心が織りなす仮面の軌跡(閃の軌跡×ペルソナ)   作:十束

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97話「西ゼムリア通商会議」

 ──8月30日。

 西ゼムリア通商会議が開催される前日の昼間、クロスベルは慌ただしい空気に包まれていた。

 

 通商会議に参加する諸国の重鎮を迎え入れる為、各種交通機関に厳重な警備を配置。

 市内には会議をリアルタイムで視聴できるよう、大型の導力画面を取り付けた車両を各地に設置。

 他にも会議を見に訪れる観光客やメディア関係者を期待してか、出店やレストランなど、一般市民も明日に向けた準備で忙しそうだ。

 

 そうした時間が少しばかり経過した頃、青いシートに包まれた高層ビルの前にある広場にて、もう1つ大きなイベントが始まろうとしていた。

 

「各国首脳の皆様、ようこそクロスベルにいらっしゃいました」

 

 西のエレボニア帝国、東のカルバード共和国、南のリベール王国、そして北のレミフェリア公国。

 各国の代表が一同に会する中、ディーター市長が大いに歓迎し、数多くのシャッター音の中、開会の宣言を述べていく。

 

 間違いなく今後の歴史に残るであろう会議。

 その始まりを告げるにあたり、彼はある催し物を擁していた。

 

「この記念すべき日を迎えるに当たり、少しばかり時間をいただきたい。──ご紹介申し上げます。これが大陸史上初の超高層ビル、オルキスタワーであります!」

 

 ディーターが高らかと宣言したその瞬間。

 シートが自動で開き、天にも届きそうな高層建築が姿を現す。

 

 クロスベルの新庁舎にして国際交流センター、そして明日の通商会議を行う舞台でもあるオルキスタワー。

 高さ250mもある高層ビルを見上げる各国首脳たちは、各々驚愕や感嘆の意を持ってそれを受け止めている。

 

 一方で、タワーには目もくれず、遠方から静かに開会宣言を観察する青年が1人。

 

(……事前の情報通り、今日は問題なさそうだ)

 

 イベントが予定通りに進行している事を確認したライは、オルキスタワーを見上げる住民達の間を通り抜け、警備の厳重な表通りに辿り着く。

 

「さて、と」

 

 通行人の邪魔にならない壁際に移動し、ARCUSをまるで通信するようなしぐさで口元へ運ぶ。

 

 他者から見れば普通に導力通信をしているようにしか見えないだろう。

 しかし、彼が起動したのは戦術リンク。鍵の力を用いて遥か西のエレボニア帝国へとの繋がりを生み出す。

 

「俺だ。今、大丈夫か?」

《うん。そろそろかなって思ってたよ》

 

 ライの脳裏に鳴り響くエリオットの声。

 この超遠距離リンクもだいぶ慣れてきた様子で、特に慌てる事もなく返事が返ってきた。

 

《情報共有だよね? ちょっと待ってて、リィンが変わりたいって言ってたから》

「分かった」

《──……、……ライ?》

「久しぶり」

《ああ、数週間ぶりだな。無事みたいで安心したよ》

 

 エリオットを通して聞こえてくるリィンの声。

 彼の声に安堵の色が滲み出ている事を鑑みるに、どうやら神の件で心配をかけていたらしい。

 もう少し早く連絡するべきだったかと反省しつつ、ライは久々の友人と会話を始める。

 

「そちらこそ、特別実習は無事に終わったのか?」

《まあな。俺達A班はラウラの故郷でもあるレグラムに行ったんだけど、湖の古城で少し魔物と戦ったくらいで異常事態はなかったかな。シャドウも出なかったし》

「そうか」

 

 今まで毎回事件に巻き込まれていた影響か、リィンの基準も中々にずれ始めていた。

 

《それより、そっちはどうだったんだ? 例の神は……》

「現地の協力もあって倒せた。病院のお世話にはなったが、大した怪我もない」

《……病院の世話にはなったのか》

「気絶しただけだ」

 

 気絶……なら良いのか? と、通信の向こう側で悩みこむリィン。

 まあ、今までの話についてはこれくらいで良いだろう。

 今はそれよりも共有しなければならない事がある。

 

「それより本題は明日だ。確かな情報筋からテロリストの計画が分かった」

《帝国解放戦線の計画……。それ、今言って良いのか? 確か所属不明の監視がいるってエリオットから聞いたけど》

「今は大丈夫だ」

 

 ライはARCUSから目を離して周囲を見渡す。

 

 至るところで目を光らせる警備の視線。

 ライは諸国の重鎮が来訪した事で更に厳重になった場所にあえて身を置き、自身の監視も難しくしていた。

 仮にあのアルティナが帝国解放戦線の関係者だったとしても、声を盗み聞きできる場所にはいないだろう。

 

《なるほどな。なら、行事が終わる前に早く共有した方が良さそうだな》

「ああ。奴らの狙いは──」

 

 ライはリィンに説明しつつも思い返す。

 今朝、特務支援課で聞いた未来の話を──。

 

 

 ──

 ────

 

 

 特務支援課のビル。

 窓を閉め切った部屋の中で、ロイド達は大きな机を囲い座っていた。

 真剣な顔で視線を集めるのは両手を膝に置いた少女キーア。

 

 そんな沈黙の中、ビルの2階から戻って来たランディとワジが報告する。

 

「うっす、とりあえず外部から覗かれる場所は全部閉めといたぜ」

「盗聴の類がないのも確認済みだよ」

「ありがとう2人とも。──それじゃあキーア、頼めるか?」

「……うん」

 

 今回集まった理由は直近の事件、西ゼムリア通商会議に関する対策だ。

 危惧されているシャドウを用いたテロリズムの危険性。

 幸いここには未来を知るキーアがいる為、より具体的な対策を講じる事ができる。

 

「えぇっと、まずね? ひとつ言っておきたいんだけど、キーアもすべて知ってる訳じゃないんだ。キーアはまだこどもだから、タワーに入れなくって、外から見てるしかなかったから……。その、ごめんね」

「謝らないで、キーアちゃん。誰だって1人で知れる範囲には限界があるし、だからこそこうして皆で集まったんだもの。ね、ロイド?」

「もちろんだ」

 

 優し気な顔で頷くロイド。

 キーアはその顔を見て緊張を緩めたのか、顔をやや明るくして喋り始めた。

 

「16時すぎ、だったかな。おひるも終わって、おじさん達がむずかしい話をしてたのがずっと中継されてたんだけど、いきなりタワーの近くにお船が飛んできたの」

「飛行艇か。それにテロリストが?」

「そーみたい。窓にいっぱい撃ってたんだけどダメで、お船はタワーの上に昇ってって、それで……」

「それで?」

「……帝国と共和国の人たちがみんなやっつけちゃったんだって」

 

 飛行艇がタワー屋上についてからの情報が欠けているようだ。

 まあ、外部の人がタワー内のいざこざについて知る事は難しいだろう。

 

「テロリストの侵入経路、そして時間帯が確定したかな。2大国が制圧したって話は少しきな臭いけど……」

「ワジはこれが帝国と共和国のマッチポンプだと思ってるのか?」

「さて、ね」

「どちらにせよ私たちのやる事は変わらないかと。航空網の警備を強化するよう提言して、それから「あ、それとね!」──えっ、まだあるんですか!?」

 

 今の情報から詳細を詰めようとしていたティオ達だったが、キーアはまだ情報を持っていたらしい。

 

「帝国の悪い人たちはもう1つおっきな攻撃をしてきたの。それは──」

 

 彼女が口にした帝国解放戦線の2面攻撃。

 その情報を聞いた瞬間、特務支援課の中に衝撃が走るのだった。

 

 

 ────

 ──

 

 

《ガレリア要塞の列車砲にもテロリストの魔の手が……!?》

「ああ。同時期に決行される筈だ」

《本当、なのか?》

「残念ながら」

《……》

 

 リィンは暗い声で言葉を閉ざす。

 仮に列車砲の砲弾が会議中のオルキスタワーに命中した場合、鉄血宰相が死ぬだけでは終わらない。

 各国首脳が纏めて殺されたとなれば全大陸規模の大混乱に陥るのは間違いないだろう。

 

 その先に待つのは全面戦争か破滅か。

 どちらにせよ、テロリスト達はそれすら無視して動こうとしているのだ。

 ……何としても止めるしかない。故にライは提案する。

 

「確かエリオットの父はガレリア要塞を警備する第4機甲師団の司令だった筈だ。その伝手で──」

《いや、その必要はないんだ》

 

 しかし、その提案は不要と却下された。

 

 何か他に良い手があるのだろうか? 

 疑問に感じたライの耳に届いたのは、予想外の事実だった。

 

《実は今回の特別実習は2段構成でさ。俺たちは今、B班と合流してガレリア要塞に来てるんだ》

 

 あまりにも都合が良すぎる展開。

 ライの脳裏によぎるのは、ワジが口にした言葉だ。

 

(まさか、本当にマッチポンプなのか……?)

 

 もしくはテロリストの作戦を秘密裏に掴んで、必要な人員を配置したのか。

 後者である事を願うばかりだろう。

 

《ひとまず教官に相談してみるよ。そっちは──「あっ、ライ君!」──……》

 

 通信の途中でライを呼ぶ声が聞こえた。

 ライは通信を中断し、声の方向へと視線を向ける。

 まあ最も、姿を見ずとも声だけで誰か分かるのだが。

 

「──トワ先輩?」

 

 そう、声の主とはトリスタにいる筈のトワだ。

 彼女は大きな鞄を手にし、こちらに向けて小走りで走って来ていた。

 

「やっぱりライ君だ! せっかくこっち来たんだし、会えたらいいなぁって思ってたんだよ」

 

 鞄を傍らに置き、異邦の地で会えた喜びを全身で表現するトワ。

 しかしライとしては、トワがクロスベルに来た理由が分からず、困惑の方が上回っていた。

 

「何故ここに?」

「あっ、そー言えば、話が来たのってライ君が出発した後だったっけ。……えっとね、大活躍だったライ君たちを差し置いて申し訳なくもあるんだけど、帝都での騒動で避難誘導した手腕が評価して貰っちゃって。今後の進路にも良いからって、随行団のお手伝いとして同伴する事になったの」

「随行団ですか」

「うん。主な仕事は政府代表のサポートってところかな。明日はあのおっきなタワーに上って、色々なお手伝いをさせてもらう予定」

 

 トワは青空に溶け込むようにして佇むオルキスタワーを指差す。

 要するに彼女は、今回の通商会議に帝国側として参加する事になったらしい。

 お手伝いとは言え国家代表の一員だ。流石にトワも緊張しているのか、肩に力が入っているように見えた。

 

(随行団……。そういう形もあったのか)

 

 彼らに加わる事ができればタワー内に入る事ができるかも知れない。

 そう思いライはトワにその旨を伝えた。

 

「ライ君も随行団に? ……う~ん、ちょっと難しいかも知れないけど、一応聞いてみるね?」

「あーその必要はねぇぜ。どうせ断られるに決まってるからなー」

 

 2人の横から、赤髪の男性が話に加わって来る。

 彼はへらへらと笑っているが、それが逆に不自然だ。

 鍵の影響を受けていない……いや、予め影響の事を知っているような表情。ライは内心警戒を強め問いかける。

 

「……あなたは?」

「オレはレクター・アランドール。一応は帝国政府の関係者さ。──こんだけ話せば分かるくらいの情報はアンタらの方に伝わってる筈だろ?」

 

 レクターと名乗る青年に質問を返されるライ。

 まあ、確かにその名をかつてライは耳にした事があった。

 

 あれはノルドの一件に関してリィン達が話していた時だったか。

 ミリアムと同じ情報局に所属し、緊張が高まったノルドを衝突回避まで持って行った人物だ。

 油断はできないな、と思いつつ、ライは短く返答する。

 

「ええ」

「いやー警戒されちまってんなー。まっ、そのくらい賢い方がオレもやりやすいけど」

 

 レクターは軽いノリでライの視線を受け止めつつ、先ほどの話を続けた。

 

「さっきの話の続きだが、随行団の審査はもうずっと前に終わってんだ。ほら、会議の近場にスパイとかが紛れ込んでたらヤバいだろ? ちゃんとした身の上なのかとか、過去に接触した人とか、色々と身辺調査も行われたわけ」

「……」

「つー訳で、だ。残念だろうけど、身の上真っ白なアンタの許可はまず下りないだろうなぁ」

 

 そう言われれば納得する他ない。

 ……が、それなら何故リィン達の誰かを参加させなかったのか。

 ライの内に新たな疑惑が浮かぶ。

 

「それよりそっちの嬢ちゃん。さっき随行団のトップが呼んでたぜ。そろそろ手配した宿に向かうってな」

「あっ、はい! ……ライ君ごめんね、もういかなくっちゃ」

 

 一方でレクターはトワに言伝を告げていた。

 慌てて鞄を持ち直したトワは、制服を揺らして元来た道を走っていく。

 ──と、思いきや、途中で止まると振り返り、

 

「ライ君! 立場上仕方ないかも知れないけど、自分の事もちゃんと大事にするんだよ! 絶対だからねー!!」

 

 最後に大きく叫んで去っていった。

 

 いつの間にかレクターも姿を消しており、影も形も見当たらない。

 残されたのはARCUSを手に持ったままのライただ1人。

 彼は披露されたばかりの真っ白なオルキスタワーを再び見上げ、鋭い目で未来の戦場を睨みつける。

 

(戦う理由がまた1つ増えた、か)

 

 その心中に拭いきれない不穏な予感を抱え込んで。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 ──8月31日、通商会議当日。

 ロイド達特務支援課の面々は、クロスベル警察捜査一課に掛け合ってタワー内の警備に参加していた。

 時間は既に午後2時過ぎ。通商会議の開始時間まで1時間を切った今、タワー内は張り詰めた空気に包まれている。

 

「ダドリーさん、それでは手筈通りに」

「ああ。お前たちは手薄だった屋上の警護を行って貰う。……だが、本当なのか? テロリストが飛行艇を用いて襲撃して来るなど」

 

 捜査一課のダドリーは特務支援課から聞いた情報を精査すべく問いかける。

 この通商会議を警備する立場として、彼は情報の真偽について公平に見極める必要があった。

 ダドリーは一片の手がかりも見逃さぬ様、メガネ越しに特務支援課一人一人の表情を、そしてロイドが大事そうに抱え込んでいる巨大なトランクケースを睨みつける。

 

「確かな情報源なので、可能性として無視できないレベルです」

「…………なんにせよ、今回の会議では万全を期す必要がある。何かあれば連絡してこい」

 

 ケースから視線を外したダドリーは、手短にそう言い残し、彼の担当である34階へと戻っていく。

 

 今、ロイド達がいるのは36階の連絡通路。

 そこから見下ろせるようになっている35階の国際会議場では、各国の代表を迎え入れる為の最終チェックを行なっている状況だ。

 ロイドはそんな本日の表舞台に別れを告げ、仲間と共に非常階段へと向かっていった。

 

 

 ──

 ────

 

 

「……うまく切り抜けられた、のでしょうか?」

 

 オルキスタワー屋上。

 高所の風が髪を乱す中、ティオが小さく口を開く。

 

「どっちかって言うと見逃してもらったと言うのが正しいだろうね。彼だって飛行艇に対処する為には"切札"が必要だって事くらい分かるだろうし、リーダーの態度からあの場で言及しない方が良いって所まで推理したんじゃないかな」

「そいつはまぁありがたいこって。──それよりロイド。もう我らが切札を外に出しても大丈夫そうだぜ?」

「そうだな」

 

 ロイドはトランクケースを丁寧に置くと、ゆっくりとロックを外す。

 それにより外気に晒されたのは綺麗な碧色の髪と肢体。……つまりは身を屈めたキーアだった。

 

「あ、もういいのー?」

「ああ。ごめんなキーア、こんな形しか考えられなくて。キツくなかったか?」

「うん、だいじょーぶ! むしろなつかしい? ってかんじで快適だったよ!」

「そ、そうか」

 

 冗談なのか本心なのか判断しかねる感想を聞いたロイドは苦笑いを浮かべる。

 

「……飛行艇、それもシャドウを引き連れたテロリストに立ち向かうにはキーアちゃんが必要だと言うのは分かりますが、やっぱり心配ですよね」

「問題ありません。キーアは私たちの全てを賭けてても守りますから」

「ええ、傷ひとつつけないわ」

 

 まだ襲撃予定時間には早いにも関わらず、ティオとエリィはやる気全開だ。

 ティオは早速監視用の導力端末を起動させ、エリィも念入りに武器のチェックを行っている。

 

「襲撃予定までまだ4時間近くあるんだけどな……」

「ふふ、そういう君だって手に力が入っているようだけど?」

「えっ?」

 

 ワジに指摘され、ようやくロイドは自身の緊張に気づいた。

 

 キーアの話で2大国が対策している事は分かっているが、だからと言って大陸全土を混乱に叩き落しかねない襲撃を見逃す訳にはいかない。

 それに、先日の仮面窃盗事件のようにイレギュラーが発生する恐れもある。

 

 故に傍観する道は特務支援課にないのだ。

 ロイドは自身の手を見つめ、胸の内に燃え盛る闘志を灯すのだった。

 

 

 ……

 …………

 

 

 ──15時。

 下の会場ではそろそろ休憩時間に入っている頃だろうか。

 屋上の警備を受け持つことになったロイド達は他の警備と連携を取りながらも、ただひたすらに青空の警備を続けていた。

 

 果てしなく広い地平線。

 地上には作り物のように小さく見える街並みが続き、空には少しずつ形を変える雲が流れていく。

 その中に飛行艇の影はなく、今のところは順調と言った状況だ。

 

「……それにしても、来ないと分かってる警備を続けるというのも意外と疲れるね。今は本番に備えて休息に専念するべきじゃないかな?」

「ワジの言い分も分かる。……でも、俺達は仮にも屋上の警備を任された身なんだ。ここで目を光らせているだけでテロリストの事前工作を牽制できるかもしれないし、それに何も知らない人に見られたら無用な疑惑を受ける可能性だってある。ほとんど意味がなくたって仕事はしておかないと」

「警備はいるだけで意味があるって事か。オーケーボス、君の判断に従うよ」

 

 再び空へと視線を戻すワジ。

 ただ、世間話をするくらいならロイドの懸念にも該当しないと考えたのか、隣で設置式の機器にケーブルを繋いでいるランディに向けて話しかけた。

 

「ところで、我らがもう1人の切札はどこにいるんだい?」

「あーあの小僧の事か。あいつなら今頃タワーの地上付近にいるんじゃねぇか? 昨夜にビルに来たんだけどよ。どうやらタワーに入る許可を得られなかったらしい」

「おや意外だね。彼はその程度で引き下がるタイプには思えなかったけど」

「……その代わりと言っちゃなんだが、スモークグレネードやスタングレネードを幾つか拝借してったぜ。ったくあの野郎、一体何に使うつもりなんだか」

「それは……前言を撤回した方が良さそうだね」

 

 ワジはやれやれと首を振る。

 ライは今この場にはいないが、テロリストが襲撃する際には何らかの行動に移すらしい。

 

「……うぅ」

 

 襲撃の事を思い浮かべたのか、キーアが緊張で震えていた。

 それを見たロイドは彼女の手を優しく握る。

 もうすぐ訪れる避けられぬ戦いに備えて。

 

 

 ………………

 ……………………

 

 

 

 そうして、襲撃の時は訪れた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

『聞こえているか!? 今緊急の連絡が入った』

 

 ダドリーから入った緊急の連絡。

 その内容はロイド達が想定していたものだ。

 

『帝国、共和国方面に設置されていた対空レーダーが黒い魔物の襲撃を受けて全壊させられた。お前たちの情報通り上空からの攻撃だ! 総員、最大限の警戒に当たれ!!』

 

 レーダー網への攻撃。そして軍用飛行艇の侵入。

 ダドリーからの警告を受けた数秒後、2つの空飛ぶ兵器はロイド達の視界からも確認できた。

 

 ……だが、まだ遠い。

 空は彼らのフィールドだ。

 2組のテロリストはまず通商会議の会場に射撃を行い、続いて屋上に直接乗り込んでくる。

 この段階になるまで手出しは出来ない。

 

『──我々は帝国解放戦線、そして反移民政策主義の一派である。早速だが、諸君にはゼムリア大陸の正しき未来の為、尊い犠牲となっていただきたい』

 

 キーアの言葉通り、テロリスト達の乗った船は機関砲を会場へと向け、幾百もの銃弾を叩き込む。

 

 透明な窓に入る無数のヒビ。

 だが、防弾仕様の加工に阻まれ、全ての弾はガラスの半ばで停止した。

 

『《G》殿、ここからの突破は時間がかかるぞ』

『想定の範囲内だ。作戦を第2段階に移行する』

 

 2機の飛行艇は機関砲の駆動を止めると、屋上に向け上昇を開始する。

 それとほぼ同時に、ダドリーとティオの切羽詰まった声が届く。

 

『シャッターが降りただと!?』

「導力ネットワークシステムへのハッキングです! オルキスタワー各階層の隔壁が閉鎖。ですが逆に、屋上から会議場までの全セキュリティが解除されています!」

 

 タワー内部の警備は分断され機能不全。

 加えてテロリストは目標までほぼスルーパスの状態。

 

 ……本来ならば、彼らの計画通り事態は動いていた事だろう。

 

「今だ! ランディ!!」

「おうよ!!」

 

 だが、テロリストが降り立つ屋上には既に特務支援課がいるのだ。

 

 上昇する機影が視界に入ったその瞬間、ランディは設置した機器に導力を通す。

 刹那、屋上の各所から吹き出す多量の煙。

 瞬く間に屋上を埋め尽くしたスモークはまるで雲の様にテロリストの視界を遮る。

 

『な、なんだ!?』

『スモークだ。だがこの強風、そう長くは持つまい』

 

 屋上は常に強風が吹き荒れる環境だ。

 今は屋上が何も見えない状況だが、数十秒もすれば煙も薄れてくるだろう。

 カルバード共和国のテロリスト達は苦し紛れの時間稼ぎだと断ずる。

 

 しかし、エレボニア帝国側の反応は違った。

 

『警戒を怠るな! もし"奴ら"がそこにいるなら、数秒もあれば十分に……!』

 

 機銃を屋上へと向け、掃射の準備へと入る。

 だが、それよりも数瞬早く、煙の中に青い光が迸った。

 

「お願い、アルコーン!!」

 

 召喚の主は本を持ち、ガスマスクを被った幼き少女キーア。

 彼女の元から写し身が飛び立つと、煙を突き破り、テロリスト達の眼前にその可憐な姿を現す。

 

 ──マハコウガオン。

 両手を広げたアルコーンの周囲にて無数の光刃が像を結び、飛行艇の機銃を縦横無尽に切り刻む。

 

『き、機銃両機とも破損、稼働不可。 今のはアーツか!?』

『手始めに武器を狙うとは舐めた真似を……』

『ハッチを開けろ! 直接反撃する!』

 

 テロリスト達は慌ただしくも早急に体勢を立て直す。

 飛行艇下部のハッチが開き、姿を見せるは導力ライフルを構えた複数人のテロリスト。

 彼らは宙に浮かぶアルコーンに向けて一斉に射撃を開始する。……が、写し身は被弾の衝撃こそ受けているものの、まるで損傷は見られない。

 

 一方、事情を知るエレボニア側のテロリスト達は、屋上へと戦術オーブメントを向ける。

 

「ペルソナを狙うな! 狙うなら生身の召喚者を!!」

 

 だが、導力魔法を発動する寸前、1枚のカードが風を切り、彼の眼前で爆発した。

 体勢を崩す帝国解放戦線の兵士。

 それにより発動する筈だった導力は周囲に四散する。

 

「ぐっ……!」

「させると思ったかい?」

 

 駆動解除の技──トリニティカードを放ったのは煙に潜むワジだ。

 

「怯むな! 物量はこちらが上だ!」

「「了解!」」

 

 解除された兵士をカバーするようにして、複数のテロリスト達が即座に弾丸の雨を放つ。

 ワジは足音もなく煙の中へと消えたが、彼らは構わず銃弾をばらまき続けた。

 

 何も正確に狙いをつける必要はない。

 隠れる場所もない屋上。

 ペルソナの召喚者に防御が必要だと思わせればそれでいい。

 

「──ペルソナの消失を確認!」

 

 唐突に消えるペルソナ。

 同時に帝国解放戦線の兵士は目に意識を集中させる。濃く重たい煙。うねる渦の中で、微かに、青い光が再び灯る光景を目にした。

 

「11時の方向だっ!!」

 

 テロリストは引き金を全力で引きつつ思考を巡らせる。

 

 まずはペルソナ使いの足止め。

 続いて爆薬を用いて屋上を更地にし、その次は……。

 

 限られた時間を無駄にしない為の思考。

 だがそれは、煙の隙間に見えた光景により白紙へと戻る。

 

「……導力、灯?」

 

 見えたのは青く光る機械の残骸。

 

 彼は気づいてしまったのだ。

 今の状況が全て仕込まれた流れであった事を。

 情報が漏れていたどころの話ではない。まるで未来すら知られているかのように、ピンポイントの対策が組まれていた事を。

 

 テロリストが感じた戸惑いにより、射撃の波が乱れる。

 それを特務支援課側で最初に感じ取ったのは、常に二丁拳銃を構えて狙いを定めていたエリィだった。

 

「……攻撃の波が揺らいだ? ノエルさん、飛行艇の分析の方はどう?」

「彼らが乗っているのは両国で使用されている基本モデルです。既にロイドさんにも伝えています」

「そう。──なら、動くなら今ね」

 

 エリィは特殊な弾丸を銃に込め、2機の飛行艇目がけて発砲する。

 

 屋上に溢れる赤い光。即ち照明弾。

 テロリスト達の注意を一瞬集めると共に、これは合図にもなっていた。

 伝える相手は飛行艇下方。

 煙の中、密かに移動していたロイドと、彼の腕に抱えられたキーアだ。

 

「……合図だ。行けるか? キーア」

「任せて! ──降魔、トランペッター!!」

 

 キーアが全書に手を置くと、膨大な光の奔流が溢れ出し、天高くへと昇っていく。

 テロリスト達はその光に驚き銃を向けるが、ペルソナを目にした瞬間、思わず銃口を揺らしてしまう。

 

「……な、なんだ、あの不気味な天使は…………!?」

 

 光の中からテロリスト達を見下ろしていたのは、ラッパを口にした白き衣の天使。

 だが、その顔は髑髏で象られており、空洞の目で見下ろされると、まるで自らの命運が尽きたような錯覚に陥ってしまう。

 

 そして、彼らが感じた感覚は間違っていなかった。

 恐ろし気な調べを2度奏でる骸骨の天使。

 魔縁のラッパから響き渡った調べは飛行艇内部へと入り込み、無慈悲な即死級の災厄となり顕現する。

 

『緊急事態! 飛翔機関に異常発生! 反重力フィールド、維持できません!』

『クッ、それが狙いか!!』

 

 飛行艇を浮上させている導力機関への直接攻撃。

 ノエルの知識を元にその位置を割り出し、テロリスト達を空中というフィールドから叩き落す。

 それが、圧倒的に不利だった状況を覆すためにロイド達が立てた計画だ。

 

 トランぺッターによる攻撃を受けた飛行艇は火を吹き、タワー屋上へと墜落する。

 衝撃と暴風。ロイド達は飛行艇だったものの欠片が辺り一帯に飛び散る中、顔を庇う腕の隙間から墜落地点を見た。

 

 黒い煙を上げた2つの船、そしてうずくまる兵士達。

 今なら容易に確保できるかも知れない。

 特務支援課の面々は視線で合図し、テロリスト達の元へと向かっていった。

 

 

 ──

 ────

 

 

「──クロスベル警察特務支援課だ。通商会議襲撃の現行犯で拘束させてもらう」

「……ッ」

 

 その後、ロイド達は手分けしてテロリスト達の武装解除を行った。

 後ろ手に拘束した後、ランディやノエルが隠し持った武器や爆発物がないかチェックする。

 

「うし、こいつの武装も全部取っ払ったぜ。そっちはどうだ?」

「はい! こちらも武装解除完了しました!」

「順調順調。っはは、こうまで作戦がうまくハマるとはなぁ」

 

 もう少し手こずるかと思っていたランディは、やや拍子抜けと言った様子だ。

 一方、2人の会話を聞いていたロイドは逆に表情を暗くする。そんな様子をティオは訝しそうに見上げた。

 

「どうかしましたか? ロイドさん」

「……いや、少し順調すぎるのが気になったんだ。少なくともシャドウを使った反撃があるものと思っていたんだけど…………」

 

 いくら不意を打ったとはいえ、シャドウを放つ時間くらいはあった筈。

 タワー内の制圧をするために戦力を温存しておきたかった? それともシャドウは既に解き放たれた後なのか? 

 ロイドは幾つかの仮説を組み立てるが、どうにも腑に落ちない。

 

「ロイド、飛行艇内部への道は確保したわ。扉はロックされてたけど、キーアちゃんのペルソナならこじ開けそうだって」

「分かったよ。でも、飛行艇内部のテロリスト達はこじ開けた瞬間を狙って来るかも知れないから、細心の注意を払わないとな」

「そうね」

 

 特務支援課は違和感を抱えつつも、固く閉ざされた扉の前に集合する。

 

 内部から一斉射撃。

 爆発物。そしてシャドウ。

 複数の危険に備えるロイド達の中心にて、キーアが光の旋風を巻き起こす。

 

「──やっちゃって! レッドライダー!!」

 

 特務支援課の前方に現れたのは赤い馬に乗った死神だ。

 その手には人の身長を優に超える長剣が握られており、死神はまるで処刑人のように己の獲物を振り上げる。

 

 両断。

 分厚い扉をただの板切れに変えたレッドライダーは、静かに光へと還る。

 

 その先に待つのはテロリスト反撃か。

 ロイド達は身構えたものの、予想してた争乱は起こらなかった。

 

「……やられた」

 

 むしろ、飛行艇の内部は静寂に満ちていた。

 誰かが座っていた筈の操縦席、武器が立て掛けられていたと思しきハンガーラック、そして僅かな備品が入った木箱。

 人がいた痕跡はあるものの、生物の息遣いは何処にもない。

 

 そう、飛行艇内にいたであろうテロリスト達の本部隊は、忽然と姿を消していたのだった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 ──爆炎に包まれた世界。

 真っ黒な空や地面がガラスのように割れ、今も少しずつ消滅している廃墟の中、武装した一団が移動していた。

 

「……《G》殿よ、感謝する。貴殿のおかげであの飛行艇から逃れられた」

 

 武装集団の1人、カルバード共和国で活動するテロリストのリーダーが口を開く。

 話しかけられた相手はノルドや帝都に現れた帝国解放戦線の同志《G》ことギデオンだ。

 

「我々が少しばかり幸運だっただけだ。クロスベルにも”異世界”が形成されていなければ、この手段は使えなかった」

 

 彼は謝辞を受けても感情を動かす事はなく、己の手に収まっている1本の鍵へと視線を向ける。

 

「ふむ、それが影を現す道標となり、異世界との扉を開く事すら可能にするという鍵か。……実に得難い力だな。大きな敵に立ち向かう身として羨ましい限りだよ」

「……私の持つこれはまだ小さなものだ。奴のもつ力と比べれば──……」

 

 まるで独白のように呟くギデオンを見て、リーダーは何か事情がありそうだと口をつぐむ。

 

 そのまま彼らは足場の悪いタワーの残骸を登っていった。

 下方に見える地上には歩く屍が歩いており、まるで地獄の1場面のような惨状だったが、兵士達の中でそれを気にする者は1人もいない。

 何故なら、ここにいる誰もがクロスベルで命を落とす覚悟で来ているからだ。

 元よりここは地獄の奥地。何を戸惑う余地などあるだろうか。

 

 ただ淡々と、彼らは上を目指し続け、そしてある地点でギデオンが足を止めた。

 

「此処まで来れば、会議場への扉を出すことが出来るだろう」

「……そうか。皆、覚悟は出来ているな? 総員、これより歴史を変えるぞ」

「「了解」」

 

 死地へと乗り込む準備を進める両国テロリストの兵士達。

 だが、ギデオンは何やら別の事を考えている様子だ。

 彼は思考を巡らせた後、全体に向けてある方針を告げる。

 

「扉は2つ開く。一方は会議場の死角に、もう一方は会議場手前の通路だ」

「……この期に及んで戦力分散だと?」

「どうしても止めねばならない相手がいる。全てを御破算にしかねない奴だ。……まぁ安心したまえ。足止めに行く人員は私1人。シャドウ含め、帝国解放戦線の全戦力はそちらに託そう」

「…………承知した。健闘を祈る」

 

 先も軍用の飛行艇を落とされる事態になった為か、カルバード側のリーダーもその提案を承諾した。

 

 武器を構え、突入の準備を固める兵士達。

 グノーシスを手にし、シャドウを生み出す贄となる覚悟を固める帝国解放戦線の人員。

 

 ギデオンもまた鍵を持ち、2つの扉を開く準備を進める。

 

 

「……ここは錬金術師が造り上げた人工の集合的無意識《D》の舞台。私の理論が正しければ、ここであれば私の鍵でも────」

 

 片手を口元へと運ぶ。

 その手には、紅く光るグノーシスが握られていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 ……

 …………

 

 

 ……! ──……

 ──……、…………

 

 ………………

 ……………………

 

 

 ……それから、何が起こったのだろうか。

 ギデオンは自問自答する。

 

(…………なん、だ? 私は、何をして……)

 

 朦朧とする意識。断裂した記憶。

 2重にぶれる視界の中、いつの間にか自身がオルキスタワーの通路に立っている事を理解する。

 いつの間にか襲撃は実行に移されていたのか。

 どこかから聞こえる戦闘音を耳にし、ギデオンは頭が少しずつ晴れ始める。

 

 そんな不安定な彼の後方から、重い金属音交じりの足跡が複数近づいて来た。

 

「──はっ、まだ標的が残っていたかと思えば。酒飲みでもしてたのか?」

 

 聞こえて来たのは聞きなれない男の声だけ。

 

「……赤い星座。我らを処刑するため、帝国がわざわざ依頼した猟兵団か」

 

 だが、ギデオンは何故だかその声の主を知っていた。

 自身の口にした言葉に混乱するギデオンを他所に、声の主は返答する。

 

「へぇ、知ってたのか。どこでその情報を手に入れた?」

「…………」

「……まあいい。会議場から逃げ出した奴らは我らが戦鬼が向かっている。どうせハチの巣になるだろう同胞たちを、一足先に逝って迎えてやると良いさ。──殺れ!!」

 

 男の声を合図に、複数人の導力ライフルが構える。

 テロリスト達よりも遥かに洗練された動き。

 人に向けるにはあまりに大きすぎる大口径の銃口が火を吹き、ふらつくギデオンの身体へと凶弾を叩き込む。

 

 だが、

 

「………………あ?」

 

 それらの弾丸は、全て彼の手前で止まっていた。

 いいや、正確には、一瞬で生まれた透明で分厚い氷の中に封じ込められていたのだ。

 

「……理解した。これが、そうなのか…………」

「貴様、何をした!?」

 

 想定外の事態を前に動揺を見える猟兵の男。

 急ぎ油断を捨て、対強敵の作戦へと切り替えようとしたものの、その動きは未遂に終わる。

 

「あ、足が……!」

 

 気がつくと、自身の下半身が通路の空間ごと氷に飲み込まれていた。

 誰一人逃げる事は叶わない。指もトリガーごと凍り付き、抵抗の手段すら奪われている。

 混乱と焦りの声が木霊する中、ギデオンは静かに1歩前に踏み出す。

 

「始めよう。……──ロキ」

 

 その背後に、仮面をつけた巨大な影を従えて。

 

 

 




審判:トランぺッター
耐性:氷結吸収、祝福反射、呪殺無効
スキル:魔縁のラッパ、奈落の波動、精神耐性、勝利の息吹、ランダマイザ
 ヨハネの黙示録に登場する7人の御使い達。彼らが順番に奏でるラッパが合図となり、あらゆる災厄が地上を滅ぼすとされている。


塔:レッドライダー
耐性:呪殺無効、祝福弱点
スキル:レイズスラッシュ、ネガティブパイル、絶望率UP、不吉な言葉
 ヨハネの黙示録に登場する4騎士の1つ。鮮血が如く赤い馬に跨り、その手には大きな1本の剣を握っているとされる。2番目に現れ、地上から平和を奪い去ることで人々に殺し合いをさせる力を持つ。


道化師:ロキ
耐性:???
スキル:マハブフダイン、???
 北欧神話におけるトリックスターとも呼ぶべき知略の神。巨人の血を引きつつも、神の1員として幾多のトラブルを巻き起こしていた。しかし、バルドル殺害を契機とした騒動により幽閉。最終的にはラグナロクにて攻め入る巨人たちの先頭に立ち、門番神ヘイムダルと相打ちになった。

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