魔法科高校でも俺の青春はまちがっている   作:Lチキ

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今回は優等生をしらないと少し困惑するかもです


入学編15

「ほらきりきり歩け!」

 

 

新人勧誘期間中のため校内を巡回してる中、風紀員委員長、渡辺 摩利は一人の男子生徒の首根っこを掴み連行していた。

 

 

先も言った通り、風紀員はこの期間とても忙しくその理由は勧誘に伴い起こる生徒同士の喧嘩が主な原因だ。

 

 

ただ、喧嘩と言っても中には魔法を打ち合い、本人達や周りに被害をもたらすので軽く見ることはできない。と、いってもそんなのはむしろ少数で、ほとんどの場合が殴り合いによるものや、取っ組み合いといった単純な肉体言語である

 

 

風紀員はそんな生徒たちに対し大体は一人から数人で取り押さえ、魔法が使用された場合はそれを記録・無力化することで事態の収集に努める

 

 

取り押さえられた生徒たちは校内にいくつか設置された仮本部にて事情調書が行われ、場合によってその罰が決められる。

罰と言っても本物の警察ではないので厳重注意・反省文などが主だ

 

 

そのため風紀員の生徒は武術か拘束系の魔法などといった物に優れている場合が多い

 

渡辺先輩も委員長を任されているだけあって相当な手練れだ。なんでも日本屈指の剣術家、千葉流の門下生だとかなんとからしい

 

なので女性と言っても、一人で男子生徒を連行することなど造作もなく

連行されている方も抵抗らしい抵抗をせず、なすがままに引きずられていた。

 

まあ、その連行されているのが

 

 

「まったくいい度胸だな、比企谷!」

 

 

俺なのだがね‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、司波はそのまま去っていたのだが俺は少しの間動けずにいた。それほどあいつの放つ怒気がすさまじくもうなんか、蛇に睨まれたカエル状態だった。

 

 

それから意識が覚醒するまで2分くらいかかり、そのまま俺も見回りに行ったのだがさっきのやり取りに加え、勧誘で熱気を放つ先輩方の群れで軽く酔ってしまい

 

 

人気のないところでちょっと一服(コーヒー)していた。

 

腰を下ろしコーヒーを啜る俺の姿は同じ風紀員からしてみればさぼっていると勘違いされる可能性もあるのだが、それでも休まずにはいられないそんな状況だったのだ。

 

 

そして、そんな状況が10分くらい続いた時、見回りに来ていた渡辺先輩に見つかりそのまま首根っこを掴まれ連行、もとい見回りに同行することになったのだ

 

 

「初日からさぼりとは、どういうつもりなんだ?」

 

 

後ろ襟をつかみ、引きずる形だったが先ほど解放され今俺は渡辺先輩より2歩ほど離れて歩いている。

 

そんな俺を軽くにらみ、前を歩きながら問う先輩は相当お怒りであるとお見受けする。

といっても俺の自業自得なのでしょうがないのだが

 

 

「ですから、さぼりじゃなくてちょっとした休憩ですよ。人酔いってやつです」

 

 

嘘ではない、実際俺は人の多さに酔っていた。たださぼっていたかどうかと言われると・・・正直さぼっていた。

始めは少し休んだら見回りを続けようと思っていたのだが、後1分だけ、もう1分、あと少しと休んでるうちにだんだんと立つのがめんどくくさくなり

 

逆に座っているときの心地よさに心奪われ気が付いたときには大分時間が過ぎてしまっていた。ただでさえ忙しいのだから、一人さぼっている俺に対しその怒りは正当なものだ。

 

 

もちろん俺も反省はしている。いくら俺の意思と関係なく無理矢理入れられたしゃらめんどくせ―委員会でも、さぼっていい訳はないのだ。ただ言い訳くらいする権利はあるのでしておく、じゃないとなんか後が怖いし

 

 

「そう簡単に人酔いするわけないだろ。もう少しましな言い訳くらいしたらどうだ?あん?」

 

 

「いやいやホントですって、こう人でごった返していればそんくらいしますよ」

 

 

青筋立てる先輩に必死になり、いい訳をしているのだがどうにも信じてもらえない

まあ、さぼっていた新人がいい訳なんかしても、上司が聞く耳を持つわけないというのは社会の性なので致し方ない やれやれだぜ(そもそも自業自得です)

 

 

「ほう・・・仮にその話を信じたとしよう。人に酔ったやつが人気のないところで休むのもうなずけるし、軽く飲み物でも飲んでいたとしても仕方がない。だが、その地面にからの缶が3本あったのはどういう事なんだ?」

 

 

足を止め腕を組み頷きながらその時の事を思いだしながら語る先輩は

始めはニコニコとしていたがだんだん額に怒りマークをつけ、眉間に皺を寄せている

 

 

そう、俺はあの時飲んでいたコーヒーがなくなり少し離れた場所に設置されていた自動販売機まで足を運びお代わりをしていた。それも4回も。

 

これは、動かぬ証拠というやつなのか、これ以上のいい訳が無意味になるレベルの物的証拠だ

 

 

仕事をほっぽりだし、一服どころか四服もしていた人間が少し休んでいただけ、真面目にやるつもりだったといくら言っても聞いてもらえるわけがない。

 

 

俺の顔から一粒の汗が流れ、表情がだんだんと歪み顔色も悪くなる

 

それと対照に目の前の先輩はとてもいい笑顔でニコニコしている‥‥額についてる青筋が邪魔だが

 

そんな絶体絶命のピンチは良く知った声で九死に一生を得ることになる。

 

 

「ひあああああああああああー!?」

 

 

悲鳴が聞こえその方向を見るとジャージ姿の女性2人がスケボーのようなものにのり、制服姿の女生徒を一人ずつ脇に抱えて猛スピードで走っていた

 

 

「って雫と光井!?」

 

 

「な!あれはバイアスロン部のOGの萬谷と風祭!」

 

 

「知り合いっすか?」

 

 

「とうに卒業した不良どもだ!好き勝手やられちゃ風紀員の名が廃る。行くぞ比企谷!」

 

 

「行くってどうやって!?めっちゃ早いっすけど・・・」

 

 

「とにかく走れ!!」

 

 

そういうと渡辺先輩は加速系魔法を発動させ四人の後を追う。唖然となったが見過ごすわけにもいかずすぐに移動系魔法を使用し、後を追う

 

 

「つーかあのスケボーみたいなのはいったい」

 

 

普通なら人一人を抱えて移動するのだから一人のこちらの方が断然有利なはずだが、あのスケボーはまさにコナン君に登場する法定速度を完全無視した違法改造された電動スケボー並みの馬力が出ており、

 

 

追いかけてるのはいいがその差は縮まらない

 

 

「あれはSSボードといって、スケボーとスノボーをくっつけたようなものだ。バイアスロン部は簡単に言うと、あのボードで移動しながら的を射撃する競技で、動力はもちろん奴らの魔法で動いている」

 

 

「OGっていってましたが、先輩の知り合いですか?」

 

 

一方は腰のところまで伸びた髪にウェーブがかかっているどことなく大人な雰囲気の女性らしい女性であり

 

もう片方は逆に髪が短く、女性にしてはがっしりとした体つきでその雰囲気はどことなくエリカに似ておりなんというか子供っぽいというか悪がきみたいというか男の子っぽい女性で、不思議とこちらも違った意味でお姉さんという感じだ

 

 

2人を見る渡辺先輩は苦虫をつぶしたような顔になり、先ほどの顔よりさらにすごい形相になる

その顔からするに過去になにかあったのだろうか?

 

 

「ああ、ショウトカットのほうが萬谷 颯季、加圧系統の局所地形変動魔法を得意とし同時に気体加圧魔法も得意とする。性格は男勝りで自由奔放な問題児だ」

 

 

OGということはもちろん俺や先輩より年上なのだろうが、そんな人を問題児というのもおかしな話だがこの状況を見るにピッタリって感じだな

 

 

「長髪の方が、風祭 涼歌、気体流動制御術式に強い耐性を持つ『風使い』だ。追い風を作り自分や味方のサポートをしたり、敵の邪魔をするという使い方をよくして・・・その力を悪用したスカートめくりが得意技のただのバカだ!」

 

 

一瞬言いよどんでから何かを思い出したように突然、語尾を上げ怒鳴る口調になる渡辺先輩。

馬鹿呼ばわりとは問題児以上のあれだが、この様子を見るにもしかして渡辺先輩はその得意技というのをくらったことがあるのだろうか

 

 

それはつまり先輩のスカートがあれでその中身がアレしたという‥‥

 

 

「おい、比企谷変な想像をしていうなら今すぐやめろ・・・さもなければ、分かっているな?」

 

 

鋭い眼光で睨むように微笑む先輩の顔はもう完全に笑っているのに怒っていた。

もうその顔を見るだけで、それ以上の言葉はいらないという威圧感を放っている

 

 

本日二度目のヒキガエル君状態になる俺

 

というよりなぜこの高校の連中はそろいもそろってこんな怖い奴らばかりなのか

そしてなぜ俺の考えは常に見透かされているのか・・・多々疑問があるが、今言えることは一つだけな俺にはもはやそれを聞くこともできず、力なく口を開く

 

 

「い、イエスマム・・・」

 

 

「よろしい!無駄口もその辺にしてスピードを上げるぞ!いいな」

 

 

「…YESマム!!」

 

 

もうなんかヤケだった


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