魔法科高校でも俺の青春はまちがっている   作:Lチキ

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入学編24

日が沈み始め空が赤るみはじめるころ、俺は愛用の自転車に乗り帰路に就く

 

あの後話を終えた俺は、そのまま家に帰る事にしたが司波は妹が生徒会で遅くなるのでそれを待つと言いカフェでもう少し時間をつぶすそうだ

 

 

相も変わらずのシスコン根性だな。まあ妹のブラコンぶりよかマシだろうけど

 

俺も小町につれられ荷物持ちとかさせられるけど、ああいう待ってる時間て苦手なんだよな

特に通り過ぎる人の視線が俺の方を見てる感じが嫌だ。ボッチに人の視線は毒であり、それがたとえ実際には自分を見てないとしてもそう感じてしまうのだ。

 

そして、実際には何もないのにキョドってしまう。これがボッチがボッチである所以である

 

 

それにしても最後に言ってたのは、普通に考えれば

中学の頃より高校に上がって腕が上がったて事か?でもそれじゃあ、剣筋が違うとか言うか?

 

あれか、そうゆう、やってる奴だけが分かる業界用語の一種か何かか、シースーとか天辺回ったとか言う。多分違うな

 

剣道の事なんて知らんからが普通に考えれば単純に剣筋とやらが違うって事だよな?

 

 

 

だからなんだって言う話だが、細かい事が気になる僕の悪い癖。

 

だが、もしそうなら疑問が残るな

剣筋なんて分からんが要は癖や特徴みたいなもんだろ。それが伸びるとか洗礼されるとかいうなら分かるが違うって言うからには、野球からソフトボール、アメフトとラグビー、ピアノからオルガン、剣と魔法の黒の剣士が銃とビームソードの美少女になるくらいの差があるという事だろ

 

普通なら滅多にある事じゃない。何かしらの事情やそうなる原因が大抵あるはずだ

例えば仮想世界で撃たれると現実世界でも死んじまう死の銃の捜査のためコンバートした某黒い剣士みたいに

 

ちなみにあれで一番好みなのが銃の世界での彼だったりする。あの男声みたいな感じで女の子の口調になるところが何とも言えない萌えを生み出すのだ

 

 

……一応言っとくが、断じて俺は男が好きなわけではない。まあ、それは置いておき

 

 

 

壬生先輩の場合はあれだよな勝負を挑んだら、二科生だからって冷たくあしらわれたとか言うのだよな

 

 

 

はあ…また一科生の人格破綻者かよ、いい加減にしろよな、まったく誰だよそいつ?

先輩は2年だし…剣術部のやつか?そうすると桐原先輩あたりか

 

いや、違うな…乱闘の時の様子じゃあ、あしらうどころか、自分から食ってかかっていたらしいし

だからってその他で、壬生先輩より強い奴っていたか?

 

 

‥‥そこんとこも、明日聞いてみるか。

 

 

 

 

完全に太陽が涼む前に、今住んでる4階建てのアパートに付く。

アパート前の駐輪所に自転車を止め、八幡は自室に向かう。筋肉痛か、なれない事をしたせいか、その足取りはいささか重い。

 

その後ろ姿はまるで、一人身の40歳サラリーマンがサービス残業終わりに、誰もいない家に帰る時に哀愁が漂う背中だ。否、哀愁など生ぬるい!もはやそれは死臭の域に達している!!

 

 

 

「そういや最近、原因不明の孤独死が増えてるそうだな。……………なんで、今そんなこと考えてんだ俺?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3階の304号室、来たくもない学校に強制的に通わされることになり与えられた俺の部屋だ。

一人暮らしでも少し手狭だが、なにぶん家具がほとんどないので十分広い

 

 

階段をのぼり扉の前に付きいつものように鍵を開けて中に入ろうとしポケットの中から鍵を取り出したその時だ、異変に気が付く。

 

 

まず扉についている郵便受けを見る。朝は何かと忙しく朝刊を取ることができずそのまま郵便受けに刺さる形で入れっぱなしになり、そのほかに明細書などが入っていたりする。それが今は空っぽだ

 

 

次に、鍵が開いている

人一倍防犯意識が強い俺はどんなに慌てていても家の鍵だけは毎朝しっかりとしていき、鍵がちゃんとかかっている事を2,3確認してから家を立つ

もちろん今日の朝も鍵はちゃんとしていった。だが、今はその鍵が開いている

 

 

最後に、耳を澄まさなければ聞こえないほどの小さな音だが、中から微かに物音が聞こえる

 

 

 

 

中に誰かがいる‥‥‥

 

 

 

家の鍵はスペアを合わせて2つとも俺が管理しており、誰かに渡したりした覚えもない。つまり中にいるやつは正規の方法とは別に侵入したという事だ。泥棒か空き巣か?

 

いや、それだとおかしい。この部屋は日の光が当たらない格安物件。もちろん金目の物などなく精々ゲーム機がある程度だ。もし泥棒ならまずこんな部屋を狙わずに2つ隣にある角部屋か上の階の部屋を狙うはずだ

 

 

そもそも今は夕方だ、学生やサラリーマンに主婦がこぞって帰路に就くそんな時間帯に盗みを働くなんて、もし泥棒なら3流もいいところだろう

現にいま家主である俺がいるのだし

 

 

だが鍵穴を見るとそこには妙な傷あともなく、さらに来る時に見た部屋の窓は割られていなかった。侵入経路は玄関とみて間違いないがもしそうなら随分と腕がいい

 

 

3流の泥棒にしては違和感を感じる

そうすると中にいるのは泥棒ではない可能性がある。では一体誰何か

今一番に可能性があるとすればそれは‥‥‥司か

 

 

仮に学校での俺の行動があいつらにばれていたとする。そうすると周りを嗅ぎまわってる俺は当然邪魔者というわけだ。

その上俺には勧誘期間中に録画、盗聴したあいつらの魔法の不正使用の証拠がある

 

あいつらの目的は今日の話からすると、二科生の待遇改善を学校に要求するという物だ。まあ、成功するとは思えんがな

 

 

事を起こした時にそんな証拠がもし出回るならば、元々無茶な計画が完璧に無理になってしまうだろう

あいつら的には確保するか隠滅したいというのは当然だ

 

 

そう考えれば辻褄があう。俺の事がばれていたなら今日の放課後に壬生先輩と会う事もあっちには筒抜けだっただろう。

確実に俺の帰りが遅くなる今日に、当たりをつけ証拠の確保、隠滅にきていたとする

 

 

証拠は俺の携帯とクラスのロッカーの中に隠しているので家の中にはない。探せど探せど目的の物が見つからず、終いには郵便受けを探すとき中の物を引っ張り出してそのままにしていたのなら

 

 

鍵にしても二科生といえど魔法科高校の生徒、鍵あけくらい簡単にできるだろう。それなら泥棒にしては感じる妙な違和感の説明も付く

 

つまりこの中には、あいつらの一派がいる可能性が極めて高い

ここで遭遇してしまうのは危険でもあるが、逆に考えればこれ以上ないチャンスともいえる。現行犯で捕まえれば言い逃れはできないし、あいつらのやろうとしている事の詳細を聞き出すこともできるかもしれない

 

 

あと何より、勝手に俺の部屋に入ったことに対して文句の一つでも言ってやらなきゃ気が収まらん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中にいるのは一人か多くても2,3人、全員がCADを携帯していると予想できる

ゴクリと息をのみ込み首のCADに手を伸ばしいつでも発動できるよう準備しておく。ドアノブを静かに音をたてないように回し、息を整え勢いよくドアを開ける

 

 

人は誰しも突然、予期せぬ事態に見舞われるとその思考は一瞬停止する。人だけではなく生物であるならその瞬間は致命的な隙になり、逆に絶好の好機ともなる刹那

 

 

八幡の作戦ではこうだ。ドアをいきなり開け意表を付き、まず一番近い相手に魔法を使用し無力化する。

 

 

その後、混乱しながらも残りはこちらに対し抵抗のため攻撃をするか逃亡を図るだろう

逃げるのであればそれはそのままでいい、そもそも一人いれば十分だし初めに無力化した奴がいるなら残りは逃げようがかまわない

 

 

抵抗するならそのまま応戦する。混乱している相手の魔法なんか発動するかさえ怪しいし仮に正しく発動しても八幡の方が早く術式を展開する事ができるだろう。

 

八幡の魔法発動速度は一校だけにとどまらず全魔法科高校の中でも最速レベル。一年生は勿論、上級生を相手取ろうが、必ず先手を取ることができる

 

 

速度においては司波 深雪にも勝利することができるだろう。だが、魔法式の規模、事象干渉力においては遠く及ばず実際に戦った場合は十中八九、八幡の敗北で終わる

 

 

それでも速度に定評がありクイック・ドロウを得意とするどこぞの誰かと比べるとその差は歴然である

 

 

それに加え卓越した洞察力、咄嗟の判断力、卑屈なまでの警戒心と猜疑心を持ち合わせた八幡は知る人はいないが、一校内で屈指の実力者といえる

 

 

常人相手なら軽く無双が可能である八幡ならば、一対多数の不利な状況であっても二科生に後れを取ることはまずない(司波 達也をのぞく)

 

 

しかし、今現在、意表を突くつもりが逆に意表を突かれ思考停止に追いやられている。

開けられた扉の前で呆然とただ立っているだけの無防備な状態、CADに回されていた手は垂れ下がり、これならば誰が相手でも倒すことは容易だろう。むしろ魔法など使わずにサンドバックにし散々嬲る事も可能だ

 

 

しかしそれも仕方がないと言える。なんせいざ扉を開けてみれば中からはこちらに向かい猛スピードで接近する人影

 

気配を消し奇襲を仕掛けるつもりが、相手はこちらが来るのを待っていた。待ち伏せされていたのだ。これだけでも当初の作戦は瓦解さらに追い打ちをかけるようにその人影は衝突する目前で動きを止め

 

 

嘲笑うかのように作られた笑みから発せられる陽気とも取れる声は八幡の予想を遥かに超えた一言が紡がれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっかえりなさーい!ご飯にする?お風呂にする?それとも~こ・ま・ち♪」

 

 

 

八幡は膝から崩れ落ちた

 

 

 


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