バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【バカテスト・英語】
次の英文を和訳しなさい。

If you want to know the truth,I felt like slapping the cook' s face a hundred times.

五十嵐源太の答え
『正直、コックのツラ100回ほどひっぱたいてやりたかったなぁ』

蒼介「流石帰国子女、素晴らしい意訳だな」


吉井明久の答え
「もしあなたが真実を知りたいのであれば、私は料理人の顔を100回眠りたかった」 

蒼介「文章はちぐはぐだが真面目な解答で安心したぞ。
If you want to know the truthで『正直言って』というイディオムになる。受験でも頻繁に出題されるので覚えておくといい。
あとslapをsleepと間違えたのか?slapの和訳は『平手で打つ』だ。意訳するときは『ひっぱたく』や『ビンタ』でかまわない」


土屋康太の答え
『もし』

蒼介「訳せたのはIfだけか土屋……」






七星獣(前編)

【第一部隊】

 

《総合科目》 

『2-D 山田美香 1315点  

3-A 小村一郎 2331点

VS 

 ?-? ???? 1356点

 ?-? ???? 1312点』

 

『きゃあっ!?爪が伸びた!?』

『さっきよりずっと強いぞ!?』 

 

校舎に突入し生徒会室へ向かう第一部隊だが、襲ってくる召喚獣モドキ達に思わぬ苦戦を強いられていた。第一に、どいつもこいつもさっき出てきた奴に比べて明らかに点数が上がっている。そして第二にさっきは丸腰だったのに対して、今回の敵は両手に爪が装備されていてさらにその爪が伸縮自在。一方的に狩れる対象が大幅に強化されたことで、部隊に動揺が走った。

 

 

 

しかし間髪入れずに蒼き英雄が戦場を駆け抜ける。

 

 

《総合科目》 

『2-A 鳳蒼介  5975点  

VS 

 ?-? ???? 戦死

 ?-? ???? 戦死

 ?-? ???? 戦死

 ?-? ???? 戦死

 ?-? ???? 戦死

 ?-? ???? 戦死』

 

 

〈蒼介〉が疾走した跡には召喚獣モドキ達の屍のみが積み上がっていた。やや混乱が収まった部隊に、蒼介はさらに激を飛ばす。

 

蒼介「臆するな!多少強化された所で所詮は操り人形、冷静に対処すればどうということはない!」

 

部隊長の叱咤激励を受け、隊員達は落ち着いて召喚モドキ達の対処にあたった。確かに伸びる爪は厄介だが、避けきれないようなスピードではない。蒼介が一掃したことで数の利もできたので、第一部隊は召喚獣モドキを捌きつつ生徒会室へ進行する。

 

蒼介(……しかし先程よりも強化されている点は見過ごせないな。どうやら、早急に解決する必要があるようだ) 

 

二回目の侵攻時に出現した敵が前回より強化されている。となれば、三回目以降の侵攻時にはさらに強くなって立ちはだかってくると考えるべきだ。こちらは点数補充すらままならない状況なので、長引けば長引くほど不利になっていく。

そのような危惧を抱きつつ、ついに生徒会室にたどり着いた。蒼介は罠を警戒して隊員達に距離をおかせつつ、迷わずドアを開いて突入する。机は全て折り畳まれて壁に立て掛けてられており、部屋の奥には電子音のする、割とサイズの大きい白い立方体がポツンと設置されていた。どうやらこれがプロテクトと見て間違いないだろう。

蒼介は部隊の半数を外の警護に回し、残りの半数を部屋に招き入れてから、プロテクトの電源を切るために立方体に歩み寄る。

 

するとお馴染みの幾何学模様が一つ床に出現し、召喚獣モドキが出現する。

 

蒼介(やはりセキリュティを仕掛けてあったか。……しかしこやつは、明らかに今までの有象無象とは別格だろうな)

 

出てきた召喚獣モドキは今までの灰色一色の出来損ないのような姿ではなく、剣に盾に鎧に兜……と、古代ローマの剣闘士のような出で立ちをしていた。その身から滲み出る生半可ではない威圧感が、全隊員にとんでもない強敵であることを予感させた。

 

「「う……うわぁああ!」」

 

あまりの重圧に耐えかねたのか二人の生徒が、蒼介が制止する間もなく召喚獣で襲いかかった。そしてその愚かな召喚獣は、無惨にも神速の一刀のもと斬り捨てられる。

 

 

《総合科目》

『3-A 小村一郎 戦死

 3-C 恩田敏夫 戦死

VS

 ?-? Gradius 8000点』

 

 

グラディウスと言う名の召喚獣は、学年主任の高橋先生をも上回る圧倒的な点数を持っていた。

 

蒼介「ッ!?……諸君らは他の部隊の救援に回れ。ここは私が引き受ける!」

『えっ……!?』

『何言ってるのよ!?あんな化け物を一人で闘うなんて無茶よ!』

『犬死にするつもりか!?』

蒼介「こいつ相手に生半可な点数では焼け石に水だ。無意味に戦力を使い潰すことは避けたい。それに……」

 

〈蒼介〉が草薙の剣を構えて特攻する。グラディウスは先ほどのように剣で斬り捨てようとするも、〈蒼介〉は真っ向からそれを受け止めた。

 

蒼介「私とて負けるつもりなど毛頭無い。……わかったらさっさと行け、これは隊長命令だ」

 

まだ心配な生徒は何人かいたものの、蒼介の鶴の一声で第一部隊は生徒会室を撤退する。

 

蒼介「……行ったようだな。

……さて、グラディウスとやら」

 

 

《総合科目》

『2-A 鳳蒼介 5975点

VS

 ?-? Gradius 8000点』

 

 

鍔迫り合いは最初は拮抗していたものの、徐々に点数の勝るグラディウスが優勢になっていく。そこで〈蒼介〉は完全に押し負ける前に相手をいなし一度距離を取ると、グラディウスは凄い勢いで斬りかかってきた。

 

蒼介「すまないな……私はこんな所で負けるわけにはいかないのだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第二部隊】

 

翔子達も召喚獣モドキ達を何とか撃退しつつ、どうにか屋上にまで到達していた。そしてそこには蒼介達の所と同じように中心に白い立方体が無造作に置かれており、やはり近づくと幾何学模様とともに召喚獣モドキが出現した。

あくまで人型であったグラディウスとは違ってその召喚獣モドキの姿は達磨のような丸い姿に背中から伸びる四本の触手、そして腹には醜悪なまでに大きな口と、まさにグロテスクここに極まれりなゲテモノようであった。

あまりに醜い姿らに生徒達は顔をしかめつつも、翔子を筆頭に点数に余裕のある召喚獣が敵を囲む。

 

 

《総合科目》

『2-F 霧島翔子 4719点

 2-A 工藤愛子 3314点

 2-E 中林宏美 1203点

 2-E 三上美子 1186点

 2-B 里井真由子 1902点

 2-A 横田奈々 2378点

 3-A 寿 湊   2765点

VS

 ?-? Gluttony 4000点』

 

 

グラトニーと言う名の召喚獣は確かに点数こそ高いがグラディウスほど圧倒的ではなく、翔子もいる以上明らかに多勢に無勢である。第二部隊は万全を期すために翔子と愛子を温存しつつ、残りの隊員で相手の点数を削る作戦で行くことに。

 

中林・三上「「やぁぁっ!」」

 

先陣を切ったのは二年Eクラス代表副官コンビ。合宿最終日雄二にワンパンでKOされた鬱憤を晴らすべく、意気揚々と突撃した。グラトニーは二本の触手で迎え撃つ。伸びた触手が二人の召喚獣と激突するかしないかというところで、

 

 

 

 

触手の先がぱっくりと分かれ、お腹にあるのと同じような、ギザギザの歯でおおわれた醜悪な口に変化した。

 

中林・三上「「……え?」」

 

呆気に取られる二人をよそに、触手は二人の召喚獣に食らいつき、そのまま空中に持ち上げた。

 

三上「わ、私たちの召喚獣が!?」

中林「離しなさいよこの化け物!」

 

二人の抗議など受け付けるはずもなく、グラトニーは二人の召喚獣を自分のもとに引き寄せて、

 

 

 

 

 

お腹にある口に放り込み、そのまま咀嚼した。

 

中林・三上「「きゃあああっ!?」」

 

あまりに凄惨な光景に二人は悲鳴を上げ、その他の第二部隊一同も思わず吐き気を催しそうになる。それでもグラトニーはお構い無しに咀嚼を続け、とうとう二人の召喚獣を食い尽くしてしまった。

 

 

《総合科目》

『2-E 中林宏美 戦死

 2-E 三上美子 戦死

VS

 ?-? Gluttony 6389点』

 

 

翔子「……敵の点数が、増えてる……!?」

 

食事を済ませたグラトニーの点数が何故か上昇している。しかもその上昇数値は取り込まれた二人の召喚獣の点数の合計値と全く同じ。どうやらグラトニーには相手の点数を吸収するという悪辣な能力まで備わっているようだ。

 

翔子「……みんな、できるだけ相手の攻撃を食らわないように気をつけて!」

 

隊長の呼び掛けにより、呆然としていた隊員達は気を引き締め直す。そんな彼らの召喚獣に、グラトニーは今度は四本全ての触手を差し向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第三部隊】

 

『2-F 姫路瑞希 4451点

 3-A 小暮葵 3712点

 2-D 玉野美紀 1301点

 2-C 小山優香 1728点

 3-F 徳島良太  892点

 3-C 九重伸介 1582点

 3-A 名波健一 2699点

VS

 ?-? Quiksilver 5000点』

 

体育館でもセキュリティとの闘いが繰り広げられ、姫路達はクイックシルバと名付けられた召喚獣モドキ相手に大苦戦を強いられていた。

クイックシルバの姿ははまるでスライムのように不定形でり、厄介なことに攻撃がまるで当たらない。〈姫路〉達は果敢に攻撃を繰り返すものの、水面に移った月を掬うことができないように、どんな攻撃も通り抜けてしまう。

そして理不尽なことに、何故かクイックシルバからの攻撃はこちら側にヒットするのであった。

 

『くそぉ……』

『こんなのいったいどうすればいいのよ!?』

 

あまりにアンフェアな条件に全体の士気は見る見る低下していく。姫路は部隊長として何かできることがないか考えるものの、打つ手がまるで見つからずしどろもどろになる。そんな姫路に副隊長である小暮が落ち着かせようと優しく語りかける。

 

小暮「姫路さん、諦めてはいけませんよ。必ずどこかに突破口が見つかるはずです」

姫路「小暮先輩……」

 

先輩の激励を受け、ある程度落ち着いた姫路は小暮とともにクイックシルバの攻略法を模索する。部隊の召喚獣の点数が次々と削られていくなか、二人は諦めずに弱点を探す。  そうして二人はようやく答えにたどり着いた。

 

姫路「小暮先輩、もしかして攻撃をするときと防御に回るときの状態は、同一では無いのでは?」

小暮「!……なるほど。相手が液体でこちらの攻撃がすり抜けるなら、相手の攻撃もすり抜けるはず。そうならないのは攻撃のときは個体に変化しているから。もしこの仮説が正しいのであれば……」

 

二人の召喚獣は、クイックシルバが〈小山〉に殴りかかる瞬間を狙って大剣と鉄扇を振るう。すると、今までとは明らかに違う手応えが入った。

 

 

『2-F 姫路瑞希 4358点

 3-A 小暮葵 3632点

VS

 ?-? Quiksilver 4589点』

 

 

姫路・小暮「「相手が攻撃する瞬間だけは、ダメージを与えることができる!」」

 

ようやくクイックシルバの点数を減らすことができた二人は、満足気に笑みを浮かべる。本当の闘いは、今この瞬間に始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第四部隊】

 

『くそぉっ!次から次に鬱陶しい!』

『このままじゃきりがないわ!』

 

 

《総合科目》

『3-A 高城雅春 4284点

 3-A 常村勇作 3206点

 その他×10人ほど

VS

 ?-? Guardian 3000点

 ?-? Invader 3000点』

 

 

メインサーバー室には二体の召喚獣モドキが潜んでいた。インベーダーと言う名の蜘蛛型の召喚獣モドキはメインコンピューターに張り付いたまま動かず、ガーディアンと言う名の召喚獣モドキはそれを守るように立ちふさがっている。第四部隊の召喚獣達はガーディアンが次から次へと生み出す壁に阻まれて全く攻められないでいた。

 

常村「闘う気ゼロかよこいつら……。高城、どうする?お前の腕輪能力で何とかできないか?」

高城「難しいでしょうね……。この防御能力、私の腕輪能力とは相性が最悪と言っても良いでしょう。鳳君にヘルプ連絡をしましたので、取り敢えず増援がくるまで弱点の一つでも探しておきましょう」

常村「人頼みかよ……まあ仕方ねぇか、よしんば相手がガス欠してくれたらご喝采だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第五部隊】

 

 

《総合科目》

『3-A 金田一真之助 3202点

 3-A 夏川俊平 2486点

VS

 ?-? Wivern 3918点』

 

 

文化部室の闘いもやはり苛烈を極めた。ワイバーンの名の通り普通の召喚獣の何倍もの大きさの召喚獣モドキ相手に、第五部隊は隊長と副隊長を残して壊滅状態に追いやられていた。

 

夏川「畜生!反則だろこんなバカでかいの!」

金田一「夏川オメー泣き言を言ってる暇があんのか!?またあのブレスが来んぞオイ!」

 

金田一の言葉通りワイバーンは口から炎を吐き、教室全体を一掃する。耐火性の高い校舎であるため火事の心配はないが部員の備品は容赦なく消し炭になっていく。どういうわけか実際の炎と違って熱くないのが二人にとっての救いか。もしこの炎が熱を持っていたら皆仲良く既に焼け死んでいたことだろう。二人の召喚獣は炎を器用にかわしワイバーンの体を見事斬り裂いたものの、反撃に尻尾で殴られ吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。

 

 

《総合科目》

『3-A 金田一真之助 2711点

 3-A 夏川俊平 1580点

VS

 ?-? Wivern 3544点』

 

 

夏川「金田一、このままだと先にこっちがくたばっちまうぞ!」

金田一「やむを得ねぇ……夏川、撹乱作戦に切り替えるぞ!増援が来るまでこいつをここに押しとどめるんだ!」

夏川「チッ、気に食わねぇが仕方ねぇか。こんな化け物を校舎に解き放てば、待っているのは地獄絵図だしな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第六部隊】

 

《総合科目》

『2-A 木下優子 2552点

 2-A 橘飛鳥 1819点

VS

 ?-? Ripper 3642点』

 

 

Aクラスが誇る女子最強タッグでさえも、非常識な能力を持つ召喚獣モドキに苦戦していた。リッパーは見た目は普通の召喚獣だが、体のどこからでも刃を出したり射出したりできるという非常に攻撃的な能力を用いて、第六部隊をたった一人で壊滅寸前に追いやった。

 

優子「あのどこからでも出てくる刃物が厄介ね……」

飛鳥「下手な突撃は寿命を縮めるわ……他の隊員達みたいにね」

 

リッパーから射出された五本の刃物を〈優子〉と〈飛鳥〉は絶妙なコンビネーションで全て打ち落とすも、二人の召喚獣は情報を集めるため反撃に転じず様子を伺う。少しするとリッパーが再び刃物を飛ばしてきたので、同じように捌ききる。

 

優子「同時に飛ばせる刃物は五本が限界。それに、」

飛鳥「五本とも飛ばした場合、10秒ほどのインターバルを要する……ってとこね」

 

何度も何度も攻撃的を受けている間に、二人はどうにか突破口を見いだした。やられっぱなしの二人が、ようやく反撃を開始するようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファントム『フフフ、一筋縄では希望は決して掴みとれないよ……セキュリティ用召喚獣【セブンスター】は一体一体が特別にカスタマイズされた個体、他の有象無象の自律型召喚獣とは次元が違うのだよ』




和真「いやぁ、バトル一色だったなオイ。
……俺も混ざりたかった」

徹「安定のバトルジャンキー振りなようで安心したよ。ではせっかくだから本編で猛威を奮っている【セブンスター】のスペックを公開するよ」

①Gradius
点数……8000点
解説……特殊能力は持たないものの、点数やパワー、スピード、耐久力などの基本能力は7体の中で突出している。戦闘力は文句なしにナンバーワン。

②Gluttony
点数……4000点
解説……与えたダメージ分だけ点数を増加させることができる。最大の弱点は手足が無いためその場から動けないこと。

③Quiksilver
点数……5000点
解説……固体から液体、液体から固体へ状態を変化させることができる。液体になっている間は打撃攻撃を一切受け付けないが、逆に相手に攻撃することもできない。スライムだけに体を分離させたりもできるらしい。

④Guardian
点数……3000点
解説……次から次へと身を守る壁を作り出すことができる。攻撃力は皆無だが、全力で守りに入ったこいつを突破することは極めて困難である。

⑤Invader
点数……3000
効果……召喚獣としての戦闘力は七体中ぶっちぎりの最弱。しかし実はこの固体はコンピューターウィルスと召喚獣の複合体であり、メインコンピューターにハッキングしてフィールドを展開したのも、教師のフィールド展開及び召喚を制限しているのもこいつの能力である。

⑥Wivern
点数……4500
効果……見たまんま、ドラゴンっぽいことはだいたいできる。しかしワイバーン(飛竜)のくせに何故か空は飛ばない。

⑦Ripper
点数……4500
効果……体のどこからでも刃物を出したり投擲したりできる。ついでにスピードだけはGradiusに匹敵する。

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