バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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事前に出ていた宮阪杏里さんが初登場します。


七星獣(中編)

生徒会室での激闘は終盤に差し掛かっていた。グラディウスは〈蒼介〉の腹に剣を突き立てるも、〈蒼介〉はギリギリの所で急所を外し、即座にグラディウスの腕を掴んで離さない。

 

蒼介「これで……終わりだ!」

 

逃げる暇を与えず、草薙の剣はグラディウスの急所を容赦なく貫いた。速度、タイミング、攻撃箇所全てが揃った必殺の刺突を受けたグラディウスはその場に崩れ落ち、点数がゼロになったことで跡形もなく消滅していった。

 

 

《総合科目》

『2-A 鳳蒼介 1452点

VS

 ?-? Gradius 戦死』

 

 

蒼介「……オーラも剥がされ、点数も大幅に削られたか。勝ちはしたが、払った代償は少なくなかったな」

 

激闘の末グラディウスに打ち勝った蒼介は、すぐさまプロテクトの解除にかかる。立方体を調べてみるとスイッチのような物が見つかったので電源を落とすのは容易であった。ノルマを達成した蒼介は戦闘中余裕がなくてチェックできなかった携帯を調べる。するといくつかの部隊から救援要請が入っていた。

 

蒼介「……この中で真っ先に駆けつけるべき場所は、おそらく文化部室。そしてメインサーバー室にはあの先輩を救援に向かわせるのが最適だな」

 

隊長格に優等生を抜擢した甲斐あって救援要請とセットで敵の特徴や能力もこと細かに記されていたため、蒼介は苦もなく今後の方針を決めることができた。そのまま携帯で梓にメールを送ったあと蒼介は急いで三階に向かう。途中召喚獣モドキ達が何体か襲って来たが、消耗しているとはいえ大した相手ではないので軽く捻っておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【護衛部隊】

 

梓「オラオラオラオラオラァ!その程度でウチに挑もうなんざ100年早いわボケェ!」

 

グラウンドにも召喚獣モドキ達は攻めてきたのだが、そこで行われていたのは決闘でも戦争でもなく梓の一方的な蹂躙であった。

佐伯梓の腕輪能力『ヨーヨーブレード』。武装追加型の能力で、一度点数を消費すれば召喚獣をフィールドから消す、もしくはぶっ壊されるまで際限なく使用することができる。追加された武器は側面に刃のついた巨大なヨーヨー。梓の意思でラジコンのように操作することができ、回転したヨーヨーが丸ノコのように敵を斬殺する。その能力に梓の精密機械のように優れた操作技術が備わり、襲ってくる召喚獣モドキを次から次へと駆逐していった。

 

梓「これで全部か、なんや歯応えがないなぁ……やっぱりウチも鳳に我が儘言って校舎に突入させてもろた方が良かったかもなぁ……ん?」

 

張り合いの無さ過ぎる相手にがっかりしていると、総隊長である蒼介からの指示メールが届く。内容を確認し終えた梓は指名の入ったクラスメイトに声をかける。

 

梓「杏里~!ちょお来て~!」

杏里「梓……?どうしたの……?」

 

梓の呼び掛けに。呟くような声とは反比例する黒髪ウェーブの女性が駆け寄ってくる。

この女性、宮阪杏里という名の3ーAの優等生で、美少女と言って差し支えないくらいには容姿が整っているが、それを吹き飛ばすほどのインパクトがある。

とにかく何もかもがデカイ。

バストは二年で一番の巨乳である姫路と比較しても明らかに大きく、その他手も足も尻も女性としては勿論男性と比較しても明らかに大きい。もしムッツリーニがこの場にいたら視界にこの女性を入れたただけで出血死してしまいそうなほどエロい体をしている。

そして当然身長も勿論デカイ。178㎝の和真でも見上げるほどであり、おおよそ鉄人と同じくらいという女性としては規格外の背丈である。女性の中でもやや小さい部類の梓と並べば大人と子供くらいの差があり、話すだけでも梓は首が痛そうである。

 

梓「鳳からの救援要請や。メインサーバー室に向かって欲しいやと」

杏里「ん、わかった……。行ってくる……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第六部隊】

 

運動部予備倉庫の闘いは佳境に入ろうとしていた。

 

 

《総合科目》

『2-A 木下優子 1552点

 2-A 橘飛鳥 1105点

VS

 ?-? Ripper 1751点』

 

優子「このままじゃまずいわね……」

飛鳥「戦い方は単純だけど、だからこそ付け入る隙が見当たらない……」

 

能力の詳細を看破した優子達は和真をも翻弄したコンビネーションで有利に立ち回ることができたものの、相手の点数が半分を切った辺りからリッパーがガチガチの接近戦に切り替えたことで形勢らは逆転、身体中から刃物を出した突撃して来るリッパーに、二人の召喚獣はどんどん点数を削られていく。

 

優子「せめてあと何人か入れば……ん?」

飛鳥「……狙いすましたかのようにベストタイミングで駆けつけてくれたわね」

 

優子の願いが天に届いたのか、元第一部隊の数名がベストなタイミングで救援にきた。

 

優子「良い所で来てくれたわね!時間が無いから何も聞かずに召喚獣を横一列に並べてくれる?」

『いきなりなんだよ-』

優子「時間が無いっていってるでしょ!アイツが襲ってくる前に早く!」

『わ、わかったよ!』

 

鬼気迫る優子のリッパーをも上回る迫力に気押され、第一部隊一同は言われた通り召喚獣を横一列に並べた。

 

飛鳥「優子、一体何を……?」

優子「食らいなさい!愛と哀しみと友情のスカイラブテンペスト!(ドギャギャギャーン)」

『えええええ!?』

 

〈優子〉はランスを振り回して横一列に並んだ召喚獣をリッパー目掛けてぶっ飛ばした。リッパーは迎撃のために全身から刃物を出し迎え撃った結果、救援に来た召喚獣はもれなく全員串刺しにされるが、刺さった召喚獣の重さでバランスを崩したのかリッパーはその場に倒れこんだ。

 

優子「今よ飛鳥!発射台の準備!」

飛鳥「え、ええ」(この娘、だんだん和真に似て容赦がなくなってきたわね……)

 

〈飛鳥〉は地面に背中を着け足の裏を天に向けつつ膝を折り畳み、〈優子〉は〈飛鳥〉の足の裏に着地し同じく膝を折り畳み足をドッキングさせる。

 

優子・飛鳥「「スカイラブハリケーン!」」

 

掛け声とともに二人の召喚獣は敵の方向に焦点を合わせ、タイミングを揃えて折り畳んでいた足を一気に伸ばす。 

膝を伸ばした反動で超加速し、〈和真〉をも上回る破壊力を備えた〈優子〉のランスが、リッパーの体を容赦なく貫通した。

そして様式美のごとく着地に失敗。大幅に点数が減るもののこればかりはどうしようもない。

 

 

《総合科目》

『2-A 木下優子 228点

 2-A 橘飛鳥 1105点

VS

 ?-? Ripper 戦死』

 

 

優子「加勢に来てくれた人達、ご協力感謝するわ」

(協力っつーかよ……)

(私達……囮に使われただけよね……)

 

第一部隊の隊員達は色々と言いたいことがあったものの、緊急事態であることと、まあ結果オーライであったため胸の内にしまっておくことにする。飛鳥は今度和真とじっくりお話しする必要があると思いつつ、当初の目的であるプロテクトを解除した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第五部隊】

 

《総合科目》

『3-A 金田一真之助 804点

 3-A 夏川俊平 652点

VS

 ?-? Wivern 1841点』

 

 

もはや第五部隊の命運は風前の灯火であった。ワイバーンと闘いつつ時間稼ぎに比重を置くも、サイズとパワーで徐々に追い詰められていく金田一達。このまま召喚獣が戦死すればこの怪物を解き放ってしまう。そうなればどんな恐ろしい事態になるのか、考えたくもない。

 

夏川「流石にもう限界だぜ……」

金田一「もう少しの辛抱だ夏川。さっき鳳からすぐに向かうと返信が来た」

夏川「本当か!?それならなんとかなり…ッ…!?」

 

一瞬の気の緩みが命取り。救援の知らせを受けて気の緩みが生じたのか、〈夏川〉はブレスを避けきれずに炎に飲み込まれる。満身創痍の状態でそんなものを喰らって当然生き残れるはずもなく、〈夏川〉は戦死する。

 

夏川「しまった!?」

金田一「バカ野郎!?このデカブツを一人で対処しなければならなくなったじゃねぇか!」

 

先程まで二人がかりでどうにか撹乱していたのだ。それでも徐々に追い詰められていたので、一人になってしまった今ワイバーンを抑えきれる確率は悲しいほど低い。

 

金田一「……それでもまぁ、ここで尻尾を巻いて逃げ出すわけには……いかねぇよなぁぁぁぁぁ!」

 

ますます苛烈さを増すワイバーンの猛攻をどうにか避けきる。金田一はAクラスのナンバー3、潜ってきた戦場も生半可な数ではない。しかしそれでも一人で押さえ込むのは無茶だったのか、〈金田一〉はどんどん追い込まれていく。そしてとうとう壁際まで追い込まれてしまった。この状況ではブレスだろうが尻尾だろうが爪だろうが牙だろうが避けきれない、まさに絶体絶命であった。

 

金田一(……どうやら俺にできるのはここまでみてーだな。ハッ……だったらここは、)「せっかくだ、テメーに冥土の土産をくれてやるぜぇぇぇ!」

 

覚悟を決めた金田一は死を恐れずに〈金田一〉をワイバーンに特効させた。ワイバーンがブレスを吐く前にツヴァイハンダーをワイバーンの眼に突き刺すと、ワイバーンは苦しみのたうち回る。

 

 

《総合科目》

『3-A 金田一真之助 688点

VS

 ?-? Wivern 574点』

 

どうやらワイバーンにとって眼は弱点であったようで、先ほどまでとは点数の減り方がまるで違った。激昂したワイバーンは怒りに任せて〈金田一〉を尻尾で圧殺しようとする。既に力を使い果たした〈金田一〉に避ける術は残されておらず、結末を受け入れるかのように目を閉じた。

 

金田一(ここまでか……すまん、鳳……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし致死率100%の尻尾が〈金田一〉に届く前に、ワイバーンの首は駆けつけた蒼き英雄によって斬り落とされた。

 

 

《総合科目》

『3-A 金田一真之助 688点

 2-A 鳳蒼介 1206点

VS

 ?-? Wivern 戦死』

 

 

ワイバーンの絶命を見届けると、蒼介はすぐさまプロテクトの電源を切る。

 

金田一「ふう……助かったぞ鳳」

夏川「一時はどうなることかとヒヤヒヤしたぜ……」

蒼介「いえ、お二方がある程度削ってくれていたおかげですよ」

 

文化部室のプロテクトも解除された。

残るプロテクトはあと3つ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




和真「仮面の男『ファントム』の、学園全体を巻き込んだショータイムとやらは激しさを増していく。迫りくる強敵【セブンスター】、次々と散っていく仲間達……
絶体絶命の状況下、翔子と姫路が奇跡を起こす!
次回、『七星獣(後編)』。絶対読んでくれよな!」

徹「クライマックスはあと少しだ」

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