魔法科高校でも俺の青春はまちがっている   作:Lチキ

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皆さま久しぶりです、投稿再開しますね~

これからやっと主人公が活躍ですよ!

でも、今回の話に主人公は出ません


入学編41

前代未聞と言える魔法科高校襲撃事件は、意外なほどにあっさりと解決した。

 

襲撃側実動部隊の壬生 沙耶香他3人が桐原 武明に敗北し、これ以上の作戦遂行が困難であることからこれ以上の作戦続行は無意味である。

 

さらに、風紀委員ほか一般生徒による抵抗でブランシュメンバーと学生の協力者のほとんどは拘束されるか戦闘不能まで追いやられた。

なので、残るメンバーは直ちに撤退を開始したのだった。

 

しかし、その時にはもう風紀委員による非常線が張り巡らされ逃走を図ったブランシュメンバーの過半数はその場で拘束された。

 

また学生協力者のリーダーであった司 甲も学校から逃げ出そうとしたところを風紀委員によって捕まり、残りの学生協力者は全員お縄となった。

 

その時、風紀委員長である渡辺 摩利がいささか褒められない特技を披露したりしたが非常事態のため特に問題になることはなかった。職権乱用とはまさにこの事である

 

今回の魔法科高校襲撃には日本に存在するブランシュの多くを投入した一大作戦であったため失敗した今では大幅な戦力ダウンという結果だけが残る

 

 

 

 

襲撃失敗の旨は、拠点として使用してる廃工場に届き、それを聞いた司 一は相当に取り乱していた

 

 

「なぜだッなぜだッなぜだ――!!計画は完璧だったはずなのに、なんでこんな事にッ!」

 

 

何を持って完璧と言う言葉が出るかは分からないが、髪をかき乱して、あたりの物を力任せにまき散らし、ヒステリックに騒いでいる。

 

その光景は、お世辞にも組織の長が見せるような姿ではなく、一言で言うなら見苦しい様である。いっそのこと無様と言ったほうが正しいのかもしれない

 

仮にこの姿を壬生を始めとした学生たちが目撃すれば、かかっている催眠も解け一斉にドン引きする事だろう

 

 

「クソがクソがクソがッ!あの役立たずの餓鬼どもがー!!」

 

 

うん、本当にドン引き

 

 

 

しばらくの時間を置き、落ち着きを取り戻した司 一は、即座に頭を回転させこれからについて考え始める

 

まず、今回の作戦失敗で多くの仲間に協力者を失う事となり

その際に彼らが所有していた武装に、貴重鉱石であるアンティナイトも戻ってくることはない。

これだけの失態でも相当の金額が無駄となり、失った人員も含めると再度作戦を行うにも相当の時間がかかる。

 

さらに、この失敗を受けパトロンからの援助はなくなるだろう。そうすると自分はブランシュ本部からの制裁を受ける可能性が高い。むしろ確実に粛清される‥‥

 

捕まった者達からここの場所もすぐに割れ、いつ警察なんかが押し寄せてきても不思議ではない。そうなった場合、今ある戦力だけでは敗北は確実

 

作戦に数十人に、連絡に数人、持ち出された極秘資料の運搬と、追手のかく乱にも少なくはない人員を配置している。

結果、拠点であるこの廃工場には現在碌な戦力はない

 

自分を含めても10人にも満たない。連絡や運搬に使うはずだった人員は作戦失敗と同時にすぐに戻るように指示を出してあるのであと20分もすれば戻るだろう

 

あまり期待はできないが、襲撃に行った実動部隊の連中も少しくらいは逃げおおせる事ができるかもしれない。そうするとさらに人員を確保できるが、問題は彼らが戻る前に警察なんかがこちらを襲撃した場合だ

 

今いる10人では、国家権力を相手取るなんてことはできないしそもそもそんな危ない事やりたくない。

 

では、ここを放棄して逃げ出せばどうだろうか?

 

 

駄目だ。今逃げてもどっちにしろこのままじゃ粛清される。

逃げるとしてもいい訳ができる何らかの成果を上げなくてはならない

 

といっても極秘資料の持ち出しができない今、そんな成果と言える物なんてありはしない。勧誘した学生も今は一人もいない、それにたかだか学生の1人や2人手見上げにしても‥‥

 

いや待て

 

そうだ!いるじゃないか、ちょうどいい手見上げが!!

 

司波 達也

彼の使うアンティナイトを使用しないキャストジャミング、それさえ持ち帰れば粛清は免れるだろうし、うまくいけば今回の失敗がチャラになるかもしれない!!

 

それほどまでに彼の持つ技術には価値がある。

 

彼を誘拐、もしくは洗脳できればこの危機的状況をどうにかできる!!

 

だが・・・一体どうやってするのか?

こちらから出向いて誘拐なりするにはリスクがデカすぎる。そのころには警察も確実に動いてるだろうし間違いなく捕まる。

 

報告では司波 達也は武術の心得がありそれも相当な実力だという。そんな相手を誘拐なんてできるだろうか‥‥

 

やはりイビルアイで洗脳したほうが確実だ。何もこの非常時に危険を犯す必要もない

 

 

「ほ、報告します!」

 

 

考えを巡らせていると、部下の一人が声を張り上げながら走ってくる。

こちらは今、重要な事を考えているのにそう騒がれては考え一つまとまらない

 

 

「ッチ、なんだ!」

 

 

「今、一校の監視をしている者から連絡がありました!現在一校から学生が数名のった車が一台こちらに向かってやってくる模様」

 

 

「何?」

 

 

その報告を聞き、いぶかしげに眼を細める

 

こちらの居場所は‥‥まあ、捕まった奴らから聞き出せるだろう。でも、なぜだ?

普通なら、テロリストの本拠地に学生らがやってくるはずはない、そもそも警察が来るまではおとなしく校舎の中で待つ物だろう

 

というよりも先ほどから警察がやけに遅い

てっきり、襲撃失敗からすぐに一校から警察に連絡が行っているものだと思っていたが、通報を受けたのだとしたらもう一校についてもおかしくないはずだ

 

そのために貴重な人員を割いて一校を監視させているのだというのに一向にそういった報告がない

 

もしかして通報してないのか?でもなぜ‥‥‥

 

 

 

 

司 一という男はテロリストの支部長を務めており、普段はそれに似合う格好と振る舞いを心がけているが正直な話この男はただの小者に過ぎない

 

魔法科高校の3巨頭と比べてもその差は明らかだ。そもそも催眠と言う特技がなければそれといってたてるところのない男である

 

だが、仮にもブランシュと言う世界規模で展開してるテロリスト集団でも、発展している日本と言う国の支部長を任されているというのも事実であり

 

実際にこれまでの成果はそれなりとある。組織のまとめ役から外国から支援される物資の運営

やっている事はそこいらのサラリーマンと同じようだが、常人と比べればうまく立ち回っている。

 

また、少なくない人数の学生の弱みに付け込み長い時間をかけ催眠し、己の手駒として利用した。人としては最低の極みだが、テロリストとしては評価されてもいいほどの成果だろう

 

小者であっても馬鹿ではない。そんな彼はこの、危機的状況かでこれまで以上の思考を巡らせていた。どうすれば自分は助かるか、なおかつ今以上の地位に就くにはどうすればいいか

 

そして、ある種この危機が彼を一時的にであるが、飛躍的に成長させ閃きを生んだ

 

 

「そうか!やつらは通報しないのじゃなく通報できないのか!!」

 

 

本来であるなら国直属の施設である魔法科高校が襲撃されたなら警察に通報が行くのは自然だ、ではなぜそれがないのか

 

それは魔法科高校自体が警察の介入に難色を示しているからだ。なんせこの襲撃は外部だけではなく内部にいる学生たちも協力している

 

このままでは、その学生らも何らかの法的罰が下されるのは必死、だが魔法科高校はそれを良く思っていない。身内からそういった物が出ると何かと体面的に問題はあるしその生徒の将来も潰すことになる

 

だからと言って、手を出されたままこちらを放置するなんて事もできるはずがない。ならば、彼らにとっての最善とは警察の介入前にすべてを終わらせておき、その成果にて襲撃に関わった生徒達の事も有耶無耶にしてしまう

 

普通なら10代の学生達でテロリストを逆に襲撃するなんてありえないが、相手は魔法師達であり特に今年の一校には十士族に関わる人間が2人いる

 

普通の非魔法師相手なら少数だけでもおつりがくるほどの戦力だろう

 

だがそれは、あくまで相手が魔法を万能とでも思っている幼い魔法師が考える事。こちらには魔法師にとり最悪とも呼べる最強の切り札がある

 

魔法が使えない奴らなら実弾兵装を保有し、なおかつ数で勝るこちらが圧倒的に有利

 

さらに運がよければその襲撃者の学生らの中にはかの司波 達也がいる可能性が大いにある。報告だけでも数々のもめ事に介入してきた彼の性格から見てもむしろ積極的にやってくるだろう

 

まさに飛んでい火にいる夏の虫とはこの事、目的の人物がわざわざこちらにやってくるのならこちらもそれ相応に対応せねばなるまい

 

 

「帰ってきた者と今いる者で、銃とアンティナイトを装備し表と裏に配置しろ。これから来る勇敢なる少年達を出迎えようではないか」

 

 

いつの間にかいつもの調子に戻っている司 一の言葉により薄茶色のつなぎを着た男たちは大慌てで指示に従う

 

これで助かると内心安堵しながら、これからやってくる者の事を考えついつい高笑いが出てしまう司 一も、そんなリーダーの言葉を疑いもせずせっせとこなしている彼らも

 

これから自分たちが何を相手にするかという本質を見る事ができる者はこの場にいなかった

それがいったいどのような結末を迎えるかでさえ

 

 

司 一は小者だが馬鹿ではない、だからと言い愚かではないという訳でもないのである

 

 


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