暗殺目標のハルゲルト・ラ・シュナイロ
『こんなガキを戦闘用に作るなんてな!?ヤツ等も切羽詰ってきたのか?まぁ良い、俺の部下をこんなにしてくれたんだ・・・狩りは返さねーとな!!』
ハルゲルトが叫ぶと同時に巨大な機械の脚部の太腿に辺りの装甲が展開しミサイルが飛来してくる。
「・・・俺は、任務を遂行する」
俺は、冷静に飛来してくるミサイルをムラサマブレードで一刀両断にする。
最後の巨大な機械について、皆さん分かりますよね(苦笑)
次回でこのリベリアでの戦いも終わりです。
では、次回会いましょう( ´ ▽ ` )ノ バイバイ