緋弾のアリア 意志を受け継ぎし者   作:暗黒の影

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中編です。( ^ω^)_凵 どうぞ


第13弾 紅き雷電(リッパーを受け継ぎし者)中編

 

チェックポイント

 

 

「良いか。暗殺目標であるハルゲルト・ラ・シュナイロは、三日前。中央最前線基地の司令官になった」

 

 

チェックポイントにある隠し部屋で俺たちは、作戦を聞いていた。

 

 

「この最前線基地は、他の基地より、装備や施設が豊富だ。戦車・戦闘ヘリ・装甲車を含めた兵器に対空兵器、歩兵に持たせる携帯火器に対戦車装備、兵士の生命線にもなるMKT(移動キッチン・トレーラー)が数台、それらを含めた各種通信システムを複合した通信設備・・・そして基地を守るために設置された防衛網のトーチカ。流石、最前線基地なだけあるな」

 

 

用意された地図に置かれたミニサイズの戦車、トーチカの位置と数を見て、隊長は、感心と同時に呆れた。

 

 

「戦力差があり過ぎますね・・・」

 

 

隊長の言葉を聞いた分隊員の一人が自分たちとの戦力差を聞いて考え込む。

 

 

「リンクス。この戦力で敵の防衛網を突破できるか?」

 

 

「95%の確率で全滅します」

 

 

隊長の言葉に俺は、バイザーを展開させる事なく即答する。

 

 

「残り5%は?」

 

 

「防衛網に展開している対抗勢力のアメリカ陸軍に協力要請、天候変化、深夜による行動を含めた場合です。ですが、これは、望みが薄いと思います。理由は、展開しているアメリカ陸軍が要請を受諾するとは思えません。それと天候の変化については、奇跡しか起こらない限り、何も起きません。そして深夜に行動ですが、敵も間抜けではないようで、警戒を強化していると推測します」

 

 

天候変化については、雨や砂嵐が今月に起きる確率は5%だ。アメリカ陸軍には、一般的に極秘行動しているしな・・・深夜は、トーチカによる24時間警備とどうやって入手したか不明のMi-24(ハインド)数機の周辺警備・・・どう考えても深夜の分隊行動は危険過ぎる。

 

 

「・・・そうか」

 

 

「どうしますか。隊長、この戦力差では・・・」

 

 

「・・・・・上からの情報でも詳細不明と言われていたが・・・此処まで戦力差があるとな・・・」

 

 

隊長の質問に答えた俺の言葉に分隊員全員が考え込む。

 

 

俺は、そんな分隊員の表情を見て閉じていた口を開けて言った。

 

 

「・・・・自分だけならば、敵勢力の注意を引く事が、可能です」

 

 

「・・・何?」

 

 

俺の言葉に隊長は、此方を見た。

 

 

「おい!!それってつまり!!」

 

 

それと同時に分隊員の一人が俺の言葉の意味を理解し声を上げる。

 

 

「はい。敵勢力の軍勢を自分が対応します。隊長達は、その間に最前線基地に侵入しターゲットの排除をお願いします」

 

 

この分隊員全員が敵地に侵入しても全滅する確率を上げるだけ・・・。なら身体能力が超人的で装備が強力な俺一人で敵勢力の注意を逸らしている間に隊長達が最前線基地に侵入する方が、生存率は高くなる。

 

 

「ふざけるな!!言ったはずだ、私が良いと言うまで、手を出すなと!!」

 

 

「隊長。お言葉ですが、現状では、自分が敵勢力を惹きつけた方が成功率95%を出しています」

 

 

「しかし!!」

 

 

「隊長。自分は、戦うために作られた兵器です。戦う時に戦わなくては、自分の存在する意味はありません」

 

 

今の俺は、テンプル騎士団の所有物だしな。裏切ったら、何の後ろ盾もない俺は、即殺だろうしな。使えなくても処分ていう名の『死』だろうしな。

 

 

「・・・・良いか。可能な限り、殺しは控えろ。若いお前が、その手を血に染める必要はないんだ」

 

 

血に染める必要がない、か・・・。それは、間違いだぞ。隊長。

 

 

俺は、臆病者だからな。早めに自分の意志を決めないと、後々から戸惑って命を失う可能性が出てしまうんだ。

 

 

殺しの技は、確かにVR訓練で数多く習得し、熟練に訓練されたアサシン教団のアサシン達を殺した。

 

 

だが、それは、VR訓練でできた仮想現実世界が作り出した本物の人間ではない。

 

 

仮想現実世界は、現実じゃない、確かに怪我や空腹を感じる事もできる、だが、現実では何もない・・・

 

 

ソレを勘違いしてゲーム感覚で人を殺してしまっては、それこそ・・・ただの狂った機械だ。

 

 

俺は、隊長に戦う為に生まれてきた兵器だと言ったが、人間としての心を捨てるつもりは、毛頭ない!!

 

 

「・・・・了解」

 

 

だから、俺は、今回の戦いで命を奪う覚悟を決める。

 

 

「なら・・・作戦を説明する。私たち、潜入部隊は所定位置に向かう。リンクスは、私たちが位置に到着するまで、行動を起こすな、私たちが位置に着き次第、通信を入れ行動合図を送る。そうしたら、警戒ポイントを通過する警備部隊と交戦を開始しろ。派手に暴れてもらって構わない。それによって、気を取られている間に侵入する」

 

 

派手に、ね。盛大に暴れてやるかな。

 

 

「・・・・了解」

 

 

「侵入したら、私たちは、ツーマンセルで組み目標を見つけろ。見つけ次第、目標を排除しろ」

 

 

サーチ&デストロイですか・・・

 

 

『了解!!』

 

 

「では、戦場に向かうぞ!!」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

目標ポイント

 

 

[此方、オメガ1。目標ポイントに到着した]

 

 

俺が、一足先に目標ポイントで待機していると時間通りに隊長達から連絡が来た。

 

 

[此方、オメガ0。了解]

 

 

[オメガ0。殺しは控えろ。殺しをしない加減で好きに暴れろ]

 

 

[了解]

 

 

隊長の言葉に俺は、待っていましたと言わんとばかりに敵の警戒ポイントに姿を晒しに向かう。

 

 

一応、姿というか顔を見られたくないのでな、バイザーとマスクを展開させておく。

 

 

「此処か」

 

 

警戒ポイントに入って、待機していると歩兵数人を連れて巡回していた戦車が目の前からやって来た。

 

 

「&&)&()E&!!」

 

 

巡回ルートである警戒ポイントに見知らぬ人間がいた事に兵士たちが、銃を構えて呼びかけてくる。

 

 

多分、動くなとか所属はとか言っているんだろうが、今の俺に関係ない。

 

 

「さぁ・・・始めよう」

 

 

俺は、呼びかけを無視し腰に装着しているムラサマブレードの柄に手を添える。

 

 

「=&#!!」

 

 

なんと言っているか分からないが、一人の歩兵が此方に向かって歩いてきた。

 

 

「”=&$!!」

 

 

歩いてきた歩兵一人が、声を荒げて俺に何かを言っている。

 

 

「済まないな・・・」

 

 

俺は、相手に聞こえる程度に日本語で言い、手を添えていた柄からトリガー付きの鞘に変え握り締めた。

 

 

「#$=&!!」

 

 

呼びかけても反応しない俺にシビレを切らしたのか、目の前にいた兵士がAK-47の銃床(ストック)で俺の顔を殴りつけようとした瞬間、俺は、鞘のトリガーを一気に引き火薬を燃焼させる事で発生したスパイクでムラサマブレードを高速射出させて、銃床(ストック)で殴ろうとした兵士の顎を強打させる。

 

 

「ゲボォア!!」

 

 

火薬の爆発で高速に射出されたムラサマブレードの柄が、兵士の顎に直撃すると骨が砕けるような音を聞こえ、178cmの大人が10m位も浮き上がり、口から血を吐き出しそのまま地面に倒れた。

 

 

兵士全員がいきなり起きたことに呆然とするが、兵士の一人が意識をすぐに戻し、俺のことを通信で連絡を取り始めた。

 

 

それに続く様に瞬時に兵士全員がセーフティーを外したAK-47を歩兵が向け、敵戦車であるT-72主力戦車は、主砲である125mm滑腔砲 2A46Mを向けてきた。

 

 

「%#?&*!!」

 

 

ダダダダダダダ!!

 

 

俺が仲間の兵士を無力化した事に怒りを覚えたのか、歩兵全員がAK-47のトリガーを引き、7.62x39mm弾が数百発飛来してくる。

 

 

「はっ!!ふっ!!」

 

 

俺は、飛来してくる7.62x39mm弾を自前の反射神経でスローモンションに見ながら、敵の顎に強打して空中に浮いたままの柄を掴み取り、飛来してきている弾丸を斬るのではなく、射線を逸らす様にムラサマブレードを振る。

 

 

亜音速で飛来する凶弾は、鋭く綺麗に研がれた紅く緋色に輝く刃により、直線に飛ぶはずの射線が逸れ虚空に消える。

 

 

「=~%$&!!」

 

 

歩兵たちは、自身が放った弾が、それも数百もの弾を刀一本で、防がれている事に驚き顔を変えるが、攻撃の手を緩めないのは、流石と言う所だろう。

 

 

素人や戦い慣れしていない兵士であったら、攻撃の手を止めてしまい、相手にチャンスを与える機会を出してしまう。

 

 

だが、俺の前にいる兵士たちは、攻撃の手を緩めるどころか、強くしてきている。刀の届かないであろう足を狙い、防いでる間に頭を狙ったり、腕を狙ったりとコンビネーションがプロ並みだ。

 

 

『#%&#!!』

 

 

俺が、弾丸を弾いていると戦車から、隊長らしき人物の声が聞こえると兵士たちが、攻撃の手を緩めず、戦車の射線から退き始めた。

 

 

「攻撃が通らないと分かった様だが・・・主砲か」

 

 

攻撃の手を緩めたら、俺が攻撃してくると分かっているのだろう、主砲が此方を狙っているのにも関わらず、攻撃をやめない。

 

 

「無駄弾でしかないぞ・・・」

 

 

戦車の主砲が俺に砲口を向けているが、俺は、焦らず無駄弾にしかならない、飛来してきている弾丸を弾く。

 

 

『$&$%!!』

 

 

戦車から隊長の声が聞こえると、その鋼の装甲に覆われた乗り物の主砲である125mm滑腔砲 2A46Mから放たれたHE弾は、大量に入った火薬が燃焼して発生した爆音が聞こえると同時に高速で飛来してくる。

 

 

「遅い・・・」

 

 

俺は、体内に内蔵されている稼働中の小型発電ジェネレーターから電力を少量解放させ、人工筋肉であるCNT筋繊維に通電させ筋肉を膨張させる。

 

 

それと同時にハイニューロ・チップを起動させ、情報処理能力・演算処理能力・空間認識能力を使い、脳の稼働を常人の60倍にさせる。

 

 

その瞬間、世界が止まった・・・いや、止まったかの様に遅くなっていた。

 

 

俺の脳は、ノーマル状態で既に常人の10倍もの稼動をしてる・・・それにハイニューロチップの稼働をしてしまうと10倍+60倍で、合計70倍もの思考能力を得るのだが・・・

 

 

俺は、訓練でもこのハイニューロチップのフルパワーを使ったことがない。

 

 

研究所によるとハイニューロチップをフル稼働させると今の倍数から常人の180倍もの思考能力を得られるとの事だが、流石の機械の俺でも250倍もの思考能力は、脳が耐え切れないとの事で最悪の場合、脳死で良い所で体が動こなくなるだとのことだ。

 

 

動かなくなれば、俺は、殺処分だろうし、と言うか、そんな事になりたくないからやらないがな。

 

 

さて、そんな事を考えていると戦車から放たれた砲弾は、いつの間にか4m近くに来ていた。

 

 

「っ!!」

 

 

俺は、スローモーションからなる視界で前から飛来してきている砲弾に向けて俺は、縦一筋にムラサマブレードを振り下ろした。

 

 

 

斬!!

 

 

 

通電で膨張し、パワーが上がった筋力と電力による反射神経のブーストが掛かった縦一筋の一撃は、高速で飛来してくる砲弾を一刀両断した。

 

 

一刀両断された砲弾は、そのままV字に別れ後ろの地表に着弾する。

 

 

砲弾が地面に着弾すると中に詰まった火薬が爆発したと同時に俺は、ハイニューロチップをリセットし全ての思考能力を通常に戻し、ムラサマブレードを鞘に戻す。

 

 

思考能力が通常に戻ると同時に世界が動き始める。

 

 

『・・・・・・』

 

 

流石のプロの兵士たちでも目の前で起きた事に頭が追いつかないのか、呆然としていた。

 

 

「戦場で動きと考えを止めたら終わりだぞ?」

 

 

俺は、そのチャンスを逃さないように脚部に搭載されている加速装置を使用し一番近い兵士の目の前に移動しCQCを叩き込む。

 

 

「そらっ!!連続!!」

 

 

敵が俺に向けているAK-47の銃口を左腕で俺から逸らし、空いている右腕の掌で兵士の上腕筋肉の浅指屈筋部分を強く打ち付け、握っているAK-47を落とさせると同時に、そのまま右肘を相手の鳩尾に攻撃を叩き込み、左手で相手の服を掴み取り、一本背負いしの応用で相手を持ち上げ逆さま状態で宙に浮いた敵の後頭部をローキックの用量で蹴り飛ばす。

 

 

「っがは!?」

 

 

多分だが、加速装置で高速移動した為、兵士には、俺が瞬間移動した様に見えているだろう。呆然としているその隙に

瞬間移動からのCQC・・・何が起きたか理解できないだろうな。

 

 

何が起きたのか理解せぬまま後頭部を蹴り飛ばされた敵は、そのままピクリとも動かなくなった、それどころか耳から口から目から血が溢れ出てきた・・・まぁ、当たり前だと思うがな。

 

 

殺す思いで蹴り飛ばしたからな、多分、脳が潰れて血が溢れ出てきたか。

 

 

「C!!」

 

 

俺は、そんな状況の敵を見て動きを止めず、その敵の近くにいた敵との間合いを瞬時に縮めて右腕の掌で敵の顎を打ち砕き衝撃で浮いた体を左腕で掴み、右手で首を鷲掴み右足で敵の脚に引っ掛けてバランスを崩させ後頭部に直撃するよう後ろに勢い良く叩きつける。

 

 

「げぼっ!?」

 

 

バランスを崩して後頭部を叩き付けられた敵は、最初の敵と似たように声を上げるとピクリとも動かなくなり、同じ様に口や目、耳から血が溢れ出ていた。

 

 

先程と同じ様に俺は、その敵をチラ見してまた別の敵兵の間合いを縮めて近づく。

 

 

「Q!!」

 

 

間合いを詰めた瞬間、敵の顔を右パンチ、左パンチを一発ずつお見舞いし脳震盪で意識が朦朧としている間に心臓部分に右ストレートパンチ・・・まぁ、いわゆる、ハートブレイクショットってヤツをブチ込み相手が前屈みになった瞬間、右腕を敵の首に回し入れ膨張してパワーが上がっている人工筋肉で敵の首の骨をへし折り、殺す。

 

 

「がっ!?」

 

 

首の骨をへし折る時にゴギンッ!!と音が聞こえるが、気にしない。

 

 

「C!!」

 

 

更に近くにいた敵に近付き左手で右腕を掴みとり、右足で敵の右足を引っ掛け右手を敵の首筋を掴み取り、一気に後ろに引き寄せると、引っ掛けた足によりバランスが崩れ体を一回転させ、脊椎骨の胸椎骨にあたる部分を地面に強打する様にする。

 

 

「っは!?げホッ!?」

 

 

胸椎骨部分から強打された衝撃で骨が砕け肋骨が『運悪く』肺に刺さってしまったようだ。

 

 

敵は、肺に詰まっていた血が器官を通って口から溢れ出ていた。

 

 

「まだだ!!」

 

 

敵歩兵を無力化したが、まだ、敵戦車が残っている。

 

 

俺は、砲塔が此方に向けられない車体の下にある空いたスペースにスライディングで滑り込みムラサマブレードを振り抜く。

 

 

縦、横、斜め・・・可能な限りの範囲でムラサマブレードを振り、そのまま外に出て立ち上がり、振り抜いたムラサマブレードを横になぎ払い鞘に戻す。

 

 

金属の擦れる音が小さく聞こえ最後に閉まる音が聞こえると先ほど斬った戦車が後ろで爆発した。

 

 

「さて、まだまだ。ヤツ等の注意を向けないといけないからな・・・・ん?どうやら丁度良いタイミングで増援部隊が来たようだな」

 

 

先ほど無力化した兵士の中に仲間に連絡していた奴の要請で増援部隊が来たようだ。

 

 

それにしても敵が多い。

 

 

T-72主力戦車が3、Mi-24(ハインド)が4、BTR-60が2、分隊歩兵が4グループと可笑しい増援部隊の量だ。

 

 

 





主人公が使っているCQCは、殺しに特化したモノであり、一般兵が、このCQC使っても気絶するレベルであるにも関わらず、主人公が行うとサイボーグのパワーにより、背骨が折れたり、首の骨が折れたりと、一撃が重く簡単に人間を無力化してしまいます。


因みに態々、ムラサマブレードを使わずに歩兵をCQCで無力化したのは命の重みを知る為です。


この行為が後々主人公の在り方を変えるかもしれない伏線だと思っていてください。


では、( ̄^ ̄)ゞ次回会いましょう( ´ ▽ ` )ノ


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