魔法科高校でも俺の青春はまちがっている   作:Lチキ

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入学編10

まずい、多少無理をしてでも、この流れを止めるべきか?

だがそうすると、俺が目をつけられる恐れがある。司波(二科生)に対する擁護や援護をすること自体こういう人種は嫌うかもしれない。それも今まで見下していたやつらに権力(風紀員)を与えることなど言語道断といったところか。

 

 

最悪、二科生の見方をするお前もあいつらと同じだ!比企谷の癖に生意気だー!!

などという展開になる恐れが十分にある。

 

 

司波に対してそういった+の感情を向けているのは、司波妹は別としてこの場にいる自分より権限が上な生徒会長とこれも恐らくだが、権限が上、もしくは生徒会とは別の権限を持っている風紀員長だけだ。

 

なので服部の野郎が自分より権限のしたの物に対して、どういった反応をするかは、予測不可能

 

 

 

「そもそも、風紀員はルールに従わない生徒を実力で取りしまる役職です。実力で劣るウィードには務まらない!」

 

 

こいつ、さらに畳みかけてきやがった!本格的にまずいなこりゃあ…

仕方ない、そもそも初めからここではボッチでいようと決意していたことだ。

目をつけられ虐められようと今更の事、小中学校と虐めという暴風雨で鍛え上げられた俺には金持ちの坊ちゃん程度の虐め耐えられるだろう

 

あ…でも、こういうのって金持ちとかのほうが陰湿だったりするんだよな…嫌だな…

 

 

「まっ」

 

「待ってください!」

 

 

ため息混じりの覚悟を決め、いざ抗議しようとした時。先ほどから沈黙していた、司波妹が荒々しい口調で服部の前に立つ

 

 

「兄は確かに魔法実技の成績が芳しくありませんが、それは評価方法に兄の力が適合していないだけの事なのです。実戦ならば兄は誰にも負けません!」

 

 

司波妹は言い放つ。それは一見劣等生の兄を優等生の妹が必死に取り繕っているようにも聞こえる、暴論だ

 

漫画しかりアニメしかり、道場剣術は苦手だが実戦剣術は俺の方が強い!みたいなことを言う負け惜しみ、みたいなものだ

 

 

「司波さん、魔法師は事象をあるがままに、冷静に論理的に認識しなければなりません。不可能を可能とする力を持つべき者とし、社会の交易に奉仕するものとし、自らを厳しく律する事を求められています。魔法師を目指す者は身びいき目を曇らせてはならないのです」

 

 

と、なんか長ったらしい事を、諭すような声色で司波妹に語る

名前も長ければ言う事も長ったらしいなこいつ…

 

 

どうやらこいつも同様の事を考えたらしい…途中から長くて聞いてなかったが多分そんな感じだ。ここで妹がいくら言ってもまさに身びいきと捉えられ子供をあやす様に流されるのが落ちだし俺でもそうする…

 

 

だが、それは普通の妹と兄の関係の場合だ。こいつは俺と同様に重度のブラコンである。その愛は、自分の兄妹が世界で一番かわいくまさに、天使という言葉を体現しているといっても過言ではない。と、本気で思っているほどだ

 

司波妹のほうも同様、お兄様が世界で一番カッコいいみたいな事を思ってるに違いない。だがここで多くの者が勘違いしていることを、訂正しよう。

 

 

俺らみたいなタイプは、身びいきを確かにする。それはもうめっちゃするが、それはあくまで俺らの内側での話だ。小町は確かに世界一可愛い、その可愛さを知り合いに三時間くらい語り尽くしてもいいと思えるレベルだ

 

 

だが、仮に小町の可愛さを三時間語った知り合いに、じゃあアイドルデビューしちゃえよと言われても俺はそれに同意しない

 

 

なぜならアイドルになって一番になる、どころか成功すかと聞かれれば……答えは否だからだ

確かに小町の可愛さならラブライブやアイマスに出ていてもおかしくはない。だが、それは世間の共通認識ではないのだ。誠に遺憾だが

 

 

つまりいくら俺の中で世界一可愛い小町でも世間的にはそれは違う、キャパシティーというものがあるのだ、

 

キャパシティーを超える無理な事を他人の前でいえば、それはそのまま小町の重みになり、それができなければ傷になる。そんなこと断じてしてはいけないのだ。

 

 

故に我々は誰よりも身びいきをするが、誰よりも身内の事を冷静に冷酷に分析し理解しているのだ。

 

それができないようじゃ真のブラコン・シスコンとは言えない

そしてこいつ司波妹はそれができないわけではないだろう、俺のシス魂が共鳴していることからもそれは伺える。

 

 

つまりさっき言ったのは司波兄のキャパシティーを超えていない事柄という見方をして間違いない。

 

ならばここは司波妹(ブラコン)にかける!

 

 

「はっ!目を曇らせてるのはどっちだか」

 

 

わざとらしく、全員に聞こえるように鼻を鳴らし言う。

突然の俺の言葉に、ほとんどの奴らが目を向ける

そして、服部の目が鋭く俺を射る

 

 

「なんだと」

 

 

「いえ、ただ目を曇らせてるのはどっちなのかと思っていっただけですよ?別に他意はありません」

 

 

「目を曇らせてるのはこちらほうだとでも言うつもりか!」

 

 

感情のままに俺の言葉に反応する服部に対し俺は、顔をそらし盛大に吹き出した

そしてそれを見た、服部はさらに怒りをます

 

 

「なにが!おかしい!!」

 

 

「いえ~そういえばさっき、魔法師は冷静を心がけるべきだとかなんとか言ってた人がいたなーと思いましてね」

 

 

「な!?」

 

 

今度はおどける口調で片手を口に当て、笑うしぐさをしながら言う。

自分を馬鹿にするそれを観て見るからに顔をゆがませ、先ほどまで長ったらしい演説をしていた男の姿はどこにもなくなっていた

 

 

「一年生!言葉に気負つけろよ。それ以上言えば!」

 

 

「言えばなんです?もしかして…」

 

 

言葉をためる間際、服部の後ろにいる先輩方を見やる。ロリっ子と会長は服部の怒り狂った姿に困惑し、多分もう一人の委員長みたいな人も困惑しているが、それでもまだ冷静といった感じで、風紀委員長は念のためだろうかCADに手を伸ばしている

 

どうやら誰も俺の思惑に気付いてはいないようだな

 

 

「俺に魔法でも使うんですか?確かに生徒会メンバーはCADの常時携帯を認められてますもんねー。でもそれって職権乱用じゃないんですか」

 

 

「ック!」

 

 

「そもそも、副会長ってそれほどの実力があるんですか?さっきからやたら偉そうなこと言ったり風紀員の人選に口をはさんだり、これで二科生の司波より弱いとかだったら笑い話もいいとこですよ?なんなら模擬戦でもして証明してみます?」

 

「二科生よりも一科生の方が実力で勝ると」

 

 

両手を上げ、ヤレヤレというポーズを取りながら体の方向を司波妹に向けその目を見る。

しばらく何か分からなかったようだが、俺の一言を聞き。

理解したようで軽く首を縦に振る

 

 

よし、大丈夫そうだな。あとは服部が話に乗れば…

 

 

「…思い上がるなよ!一年の分際で!!!」

 

 

肩を震わせ、怒り心頭といったご様子だ、おう怖い

 

 

「いいだろう!その挑発受けてやる!!身の程をわきまえる事の必要性をたっぷり教えてやる!!」


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